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幼少期編
38 疫病の悲劇
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お兄様と私はその一週間をパタパタと動き回った。
タイムリミットは近く、対マラリア用の薬を量産している。
かといって、到底足りる気はしない。
私はクロロキンを作る魔法を創って魔法使いを総動員させた。
もちろん、私自身も薬を魔法で量産する。
一日でおよそ百ほどはできるのだが、まだまだ足りない。
クロロキンに副作用がないわけはなく、それを考慮した上で私のものは副作用なしで作っているので、魔力消費が激しすぎる。
かといって活動ができなくなるまで魔法を使うわけにはいかない。
緊急事態やとうのマラリアの原虫がやってきたときに対象できなくちゃ困るからだ。
一応、お兄様とお父様に状況把握と薬等の位置、配布の方法を確認させているものの、安心はできない。
そして、遂に迎えた最初の患者報告の日。
あらかじめ配っていたものを含めて大体領民の半数分の薬が出来上がった。
さらに、新しく設立したばかりの薬局と、環境局と、健康研究所(大学内の施設)で医療団を作ってある。
総勢百五十名の精鋭、ちなみに団長は私だ。
一時的なものなので私が団長の方が都合がいいというお父様との話し合いの結果だ。
とはいえ、私がこの場を離れるのはまずいので(主に商会や学校の方が)実際に現場指揮をしてもらっているのは三人の副団長たちである。
お父様は薬学に関しては私に丸投げなので、今回は領政にしか関わってもらっていない。
もちろん、報告等はしているが。
「ルイっ、薬の在庫確認をしてきて!ルーベンスは来ている報告書の書類整理をお願い、一通り目を通してくれないかしら?多いようならチェニーを連れていって構わないわ。あ、お兄様!それが終わったらこっちのをお願いしますわ」
私はお兄様用に用意した机にどんと紙束を置く。
お兄様は不服そうに項垂れた。
「……サァラ~、この激務はいつまで続くんだい?お兄ちゃん早く可愛い妹とデートに行きたいんだけど」
「もう少しの辛抱ですわ、にいに。なぁに、後一ヶ月は休みを取っているではありませんか、大丈夫ですよ」
黙って働け!
領地、領民のために、それが私たちの一生の仕事なんだよ。
「お兄ちゃんは君の健康状態も気になるんだけど」
「それなら安心してくださいませ。ちゃんと毎日五時間寝てますわ」
九時から二時までしっかり熟睡している、ちんまいままは嫌だしね。
「いや、足りないでしょ……」
兄の常識的発言は妹には届いていなかった。
その時、バタバタと足音がしたと思ったら、書類整理に行ったはずのチェニーが慌てた様子で部屋に入ってきた。
チェニーが礼儀作法を飛ばして無断で部屋に入ってくるなんて珍しい、そう思った私は何ごとかとチェニーに問いた。
「大変です、お嬢様!奥様がお倒れになられましたっ!!」
「「!?」」
私とお兄様は同時に立ち上がり急いでお母様の部屋へと向かう。
「お母様のご用体は?!」
思い切り廊下を走っているが気にしない、チェニーの様子からそれほどの事態だと思うから。
「今、医者を呼んでいますが、生憎、実力のあるものは全員出払った状態でして。学生しか捕まえられませんでしたっ。それもどんなに頑張っても到着に三十分はかかるそうですっ!」
ーーー医療団が裏目に出た。
その事実に私は後悔してしまう。
まだ疫病は領でも端っこの方にしか現れていない。
そのため、広範囲で団が散っているのだ。
北に来るほどその数は現状少ない。
蚊は南からやって来るものだからと、先に潰してしまおうと思ったのが間違いだった。
この時期は疫病に加え、風邪などが流行るころ。
医者は皆忙しい時期で、数の少ない教会も満員状態なのだ。
「ーーーラ。サラ、サラ」
ぐるぐるとそんなことを考えていてお兄様に肩を叩かれるまで気がつかなかった。
「……にいに」
「サラ。なにを後悔しているの?それは今すること?君は唯一この家で病気に詳しいんだよ。大丈夫だ、なにかあればお兄ちゃんがどうにかしてあげる。だから勇気を出して」
お兄様はにこりと微笑んだ。
「ーーーうん、ありがとう」
肩が軽くなった私は、落ち着いて部屋に入った。
タイムリミットは近く、対マラリア用の薬を量産している。
かといって、到底足りる気はしない。
私はクロロキンを作る魔法を創って魔法使いを総動員させた。
もちろん、私自身も薬を魔法で量産する。
一日でおよそ百ほどはできるのだが、まだまだ足りない。
クロロキンに副作用がないわけはなく、それを考慮した上で私のものは副作用なしで作っているので、魔力消費が激しすぎる。
かといって活動ができなくなるまで魔法を使うわけにはいかない。
緊急事態やとうのマラリアの原虫がやってきたときに対象できなくちゃ困るからだ。
一応、お兄様とお父様に状況把握と薬等の位置、配布の方法を確認させているものの、安心はできない。
そして、遂に迎えた最初の患者報告の日。
あらかじめ配っていたものを含めて大体領民の半数分の薬が出来上がった。
さらに、新しく設立したばかりの薬局と、環境局と、健康研究所(大学内の施設)で医療団を作ってある。
総勢百五十名の精鋭、ちなみに団長は私だ。
一時的なものなので私が団長の方が都合がいいというお父様との話し合いの結果だ。
とはいえ、私がこの場を離れるのはまずいので(主に商会や学校の方が)実際に現場指揮をしてもらっているのは三人の副団長たちである。
お父様は薬学に関しては私に丸投げなので、今回は領政にしか関わってもらっていない。
もちろん、報告等はしているが。
「ルイっ、薬の在庫確認をしてきて!ルーベンスは来ている報告書の書類整理をお願い、一通り目を通してくれないかしら?多いようならチェニーを連れていって構わないわ。あ、お兄様!それが終わったらこっちのをお願いしますわ」
私はお兄様用に用意した机にどんと紙束を置く。
お兄様は不服そうに項垂れた。
「……サァラ~、この激務はいつまで続くんだい?お兄ちゃん早く可愛い妹とデートに行きたいんだけど」
「もう少しの辛抱ですわ、にいに。なぁに、後一ヶ月は休みを取っているではありませんか、大丈夫ですよ」
黙って働け!
領地、領民のために、それが私たちの一生の仕事なんだよ。
「お兄ちゃんは君の健康状態も気になるんだけど」
「それなら安心してくださいませ。ちゃんと毎日五時間寝てますわ」
九時から二時までしっかり熟睡している、ちんまいままは嫌だしね。
「いや、足りないでしょ……」
兄の常識的発言は妹には届いていなかった。
その時、バタバタと足音がしたと思ったら、書類整理に行ったはずのチェニーが慌てた様子で部屋に入ってきた。
チェニーが礼儀作法を飛ばして無断で部屋に入ってくるなんて珍しい、そう思った私は何ごとかとチェニーに問いた。
「大変です、お嬢様!奥様がお倒れになられましたっ!!」
「「!?」」
私とお兄様は同時に立ち上がり急いでお母様の部屋へと向かう。
「お母様のご用体は?!」
思い切り廊下を走っているが気にしない、チェニーの様子からそれほどの事態だと思うから。
「今、医者を呼んでいますが、生憎、実力のあるものは全員出払った状態でして。学生しか捕まえられませんでしたっ。それもどんなに頑張っても到着に三十分はかかるそうですっ!」
ーーー医療団が裏目に出た。
その事実に私は後悔してしまう。
まだ疫病は領でも端っこの方にしか現れていない。
そのため、広範囲で団が散っているのだ。
北に来るほどその数は現状少ない。
蚊は南からやって来るものだからと、先に潰してしまおうと思ったのが間違いだった。
この時期は疫病に加え、風邪などが流行るころ。
医者は皆忙しい時期で、数の少ない教会も満員状態なのだ。
「ーーーラ。サラ、サラ」
ぐるぐるとそんなことを考えていてお兄様に肩を叩かれるまで気がつかなかった。
「……にいに」
「サラ。なにを後悔しているの?それは今すること?君は唯一この家で病気に詳しいんだよ。大丈夫だ、なにかあればお兄ちゃんがどうにかしてあげる。だから勇気を出して」
お兄様はにこりと微笑んだ。
「ーーーうん、ありがとう」
肩が軽くなった私は、落ち着いて部屋に入った。
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