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学園編
62 謁見
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慌ただしく過ごしていれば、時間の経過など本来のものよりも短く感じてしまう。
商会と公爵家のことで少し忙しくなっていた私は、あっという間にきた陛下への謁見の日を万全の準備で挑んでいた。
宝石の類いもドレスもお兄様とお父様がいくら叱っても買ってくるので、袖を通していないものがいくつもあった。
装飾品たちも、ほとんど飾っている状況である。
さすがに公爵家なだけあって、質は申し分無い。
当初、あんなに気合いを入れていた私だったが、今では落ち着いて覚めたものである。
化粧やら、ドレスアップやらはプロであるルイに(実は特技)すべてお任せする。
今まで、仕事上の最低限だけで、本気で着飾ったことがない私なので、鏡を見てもどこがいいとか分からなかった。
「完璧ですわっ、サラ様!」
鏡の中の私は、淡い空色のドレスを纏い、髪を編み込みで括り、元より化粧顔なため、薄く紅だけ引かれていた。
うーん、相変わらずつり目だなぁ……。
誉めるメイドと裏腹に、私はあまりいつもと変わらないような気がしてならなかった。
「ーーー本当にこれでいいのかしら?」
「いいのです!逆にサラ様は地が良すぎるので薄化粧のほうがよろしいかと!」
「……それは分かるのだけれど。まぁ、ルイが言うなら間違いないわ。私にはわからないし……はぁ、魔法の研究がしたいわ」
「お嬢様は仕事のし過ぎかと」
ぼそりと呟いた言葉にも反応するチェニー、地獄耳だわ……。
そんなことを思い出しながら、王城までやってきた。
お父様とお兄様も付いてきている。
お兄様は謁見中は第一王子のもとに向かうらしく、外れるそうだ。
お母様は先ほど王妃様のところへお茶会に行った。
それはもう楽しそうにしていたので、今頃、世間話で盛り上がっていることだろう。
貴族女性はそれが生き甲斐だといっても過言ではないらしいし……、私は面倒だけど。
しかし、王様に謁見するくらいなら、王妃様に会いたいと心から思った。
重苦しい城内は豪華だからではなく、王というなの人物が住まう場所だからなのだろう。
皆、張り詰めた緊張感を常に持ち合わせている感じ。
私はピリピリと高揚した。
決して緊張から来ているわけではない。
しばし、廊下を無言で歩く。
程よい緊張感を解いたのはお父様だ。
「……サラ、ゼッターイ結婚話は断れ!」
「なんの心配ですの……」
力強いお父様の言葉に呆れを隠せない。
確かに、年齢的、身分的には適応しているだろうが、社交に参加しないヒッキーにそんな話が回ってくるはずもないのにと思った。
貴族女性には深窓の令嬢という言い訳があるということも知らずに。
幸か不幸か、無知とは無責任である。
広い廊下を突き進めば、格段に大きく豪華な扉があった。
もしかしなくても、ここが謁見の間らしい。
「ニコラス公爵、及び令嬢!陛下が既にお待ちです!入室を許可します!」と騎士が言い、扉を開く。
謁見の間は昔見た絵本に載っているような内装であった。
広い一室に、階段とその上に一脚の椅子。
階段までの道のりは赤いカーペットで記されている。
令嬢としてのしずしずと歩けば、長い道のりだ。
ようやくたどり着けば座り込み、礼をしなければならない。
「面をあげるといい」
言われた通りに顔を上げる。
遠くからは分からなかったが、王様は童話のようなお髭たっぷりのおじ様だ。
痩せてダンディーなサンタクロースとでも言おうか、触りたい。
「ふむ、やっぱり噂通りだな……。シズー、椅子持ってこい」
王様は控えさせていた執事に椅子を持ってくるように命じる。
ん?椅子……?
「おい、長話をする気はないぞ」
「まぁまぁ、いいじゃん!せっかくだし、無駄話でもしようよ~」
先程までの貫禄は何処へやら、気軽なおっさんに早変わりである。
これには驚きを通り越して、呆れた。
「おっと、ごめんね蚊帳の外にしちゃって。はーい、儂が国王でーす。エナードね。気楽にエナードおじ様って呼んでくれないかなぁ?」
ーーー軽い、あまりに軽すぎる。
そこら辺にいる子供のほうが、今の時代、もっとましだと思うほどに。
「だめだ!そんなの許すわけないだろ!」
お父様は叫ぶが、不敬にならないのが凄いと思った。
「えー、ケチくさーい。そんな心狭いこと言ってると、娘に嫌われちゃうぞっ!」
「黙れ!チャランポランが!サラはやらんっ!」
このままだと埒があかない、そう思った私は無理やり打ち合いのような会話を終わらせた。
「お父様!いつまでも自己紹介が出来ませんの。今回はそういう主旨なのでしょう?」
「っは、そうだった。このままじゃいつまでもいいようにサラを見られてしまう!とっととやって帰ろう!」
やはり、国王……いや、エナードを貶しつつだが、止まってくれた。
私はエナードがつまらなそうにしているのを見てしまって、いい趣味だなぁと思う。
「では、改めまして。ニコラス公爵家、子女のサラ・デューク・ニコラスですわ。後拝見、誠に嬉しく思います、国王陛下」
作った仮面を顔の上に張り付けてニコリと無理やり笑った私だった。
商会と公爵家のことで少し忙しくなっていた私は、あっという間にきた陛下への謁見の日を万全の準備で挑んでいた。
宝石の類いもドレスもお兄様とお父様がいくら叱っても買ってくるので、袖を通していないものがいくつもあった。
装飾品たちも、ほとんど飾っている状況である。
さすがに公爵家なだけあって、質は申し分無い。
当初、あんなに気合いを入れていた私だったが、今では落ち着いて覚めたものである。
化粧やら、ドレスアップやらはプロであるルイに(実は特技)すべてお任せする。
今まで、仕事上の最低限だけで、本気で着飾ったことがない私なので、鏡を見てもどこがいいとか分からなかった。
「完璧ですわっ、サラ様!」
鏡の中の私は、淡い空色のドレスを纏い、髪を編み込みで括り、元より化粧顔なため、薄く紅だけ引かれていた。
うーん、相変わらずつり目だなぁ……。
誉めるメイドと裏腹に、私はあまりいつもと変わらないような気がしてならなかった。
「ーーー本当にこれでいいのかしら?」
「いいのです!逆にサラ様は地が良すぎるので薄化粧のほうがよろしいかと!」
「……それは分かるのだけれど。まぁ、ルイが言うなら間違いないわ。私にはわからないし……はぁ、魔法の研究がしたいわ」
「お嬢様は仕事のし過ぎかと」
ぼそりと呟いた言葉にも反応するチェニー、地獄耳だわ……。
そんなことを思い出しながら、王城までやってきた。
お父様とお兄様も付いてきている。
お兄様は謁見中は第一王子のもとに向かうらしく、外れるそうだ。
お母様は先ほど王妃様のところへお茶会に行った。
それはもう楽しそうにしていたので、今頃、世間話で盛り上がっていることだろう。
貴族女性はそれが生き甲斐だといっても過言ではないらしいし……、私は面倒だけど。
しかし、王様に謁見するくらいなら、王妃様に会いたいと心から思った。
重苦しい城内は豪華だからではなく、王というなの人物が住まう場所だからなのだろう。
皆、張り詰めた緊張感を常に持ち合わせている感じ。
私はピリピリと高揚した。
決して緊張から来ているわけではない。
しばし、廊下を無言で歩く。
程よい緊張感を解いたのはお父様だ。
「……サラ、ゼッターイ結婚話は断れ!」
「なんの心配ですの……」
力強いお父様の言葉に呆れを隠せない。
確かに、年齢的、身分的には適応しているだろうが、社交に参加しないヒッキーにそんな話が回ってくるはずもないのにと思った。
貴族女性には深窓の令嬢という言い訳があるということも知らずに。
幸か不幸か、無知とは無責任である。
広い廊下を突き進めば、格段に大きく豪華な扉があった。
もしかしなくても、ここが謁見の間らしい。
「ニコラス公爵、及び令嬢!陛下が既にお待ちです!入室を許可します!」と騎士が言い、扉を開く。
謁見の間は昔見た絵本に載っているような内装であった。
広い一室に、階段とその上に一脚の椅子。
階段までの道のりは赤いカーペットで記されている。
令嬢としてのしずしずと歩けば、長い道のりだ。
ようやくたどり着けば座り込み、礼をしなければならない。
「面をあげるといい」
言われた通りに顔を上げる。
遠くからは分からなかったが、王様は童話のようなお髭たっぷりのおじ様だ。
痩せてダンディーなサンタクロースとでも言おうか、触りたい。
「ふむ、やっぱり噂通りだな……。シズー、椅子持ってこい」
王様は控えさせていた執事に椅子を持ってくるように命じる。
ん?椅子……?
「おい、長話をする気はないぞ」
「まぁまぁ、いいじゃん!せっかくだし、無駄話でもしようよ~」
先程までの貫禄は何処へやら、気軽なおっさんに早変わりである。
これには驚きを通り越して、呆れた。
「おっと、ごめんね蚊帳の外にしちゃって。はーい、儂が国王でーす。エナードね。気楽にエナードおじ様って呼んでくれないかなぁ?」
ーーー軽い、あまりに軽すぎる。
そこら辺にいる子供のほうが、今の時代、もっとましだと思うほどに。
「だめだ!そんなの許すわけないだろ!」
お父様は叫ぶが、不敬にならないのが凄いと思った。
「えー、ケチくさーい。そんな心狭いこと言ってると、娘に嫌われちゃうぞっ!」
「黙れ!チャランポランが!サラはやらんっ!」
このままだと埒があかない、そう思った私は無理やり打ち合いのような会話を終わらせた。
「お父様!いつまでも自己紹介が出来ませんの。今回はそういう主旨なのでしょう?」
「っは、そうだった。このままじゃいつまでもいいようにサラを見られてしまう!とっととやって帰ろう!」
やはり、国王……いや、エナードを貶しつつだが、止まってくれた。
私はエナードがつまらなそうにしているのを見てしまって、いい趣味だなぁと思う。
「では、改めまして。ニコラス公爵家、子女のサラ・デューク・ニコラスですわ。後拝見、誠に嬉しく思います、国王陛下」
作った仮面を顔の上に張り付けてニコリと無理やり笑った私だった。
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