その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

文字の大きさ
14 / 165
登録者突破記念 おまけ

私は魔族、友は公爵令嬢2

しおりを挟む
翌日。
今日は日曜日なので、何もかもお休みである。
午前は手早く雑務を済ませて、ニコニコとしていると「ご機嫌ですね、お嬢様」とチェニーにつつかれた。

チェニーに人払いを頼んで、部屋に戻ると、ルスピニーが待ち構えている。
『おはよう、サラ』
「おはようございます」

挨拶と世間話をすこしして、早速魔法を構築していく。
今回は元があるので、ものすごく作りやすい。
ルスピニーは黙って作業を見ていたが、ポツリと『これが異世界の技術か……』呟いていた。
もちろん、夢中なサラには届いていない。

「出来ました、呼び出し魔法の構造式です!」
『うむ。あちらも準備が整っているようだ。いつでもいいぞ』
「では、『サモン 魔族の子クロゥ』」

私が指定すると、目の前に魔方陣が現れる。
そこからすうっと黒が出てきた。
クロは少し困惑している様子である。

「こんにちわ、久しぶりねクロ」
「……こんにちわ、サラ」

クロはゆっくりと魔方陣から出てきて、部屋を見渡した。
「サラの部屋?」
「ええ、そうよ。さ、そこの椅子に座って。チェニー……、私の専属メイドがお茶とお菓子を用意してくれたの。食べるかしら?」
「うん、お菓子好きだよ。甘いし」

クロはお菓子と聞いて少し絆された。
ふむふむ、甘いものが好き、ね。
私はこっそりと脳内にメモする。

「あれから連絡がつかなくて困ったわ。まさか、ルスピニーさんと知り合いなんてね」
「うん。私もサラとルスピニーが仲が良いって思わなかったから」
当のルスピニーはいつのまにやら消えていた。

この部屋には私とクロの二人きりである。
私は嬉しくなってずっと聞いてみたかったことを聞いてみた。

「クロはドレスとかアクセサリーとか、好き?」
「……えっ?」
「あ、それともお花とか、本とかかな?」
「……本は好きかな?」
辛うじて答えたクロは苦笑いした。

「サラは?サラはどんなものが好き?」
「私ですか?うーん、私も本でしょうか?いや、一番は魔法ですけれど、剣も好きですわ」
「へぇ、剣術できるの?手合わせしてみたいかも……」
「本当?じゃあ今度は森で剣を交えましょう!」

ーーーこれだ、ずっと求めていた女子トーク!
前世じゃ体験できなかったやつである。
しかし、その内容がすでに女子でないことにサラは気がついていない。

「いいね、楽しそう。ねぇ、私たち友達なんだし、敬語より砕けた言葉がいいな」
クロより背の高い私は、まともに上目遣い攻撃を受けた。
っく、まぶしいっ!

「もちろん、構わないわ!友達だものね!」
っ!!!
なんて良い響きなのでしょう!!!
私は酔いしれた。

「ふふっ、良かった」
「あ、そういえば。あの時の二人はその後どうだったかしら?一応後遺症が無いように気を付けたつもりなのだけれど……」

「……ああ、大丈夫。特になにもないよ」
……一瞬、不機嫌そうな顔をしたのは気のせいなのだろうか?
光で輝く艶々の懐かしい黒髪が揺れている。

私は思わず、前世なら羨ましがられたそれに触れた。
「ーーーっ!?」
あ、よく見たら毛先が赤い。
でも、色褪せたとかいう感じではなく、地毛でそうなのだと分かる触り心地だった。

撫でるのに夢中で気がつかなかったが、クロの顔が真っ赤になっていた。
そして、唖然という感じで口を開けている。

「? どうかしたの?」
「あっ……、いや、な、なんでもないっ!!!」
クロは耳まで真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
ーーーああ、もうちょっと撫でたかったのに……。
私は渋々と手を離してあげるのだった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!

ぽんちゃん
恋愛
 ――仕事で疲れて会えない。  十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。  記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。  そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...