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学園編
97 夏休み終了
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長期休暇が終わり、私は学園に戻ってきた。
新たにルイとファニを連れて。
ルイはなかなかに公爵家に馴染めていたようで、使用人たちから沢山の言葉を貰っていた。
一方、ファニはみんな名残惜しそうにしていたが、一番はやはりティスが大変だった。
「僕も学園に行きます」なんて真面目な顔で言われたので、物凄く困った。
最後は年相応に涙を溜めて、悔しそうに唇を噛んでいた。
「ティス」
「……はい、お姉様」
「泣くのは嫌かしら?なら、どうしたら良いと思う?」
ティスはバッと沈んでいた顔を上げて、目を見開いた。
「貴方はなんのために力を手に入れたいのだった?」
「……強く、なりたいから。自分のやりたいことをやりたい、から!」
いつかのあの日とは違う、少年はただ強い覚悟を持った目をしていた。
「上出来ね。はい、初等部の入学案内書」
私は懐から一枚の手紙を渡す。
実は夏休み前に用意をしていたティス用の学園初等部入学届けだ。
「ーーー!良いの!?」
「私を誰だと思っているのかしら?もう、魔力はちゃんとコントロール出来るでしょ?一応、保全のために結界魔法を付与したネックレスは身に付けたままでいてもらわないとだけれど、それ以外は普通に生活していいそうよ」
理事長にお願いして、初等部への入学を許可してもらった。
初等部は高等部と違い、平民は条件の通る貴族からの推薦が必要だからである。
ちなみにその条件、主な内容は財産と上位貴族への伝。
私はどちらともクリアしているのであっさり許可が降りた。
マジックアラブノーマリティだからというのも大きいが、私が魔力管理をして安全面を保証するというのが効いた。
魔法具なんて前世の研究生時代以来だが、滅茶苦茶魔法のおかげで遜色なく作れるし。
ティスはその年でこの世界での知識を凌駕するものを持っている。
これ以上、知っても知らなくてもそれは本人次第。
後は、ティスこの上なく足りないもの、世界を見てみることを手伝うのが私にできることだと思っている。
ティスは平民だが、平民として生活するには弊害が多すぎるため安易に町に戻すことが出来ない。
ティス自身の成長も足りているとは言えないし。
まずは私の目が届く範囲でと思っていたが、そこにはティスの望みが欠けていたから。
予定では私が三年になってからのつもりだったが、まあいい。
「ーーー!お姉様、僕頑張るよ!いつかお姉様に恩返しするために、お姉様の役に立つように頑張る!だから、ずっと僕のこと嫌いにならないでね」
その言葉に思わず涙が出そうだった。
しかし、ここで泣くのは違うと歯を食い縛る。
「もちろんよ、ティスタニオ。でも、その人生は貴方のものなのよ?自分のために使いなさいね」
「でも……」
私はなんとなくティスが言いたいことが分かった。
「いつか、絶対にやりたいことが見つかるわ。ティスは沢山勉強して、力を持ってる。だから世界を視ることも出来る。多くのことが貴方を待っているわ、それを見てからでも遅くはないのよ?」
学校を経営して、子供たちを見ていて思ったことがあったそれを、可愛く賢い弟に告げる。
昔、研究生時代だった頃。
白髪まみれでしわしわの服を着る師匠に「世界を知れ」とよく言われたものだ。
まさか、自分も言う日が来るとは……、世の中何があるか分からないものである。
私は懐かしく思いながら、目の前のふわふわのダークチョコレート色の髪を撫でた。
「……うん、お姉様がそう言ってくれるなら、僕、もっと世界を見てみる」
あの日の少年の夢は何だったか、ティスは覚えているのだろうか?
ティスの冒険はこれから始まりを迎える。
新たにルイとファニを連れて。
ルイはなかなかに公爵家に馴染めていたようで、使用人たちから沢山の言葉を貰っていた。
一方、ファニはみんな名残惜しそうにしていたが、一番はやはりティスが大変だった。
「僕も学園に行きます」なんて真面目な顔で言われたので、物凄く困った。
最後は年相応に涙を溜めて、悔しそうに唇を噛んでいた。
「ティス」
「……はい、お姉様」
「泣くのは嫌かしら?なら、どうしたら良いと思う?」
ティスはバッと沈んでいた顔を上げて、目を見開いた。
「貴方はなんのために力を手に入れたいのだった?」
「……強く、なりたいから。自分のやりたいことをやりたい、から!」
いつかのあの日とは違う、少年はただ強い覚悟を持った目をしていた。
「上出来ね。はい、初等部の入学案内書」
私は懐から一枚の手紙を渡す。
実は夏休み前に用意をしていたティス用の学園初等部入学届けだ。
「ーーー!良いの!?」
「私を誰だと思っているのかしら?もう、魔力はちゃんとコントロール出来るでしょ?一応、保全のために結界魔法を付与したネックレスは身に付けたままでいてもらわないとだけれど、それ以外は普通に生活していいそうよ」
理事長にお願いして、初等部への入学を許可してもらった。
初等部は高等部と違い、平民は条件の通る貴族からの推薦が必要だからである。
ちなみにその条件、主な内容は財産と上位貴族への伝。
私はどちらともクリアしているのであっさり許可が降りた。
マジックアラブノーマリティだからというのも大きいが、私が魔力管理をして安全面を保証するというのが効いた。
魔法具なんて前世の研究生時代以来だが、滅茶苦茶魔法のおかげで遜色なく作れるし。
ティスはその年でこの世界での知識を凌駕するものを持っている。
これ以上、知っても知らなくてもそれは本人次第。
後は、ティスこの上なく足りないもの、世界を見てみることを手伝うのが私にできることだと思っている。
ティスは平民だが、平民として生活するには弊害が多すぎるため安易に町に戻すことが出来ない。
ティス自身の成長も足りているとは言えないし。
まずは私の目が届く範囲でと思っていたが、そこにはティスの望みが欠けていたから。
予定では私が三年になってからのつもりだったが、まあいい。
「ーーー!お姉様、僕頑張るよ!いつかお姉様に恩返しするために、お姉様の役に立つように頑張る!だから、ずっと僕のこと嫌いにならないでね」
その言葉に思わず涙が出そうだった。
しかし、ここで泣くのは違うと歯を食い縛る。
「もちろんよ、ティスタニオ。でも、その人生は貴方のものなのよ?自分のために使いなさいね」
「でも……」
私はなんとなくティスが言いたいことが分かった。
「いつか、絶対にやりたいことが見つかるわ。ティスは沢山勉強して、力を持ってる。だから世界を視ることも出来る。多くのことが貴方を待っているわ、それを見てからでも遅くはないのよ?」
学校を経営して、子供たちを見ていて思ったことがあったそれを、可愛く賢い弟に告げる。
昔、研究生時代だった頃。
白髪まみれでしわしわの服を着る師匠に「世界を知れ」とよく言われたものだ。
まさか、自分も言う日が来るとは……、世の中何があるか分からないものである。
私は懐かしく思いながら、目の前のふわふわのダークチョコレート色の髪を撫でた。
「……うん、お姉様がそう言ってくれるなら、僕、もっと世界を見てみる」
あの日の少年の夢は何だったか、ティスは覚えているのだろうか?
ティスの冒険はこれから始まりを迎える。
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