その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

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学園編

99 荷造り

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「えー、というわけで今回の遠征の説明は以上だ。なにか質問があるものはいるか?」
タファが業務的な口調でサラサラと質問に答えていく。

二学期最初のイベント、遠征旅行。
一年生限定の行事でわざわざ北方まで赴いて魔法演習する。
氷系統の魔法は気温の低いところでないと使いにくいためらしい。
学園は中央に位置するのでかなり遠い旅行になる。

期間は一週間。
北方行きの古の魔方陣が学園の地下にあるそうなので、それを使って向かうらしい。
逆に、転移魔方陣があるから北方に向かうようにも取れる。

私はぼけっと先生お兄様の説明を聞いていた。

「では、三日後の遠征の準備を怠らないように。解散」
LHRが終わり、皆さっさと寮に帰っていく。
あっという間に教室は私とお兄様の二人になった。

お兄様がなにか話したそうなのを見て、私は結界を張る。
張り終わったのを確認したお兄様はすたすたと私の机まで歩き、私に抱きつく。
ーーー重い。

「サァラ、ちゃんと話聞いてた?」
「聞いてましたわ、にいに」
「じゃあ、サァラが今回の遠征のクラスリーダーになったことも?」
ーーーはい?!

私が目を見開くと、お兄様はくすくすと笑った。
「……ごめんね、鎌かけた」
「にいに……」
「ごめんって」

はぁ、本当に驚いたよ。
ただでさえ会話をしたことがないというのに、皆を纏める係なんて無理に決まっている。
昔は躊躇なくしてたけど、それは軍隊の話だし……。

「とりあえず、学園長から言伝て。ドラゴンは連れていってもいいが、遠征中はもとの姿に戻るのは禁止だそうだ。あと、レベルA以上の魔法も禁止だって」
「うへー」

実はランク付けされている魔法。
Aクラスはトルネードやウェーブなどの自然を模して作られた魔法が多い。
その上にあるSクラスは二属性以上を同時に使った複合魔法である。

前世ではそういう属性というものに分かれているとかはなかったから不思議だ。
それでいけばステータスとかはどの属性になるのか気になった。
基本は光を使うから光魔法だろうか?
転移とかの魔法は国宝級らしいので、ランク付け以前らしい。

これで私が使える魔法はあの長ったらしい詠唱つきの魔法と身体強化と結界だけだ。
一応、一般認識されていない魔法も使うのはいいよね?
学園長がなにのつもりで私に足枷をつけようとするのは分からないが、目立ちたくないので素直に従おうと思った。

「まあ、緊急対応できる学園内とはまた違うからね。僕の可愛くて強いサァラが出力を間違えるなんてことないだろうけど、一応ね」
ーーーなるほど。
だが、私はここで規模の大きい魔法を使ったことはない。
なぜここまで厳重になるのか不思議なところだが……。

目の前の兄はそこが不満なわけではないらしく、ずっと「僕の天使がそんなミスするわけないのにね!」とプンプンと怒っている。
兄よ、私だってミスくらいするぞ?
シスコンとは凄い生き物だと改めて感じる。

そんなことをぼんやりと考えて、私は結界を解いた。
途端通常業務のお兄様に戻って面白い。

「では、先生。また明日」
「……」

そこは、ああくらい言って良いんだよ?
謎の無口を貫く兄を放って私は荷造りをしに、寮へ戻るのだった。
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