のほほん真勇者録 アルファポリス版

ごーぐる

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少女編

堅実なるFランク冒険者

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あれから数か月、私は堅実的にFランク冒険者として働いていた。
お金もその日の生活費だけ、Fランクの依頼は簡単なやつばかりだが料金がどれもこれも安い。
中でも一番儲かるのは薬草採取で、納められるだけ納めて、残りは収納。
時間が空いた時にでもその薬草を使って薬やポーションを作っている。

薬はなかなか売ることが出来ないが、ポーションは相場より安くで売れば簡単にさばくことが出来た。
なんでも直接ポーションを売る売り手は少なくて、ほとんどが商人ギルドや神殿に管理されているのだとか。
まぁ確かに薬系統の管理は大切だと思ったのだが、本命の薬は管理されていない模様で、薬屋で買うのだとか。

え、薬は作れるのにポーションは作れないの?と思ったが、本当にそうみたい。
薬は薬師が作るもの、ポーションは錬金術師が作るものと分かれている。
私は似たようなものだろとお婆さんに聞いてみたが、明確には魔法が使えるか使えないかで分かれているらしい。

となると、錬金術師は薬師の上位互換なのかと問うと、これまた違って、錬金術師のほとんどが独立していることはなく、商会か神殿、貴族に使えているのだとか。
ふーん……、なんか闇がありそうだ。

とりあえず、そんなわけでポーションは順調に売れた。
販売店はギルドの一角、すみっこの場所を貸してもらった。
受付のお姉さんとはあれ以来仲良くなって、今では名前を呼びあうようにしている。
名前はチルさんというらしい。
丁度ぱちりと目が合ったで手を振ると振り返してくれる。
まあこれくらい仲良しだ。

私が殴った筋肉さんは、あれ以来ギルドに訪れていない。
悪いことしたなぁとは思ったものの、王都内にギルドはたくさんあるのでまあいいかとした。

丁度昼時なのでギルドで昼食をとっている。
本当に広い、いや、私から見たらたいていの建物はでかい。
病院の中は個室ではあったが、だいぶ狭い空間だったし、大人として成長しきっていた私にとっては息が詰まるみたいだった。
今じゃあなんだか自由を感じてしまうくらい広い、どこまででも行けると思う。
私の日々はとても充実していた。

しかし、そんな平穏な一人旅に突如としてイベントが降りかかってくる。
「お前だろ。この前ガチスを殴って追い払ったってやつは」
男性は紅色の髪で筋肉でゴリラっぽかった。

「ガチス…、この前ということはあの男性のことでしょうか?」
私は隣で給仕をしていたチルに話しかける。
「ええ、確かに野郎はガチスなる名前だった気がします。ええ過去の話ですが」
チルはまだ根に持っていることがあるらしい。
こんな美女を怒らすなんて本当に何をしでかしたんだろうね、ガチスくん。

「はい、と言っておきます。それよりも何か御用ですか?」
あくまで他人行儀に私は男性に話しかけた。
しかし、なぜか男性は嬉しそうだ。
「おお、やっぱりか。すげーな、あいつCランク冒険者なんだぞ」
え、ガチスさんCランクなの?
てっきりEランクくらいかと思っていた、だって弱いし。

「なぁなぁ、お前さ今日暇なのか?」
「はい?」

私は状況が読めずに怪訝に顔を顰めた。
初日のようなとばっちりはもう嫌だわ~。

「いや、俺らと……」
「あ!!!いた、ニッヒー何やってんのぉ!!って、Fランクのおチビちゃん!」
何かを言いかけた男性の声を遮ったのはうさ耳の生えた女性だった。
他にも二人、彼のパーティか何かだろうか。

私は初めて獣人を見た。
王都じゃ珍しくないらしいけれど、なかなかお目にかかれなかったんだよなあ…。
うさ耳はぴょこぴょこしていて可愛らしい。
私はついついその女性の耳の方へと視線が誘われていった。
ーーー触りたい………。

「きゃあ!この子が本当にあれを殴った子?天使みたいじゃない!?ねぇ何歳?」
うさ耳お姉さんはしゅっと身をかがめて視線を私と合わすと、頭をなでなでと撫でまくる。
うん、この高さじゃいと目が合わないもんねぇ……。
「……おい、グミ。そのくらいにしとけよ」
「そうだぞグミ!羨まし……じゃなくて困ってるじゃないか」

二人から言われたうさ耳お姉さん……グミはしぶしぶと私の頭から手を離した。

「それで、何か御用でしょうか?」
「お前……手慣れてんなぁ……。ああ、いや、実はな。お前のその実力を見込んで頼みたいことがる」
改めてようやくは話が進んだ。
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