のほほん真勇者録 アルファポリス版

ごーぐる

文字の大きさ
30 / 33
少女編

Bランクパーティと共同討伐!?

しおりを挟む
「俺たちBランクパーティ『レインブルー』と共同依頼を受けていくれ」

共同依頼。
二人の冒険者、またはパーティが同じ依頼を受け、共に行動すること。
主には階級の高い魔物を討伐するときに使われる。

まあ要するに。
「依頼内容にもよりますね。その依頼、一体どのようなものなのでしょうか?」
超面倒くさい、難しい依頼だということ。

「内容は……言いにくいんだが、その、実は……」

私は男性から依頼の内容を聞いた。

「地竜の討伐?いや、あれはAランクの仕事ですよ?」
この世界、竜でも龍でもその名前が付くものは多大なる力を有している。
特に龍は一度現れれば国が一つ二つ滅ぶのだとか。
まさに天災。
しかし龍は理性を持っているために、意思疎通を図ることもできるためただの厄ではない。

地竜は比較的弱い竜だが、それでもAランク依頼なのだ。

「そう、そうなんだけどな。最近Aランク以上が異様に忙しくしているせいで、俺達にまでそういう仕事が回ってきたんだ。しかもギルド省から名指しで」
なるほど、それは断れない。
ギルド省は数あるギルドをまとめる総司令部みたいなもので、そこから各地になにかあれば連絡がいくようになっている。
ギルド省からの名指しは基本的に貴族や王族がかかわっているものが多い。
そんなのを断るなんてとんでもないということなのだろう。

普通は竜以上が討伐対象の場合、SランクかAランクの冒険者に話が行くか、国が軍を出す。
そして今回はたまたまAランク以上が異様に忙しくてもしくは何かしらの事件があって、ありえないけどBランクに仕事が回されたわけだ。
一応、Bランク四人のパーティらしいけど……。

私は目の前にいるパーティを見つめてみる。
たぶんまだ結成してから一、二年とたっていないような出来立てのパーティだろう、そう予想が付いた。
強さ的には申し分ないが、パーティとして機能するかは怪しい。
たぶんこの人たちはその機能しなかったと時用の保険が欲しいのだろう。

しかし、それが私というのが……。
「なるほど、しかし、いいのでしょうか?名指しなのでしょう?」
名指しということはその人たちにやって欲しいということ、依頼人にとって私は想定外なはずだ。

「問題ない、俺たちはその依頼人に許可を取っている。俺たちだけじゃ無理だからっていってな」
男性は少し項垂れた。
もしかすると、そう言ったのは暗に自分たちは出来ないと断りたかったのかもしれない。
相手もそれをわかっていてごり押しいてきたのだろう、それほどAランク以上の人たちが忙しい事態が起こっている。

思い出したのはジェドさんたち。
ジェドさんはAランクだと言っていた、レッドアイのパーティはどうしているだろうか。
ランク以上に連携もいいし、経験も積んでいるから忙しくしているはず。

私は運良く出会えた優しいあの冒険者たちに思いを馳せた。

「わかりました、ですが、本当に私で良いのですか?私、Fランク出たばっかりの青二才ですけれど」
「いや、実力はあるとわかっているんだし、君みたいな心優しそうな冒険者がいいんだ。うちのパーティのメンバーは女性が二人もいるからな」

なるほど、女性の冒険者は大変らしい。
しかも美人だしねぇ。

その点、私は明らかに無害そうな女子供。
ポイント高いだろうよ。

「了解しました、そのお誘い承りましょう」

メンバーは明らかにほっとしている。

「いや、よかった。女性の冒険者は少ないからな。グミはともかく、ミヅキは気が弱いし」
「ちょっと、ともかくってなに!?ともかくって!!」
グミは男性のいうことに反感を抱いたらしい。
他の二人は微笑みながらそれを見つめている。
私は一瞬でこのパーティの構成がわかった。

「では、自己紹介をしましょう」
「ああ、そうだな」

「はじめまして、剣士のグミです。ナイフもつかえるよ、よろしくね~」
「僕は弓使い、ジル。よろしく」
「わ、私は魔法使いのミヅキです……、後衛です……」
「俺はリーダーのスグル。剣士だ、よろしくな」
「はじめまして、ユリカです。今年十歳、魔法剣士やってます、よろしくおねがいします」
「「「「魔法剣士?!」」」」
「「ってなに?」」
グミとスグルは知らないようで、ジルとミヅキが呆れた。

「魔法を使う剣士です」
「いや、まんまじゃん」
私は一応補足説明をしたが、スグルは苦笑いをする。

「ってか、剣士なのな。てっきり魔法使いかなにかだと思ってたぜ」
スグルはもう打ち解けたのか口調がだいぶ砕けた感じになった。
緊張してたのかな?

「いや、腰に剣を着けているじゃないですか」
「飾りかと」
おいおい。

「それよりも、魔法剣士って本当?」
ジルはまだ信じられないといった感じ。
「その感じだと本当に数が少ないんですね、魔法剣士」
「それはそう……だって、剣も魔法も適正がある人なんてそうそうにいないから……。適正があっても使えるくらい極める人はなかなかいないです……」

うーん、自分じゃよくわからないけどね。

「じゃあさ、身体強化魔法とか武器強化魔法使うわけ?」
「使いますね」
「へぇ、凄いねっ」
凄いのか?オヴギガとかバリバリ使ってたけどな。

イマイチ感覚が掴めないユリカだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...