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少女編
Bランクパーティと共同討伐!?
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「俺たちBランクパーティ『レインブルー』と共同依頼を受けていくれ」
共同依頼。
二人の冒険者、またはパーティが同じ依頼を受け、共に行動すること。
主には階級の高い魔物を討伐するときに使われる。
まあ要するに。
「依頼内容にもよりますね。その依頼、一体どのようなものなのでしょうか?」
超面倒くさい、難しい依頼だということ。
「内容は……言いにくいんだが、その、実は……」
私は男性から依頼の内容を聞いた。
「地竜の討伐?いや、あれはAランクの仕事ですよ?」
この世界、竜でも龍でもその名前が付くものは多大なる力を有している。
特に龍は一度現れれば国が一つ二つ滅ぶのだとか。
まさに天災。
しかし龍は理性を持っているために、意思疎通を図ることもできるためただの厄ではない。
地竜は比較的弱い竜だが、それでもAランク依頼なのだ。
「そう、そうなんだけどな。最近Aランク以上が異様に忙しくしているせいで、俺達にまでそういう仕事が回ってきたんだ。しかもギルド省から名指しで」
なるほど、それは断れない。
ギルド省は数あるギルドをまとめる総司令部みたいなもので、そこから各地になにかあれば連絡がいくようになっている。
ギルド省からの名指しは基本的に貴族や王族がかかわっているものが多い。
そんなのを断るなんてとんでもないということなのだろう。
普通は竜以上が討伐対象の場合、SランクかAランクの冒険者に話が行くか、国が軍を出す。
そして今回はたまたまAランク以上が異様に忙しくてもしくは何かしらの事件があって、ありえないけどBランクに仕事が回されたわけだ。
一応、Bランク四人のパーティらしいけど……。
私は目の前にいるパーティを見つめてみる。
たぶんまだ結成してから一、二年とたっていないような出来立てのパーティだろう、そう予想が付いた。
強さ的には申し分ないが、パーティとして機能するかは怪しい。
たぶんこの人たちはその機能しなかったと時用の保険が欲しいのだろう。
しかし、それが私というのが……。
「なるほど、しかし、いいのでしょうか?名指しなのでしょう?」
名指しということはその人たちにやって欲しいということ、依頼人にとって私は想定外なはずだ。
「問題ない、俺たちはその依頼人に許可を取っている。俺たちだけじゃ無理だからっていってな」
男性は少し項垂れた。
もしかすると、そう言ったのは暗に自分たちは出来ないと断りたかったのかもしれない。
相手もそれをわかっていてごり押しいてきたのだろう、それほどAランク以上の人たちが忙しい事態が起こっている。
思い出したのはジェドさんたち。
ジェドさんはAランクだと言っていた、レッドアイのパーティはどうしているだろうか。
ランク以上に連携もいいし、経験も積んでいるから忙しくしているはず。
私は運良く出会えた優しいあの冒険者たちに思いを馳せた。
「わかりました、ですが、本当に私で良いのですか?私、Fランク出たばっかりの青二才ですけれど」
「いや、実力はあるとわかっているんだし、君みたいな心優しそうな冒険者がいいんだ。うちのパーティのメンバーは女性が二人もいるからな」
なるほど、女性の冒険者は大変らしい。
しかも美人だしねぇ。
その点、私は明らかに無害そうな女子供。
ポイント高いだろうよ。
「了解しました、そのお誘い承りましょう」
メンバーは明らかにほっとしている。
「いや、よかった。女性の冒険者は少ないからな。グミはともかく、ミヅキは気が弱いし」
「ちょっと、ともかくってなに!?ともかくって!!」
グミは男性のいうことに反感を抱いたらしい。
他の二人は微笑みながらそれを見つめている。
私は一瞬でこのパーティの構成がわかった。
「では、自己紹介をしましょう」
「ああ、そうだな」
「はじめまして、剣士のグミです。ナイフもつかえるよ、よろしくね~」
「僕は弓使い、ジル。よろしく」
「わ、私は魔法使いのミヅキです……、後衛です……」
「俺はリーダーのスグル。剣士だ、よろしくな」
「はじめまして、ユリカです。今年十歳、魔法剣士やってます、よろしくおねがいします」
「「「「魔法剣士?!」」」」
「「ってなに?」」
グミとスグルは知らないようで、ジルとミヅキが呆れた。
「魔法を使う剣士です」
「いや、まんまじゃん」
私は一応補足説明をしたが、スグルは苦笑いをする。
「ってか、剣士なのな。てっきり魔法使いかなにかだと思ってたぜ」
スグルはもう打ち解けたのか口調がだいぶ砕けた感じになった。
緊張してたのかな?
「いや、腰に剣を着けているじゃないですか」
「飾りかと」
おいおい。
「それよりも、魔法剣士って本当?」
ジルはまだ信じられないといった感じ。
「その感じだと本当に数が少ないんですね、魔法剣士」
「それはそう……だって、剣も魔法も適正がある人なんてそうそうにいないから……。適正があっても使えるくらい極める人はなかなかいないです……」
うーん、自分じゃよくわからないけどね。
「じゃあさ、身体強化魔法とか武器強化魔法使うわけ?」
「使いますね」
「へぇ、凄いねっ」
凄いのか?オヴギガとかバリバリ使ってたけどな。
イマイチ感覚が掴めないユリカだった。
共同依頼。
二人の冒険者、またはパーティが同じ依頼を受け、共に行動すること。
主には階級の高い魔物を討伐するときに使われる。
まあ要するに。
「依頼内容にもよりますね。その依頼、一体どのようなものなのでしょうか?」
超面倒くさい、難しい依頼だということ。
「内容は……言いにくいんだが、その、実は……」
私は男性から依頼の内容を聞いた。
「地竜の討伐?いや、あれはAランクの仕事ですよ?」
この世界、竜でも龍でもその名前が付くものは多大なる力を有している。
特に龍は一度現れれば国が一つ二つ滅ぶのだとか。
まさに天災。
しかし龍は理性を持っているために、意思疎通を図ることもできるためただの厄ではない。
地竜は比較的弱い竜だが、それでもAランク依頼なのだ。
「そう、そうなんだけどな。最近Aランク以上が異様に忙しくしているせいで、俺達にまでそういう仕事が回ってきたんだ。しかもギルド省から名指しで」
なるほど、それは断れない。
ギルド省は数あるギルドをまとめる総司令部みたいなもので、そこから各地になにかあれば連絡がいくようになっている。
ギルド省からの名指しは基本的に貴族や王族がかかわっているものが多い。
そんなのを断るなんてとんでもないということなのだろう。
普通は竜以上が討伐対象の場合、SランクかAランクの冒険者に話が行くか、国が軍を出す。
そして今回はたまたまAランク以上が異様に忙しくてもしくは何かしらの事件があって、ありえないけどBランクに仕事が回されたわけだ。
一応、Bランク四人のパーティらしいけど……。
私は目の前にいるパーティを見つめてみる。
たぶんまだ結成してから一、二年とたっていないような出来立てのパーティだろう、そう予想が付いた。
強さ的には申し分ないが、パーティとして機能するかは怪しい。
たぶんこの人たちはその機能しなかったと時用の保険が欲しいのだろう。
しかし、それが私というのが……。
「なるほど、しかし、いいのでしょうか?名指しなのでしょう?」
名指しということはその人たちにやって欲しいということ、依頼人にとって私は想定外なはずだ。
「問題ない、俺たちはその依頼人に許可を取っている。俺たちだけじゃ無理だからっていってな」
男性は少し項垂れた。
もしかすると、そう言ったのは暗に自分たちは出来ないと断りたかったのかもしれない。
相手もそれをわかっていてごり押しいてきたのだろう、それほどAランク以上の人たちが忙しい事態が起こっている。
思い出したのはジェドさんたち。
ジェドさんはAランクだと言っていた、レッドアイのパーティはどうしているだろうか。
ランク以上に連携もいいし、経験も積んでいるから忙しくしているはず。
私は運良く出会えた優しいあの冒険者たちに思いを馳せた。
「わかりました、ですが、本当に私で良いのですか?私、Fランク出たばっかりの青二才ですけれど」
「いや、実力はあるとわかっているんだし、君みたいな心優しそうな冒険者がいいんだ。うちのパーティのメンバーは女性が二人もいるからな」
なるほど、女性の冒険者は大変らしい。
しかも美人だしねぇ。
その点、私は明らかに無害そうな女子供。
ポイント高いだろうよ。
「了解しました、そのお誘い承りましょう」
メンバーは明らかにほっとしている。
「いや、よかった。女性の冒険者は少ないからな。グミはともかく、ミヅキは気が弱いし」
「ちょっと、ともかくってなに!?ともかくって!!」
グミは男性のいうことに反感を抱いたらしい。
他の二人は微笑みながらそれを見つめている。
私は一瞬でこのパーティの構成がわかった。
「では、自己紹介をしましょう」
「ああ、そうだな」
「はじめまして、剣士のグミです。ナイフもつかえるよ、よろしくね~」
「僕は弓使い、ジル。よろしく」
「わ、私は魔法使いのミヅキです……、後衛です……」
「俺はリーダーのスグル。剣士だ、よろしくな」
「はじめまして、ユリカです。今年十歳、魔法剣士やってます、よろしくおねがいします」
「「「「魔法剣士?!」」」」
「「ってなに?」」
グミとスグルは知らないようで、ジルとミヅキが呆れた。
「魔法を使う剣士です」
「いや、まんまじゃん」
私は一応補足説明をしたが、スグルは苦笑いをする。
「ってか、剣士なのな。てっきり魔法使いかなにかだと思ってたぜ」
スグルはもう打ち解けたのか口調がだいぶ砕けた感じになった。
緊張してたのかな?
「いや、腰に剣を着けているじゃないですか」
「飾りかと」
おいおい。
「それよりも、魔法剣士って本当?」
ジルはまだ信じられないといった感じ。
「その感じだと本当に数が少ないんですね、魔法剣士」
「それはそう……だって、剣も魔法も適正がある人なんてそうそうにいないから……。適正があっても使えるくらい極める人はなかなかいないです……」
うーん、自分じゃよくわからないけどね。
「じゃあさ、身体強化魔法とか武器強化魔法使うわけ?」
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「へぇ、凄いねっ」
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