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1.出会い
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「由矢くん、どうだった。興味ある?」
そう聞かれて、勢いよく顔を上げる。
「はい!とても、素敵でした。」
さっきまでは、蓮さんがかっこよくて、綺麗で、動きが繊細で、その空気に呑まれていた。そんな蓮さんに声をかけてもらえたのが嬉しくてたまらない。
「ふふふ。由矢くんずっと僕の方見てたでしょ?」
その質問に、その通りではあるがなんと答えていいかわからない。蓮さんは、なにも言わない僕を見つめるだけで、僕の返答を待っている。
「えっ…と…」
ずっと見ていたことがバレていた…。どうしよう。僕が同性愛者であることも見抜かれてしまっただろうか。軽蔑されるだろうか。きもちわるいと思われるだろうか。どうしたらいい?
沈黙してしまっていた僕に、蓮さんは笑いかけてくれた。
「そんなに緊張しなくていいよ。僕のケースの中見てみる?さっき興味あるみたいだったよね?」
そう言うと彼は傍らにおいていた楽器ケースを引き寄せる。
「あ、ありがとうございます。すいません。こういうお店に来るのは初めてで…。前から興味はあったのですが。」
よかった。どうやら、同性愛者だとはばれていないみたいだ。
バイオリンケースの中にはいろいろなものが入っていた。縄は15本くらい入っていて、さわらせてもらうと思いの外肌触りがよかった。鞭は一本鞭と50センチ程度の竹でできた鞭、バラ鞭の三本が入っていて、触らせてもらった。
蓮さんと話しながら見ていると少しずつ緊張がほぐれてきた。好きに触っていいと言われていたこともあって、竹鞭で自分の腕を叩いてみた。
「ッ…」
それほど声はあげなかったと思うが、想像以上に痛かった。
「由矢くん?!あはは、そこは叩くと骨だから痛いでしょ。急に打つからビックリしたよ。叩いてあげようか?まずは見てみる?」
そう言って笑っている蓮さん向かって、へにゃりと笑って頷く。
「楠葉ちゃん!ちょっと手伝って。」
「蓮さん、なんですか?」
「この子、由矢くん。今日が初めてだって、こういうとこ。これに興味があるみたいだからさ…ちょっとお手本に手伝ってもらいたいなって。」
「…。竹?」
楠葉さんはすこししかめた顔で聞く。
「竹だよ。」
「あまり、竹は好きじゃないけど…。」
そう言いながらも、楠葉さんは素直に四つん這いになる。
「由矢くん。鞭はね、基本的にある程度お肉がある場所を叩くよ。お尻とか、太ももとか。この鞭なら、ふくらはぎや足の裏なんかもいいね。」
そう言って、蓮さんはピリッとした雰囲気になる。
「さて、どこにしようか?」
蓮さんの声が、少し低くなったように感じる。自分が打たれるわけでもないのに、なんだか緊張してきた。
蓮さんはゆっくりと手に持っている竹鞭で楠葉さんの体をなぞる。鞭をお尻の上で止めると、ゆっくりと離す。それに合わせて楠葉さんは息を止める。
「ッ…」
髪の毛で表情は見えなかったが、聞こえた小さな声から痛かったことが読み取れる。
「ははは。痛かった?優しく叩いてあげようか。」
蓮さんは鞭で再度体をなぞっていく。そして、ふくらはぎの上で鞭を止める。先ほどとは変わって、それほど強くは叩いていない。しかし、同じ場所を一定リズムで叩いていると、だんだんと葛葉さんが身(み)動(じろ)きするようになってきた。
「そろそろ痛くなってきちゃったね。あと、10回にしようか。」
話ながらも手を緩めることはなかった。宣言通りに叩き切ると、葛葉さんはゆっくり起き上がり、じろりと蓮さんをみる。それから二人で何か話していたので待っていると、また蓮さんが話しかけてくれた。
蓮さんとの話はやはり楽しく、時間はあっと言う間だった。これまで興味はあったが、知らないでいた世界を知れて、とても面白かった。
蓮さんは、縄だけでなく、苦しいことやイキ地獄などのプレイが好きなようで、話を聞いていると根っからのSだと感じた。僕の中で、蓮さんに調教されたい思いが芽生えるが、素直に言うことは出来なかった。
恥ずかしくて、男なのにMなことや、同性愛者だということを言えなかったのだ。
それどころか、僕は蓮さんに嘘をついてしまった。
『僕も蓮さんみたいに、縄や鞭ができるようになりたいです。』
嫌われたくなかったから…。
そう聞かれて、勢いよく顔を上げる。
「はい!とても、素敵でした。」
さっきまでは、蓮さんがかっこよくて、綺麗で、動きが繊細で、その空気に呑まれていた。そんな蓮さんに声をかけてもらえたのが嬉しくてたまらない。
「ふふふ。由矢くんずっと僕の方見てたでしょ?」
その質問に、その通りではあるがなんと答えていいかわからない。蓮さんは、なにも言わない僕を見つめるだけで、僕の返答を待っている。
「えっ…と…」
ずっと見ていたことがバレていた…。どうしよう。僕が同性愛者であることも見抜かれてしまっただろうか。軽蔑されるだろうか。きもちわるいと思われるだろうか。どうしたらいい?
沈黙してしまっていた僕に、蓮さんは笑いかけてくれた。
「そんなに緊張しなくていいよ。僕のケースの中見てみる?さっき興味あるみたいだったよね?」
そう言うと彼は傍らにおいていた楽器ケースを引き寄せる。
「あ、ありがとうございます。すいません。こういうお店に来るのは初めてで…。前から興味はあったのですが。」
よかった。どうやら、同性愛者だとはばれていないみたいだ。
バイオリンケースの中にはいろいろなものが入っていた。縄は15本くらい入っていて、さわらせてもらうと思いの外肌触りがよかった。鞭は一本鞭と50センチ程度の竹でできた鞭、バラ鞭の三本が入っていて、触らせてもらった。
蓮さんと話しながら見ていると少しずつ緊張がほぐれてきた。好きに触っていいと言われていたこともあって、竹鞭で自分の腕を叩いてみた。
「ッ…」
それほど声はあげなかったと思うが、想像以上に痛かった。
「由矢くん?!あはは、そこは叩くと骨だから痛いでしょ。急に打つからビックリしたよ。叩いてあげようか?まずは見てみる?」
そう言って笑っている蓮さん向かって、へにゃりと笑って頷く。
「楠葉ちゃん!ちょっと手伝って。」
「蓮さん、なんですか?」
「この子、由矢くん。今日が初めてだって、こういうとこ。これに興味があるみたいだからさ…ちょっとお手本に手伝ってもらいたいなって。」
「…。竹?」
楠葉さんはすこししかめた顔で聞く。
「竹だよ。」
「あまり、竹は好きじゃないけど…。」
そう言いながらも、楠葉さんは素直に四つん這いになる。
「由矢くん。鞭はね、基本的にある程度お肉がある場所を叩くよ。お尻とか、太ももとか。この鞭なら、ふくらはぎや足の裏なんかもいいね。」
そう言って、蓮さんはピリッとした雰囲気になる。
「さて、どこにしようか?」
蓮さんの声が、少し低くなったように感じる。自分が打たれるわけでもないのに、なんだか緊張してきた。
蓮さんはゆっくりと手に持っている竹鞭で楠葉さんの体をなぞる。鞭をお尻の上で止めると、ゆっくりと離す。それに合わせて楠葉さんは息を止める。
「ッ…」
髪の毛で表情は見えなかったが、聞こえた小さな声から痛かったことが読み取れる。
「ははは。痛かった?優しく叩いてあげようか。」
蓮さんは鞭で再度体をなぞっていく。そして、ふくらはぎの上で鞭を止める。先ほどとは変わって、それほど強くは叩いていない。しかし、同じ場所を一定リズムで叩いていると、だんだんと葛葉さんが身(み)動(じろ)きするようになってきた。
「そろそろ痛くなってきちゃったね。あと、10回にしようか。」
話ながらも手を緩めることはなかった。宣言通りに叩き切ると、葛葉さんはゆっくり起き上がり、じろりと蓮さんをみる。それから二人で何か話していたので待っていると、また蓮さんが話しかけてくれた。
蓮さんとの話はやはり楽しく、時間はあっと言う間だった。これまで興味はあったが、知らないでいた世界を知れて、とても面白かった。
蓮さんは、縄だけでなく、苦しいことやイキ地獄などのプレイが好きなようで、話を聞いていると根っからのSだと感じた。僕の中で、蓮さんに調教されたい思いが芽生えるが、素直に言うことは出来なかった。
恥ずかしくて、男なのにMなことや、同性愛者だということを言えなかったのだ。
それどころか、僕は蓮さんに嘘をついてしまった。
『僕も蓮さんみたいに、縄や鞭ができるようになりたいです。』
嫌われたくなかったから…。
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