初恋は倒錯的

雨宮柚晏

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1.出会い

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 ちょうど20時頃、店の前に着くが中々ドアを開ける勇気が出ない。看板を何度も確認して、ドアノブに手を伸ばしては離す。もちろん、中がとうなっているかは見えないし、ドアはアパートのようで開けても良いのか不安になる。
 
「わっ!!」
 急に扉が開き、びっくりする。
 
「ユヤくんかな?そんなに心配しなくても大丈夫だよ。」
「す、すいません。ありがとうございます。」
「最初はみんな緊張するものだからね。大丈夫、大丈夫!」
 
 電話で話したマスターの声を聞き、少し安心する。マスターは気の良さそうな45歳くらいのおじさんだった。おじさんとはいえ、紳士的な雰囲気が漂っている素敵な男性だ。
 
 店の説明を聞いたあと、小さな舞台とソファーがいくつかある店内を見回していると、知っている顔を見つける。
 
「あっ!やさ…」
「ストップ!!ちょっとこっちおいで。」
 
 なんと、店内には先ほど会った八重坂さんがいた。八重坂さんは思わず名前を呼びそうになった僕を静止し、手招きする。
 
「ここでは、蓮(レン)って呼んでくれる?」
「わかりました。すいません。由矢です。」
「由矢くんね。まさか、こんな所で再開するとは思ってなかったなー」
 
 マスターが少し驚いたみたいで話に入ってくる。
 
「なんだ、蓮は知り合いなのか?」
「由矢くんとはさっき駅前で会って、ご飯を一緒に食べたんだ。ね?」
「先ほどはすいませんでした。ぶつかってしまって。楽器は大丈夫でしたか?」
 
 そう言うと、マスターと蓮さんはクスクスと笑い始める。マスターは新たに入店してきた客を見ると、軽く蓮さんにアイコンタクトを取ってからそちらへと離れていく。
 
「由矢くん。中見せてあげようか?少しなら時間もあるし。」
「え?はい。ありがとうございます。」
 
 よくわからなかったが、蓮さんの楽器ケースの方へと行く。楽曲ケースはよく見るとヴァイオリンのケースのようだった。蓮さんがそれを開けると、そこには麻縄や鞭、手拭いなどが納められていた。
 
「わぁ、初めて見ました!」
 驚きと同時に始めてみるホンモノに目が輝く。
 
「楽器は大丈夫だったでしょ?そんなに喜んでもらえるとは思ってなかった。今日は楽しんで。興味があるなら、また後で見せてあげるよ。」
 
 そう言うと蓮さんは楽器ケースを持ち、別のお客さんの方に行った。少しすると、襦袢を着た女性を連れてステージに向かう。

 そこからは、蓮さんが楠葉さんという女性を縛り、鞭を打つショーが始まる。僕は食い入るようにショーを見ていた。片時も目が離せなかった。
 
 ショーが終わっても、高揚した気持ちは治まらず、なんだか体が熱かった。
 ショーのあとは、何人かの人が代わる代わる縄をかけるスペースを使い、女性客に縄をかけていた。もちろん、ショーをしていた蓮さんは人気で、何人もの女性に頼まれていた。

 僕は時間も忘れて縄をしている蓮さんを見ていた。途中、誰かと話しをした気がしたが、蓮さんに集中してしまっていたためかよく覚えていない。
 
 蓮さんは縛るのが一段落したのか、縄を纏めながら、こちらを流し見る。その目と目が合うと、金縛りにあったように動けなくなり、息の仕方を忘れてしまった。縄をまとめ終えた蓮さんが視線を離したことで、やっと呼吸ができた。
 
 呼吸ができても、まだ心臓は煩く。ちっともおちつかない。気持ちを落ち着けようとしていると、気がついた時には隣に蓮さんが座っていた。
 

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