悪魔に魅入られて。

弐馨 “F”

壱

遠くから私を呼び駆け寄ってくる影に気付き
声のする方を振り向く
今日も綺麗に巻かれた髪を揺らし
小走りに駆け寄ってくる姿が可愛らしい。
チワワのような大きな瞳も
ほんのり色付いたぷっくり唇も
小柄な彼女にぴったり似合っている。
いわゆる“愛され女子”というタイプ
私とは正反対で羨ましく感じてしまう

私にも彼女のような愛らしさがあれば..
なんて考えている間に追い付いてきた彼女は
息を整えつつにっこり微笑み朝の挨拶をした。
そんなに急いでどうしたのかと聞くと
昨日の人が当たりだったんです！と返ってきた
そういえばそんな事を言っていた気がする
楽しそうに目をキラキラさせ話す姿も可愛い
出会いなんて自分から求めなくても
向こうから勝手に転がってきそうなのに..

そう考えてる間も話は続いていた。
どんな人だったとか、どこへ行ったとか
どこが良かっただとか
いつもの反応から考えると、
今回はかなり好印象だったらしい
一通り話終えると、どう思うかと意見を求める
毎回どうかと聞かれても正直困る。

私としては、
自分が幸せだと感じるならそれでいいと思う。
相手の見た目や収入なんてのは二の次でいい
好きだという気持ちがなければ
良い所も悪い所も許容する事は出来ない。
逆を返せば、
好きならば大体の事は許容出来てしまうものだ
気持ちを後回しにして相手のスペックで決める
私にはそんな恋人選びは出来ないし
それが出来るなら今こんなにも苦労していない
と、そんな事言える訳もなく..
彼女の反応をみた限り、最近の中では良い方だ
当たり障りなく答えておこう