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しおりを挟む彼のこなす仕事はとにかく細かい、そして数が多い、ひとつとひつが重労働では無いものの、用品の補充から、業者との取引、細やかな清掃、調度品の状態の確認。
アルフレッドがいるお陰でこの屋敷が回っていると言っても過言ではなさそうだった。
それに、何をやるにしても指示が細かい。ちまちまとした事まで正確に決め事を作り、それを遵守している。ただし、時間が来れば、しっかりと仕事を切り上げ、次の仕事もまた、ちまちまとやる。そして俺の仕事の出来がいいと、何故か朝食の時の個包装された飴を手渡してくる。
本人は褒美のつもりらしいが、こんな事をせずとも自分に出来る限りのことはするのになんて思う。
まあ、それを本人に伝えるほど俺は人間ができていない。
部屋に戻り、草臥れてすぐに眠ろうと考え服を着替えると、重たい感触を思い出す。
出来るだけ、視界に入れないように、考えないようにしていた事を思い出して、思わず、体がかっと熱くなる。
すぐに考えをとり払おうと、仕事の事を考え出すが一度気になってしまうと、違和感が拭えない。
……出張がどんなペースであるんだか知らねぇが、その度にこれって、ヴァレールの野郎はふざけんじゃねぇのか。
擦れて痛むような事も無いけれど、忘れられるほど楽な作りをしていない。定位置に腰を下ろし、壁に背を預けさっさと眠ろうと目を瞑るが、数秒もせずに、目を開き、思い切り貞操帯を引っ付かみグッと引っ張ってみる。
「いっ!…………てぇっ、クソ」
尿道に挿入されている部分がゴリと内部をえぐって、思わず顔をしかめる。
何とか勢いで引っこ抜けないかと思ったが、そう簡単に取れるものを使うはずがないし、第一、抜けたとして、ヴァレールの怒りを買うことは目に見えている。
元に戻すすべもない以上、外す事を考えるのは得策じゃない。
頭ではそうわかっていつつも、こうして、違和感があるとつい、意識がそちらに向いてしまう。
普段は気にも止めないのに、自分にも性欲があるんだと思い知らされる。
だめだ、と思えば思うほど熱をもって、金属が擦れる度に、ヴァレールの甘ったるい声や表情を思い出してしまう。
女かよ、ちくしょう。気持ちわりぃ。
膝を引き寄せて顔を突っ伏せば、呼吸は次第に荒くなっていき、自分のモノが熱を持ち立ち上がろうとする度にジンジンと痛む。
まるで、ここに居ないのに彼に、勝手に興奮していることを叱責されているような心地になる。
無意識に、自分のモノへと手を伸ばす、触れるのは金属の冷たい感触のみで、快楽の一欠片も感じ取れない。
「ッ……」
他に、どうにか、感じられる場所を考えると、後ろを弄られた事も思い出して、手を引っ込める。
絶対、やらねぇ。
自分で触ろうなんて、どうかしている。自分の手で腕を思い切り握りしめて、爪を食い込ませて強く目を瞑る。
寝つきは悪く、夜中、自分の欲と格闘することになり、気がついたら朝を迎えていた。
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