悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?

ぽんぽこ狸

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夏休み早々……。3

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 死というワードに納得が行く。エリアルに協力しているということは私の中身に彼は気がついているのか、もしくは教えられているのだろう。
 だから、殺されてしまうかもしれない事を憂いて、話をしに来てくれた?

 ……でも、それだと、少し違和感がある。ディックは私のことを一度、クラリスと呼んだ事がある。
 それなのに、クラリスが魔法を解くことによる私の死を知っている……?もしくは、単純にそれを知らない、けれどこの体が殺される可能性があるという事?

 少し難しい話になりそうな気がして、そして、もし私の正体を知らなかった場合には、どうするべきか、それも私は考えなければならないだろうと思う。

「……そっか」
「殿下がやろうとしていることは……」
「待って、ディック」
「なに」

 早速、話出そうとした彼を制止する。

 少し不服そうに、ディックは私を見て、私は何となく笑顔を作った。無理はしなくてもいい。

「体調が悪いでしょ……回復してからにしない?それに、ただでさえオスカーもいなくて調子が出ないんだから……無理しないで」
「そんな事……気にしなくても」
「それに、最近ディックとあまり話もできなかったから、ね、回復するまで数日間一緒に過ごさない?」
「……」

 私の言葉にディックは少し怪訝そうにするが、こくんと頷いた。
 その方が良い。この子はまだまだ子供で、弱っている時もあって、そんな時に、わざわざこんな話をせずとも良いだろう。

 それに、この話自体とても大切な話で、そしてすごく繊細な問題だ。予想外の事実を教えられて、私はそれでもディックを尊重して話をできるか分からない。

 だからせめて、回復してからちゃんと話をした方がいいと思った。

「良かった。……それに、ディックが辛そうなのに私が無理をさせたって知られたら、オスカーに怒られそうだしね」
「……別に、あいつは……この事も、色んな思惑とか、なんにも知らないよ」
「あれ、そうなの?」
「うん……だって、ややこしいし……物騒だろ」
「確かに……そうだね」

 ディックは少し表情を暗くして、自分の膝を引き寄せた。

 ……言えない事が多そうで……大変だね。

 あれだけ仲がいいのに、言えないなんて、ディックは辛く無いのかな……違うか。辛いけどそれ以上に、巻き込んで彼に何かあったらと考える方が辛いのかな。

「お互い、色々あるね……ねぇディックは、巻き込んで危険に晒すのが怖いの?」
「怖くないし、どうでもいいし」
「……そっか」

 彼の反応で、怖いし、どうでも良くないことはわかる。でも、そんな厄介事であっても、オスカーであれば、全然まったく不安にも思わなさそうだと思うのは私だけだろうか。

 彼ならむしろ、言わない事の方が怒りそうだ。

「言っちゃえばいいんじゃない」
「無責任なことを言うなよ……君は今、自分がどんな状況にいるのか分からないからそんなことが言えるんだ」
「……そうかな。ディックがどういう立ち位置だか分からないけど、私は、危険だからこそ頼って欲しい、ってオスカーは思うと思ってるよ」
「酷い思い違いだね!」
「そのぐらい、貴方達は仲良く見えるってこと。夏休みだって、オスカーについて行けば良かったのに」

 帰らないでと言うのは、相手の行動をねじ曲げてしまう行為なので良くないと思うが、ついて行きたいというのは、いいんじゃないかと思う。それぐらい、ディックとオスカーは大体そばにいて、ディックはオスカーがいないとダメな事が多いのだ。

「っ、…………そんな事するかっ、僕は今までも一人でやってきてたし!」

 ディックは少しむきになって怒って、フンッと顔を逸らす。その反応を見て思う。

 ……あれ、もしかすると。

「ついてくるっ?て、聞かれた?」
「……聞かれてないっ!居てやろうかってあいつが言ってきたから、追い返してやったし!」
「っ、え、ほんとに?!寮に残ろうかって!?」
「そうだよっ、まったく、僕を見くびってさ!」
「見くびってないじゃん、現にさっき倒れてたじゃん」
「うう、うるさいっ!!」

 ギャンと彼は怒鳴って、それから私の布団に潜り込んで籠城を決め込んだ。
 
 私が思っていたよりも、二人はとんでもない仲良しだったらしい。なんというか、笑ってしまって、しばらくディックをいじり倒し、帰ってきたヴィンスと皆でご飯を食べた。




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