68 / 111
カオルことカオリによるアカイ評 (シノブ44)
しおりを挟む
こんなに楽々すいすいと上手くいっていいのかしら、とカオルことカオリは逆に不安となった。
悪党に追われ助けられ同行するという策略は予定通り成功した。シノブちゃんは正義感の強い子であるから困っている私を見捨てるということは絶対にしない。問題は例のそのアカイという男が私のことを気にいるかどうかであった。いまの私とシノブちゃんはタイプがまるで違う上にスレイヤーによれば奴は男の中の男という異様なまでの高評価。
所詮男なんてと思いつつもいつも以上に気合を入れて演技をはじめ狙い定めて腰に抱き着いたら……こいついきなり当ててきやがった! 早すぎるし遠慮がなさすぎると思ったけど、これはこれである意味で男の中の男かなと様子窺いにチラッと見上げるとそこには恍惚さに耐えている奇妙で醜悪な顔があり思わず目を背けてしまった。
待って、全然耐えていないけど、なにを耐えているつもりで? まさか爆発寸前なの? 酷すぎる! 逃げねば! と思ったら引き離してくれたのは意外であったけどその指先の熱さったら火がついているみたいで、こいつマジで発情しているのか? と思いつつまた顔を見ると鼻の穴を膨らませて何かを堪えている感が一杯だったのでまた目を背けた。
こんなに完全に引っ掛っているのになにを我慢しているのかこの男は? 自分はカッコつけているつもりだけど全然カッコがついていないという痛々しさ。混乱していると優しいシノブちゃんが水筒を差し出してくれたありがたいし流石と言ったところ。飲みだすとアカイがこちらを見つめている。見せるようにはしているが、こういうのも好きって相当こちらに気が向いているといったところか。
ならば次はとしゃがむとほら予想通りに凝視してくる。わざと開き気味にした胸元への熱視線。思った通りに動いてくれてこんなの赤子の手をひねるよりも簡単すぎてかえって怖いぐらい。台本でも渡したっけな? 凄い目力。胸先が熱い……さては乳首を探っているのか。どんだけ遠慮ないんだこいつは。今日会ったばかりどころか出会った数分前のことでしょうに。まぁこいつなら出会って数秒でガン見でしょうがね。
しつこいな見えない角度で屈んでいるんだから諦めろって。というか瞬きをしていないのだけど目が乾かないんかこいつは……恐怖を覚え出してきたので立ち上がり去ろうとする演技をとると、やはりシノブちゃんが止めてくれて期待通りに同行するよう言ってくれた。ありがたやでこれで良しと思っていると眼の前に壁が立ちふさがった。アカイという壁がそこにあった。こいつ大きくないのになんでこんなにデカいのと驚いていると。
「これも縁です。一緒に旅をしよう。大丈夫、俺が君のことを護るから」
アカイのこの言葉に呆気にとられながら頷くとあっちも頭を下げた。
「すみませんよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
はいはいこいつまた胸を見ていると呆れながら思う。ちょろいあまりにもちょろすぎる。これもう籠絡済だ。私の身体に誑かされてこんな臭い台詞を恥ずかし気もなく言うなんて。僕が君を護る、だってさ。私の身体が目的な癖になよくもまぁ言えたもんだ。もう俺のものだからという意識があるから護るなんて言葉が出て来るんだろうね。こんなしょうもないのに警戒しているなんてスレイヤーも人を見る眼がないものだ。
とりあえず嘘の事情を話しながら私はシノブちゃんに尋ねた。念のために反応を知るためだから敢えて遠回り気味にこう言った。
「あのつかぬことをお尋ねしますが、二人は御兄妹でしょうか?」
「違います」
言下に拒否するその勢いに私は安心した。シノブちゃんはまかり間違えてもこの男のことを好いてなどいない。男女のことだから旅を続けるうちに心境に変化があったら困ったことになったが、その可能性は限りなくゼロに近いといえる。
まぁそれは当たり前のこと。だって、この男は、明らかに駄目だもの。酒と女にしか興味がないゴロツキの類。ほらまた胸を見ている。どんだけ……こやつ星人だな。故郷に帰りたいと願い引力に吸い寄せられる哀れで卑小なる存在。シノブちゃんのは控えめだからこの星人はすぐさまこちらに移住もとい切り替えたわけだ。どこまでも最低な男だこと。ここまで長く旅を共にしてきたのにポッと出の女の胸にすぐさま完堕ちしてしまうだなんて。
憐れこう上なしな男。まっこれなら事は簡単に済むし一件落着になるでしょう。しっかしなに気取りながら話しかけてきているのやらこやつは。視線が全部胸元に集中し過ぎ。あまりにも遠慮がなくて指摘したほうがいいのか? いくらシノブちゃんではその欲求が解消できなかったからって、この飢え切ったケダモノそのものなギラギラした視線はかなり精神に来るわね。こっちは気づかぬふりでニコニコしないといけないわけだし。適当に話を合わせながら早いとこ始末をつけたいところ。次の宿屋でこの星人を罠にかけるとしましょ。
悪党に追われ助けられ同行するという策略は予定通り成功した。シノブちゃんは正義感の強い子であるから困っている私を見捨てるということは絶対にしない。問題は例のそのアカイという男が私のことを気にいるかどうかであった。いまの私とシノブちゃんはタイプがまるで違う上にスレイヤーによれば奴は男の中の男という異様なまでの高評価。
所詮男なんてと思いつつもいつも以上に気合を入れて演技をはじめ狙い定めて腰に抱き着いたら……こいついきなり当ててきやがった! 早すぎるし遠慮がなさすぎると思ったけど、これはこれである意味で男の中の男かなと様子窺いにチラッと見上げるとそこには恍惚さに耐えている奇妙で醜悪な顔があり思わず目を背けてしまった。
待って、全然耐えていないけど、なにを耐えているつもりで? まさか爆発寸前なの? 酷すぎる! 逃げねば! と思ったら引き離してくれたのは意外であったけどその指先の熱さったら火がついているみたいで、こいつマジで発情しているのか? と思いつつまた顔を見ると鼻の穴を膨らませて何かを堪えている感が一杯だったのでまた目を背けた。
こんなに完全に引っ掛っているのになにを我慢しているのかこの男は? 自分はカッコつけているつもりだけど全然カッコがついていないという痛々しさ。混乱していると優しいシノブちゃんが水筒を差し出してくれたありがたいし流石と言ったところ。飲みだすとアカイがこちらを見つめている。見せるようにはしているが、こういうのも好きって相当こちらに気が向いているといったところか。
ならば次はとしゃがむとほら予想通りに凝視してくる。わざと開き気味にした胸元への熱視線。思った通りに動いてくれてこんなの赤子の手をひねるよりも簡単すぎてかえって怖いぐらい。台本でも渡したっけな? 凄い目力。胸先が熱い……さては乳首を探っているのか。どんだけ遠慮ないんだこいつは。今日会ったばかりどころか出会った数分前のことでしょうに。まぁこいつなら出会って数秒でガン見でしょうがね。
しつこいな見えない角度で屈んでいるんだから諦めろって。というか瞬きをしていないのだけど目が乾かないんかこいつは……恐怖を覚え出してきたので立ち上がり去ろうとする演技をとると、やはりシノブちゃんが止めてくれて期待通りに同行するよう言ってくれた。ありがたやでこれで良しと思っていると眼の前に壁が立ちふさがった。アカイという壁がそこにあった。こいつ大きくないのになんでこんなにデカいのと驚いていると。
「これも縁です。一緒に旅をしよう。大丈夫、俺が君のことを護るから」
アカイのこの言葉に呆気にとられながら頷くとあっちも頭を下げた。
「すみませんよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
はいはいこいつまた胸を見ていると呆れながら思う。ちょろいあまりにもちょろすぎる。これもう籠絡済だ。私の身体に誑かされてこんな臭い台詞を恥ずかし気もなく言うなんて。僕が君を護る、だってさ。私の身体が目的な癖になよくもまぁ言えたもんだ。もう俺のものだからという意識があるから護るなんて言葉が出て来るんだろうね。こんなしょうもないのに警戒しているなんてスレイヤーも人を見る眼がないものだ。
とりあえず嘘の事情を話しながら私はシノブちゃんに尋ねた。念のために反応を知るためだから敢えて遠回り気味にこう言った。
「あのつかぬことをお尋ねしますが、二人は御兄妹でしょうか?」
「違います」
言下に拒否するその勢いに私は安心した。シノブちゃんはまかり間違えてもこの男のことを好いてなどいない。男女のことだから旅を続けるうちに心境に変化があったら困ったことになったが、その可能性は限りなくゼロに近いといえる。
まぁそれは当たり前のこと。だって、この男は、明らかに駄目だもの。酒と女にしか興味がないゴロツキの類。ほらまた胸を見ている。どんだけ……こやつ星人だな。故郷に帰りたいと願い引力に吸い寄せられる哀れで卑小なる存在。シノブちゃんのは控えめだからこの星人はすぐさまこちらに移住もとい切り替えたわけだ。どこまでも最低な男だこと。ここまで長く旅を共にしてきたのにポッと出の女の胸にすぐさま完堕ちしてしまうだなんて。
憐れこう上なしな男。まっこれなら事は簡単に済むし一件落着になるでしょう。しっかしなに気取りながら話しかけてきているのやらこやつは。視線が全部胸元に集中し過ぎ。あまりにも遠慮がなくて指摘したほうがいいのか? いくらシノブちゃんではその欲求が解消できなかったからって、この飢え切ったケダモノそのものなギラギラした視線はかなり精神に来るわね。こっちは気づかぬふりでニコニコしないといけないわけだし。適当に話を合わせながら早いとこ始末をつけたいところ。次の宿屋でこの星人を罠にかけるとしましょ。
0
あなたにおすすめの小説
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる