69 / 313
第一章 なぜ私であるのか
もう死ぬのか?
しおりを挟む
ヘイムは未だ痛む胸の痛みをシオンに悟られぬように会話をするのがなかなかに辛いなと感じていた。
もっともシオンはそういうところについては若干鈍いため、そこまで頑張らなくても気づかれなかったであろうが、それでも隠すための演技をしていた。
その痛みに耐えながらヘイムは報告を待っていた。凶報を待っている。そのために何事もうわの空でありその一点のみを待ち続けていたが、昨日の午後の祈りの儀式の最中に鋭い痛みが胸に突き刺さるも、原因はすぐに分かった。あれであると。
タイミングも図ったかのようにこの定例である龍への儀式の時であり、だから痛みは堪えられそのままやり終えることができ、シオンにもそのことを告げず察せられずにいられたと。
その痛みは右胸の内側と少し妙な位置であるなと自らの姿を鏡に映しながらヘイムは思う。何処を狙ったのであろうか?それにもう一つ、よくそこを狙ってくれたと痣となり赤くなった箇所をさすった。
「帰って来るのは明日あたりですね。やはり力仕事は女官に任せづらいし明日戻ったらそのまま仕事をしてもらいましょう」
何も知らずに呑気に語るシオンにヘイムは笑って返事をし待っている。痛みと共に待っていた。痛めば痛むほどにありがたみが増していく中で、やがてノックの後に扉が開き女官が報告書を手に訪れシオンが受け取るも、すぐには読まずに机の上において茶を入れ直した。違う、そうじゃないとヘイムは今度ばかりはシオンに教えた。
「報告書を読んではどうだ?」
「あとで読みますよ。どうせ前回のと前々回のと同様に、ススキ野原の描写がどう変わったといったところしか見どころがありませんもの。せめて書き手がハイネやキルシュならいいのに、よりによってつまらなく書いた業務報告を急いで見るのも」
「頼むから読んでくれ」
ううん? とシオンはヘイムの顔を見ると真剣であり、変だなと思いながらも報告書に手を取り目を走らせると、たちまち目の動きが止まり顔色を曇らせる。ヘイムにとってそれだけで全てが理解でき十分であった。やはりそうなのであったと。
「どのような状態であるのか?」
ヘイムの問いに思考中であったシオンは混乱し口が聞けずにいた。
「伏せず隠さなくてよい。そなたの部下が倒れた、そうであろうに」
名を言わずにそう言うとシオンはようやく頷き文章を読み上げた。もちろん名を伏せたままで。
「捜索中に負傷し意識不明の状態のまま現在兵舎に移動中……」
「いかんな、あいつが帰ってきたら大掛かりな儀式の準備を任せようと思っておったのに。死んでは困るから兵舎にではなく龍の館に送るように伝えよ。あれは龍の護衛であるのだから教団側からも文句は来ないだろうし、きても無視すればいいだけのことだ、いいなシオン」
その流れる言葉に乗ったシオンは混乱が収まりこれを了承し、急いで文書を作成しその場で女官に渡し茶を一口呑み嘆息をした。
「悪い予感が的中しました、というよりもいま思うと私の言葉のあれこれが前振りだったようで中々頭が痛くなりますね」
「気にし過ぎだ。まだ生きてはおるし館の医師がみてやればよくなるであろう。いまの妾らにはそれしかできんし、とりあえず茶を入れてくれ」
暗い表情のシオンを横目にヘイムは思う。この胸の痛みがあればあるほどに、あれは生きていると、この痛みは死への抗いであると。
明くる日の深夜にシオンが訪れ例のあれが到着したとのことでヘイムは制止を聞かずに、夜空のもとを歩き出した。
「容態はどう聞いた? どうだ? もう死ぬのか?」
ヘイムが軽く聞くとシオンの顔は強張ったままであった。
「意識は一向に戻らずに悪化の一途を辿っているとのことです。ですがその、このままお帰りにはならずに」
「おっなんだ? さっきは止めたのに行けと? それとも妾が行かなくてはならぬ理由でも? 臨終に及んでの言葉でもかけねばならないのか? しかしそれはあの無信仰者には過剰な配慮ではないのか?」
怒る反応を期待してヘイムはシオンに挑発気味の言葉を投げるも、まだその顔は緊張を含んだままであり、間をおいてから慎重に言葉を出すようであった。
「ヘイム様にどうしてもいらして貰いたいと言いまして……」
「誰が、だ? あれは口が利けるとでも言いうのか?」
これには驚いたヘイムが尋ねると首を振ったシオンは言い難そうにその名を告げる。
「ハイネが、です。彼女はここまで彼をつきっきりで看護しておりまして」
ヘイムは前を向いた歩き出した。
「ほぉたいした献身ぶりだ。ジーナも本望であろうよ」
「到着後に会いましたが泣き付かれてしまって……」
「ふぅん泣いておったのか?えっ?」
「そこまでは。まぁ疲れ切っておりどうかと訴えてきましたので」
そうかと短く返事をしヘイムは星空のもと月の光りとシオンの介助を頼りに歩いていく。
この時分では医師は十分な対応ができてはいないだろう。ただひとり頑張るとしたらハイネだけであり、その理由は何かなど考えることもなく、または自分にすがったという意味も、それがどんな意味であるのかを……ヘイムは夜の冷たさを吸い込みながら考え続けた。
夜の闇に覆われた通路は次第に到着点に近づき医務室の前に立ちシオンがノックをし二人が入るもそこからは血や死の臭いはしなかった。
焦燥感に満ちた臭いに汗の臭いや女の臭いとが混じり合い換気が必要であるとヘイムはまず思ったものの、出迎えたハイネの顔を見ると臭いなど何処か飛んで行った。
青ざめやつれた様子のハイネをシオンは抱き寄せ休みなさいと伝えると首を振り二人を案内していった。
奥のベットの脇に医師が困った顔をしながら敬礼をしヘイムとシオンに近寄っていく。
「外傷は見られずまた内出血もないのです。なんらかのショックによって意識を失い寝たきりなままなのですがどうなっているのやら。こんな奇妙なことは初めてです」
すっかり匙を投げている医師の言葉にヘイムは右胸に激しい痛みを感じた。最初の一撃に次ぐ痛みに安堵感を覚えた。それを見たハイネが分からないものの何かに勘付いたのかヘイムに向かって伝えた。
「……同行した隊員の報告では発見された時の彼の右胸には短刀が刺さっていたそうですが、後にそれは幻のように消えてしまったとのことです」
そうだろうなとヘイムは横を向くと、ハイネの視線は真っ直ぐ顔にではなく首下へ胸へと向いているのが分かると同時に、今までにない新たな鈍い痛みが例の痣から発生しだしていた。
意識的にヘイムは右胸をさするとハイネが驚いた顔でヘイムの顔をやっと見ようとするもすぐにうつむいた。
「妾の護衛の看護に治療にあたってくれ皆ご苦労であった。ここまでやったのならこやつも満足すべきであろうが、こんな夜時分に妾がわざわざ呼ばれて来たからには最後は妾がおらねばならぬだろうに。それが龍身の務めでもある。だからしばしの間ここは妾ひとりに任せて皆のものは隣の休憩室あたりで休んでおれ」
命令を前に医師は抗議もせずに龍の護衛の死の看取りと理解し退室をする。シオンはハイネの肩をとり寄り添うように部屋から連れ出していく。扉をあけ夜の風が急に吹きハイネの髪をなびかせ乱れさせると、そのまま反転しヘイムの方へと深々と頭を下げ、何かを呟きそれから部屋を出て行った。
それに対してヘイムはどこか心地良さを感じていた。外の空気が勢いよく入ってきたからか、それとも本気のお辞儀を見たからか、もしくはそれがハイネだったからか。
それはそうと答えを出さずにヘイムは扉に向かい部屋の鍵を掛け、それからベットに横たわるジーナの懐を開き右胸を露出させ自らも同じようにし、自らの右胸の痣の位置を確認しながら右手をジーナの右胸の上をなぞらせ、止めた。
ここだ、と指先に精神を集中させ息を深く吸い、これから訪れるであろう痛みの予感に堪えながら一気に指を押し込むと、指先が滲みだし中に入りそれから指先が赤く染まり、ジーナの呻き声が来た。
もっともシオンはそういうところについては若干鈍いため、そこまで頑張らなくても気づかれなかったであろうが、それでも隠すための演技をしていた。
その痛みに耐えながらヘイムは報告を待っていた。凶報を待っている。そのために何事もうわの空でありその一点のみを待ち続けていたが、昨日の午後の祈りの儀式の最中に鋭い痛みが胸に突き刺さるも、原因はすぐに分かった。あれであると。
タイミングも図ったかのようにこの定例である龍への儀式の時であり、だから痛みは堪えられそのままやり終えることができ、シオンにもそのことを告げず察せられずにいられたと。
その痛みは右胸の内側と少し妙な位置であるなと自らの姿を鏡に映しながらヘイムは思う。何処を狙ったのであろうか?それにもう一つ、よくそこを狙ってくれたと痣となり赤くなった箇所をさすった。
「帰って来るのは明日あたりですね。やはり力仕事は女官に任せづらいし明日戻ったらそのまま仕事をしてもらいましょう」
何も知らずに呑気に語るシオンにヘイムは笑って返事をし待っている。痛みと共に待っていた。痛めば痛むほどにありがたみが増していく中で、やがてノックの後に扉が開き女官が報告書を手に訪れシオンが受け取るも、すぐには読まずに机の上において茶を入れ直した。違う、そうじゃないとヘイムは今度ばかりはシオンに教えた。
「報告書を読んではどうだ?」
「あとで読みますよ。どうせ前回のと前々回のと同様に、ススキ野原の描写がどう変わったといったところしか見どころがありませんもの。せめて書き手がハイネやキルシュならいいのに、よりによってつまらなく書いた業務報告を急いで見るのも」
「頼むから読んでくれ」
ううん? とシオンはヘイムの顔を見ると真剣であり、変だなと思いながらも報告書に手を取り目を走らせると、たちまち目の動きが止まり顔色を曇らせる。ヘイムにとってそれだけで全てが理解でき十分であった。やはりそうなのであったと。
「どのような状態であるのか?」
ヘイムの問いに思考中であったシオンは混乱し口が聞けずにいた。
「伏せず隠さなくてよい。そなたの部下が倒れた、そうであろうに」
名を言わずにそう言うとシオンはようやく頷き文章を読み上げた。もちろん名を伏せたままで。
「捜索中に負傷し意識不明の状態のまま現在兵舎に移動中……」
「いかんな、あいつが帰ってきたら大掛かりな儀式の準備を任せようと思っておったのに。死んでは困るから兵舎にではなく龍の館に送るように伝えよ。あれは龍の護衛であるのだから教団側からも文句は来ないだろうし、きても無視すればいいだけのことだ、いいなシオン」
その流れる言葉に乗ったシオンは混乱が収まりこれを了承し、急いで文書を作成しその場で女官に渡し茶を一口呑み嘆息をした。
「悪い予感が的中しました、というよりもいま思うと私の言葉のあれこれが前振りだったようで中々頭が痛くなりますね」
「気にし過ぎだ。まだ生きてはおるし館の医師がみてやればよくなるであろう。いまの妾らにはそれしかできんし、とりあえず茶を入れてくれ」
暗い表情のシオンを横目にヘイムは思う。この胸の痛みがあればあるほどに、あれは生きていると、この痛みは死への抗いであると。
明くる日の深夜にシオンが訪れ例のあれが到着したとのことでヘイムは制止を聞かずに、夜空のもとを歩き出した。
「容態はどう聞いた? どうだ? もう死ぬのか?」
ヘイムが軽く聞くとシオンの顔は強張ったままであった。
「意識は一向に戻らずに悪化の一途を辿っているとのことです。ですがその、このままお帰りにはならずに」
「おっなんだ? さっきは止めたのに行けと? それとも妾が行かなくてはならぬ理由でも? 臨終に及んでの言葉でもかけねばならないのか? しかしそれはあの無信仰者には過剰な配慮ではないのか?」
怒る反応を期待してヘイムはシオンに挑発気味の言葉を投げるも、まだその顔は緊張を含んだままであり、間をおいてから慎重に言葉を出すようであった。
「ヘイム様にどうしてもいらして貰いたいと言いまして……」
「誰が、だ? あれは口が利けるとでも言いうのか?」
これには驚いたヘイムが尋ねると首を振ったシオンは言い難そうにその名を告げる。
「ハイネが、です。彼女はここまで彼をつきっきりで看護しておりまして」
ヘイムは前を向いた歩き出した。
「ほぉたいした献身ぶりだ。ジーナも本望であろうよ」
「到着後に会いましたが泣き付かれてしまって……」
「ふぅん泣いておったのか?えっ?」
「そこまでは。まぁ疲れ切っておりどうかと訴えてきましたので」
そうかと短く返事をしヘイムは星空のもと月の光りとシオンの介助を頼りに歩いていく。
この時分では医師は十分な対応ができてはいないだろう。ただひとり頑張るとしたらハイネだけであり、その理由は何かなど考えることもなく、または自分にすがったという意味も、それがどんな意味であるのかを……ヘイムは夜の冷たさを吸い込みながら考え続けた。
夜の闇に覆われた通路は次第に到着点に近づき医務室の前に立ちシオンがノックをし二人が入るもそこからは血や死の臭いはしなかった。
焦燥感に満ちた臭いに汗の臭いや女の臭いとが混じり合い換気が必要であるとヘイムはまず思ったものの、出迎えたハイネの顔を見ると臭いなど何処か飛んで行った。
青ざめやつれた様子のハイネをシオンは抱き寄せ休みなさいと伝えると首を振り二人を案内していった。
奥のベットの脇に医師が困った顔をしながら敬礼をしヘイムとシオンに近寄っていく。
「外傷は見られずまた内出血もないのです。なんらかのショックによって意識を失い寝たきりなままなのですがどうなっているのやら。こんな奇妙なことは初めてです」
すっかり匙を投げている医師の言葉にヘイムは右胸に激しい痛みを感じた。最初の一撃に次ぐ痛みに安堵感を覚えた。それを見たハイネが分からないものの何かに勘付いたのかヘイムに向かって伝えた。
「……同行した隊員の報告では発見された時の彼の右胸には短刀が刺さっていたそうですが、後にそれは幻のように消えてしまったとのことです」
そうだろうなとヘイムは横を向くと、ハイネの視線は真っ直ぐ顔にではなく首下へ胸へと向いているのが分かると同時に、今までにない新たな鈍い痛みが例の痣から発生しだしていた。
意識的にヘイムは右胸をさするとハイネが驚いた顔でヘイムの顔をやっと見ようとするもすぐにうつむいた。
「妾の護衛の看護に治療にあたってくれ皆ご苦労であった。ここまでやったのならこやつも満足すべきであろうが、こんな夜時分に妾がわざわざ呼ばれて来たからには最後は妾がおらねばならぬだろうに。それが龍身の務めでもある。だからしばしの間ここは妾ひとりに任せて皆のものは隣の休憩室あたりで休んでおれ」
命令を前に医師は抗議もせずに龍の護衛の死の看取りと理解し退室をする。シオンはハイネの肩をとり寄り添うように部屋から連れ出していく。扉をあけ夜の風が急に吹きハイネの髪をなびかせ乱れさせると、そのまま反転しヘイムの方へと深々と頭を下げ、何かを呟きそれから部屋を出て行った。
それに対してヘイムはどこか心地良さを感じていた。外の空気が勢いよく入ってきたからか、それとも本気のお辞儀を見たからか、もしくはそれがハイネだったからか。
それはそうと答えを出さずにヘイムは扉に向かい部屋の鍵を掛け、それからベットに横たわるジーナの懐を開き右胸を露出させ自らも同じようにし、自らの右胸の痣の位置を確認しながら右手をジーナの右胸の上をなぞらせ、止めた。
ここだ、と指先に精神を集中させ息を深く吸い、これから訪れるであろう痛みの予感に堪えながら一気に指を押し込むと、指先が滲みだし中に入りそれから指先が赤く染まり、ジーナの呻き声が来た。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる