龍を討つもの、龍となるもの

かみやなおあき

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第一章 なぜ私であるのか

龍のためでなく妾のために

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 その間二人は視線を外さずに見続ける。戦いの最中に相対ずる時のように、ずっと。

 たしかに痛みが胸を走り苦しさが溢れ出し血が流れていく感覚に襲われながらジーナはヘイムを離れさせ胸を抑えた。

 しかし血はどこにも流れてはいない、これはいったいなんなのか? ジーナは分からないがヘイムには分かるし見えているのか、痛切な面持ちでこちらを見つめている。

 ジーナは苦しみの中にいるのにヘイムは動かずに、頑ななまでに不動のままでいた。それはどちらかといえば弱さからではなく強い意思によってそうしているようにジーナには見えた。

「ジーナ」

 震えた声でヘイムが名を、呼ぶ。

「なぜそこまで耐える。ここに」

 ヘイムは右手を差し出しジーナは見る。その手は痛々しい色をしているように見えた。

「妾はここにおるぞ」

 ジーナは手を取り苦痛の渦の中から顔を出し、息を吐く。それから胸中で激しく波うつ強い求めに従い手がヘイムの右顔に触れる。強張りの反応も抵抗もなく指先は頬に触れ、引き互いの顔を鼻先まで近づけさせた。

「瞼を閉じて」

 命ずるとヘイムは瞼を閉じジーナも閉じ、また重ねた。何も見えない中ジーナは胸の痛みがどこか和らいでいくのを感じていた。だが苦しさだけが消えずに胸に残っていく。積み重なり胸を満たしていく。傷は癒されているのだろうか? 血は止まったのだろうか?

 痛みは引いても、苦しみだけが残るのなら、これはどうすればいいのか? 長い時間二人は重なりジーナが自然と離れるとヘイムもそれから離した。ジーナは自身の呼吸の乱れを整えるために荒い息をしていると、横でヘイムの抑制しながら息を整えている声が聞こえた。

 二つの呼吸音は合わさり重なり交わり、一つへとなっていく中でもまた胸の痛みや苦しみが緩和されているような気がしていた。やがて互いの呼吸音は落ち着き小さく静けさに収束されていくと、ヘイムがやっと口を開いた。

「窒息死させる気か?」

「息をしても良かったのでは」

「そんなことできるか。っで分かったであろう。自分の痛みというというものが」

 それこそ痛いぐらいに分かったジーナは声に出さずに首を縦に振って答えた。

「同じ行為であるのに、矛盾していますね」

 ヘイムの眼が見開いた。

「痛みと癒し。何故その効果が違うのでしょうね。はじめのはひたすらに痛みを覚えたのに、次のはそれとは逆で」

「意識によるものだ。何事もな」

 意識? ジーナははじめのを思い出そうとした、そこにはヘイムの悪意が入っていたからなのか? ではその次は自分の心が求めるに従って……しかしそうだとしても何故それで効果が反対になるのかジーナには分からなかった。

 あの朱色に染まった身体も風景もまた、それはそうととジーナはヘイムの手をまた取る。

「やはりその手は私の力によって痛んでいます。今は見えなくてもさっき私には見えました。その血と痛みがここにあって」

「そうか」

 つまらないようにヘイムは返事をするが、そこには否定の響きは無かった。

「どうか治療をさせてもらいたい。それは私が負わせた傷ですから、その」

 ジーナは言葉を切りヘイムを見る。汗をかいた額に髪がつき髪は乱れていたが瞳は輝きによって大きく見え、ジーナは美しさを感じた。無限へと広がるような青。これは自分だけしか見ていないものだと思いながら。

「責任を取らせていただきたい。さっきあなたがやってくれたように」

 ヘイムは鼻で笑いながら返した。

「重い言葉を使うのぉ。責任か。そなたが妾の傷の手当をするのか、そうかそうかそうか。妾は困ってはおらぬがそうしたいのなら、そうさせてやる。求めることは応じる。それぐらいの優しさは示してやる」

 ヘイムの手をいつもよりも慎重に取るとジーナは聞いた。

「痛い、ですか」

 するとヘイムは空に向かって言う。

「痛いと言えば、痛いな」

 二人は龍の間に戻り、未だに眠っているシオンを起こさぬように歩調を揃え脇を通り抜け、二人は薬箱の棚までたどり着いた。

 コソコソとしているのもシオンを起こしたら面倒だなと両者の見解が無言の一致のためであり、速やかに薬箱を取り出し中身から塗り薬をとった。

「効くかどうかは、そなたの心がけ次第だな」

 ヘイムの意味不明な精神論を聞きながらとりあえずジーナは丁寧に塗り布を巻いた。

「治るように祈りながらやったか?」

「祈るというよりかは考えながらやりました」

「ではいま祈れ」

 強いられての祈りであるが、ジーナは手を取り額に当る祈りの姿となった。それは西の祈りの姿であり、ヘイムは不思議そうな顔をした後に仕方がないとその行為を受け入れさせるがままにさせた。

「ところで祈りと言えばな、そなたのようなものは戦いに臨む際に、龍へ祈りを捧げてはおらぬよな」

「突撃前に隊で龍への祈りを捧げますが、声だけ出しています」

「有害だな。心の底から出さねば何の意味もない、声だけの祈りなら、やめよ」

 それでは、とジーナは手の甲から額を離し聞いた。

「それなら私は無言のまま敵陣に突撃せよと言われるのですか?」

「不信仰者による祈りなど冒涜以外のなにものでもない。無言のままではやはり、嫌か?」

 嫌だ、と口に出さずともこの人は知っているはずだとジーナはヘイムの顔を見る。

 だがヘイムは視線を逸らし横を見る。やましく何かを求めている、と見たジーナはあえてそのやましさに乗る。

「ヘイム様のために戦うと言ったら満足ですか?」

 そう言うとヘイムの視線が前に戻り次の言葉を促しに来た。

「ではここで宣誓しますよ。そうすればあなたは龍への冒涜のひとつを救ったことにもなりますね」

 満足したようにみえない程度に自嘲とも嘲笑とも判断できない笑みでヘイムは頷いた。

「それならば妾は龍を守ることができるということか。では龍のためでなく妾のために戦うことを、許可してやる。そうである以上、必ず帰って来て報告をしろ。そしてこれを」

 ヘイムは袂から一枚の書状をとりだした。

「あの悩めるバルツに渡せ。極秘にだ。いいな表立ってはできんことだ。日常的に会う機会が多いそなたなら怪しまれずに済むだろう」

 ジーナは書状を受け取り懐に入れる。中身を見る必要もなく内容は分かっていた。戦争が始まるということであり、ここが最前線であり

「もう一度祈りの姿を取れ」

 何らかの祈りが必要なのである。ジーナはその自らの手によって傷ついた手を静かに触れそれから額へと持っていく。

 手の甲の冷たさがさっきよりも額に広がり、それから鼓動を感じた。痛みや傷によって血の流れが不安定でありはやめの脈を打っていることを。

 徐々にだが血流の荒々しさが鎮まっていく鼓動の変化に心地良さがあった。自分がつけた傷が癒されていく、その過程が自らの身体に伝わる贖罪のごとく。

 ジーナは長い時間そうしていたがヘイムもまた何もせずにそのままであった。互いに顔が見えず声を掛けずただ額と手の甲による結びつき、肌の触れ合い、鼓動の確認。このままずっと……

「なにをしているのですか?」

 シオンの声が聞こえるとヘイムはジーナを平手で引っ叩いて払い除ける。

「なにもしとらん!」

 絶叫と床に転がるジーナの音が室内に響く。おおよその何もかもをしている。

 床に伏せた状態になったジーナは上から覗き込んでくるシオンの顔を見た。寝ぼけ眼のせいか、いつもとまるで違ってずいぶんと幼く見える。

「大丈夫ですかジーナ? いけませんよヘイム、男の子を叩いたら。いつも駄目って言っているでしょ?」

 立ち上がりながらジーナはヘイムと目を合わせて、互いに同じことを思った。シオンはいま寝ぼけているのか?

「ヘイムどうしたのですかその手は? また怪我をしたのですか? お母様に叱られますよ。それと伯母様に見せたらいけません、泣いてしまいますから」 

 口調もまたどこかとぼけているのでヘイムは笑いを堪えながら口調を子供っぽくして対応した。

「違うよシオンお姉ちゃん。これはジーナに意地悪されて怪我をしちゃったの」

 事実だがニヤつくヘイムの顔を見ると凄く不愉快であるのを我慢しジーナは無の反応をした。

「まぁそれはいけませんね。でもそれはあなたがいつもジーナをイジメるからですよ。あなたはお気に入りの男の子をわざとイジメる癖があるのがいけませんよ」

 ヘイムからニヤつきが消えて色白い頬が紅潮する。

「まずはあなたが謝りなさい」

 赤みが差した頬は一気に蒼白となりシオンとジーナの間を忙しく視線が動いた。

「わっ妾に謝れと言うのか。いい加減に目を覚ませ」

 そう命じたもののシオンは有無を言わせぬ圧力で以ってヘイムに迫った。もちろん眼は半分閉じたまま。

「そうですよ。これはいい機会です。あなたはいつも彼の優しさに甘えて無理無体なことをいっているのです。他の人にはできないからってあれこれやったせいで彼がちょっと怒ったのがそれなんですから、まずあなたが謝るのが筋です。ここで謝らなかったらあとで後悔しますよ。さぁどうぞ」

 それからシオンはジーナの方を向いた。

「それとジーナも一緒に謝るのです。勇気のある男の子は女の子にもきちんと謝れるものですからね」

 凄いことになったなとしかめっ面のジーナと渋っ面のヘイムが見合わせる。

「やれというのなら、やってやるが。絶対に同時にだぞ。少しでも先でもあとでもなったら嫌であるからな」

「じゃあお互いの手が触れた瞬間に謝ったらどうでしょう。それもまた仲直りですね」

 奇妙な感覚の中でジーナとヘイムはいつものように手を伸ばしたが、やはりいつものような意識になれず、指先に緊張の抵抗を感じながら、触れ、互いに強く握りながら頭を下げた。

「ごめんなさい」
「すまなかった」

 頭上でシオンのものである拍手が響きそれが祝福の音に聞こえるなかジーナは合図のように指を動かすと伝わったのか、二人はこれもまた違えることなく同時に頭をあげることができた。ヘイムはすぐに視線を外し呟いた。

「屈辱!」

「こらこらそういうのはいいですからね」

「おいシオンそろそろきちんと寝た方がよいな。ほれジーナ手伝え」

 長椅子まで引っ張っていく最中でシオンはまた呟く。

「本当にあなたたちは昔から……あれ?ジーナ? 昔からいました、よね?」

「いませんよ」
「いるわけがないだろうが」

 珍しく意見が合った。

「こんなものがいて堪るものか。ほんとうに寝ぼけておるな。あとでネタにしていたぶってやる」

「そうなのですか? けど以前に、このようなことをしませんでしたっけ?」

 はいはいと二人は相手にせずに長椅子に横たえらせて敷布を上からかけるとシオンは完全な眠りに落ちる中で、誰にも聞こえぬほどの声で呟いた。

「ほら……私達が男で、ジーナが女だった頃に……」
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