龍を討つもの、龍となるもの

かみやなおあき

文字の大きさ
129 / 313
第二章 なぜ私ではないのか

『お前は何か望むものはないのか?』

しおりを挟む
 私はようやく正しきものとひとつになれた、と男は恍惚感のなかで戦い続けた。

 龍の皇女を戴くシアフィル連合は中央軍の攻勢に対して南へと撤退を繰り返し続けていた。

「これは撤退ではなく攻勢後退中だ!」とバルツは兵たちに伝えていたが男はそんなことは気にせずに常に最前線にいた。

 眼の前は無人の草原、そこからやがて迫りくる敵勢の姿、これしか男の眼には見えず、その中で金色の瞳は輝いた。

 無限に戦い続ければやがてそこにたどり着き眼の前に龍が現れると信じ、いつかは龍の前に立てるのだと信じ、男は剣を振るい続ける。

 それでも軍は戦いには勝てずに撤退に継ぐ撤退により東南のソグに向かっていく。負け戦続きであるはずなのに兵士の士気はまだまだ衰えてはおらずに、これはバルツの作戦だと信じているようであり、また自らが戴く龍の正統性に疑いが無いようにも見えた。

 自分達がこのまま敗れるはずはない、最終的には勝つのだと、男にはその根拠のない自信が好ましかった。それは自分の心にも通じるものがあった。使命の内容が正反対であるというのに。

 ソグ山の砦を巡る攻防戦も撤退に決まり最終絶対防衛ラインであるソグ山一帯の戦いとなった時、バルツは各隊の隊長、その頃には男はもう自隊の長となるぐらいには力を認められていた、を天幕に呼び決意の一言から始めた。

「これ以上の後退は一歩たりとも、ない」

 そこに絶望的な声の響きが無いことに各隊の隊長らは心中歓喜に震えた。男も同様であった、やはりこの男は持っている。

 具体的な話はこうであった。ここまでの後退は龍の側近であるマイラ卿の案でありそれをバルツが実現させてものであった。

 つまりはシアフィル連合単独では中央軍の攻勢を正面から戦って打ち倒するのは不可能であるため、戦いつつ後退し敵の戦力を削り続けてこのソグ山まで引きずりこむ。

 これはいわば漸減作戦であり引きずりこみソグ山にて一大決戦を敵に強要させる、そういう構想が元での作戦であった。

「ソグどころか我々の陣営の兵力全てがここに集結する。一兵たりとも後ろに残さず、ここ前線にて戦う」

 あまりにも大きな運命の瞬間の訪れの予感を前にして一同がその言葉の一言一句を心に刻んでいる最中に、ソグ僧が天幕の中に入りバルツに手紙を届け見て微笑んだ。

「朗報だ諸君。ルーゲン師の献策である『龍戦』宣言に中央が応じ向うも宣言したとのことだ。ハハッ無様だなあのような偽龍に相応しいわ」

 西方からの人ということでなにくれとなく男に世話を焼いてくれたのがルーゲンであるが、
 その献策の龍戦とはかつて古の龍の始祖の故事に倣ったものであるという。

 これは自らが正統であると全国に主張する宣言であり、始祖はこれを行い勝利したことによって前回の戦争の正統性を得たとのことである。

「奴らはまさかやるとはと思っただろうな。愚かにも自分たちが絶対的な正統後継者であると信じて疑わなかったのだから。もっとも向うにはこの宣言に精通しているソグ僧はいないだろうけどな。だがこうしてこちらが先んじて宣言してしまえば、もうお互いに引き下がることはできない、おっともう一通があったか……ありがたいことだ。諸君、中央の龍の護軍、いわゆる近衛軍がソグ山に進軍してくるとのことだ。文句なしに最精鋭であり中央の要だ」

 その名が告げられるや場に緊張感が走った。まさか近衛軍が来るとは中央もこの戦いを決戦と位置付けていると。

「加えてこれまで戦い続けてきた追撃軍も加わる。決戦に相応しい敵戦力でありこれをこの地で覆滅させることができたなら、今後の戦いは劇的に変わる。形勢は完全に逆転する。そしてそれを我々は出来るのだ」

 水を打ったように場は静まり返った。バルツの声と言葉によってさっきの湧いた不安はどこかに消え去っていく。それはその言葉を聞きたく求めていたからかもしれなかった。

「この地にて我々は最も有利な場所にて戦える。今までと逆だ。補給もろくに届かず敵が優勢な地にてよくぞ耐え抜き負けなかった。そうだ我々は負けてはいなかった。この地にてこうして到着させてしまったやつらこそが、逆説的に負けて敗北に向かっているのだ。これまでの戦いは敗北でも無駄ではなかった。その苦労も傷も仲間の死も勝つのだから我々は勝つのだ、この勝利のためにここまで血を流し信仰を捧げたのだ。そう龍身様も遠くにおられずに、我々の後ろで儀式を行ってくださるようだ。万が一突破されたら運命を共にしてくださる、その御覚悟で……」

 運命を共にする? 龍になる前に、死ぬ……可能性があるというのか?

「龍が死ぬだと?それは許されない!」

 男は反射的に立ち上がり叫ぶと皆の困惑が伝わる視線が集まるのを感じつつ前方からは温かい眼差しを感じた。バルツの瞳が慈愛の輝きを帯びているように見えた。

「よくぞ言った末番隊隊長ジーナよ。いやジーナ隊のジーナよお前の隊が最前線だ、これを」

 バルツは腰に下げた剣を外し男の前まで進み、与えた。一同は声をあげることができずに目を見開いた。その意味することを。バルツの象徴とも言える剣を。

 男も男で剣をさほどありがたいといった態度をとらずに受け取り頭を下げた。

 それはある意味で見慣れた様子であった。どれだけ功績を讃えられても、決して喜ばないこの西から来た男。信仰心のない異常な存在。

「俺の代わりにそれを最前線にて使ってくれ。年季は入っているが斬れるぞ。それと龍の旗もお前の隊に持たせる」

 今度は一同は総立ちとなる。栄えある第一隊のみが掲げられる『龍旗』。それをよりによって懲罰隊という罪人の隊にしかも率いているのは西の無信仰者でありそれを篤信家である将軍が授けるとは。

 しかも予想済みとはいえやはり男は感激の表情を見せずかえって迷惑そうにしているのも一同は首を振った。なんでこいつに……

「はぁ、ありがたくお受けいたします」

 感情のこもっていない声であるもバルツは大仰に頷いた。

「それとお伝え致しますが、このような旗があろうがなかろうが、私と我々はいつもどおりに最前線にて戦います。敵の出鼻を叩き潰しそのまま殴り続ける、それが我々の隊の使命でありそして流れる血で以って隊員の罪は浄化され、栄光に浴すことができる。そういうことであり、また私の罪である無信仰もまた許される。そうですよねバルツ将軍」

 そう聞いてみたものの男は分かっていた。私の罪だけは決して許されないだろうと。


 ソグ山の決戦は明朝から始まった。推定時間よりも早い敵襲の報に陣営は浮き足立った。

「どうやら敵軍は休まずにそのまま突っ込んでくるようだ」

「吹雪が来る前に一気に片を付ける気か」

「まずいぞ。少しでも時間を伸ばしたいというのに」

 空から儚げな粉雪のみが降り続けとてもじゃないがこれから吹雪が訪れる雰囲気ではなかった。

 そんな中においてバルツは報告に泰然とし全部隊に指示を出し布陣を命じた。男の隊は龍旗を手に最前線に立つ。前方には誰もいない、誰の背中も見えない、最も龍に近い場所。自分が立つ場所。

「アル! 死んだとしても旗だけは絶対に手離すな」

 雪崩を起こすかのような返事をしは両脇の兵に声を掛ける。

「いつも通りだブリアンにノイス。俺が先頭で敵に突っ込み二人がフォローで他のみんなで左右後ろで戦ってくれ。前方は止まらない、一気に果てまで駆け抜ける、この気合いで自らの命を切り開いていくぞ」

 男の指示に隊員達は唾を呑み込み首を素早く縦に振る。その声を聞けば勝てると思うように。その言葉に従えば命が助かるものと思うように、この男の後ろで戦えば自らの罪が許されるように、それはたとえ途中で倒れ伏したとしても罪は浄化される。

「バルツ将軍は念を押して申された。龍旗を戴くこの隊の戦いは龍の加護があり、また恩寵も厚いと。敵に討ち取られたとしても、俺はその者の戦いと貢献を決して忘れずに報告する」

 救いが必ずあると。この人が現れて以来、刹那主義的であった隊の色が変わった。戦いのなかにこそが救いであるとする男の活躍に影響され、積極的に戦い自分達の罪が確かに日々薄れ清められていく恍惚感によって。

 後退戦の早い段階で古参隊長の死は男を自動的に隊長の地位にあげ、こうして今では隊は連合の要となりつつあった。

 白雪の地平線を見つめながら隊員達は緊張し待機し続ける間に一部のものはいつものことを考えていた。隊長はどのような罪を背負っているのかと。

 罪人である隊員達は他者の罪については敏感であり聞かずとも察するものがあった。この誰よりも勇敢に戦い必ず最前線にいる隊長の行動の英雄的行為は罪と背中合わせの自罰的行為とも思えた。

 なにもここまで戦わずともと言う行為がいくらでもあり、どれだけ戦っても罪滅ぼしをしたという表情を見せずに、無限の戦いを望み続けるその顔に、隊員達はある意味で畏敬心を抱いていた。この人はいったい何を望んでいるのかと?

 誰もがそのことを聞けずにいる中で、その男は誰よりも先に立ち上がり声が上がった。

「来るぞ!」

 皆の視線の先、白の地平線、音は雪に吸い込まれ静寂の世界、その男だけにしか聞こえない何かがあり隊員はいつものように駆け出す構えをとる。

 この男が、隊長が来ると言ったら、来る。それはいつものことだ。いつだってそうだ。いつだって我々はそれで先手が取れ、いつだって勝ち続けた。

 注目の中、男はバルツの剣を抜いた。合図が来ると全隊員が中腰となると同時に男が叫んだ。

「続け!」

 男が駆け出しその背を隊員が追いながら今までの言葉を反芻する。

 隊長がいつも言うあの、私は死なない、このジーナは死なない、龍以外のなにものにも打ち砕かれない、と。その不敬さと何故か相反せず矛盾もしない敬虔なる言葉の響き。

 それは一つの信頼さえも生む、隊長を倒せるとしたらそれは龍のみであるのだろう、そうであるのだから敵など、人間など、恐れるものは何もないと。

 宙に白を乱れさせる呼吸音と雪を踏みつける己の足音の他に前方からようやくなにかが迫ってくる音がする。

 そう音がしたなと感じるのとほぼ同じタイミングで既に先頭を駆けていた男が飛び宙を斬り白の空間に赤を散らす。偽装の白いマントか。

「旗を振れ!」

 そのことで頭が一杯なアルは重圧から解き放たれたように旗を振りだし、もう一つの合図が来る前に全隊員は抜剣し各々に架せられた使命の方向へ構えた。いつものあの言葉が来る。

「我が罪を滅ぼす為に」

 男の言葉はいつしか隊全員が詠唱する呪文とも気合いとも祈りとも言える戦いの歌となった。

「龍を討ちに行くぞ!」

 金色の光が雪原を照らし、戦いが始まる。この敵先陣の出鼻をくじく末番隊の先制攻撃からソグ山の決戦が始まり、その後の突然の大吹雪によって戦闘はソグ側の完全勝利へと流れていった。

 その末番隊はソグ山の戦いまでの戦闘及び『龍戦』の功績により論功筆頭としてその名が知られるようになった。

 多くの隊員は罪が恩赦され軽罪のものはそのまま他隊の復帰が認められ、また除隊も一部で認められた。

 だがただ一人だけはそのような恩恵に預かれないものもいた。

「ジーナ、お前は何か望むものはないのか?」

 龍の血と命以外望まないものが、いる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜

侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」  十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。  弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。  お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。  七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!  以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。  その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。  一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...