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第3部 私達でなければならない
三つの声
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内容はいつも通りの月並みでありきたりな季節な話から儀式の様子から入り、前回届いた手紙の内容についての感想と質問。
意識すればするほどにハイネの声は限りなく透き通るほど自然に完璧なまでにヘイムの声となってジーナに向かっていった。
騙れば語るほどにあなたはきっと目覚める、とハイネの胸には確信のようなものが込み上がって来る。酸味かかった不快な感情と相乗りする期待。高揚する嘔吐感。
起き上がったらうなじのあたりに吐き出し浴びせてやろうかなとハイネは思いながらゆっくりと一行一字を読み上げていくも、まだ目覚めない。
気配すら無い。だが手紙はいつもよりも長いためにハイネは楽観している。最後の一字で甦るのだろうと。そういうことなのだ。
半分を読み進め、それから後半へと読んでいくとハイネは違和感を抱いた。そろそろ結びの一文へ行く感じであるのに、手紙はまだある。
ではこちらが本番か? こっちは他人行儀でやるもので実はこの先……次回のは早く出すように、とヘイムの手紙をここで一旦読み終わるとハイネはジーナを見る、覗いた。
何の変化もなく横たわるジーナはハイネは睨み思った。この次の部分か、と。
こうやってやり取りをしていたのですか? と思いながらハイネの手は震えだした、が瞼を閉じ乱れた呼吸を整えしばらくの間、頭の中の嵐のような激情が過ぎ去るのを待った。
私には関係ない私には関係ない……言葉を繰り返しそれに縋る。自分というものを介さずに手紙を読み終えたとしたら、それでもう、この苦悩から解放されるのだと。長い戦いが終わる。
恐る恐る瞼を開くと自分の心を通り過ぎていった激情などに全く影響されていない世界が姿を変えずにあった。私は世界にもこの人にも何の影響を与えない存在に過ぎない。
これでいい、このままでいいと無心のままハイネは手紙をめくった。
追伸、と一文がありそしてその字は違った。シオンの字であるとハイネはすぐに分かる。けれどもそれはヘイムの字に似せたシオンの字。
文章全体をざっと見るに終わりまでその調子。両者の書体の癖を知っているハイネでなければ見抜けないその違い。
どうして姉様がこのようなことを? と考えるも、どちらにせよ読まねばならないと思い顔をあげる。ジーナは動いていない。
姉様が書いたというのなら、ここの声は変える必要があると舌を動かしてから、読み出した。
文章そのままにヘイムの声を真似するシオンの声で以って。
こんな奇妙な声帯模写をするのはハイネにとっても初めてであったが上手くいっていると手応えならぬ声応えを感じた。
姉様は声真似があまりうまくないのでそこを真似するのは大変で時々自分の声が混じりそうになりそうとハイネは思いつつも、これも急がずに正確に読んでいった。内容は、シオンらしいものであった。
戦いへの感謝に龍の元へ行くのはジーナだと想定しての任務終了後の労いの言葉。
傍にいるであろう龍の騎士はシオンの兄であると知らされるだろうが、斬ったとしたらそのことについて気にするな、それは本来ならシオンの役目であったのにやってくれたことをあれに代わって感謝する、と。
ここがシオンが手紙を書いた理由だなと読みながらハイネは理解した。
自分の口からはそれを言うことはできない。たとえそれが正当なるものであっても。
こう書いたからには姉様もヘイム様に代わって何かをジーナに伝えるはずだと次に項目にハイネが目を移すと、すぐに納得をした。
「そなたは龍を討つであろう。そして何かが起こるであろう。だがどうかそれを乗り越えてくれ」
手紙の調子から考えるに、これはまだ出撃前であるのに姉様はどうしてこの事態が予想できたのか?
ハイネは普段は鈍感なのに時々恐ろしく鋭さを持つシオンの勘に久しぶりに恐怖を覚え、またその心を掴む。
これをヘイム様自身に書かせるわけにはいかない、と。
「龍を討ったことは気にするな、そのことによって変わることなどないと。妾とそなたの関係もだ」
シオンのこの二人についての認識の無理解さと鈍感さに関しては再びハイネは不可解さと怪異さすらを覚えるも、動揺を声には出さずに読み続ける。
「最前線がそこで終わるのであるからまた龍の護衛に戻れ。そなたは戦争が終わったら帰れると考えているだろうが、まだだまだ終わらぬ。それは兵隊にとっての最前線の終了を意味しているがこちらはそうではない、戦線はこちらに移行するのだ。こちらにとっての本当の戦いはこれからであり、そなたもこちらの戦いに参加して貰う、いや参加させる。よもやそなたが最前線から後退するとは思えぬが、念のためにこう書き留めておこう」
姉様がここまで戻ることを希望しているなんて……ハイネは目をあげジーナの様子を伺った。時間をかけて見た、見つめる。
もしも姉様の手紙で起き上がるとしたら……その時はどうする? とハイネは想定外の事態に発生し頭の中が混乱しているも、すぐに収まる。
ジーナは、目覚めないと。このような言葉を戴いても、結局は無意味だと。やめるべきか? けれども手紙はあと一枚残っている。
姉様のお手紙なら劇的なことがこれ以上書かれているはずもない。目的である自分やあの人の言葉の代弁をしきったのだ。
何をしようが目覚めず起き上がらず溜息を吐き私はここを去る。分かり切っている先がここにあった。ふと見ると香木の煙が消えていた。
あのサイズのものであったから小一時間程度は経ったのだろうか。この量の手紙を読み上げるにはあまりにもかかっている。
こうやっていちいち様子を見ている方に時間を割いているのか? 私はいったいなにを待っているのか?
ずっとこの人の傍にいて何かを待っていた。言葉や態度に行為の何を待っていたのか。それすらもう考えたくもない。
あなたがそれを私に提示してくれたらきっとそれだと思うものの、それがなにであるのかは、分からない。正体のわからないそれ。
なんでも良くて何でも良くない……だけどそんなものは未来永劫現れはしない。
だからもう終わりにしよう、この最後の文を読み。そう最後に、とハイネはヘイムの口真似をしたシオンの声で「最後に」と読み出す。
「ハイネに対して優しくするように」
有り得ない言葉が、来た。
「そなたのことだから無下に扱ったりしているであろう。優しくしていると思っていても、そなたのそれは常人の二分の一以下なのだから、二倍ぐらいやってやっと一人前の親切心なのだ。よって二倍心を配るように、いいな?」
あの人が絶対に言わない言葉をシオン様が真似して文章で書き、私が口真似をして彼にその声を届ける。
「妾としてはとやかく言う立場にはないが、シオンが心配しておる。せめて人並みにかといって過剰にはやめておけ。そなたは勘違いして意地になるタイプだ。0か1な距離感ではなくその間を上手く適切な距離感を保つようにせよ」
これはなんだろう? まるで私を慰められているような、姉様の鈍感さと鋭さが珍妙な具合に混じり合って私自身に届けられているような。
「これから二人は同僚となって妾をサポートせねばならないのだから、敢えてこんなことを書いた。読んだのなら急いで返事を寄こすように、以上」
読み終わりハイネは手紙に目を落としたまま呆然とした。
ある意味で私宛の手紙であったものの、これを彼が読んでいたらどうしていただろう? とハイネは想像をする。
姉様の言うことはそこそこ聞くから、ぎこちなく親切にしてくるのかもしれない。拙くめんどうにして変な優しさを見せるかもしれない。
それを受ける私は……馬鹿にして……それでも私はそのことについて……
「……誰だ」
ハイネはその声を聴くと手にしていた手紙が魂が消えた抜け殻のように宙をゆっくりと舞い静かに落ちた。
声の先を見るとジーナが身を起こしているがこちらどころかどこも見てはいない。瞼を閉じたまま、再び問うた。
「……シオン?」
信じられないものが眼の前に現れハイネは言葉を失ったまま見るしかなかった。
甦りは、どこから? そしてなにを以て起き上がれたのか?
私の声? あの人の文章? 姉様の文章? それともその三つの全てが?
「そこにいるのは……」
ジーナはまだ瞼を開けない、開けられないのならここにいるのは私だけども、私であってはならない、とハイネの心にその一点の火が灯る。
あなたはそうなのだから、あなたが求めているのがそうであるのだから、私ではない。
こうしなければ、私達は離れることができない、だから……ハイネは息を軽く吸いそれから言った。
「妾だ」
意識すればするほどにハイネの声は限りなく透き通るほど自然に完璧なまでにヘイムの声となってジーナに向かっていった。
騙れば語るほどにあなたはきっと目覚める、とハイネの胸には確信のようなものが込み上がって来る。酸味かかった不快な感情と相乗りする期待。高揚する嘔吐感。
起き上がったらうなじのあたりに吐き出し浴びせてやろうかなとハイネは思いながらゆっくりと一行一字を読み上げていくも、まだ目覚めない。
気配すら無い。だが手紙はいつもよりも長いためにハイネは楽観している。最後の一字で甦るのだろうと。そういうことなのだ。
半分を読み進め、それから後半へと読んでいくとハイネは違和感を抱いた。そろそろ結びの一文へ行く感じであるのに、手紙はまだある。
ではこちらが本番か? こっちは他人行儀でやるもので実はこの先……次回のは早く出すように、とヘイムの手紙をここで一旦読み終わるとハイネはジーナを見る、覗いた。
何の変化もなく横たわるジーナはハイネは睨み思った。この次の部分か、と。
こうやってやり取りをしていたのですか? と思いながらハイネの手は震えだした、が瞼を閉じ乱れた呼吸を整えしばらくの間、頭の中の嵐のような激情が過ぎ去るのを待った。
私には関係ない私には関係ない……言葉を繰り返しそれに縋る。自分というものを介さずに手紙を読み終えたとしたら、それでもう、この苦悩から解放されるのだと。長い戦いが終わる。
恐る恐る瞼を開くと自分の心を通り過ぎていった激情などに全く影響されていない世界が姿を変えずにあった。私は世界にもこの人にも何の影響を与えない存在に過ぎない。
これでいい、このままでいいと無心のままハイネは手紙をめくった。
追伸、と一文がありそしてその字は違った。シオンの字であるとハイネはすぐに分かる。けれどもそれはヘイムの字に似せたシオンの字。
文章全体をざっと見るに終わりまでその調子。両者の書体の癖を知っているハイネでなければ見抜けないその違い。
どうして姉様がこのようなことを? と考えるも、どちらにせよ読まねばならないと思い顔をあげる。ジーナは動いていない。
姉様が書いたというのなら、ここの声は変える必要があると舌を動かしてから、読み出した。
文章そのままにヘイムの声を真似するシオンの声で以って。
こんな奇妙な声帯模写をするのはハイネにとっても初めてであったが上手くいっていると手応えならぬ声応えを感じた。
姉様は声真似があまりうまくないのでそこを真似するのは大変で時々自分の声が混じりそうになりそうとハイネは思いつつも、これも急がずに正確に読んでいった。内容は、シオンらしいものであった。
戦いへの感謝に龍の元へ行くのはジーナだと想定しての任務終了後の労いの言葉。
傍にいるであろう龍の騎士はシオンの兄であると知らされるだろうが、斬ったとしたらそのことについて気にするな、それは本来ならシオンの役目であったのにやってくれたことをあれに代わって感謝する、と。
ここがシオンが手紙を書いた理由だなと読みながらハイネは理解した。
自分の口からはそれを言うことはできない。たとえそれが正当なるものであっても。
こう書いたからには姉様もヘイム様に代わって何かをジーナに伝えるはずだと次に項目にハイネが目を移すと、すぐに納得をした。
「そなたは龍を討つであろう。そして何かが起こるであろう。だがどうかそれを乗り越えてくれ」
手紙の調子から考えるに、これはまだ出撃前であるのに姉様はどうしてこの事態が予想できたのか?
ハイネは普段は鈍感なのに時々恐ろしく鋭さを持つシオンの勘に久しぶりに恐怖を覚え、またその心を掴む。
これをヘイム様自身に書かせるわけにはいかない、と。
「龍を討ったことは気にするな、そのことによって変わることなどないと。妾とそなたの関係もだ」
シオンのこの二人についての認識の無理解さと鈍感さに関しては再びハイネは不可解さと怪異さすらを覚えるも、動揺を声には出さずに読み続ける。
「最前線がそこで終わるのであるからまた龍の護衛に戻れ。そなたは戦争が終わったら帰れると考えているだろうが、まだだまだ終わらぬ。それは兵隊にとっての最前線の終了を意味しているがこちらはそうではない、戦線はこちらに移行するのだ。こちらにとっての本当の戦いはこれからであり、そなたもこちらの戦いに参加して貰う、いや参加させる。よもやそなたが最前線から後退するとは思えぬが、念のためにこう書き留めておこう」
姉様がここまで戻ることを希望しているなんて……ハイネは目をあげジーナの様子を伺った。時間をかけて見た、見つめる。
もしも姉様の手紙で起き上がるとしたら……その時はどうする? とハイネは想定外の事態に発生し頭の中が混乱しているも、すぐに収まる。
ジーナは、目覚めないと。このような言葉を戴いても、結局は無意味だと。やめるべきか? けれども手紙はあと一枚残っている。
姉様のお手紙なら劇的なことがこれ以上書かれているはずもない。目的である自分やあの人の言葉の代弁をしきったのだ。
何をしようが目覚めず起き上がらず溜息を吐き私はここを去る。分かり切っている先がここにあった。ふと見ると香木の煙が消えていた。
あのサイズのものであったから小一時間程度は経ったのだろうか。この量の手紙を読み上げるにはあまりにもかかっている。
こうやっていちいち様子を見ている方に時間を割いているのか? 私はいったいなにを待っているのか?
ずっとこの人の傍にいて何かを待っていた。言葉や態度に行為の何を待っていたのか。それすらもう考えたくもない。
あなたがそれを私に提示してくれたらきっとそれだと思うものの、それがなにであるのかは、分からない。正体のわからないそれ。
なんでも良くて何でも良くない……だけどそんなものは未来永劫現れはしない。
だからもう終わりにしよう、この最後の文を読み。そう最後に、とハイネはヘイムの口真似をしたシオンの声で「最後に」と読み出す。
「ハイネに対して優しくするように」
有り得ない言葉が、来た。
「そなたのことだから無下に扱ったりしているであろう。優しくしていると思っていても、そなたのそれは常人の二分の一以下なのだから、二倍ぐらいやってやっと一人前の親切心なのだ。よって二倍心を配るように、いいな?」
あの人が絶対に言わない言葉をシオン様が真似して文章で書き、私が口真似をして彼にその声を届ける。
「妾としてはとやかく言う立場にはないが、シオンが心配しておる。せめて人並みにかといって過剰にはやめておけ。そなたは勘違いして意地になるタイプだ。0か1な距離感ではなくその間を上手く適切な距離感を保つようにせよ」
これはなんだろう? まるで私を慰められているような、姉様の鈍感さと鋭さが珍妙な具合に混じり合って私自身に届けられているような。
「これから二人は同僚となって妾をサポートせねばならないのだから、敢えてこんなことを書いた。読んだのなら急いで返事を寄こすように、以上」
読み終わりハイネは手紙に目を落としたまま呆然とした。
ある意味で私宛の手紙であったものの、これを彼が読んでいたらどうしていただろう? とハイネは想像をする。
姉様の言うことはそこそこ聞くから、ぎこちなく親切にしてくるのかもしれない。拙くめんどうにして変な優しさを見せるかもしれない。
それを受ける私は……馬鹿にして……それでも私はそのことについて……
「……誰だ」
ハイネはその声を聴くと手にしていた手紙が魂が消えた抜け殻のように宙をゆっくりと舞い静かに落ちた。
声の先を見るとジーナが身を起こしているがこちらどころかどこも見てはいない。瞼を閉じたまま、再び問うた。
「……シオン?」
信じられないものが眼の前に現れハイネは言葉を失ったまま見るしかなかった。
甦りは、どこから? そしてなにを以て起き上がれたのか?
私の声? あの人の文章? 姉様の文章? それともその三つの全てが?
「そこにいるのは……」
ジーナはまだ瞼を開けない、開けられないのならここにいるのは私だけども、私であってはならない、とハイネの心にその一点の火が灯る。
あなたはそうなのだから、あなたが求めているのがそうであるのだから、私ではない。
こうしなければ、私達は離れることができない、だから……ハイネは息を軽く吸いそれから言った。
「妾だ」
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