10 / 19
第九話 想い出の写真
しおりを挟む
奈々花の策略? により竜也がオーバルくんを手に入れてから一時間が経過した。
この間、奈々花はレーシングやガンシューティング、リズムゲーム等を手当たり次第楽しんだのだが、竜也はと言うと……娘に付き合うお父さんよろしく、完全に荷物持ちと化していた。
「よっしゃー! パーフェクトォ!」
そして今、奈々花が昔得意だったという懐かしのビデオゲーム、剛拳3のラスボスを彼女がパーフェクトで封殺したところだった。
因みに、この獅堂奈々花という少女、対戦になると性格が変わるらしく放送禁止レベルの暴言を無数に吐きだしながらプレイを続け、竜也をドン引きさせていた。
「どうよタッツー! 言ったとおり上手かったでしょ」
「お、おう。そうだな」
テーブル筐体備え付けの椅子から立ち上がると、奈々花は普段の喋り方に戻り笑顔でピースサインを作りだす。そんな変貌っぷりを見せつけられ、普段おとなしい彼女が何故ワルどもに馴染めていたのか、竜也はわかったような気がした。
「それで、もう三時なんだが。そろそろ買うもん買って戻らないとまずいんじゃないか?」
冬を越え、日の落ちる時間も遅くなり、まだ夕方とも言えない時間に竜也が何故こんな提案をしたのかというと、この後二人には行かなければならない場所があったからだ。実は、そこへの手土産を買いに来たというのが本来の目的であり、今まで奈々花はそれを後回しにし続けていたのである。
「え!? もうそんな時間! 楽しい時間ってほんと早いなぁ。まだタッツーと遊びたいのに」
「たまにでいいなら付き合ってやるから。今日は……」
今日はこれ以上豹変した奈々花を見たくない。とは言いだせない竜也であった。
「本当! 約束、約束だかんね!」
そんな彼の気持ちなど露も知らず、竜也の言葉に瞳を輝かせる奈々花はとことん素直な女の子だった。
「それじゃそれじゃ、最後にプリ撮ろう! プリ!」
「プリって……ずいぶん略すなお前」
また付き合ってやると言われたことがよほど嬉しかったのか、奈々花ははしゃぎながら複数並ぶ箱状の機械へと近づいていく。
プリントシール機。九十年代中期から存在する証明写真のシール版のようなものだ。操作は簡単で、数十種類存在するフレームの中から一つを選択して写真を撮る。これだけで撮ったものが複数のシールとして排出され、それを交換し合うという手軽さから女性を中心に一つのコミュニケーションツールとして画一された。
その後様々な機能が追加され、スタンプや落書きのできる機種、今やネットワークで管理しシールの代わりに直接携帯へデータを送るという安価なものまで存在するなど、長く慕われ続けるゲームセンターの看板タイトルの一つなのだ。
「何々、最近の若いもんは何でもかんでも略しおって。とか、そんなこと思ってるわけ?」
「いや、別にそういうわけじゃないんだが」
竜也の言い方が悪いのか、奈々花には呆れているように聞こえたのだろう。しかし、彼にそんなつもりは毛頭ない。若者の自由な発想に文句をつけるつもりなどさらさら無いのだ。
だが、奈々花の口からプリという言葉が出ると、ラブプリズンの隠語の一つにプリという名称が使われていることを思い出してしまい、その印象が竜也の心をかき乱してしまう。
「っと、時間がないんだろ。せっせと撮っちまおうぜ」
「なんかはぐらかされてる気もするけど。まっいっか」
ごまかされているような竜也の態度に不満を見せる奈々花であったが、二人で写真が撮れる喜びのほうが勝っているらしく、ウキウキ気分で竜也を引っ張りカラフルな箱へと入っていく。
「ほぉ、最近のはフレームを決めるだけじゃないんだな」
待ちきれないという様相の奈々花はすぐ様お金を投入し、細かな設定を決めていく。そんな彼女の手際の良さに竜也は目を見張る。
「最近のって……クレーンゲームの時といいタッツーオヤジ臭い」
「悪かったな。俺はもう十分、いい歳したおっさんだよ」
「もう、そんなに拗ねないでってば」
からかう奈々花に竜也は軽く反応したつもりなのだが、彼女にはそれが不機嫌そうに見えたようで、彼の腕をペチペチと叩きご機嫌を取ろうとする。叩かれている本人は決して怒っていないため、まーたスキンシップか程度にしか思っていないのだが。
「それにしても意外だな~。タッツーが誰かとプリ撮ったことあるなんて」
「ああ、まぁ、昔な」
「タッツーでも、人並みの青春してたんだね~」
「……殴るぞ」
「はい、暴力反対!」
こうして二人がじゃれ合う間も、奈々花はフレームやら何やらを模索し続け頭を捻らせる。
「ま、いろんな設定あるけどさ、やっぱり今日はそのままで撮ろ。思い出写真みたいなもんだしさ」
最終的に奈々花はちょっと可愛らしいフレームを選び、その他の設定をオフにしていった。
「なんだ。思い出なら余計に面白おかしくしたほうがいいんじゃないのか?」
「これは私とタッツーのプリなの。誰かわからないようなサギプリ撮ったってしょうがないじゃん」
画面に表示される説明を読み、様々なデコレーションができることを知った竜也はそう彼女に提案するが、過剰に装飾されたシールがサギプリと呼ばれていることを知り、そんなに変わるものなのかと竜也は内心苦笑いを浮かべる。そして、何気なく女は化粧で化けるという言葉を思い出し複雑な気持ちになった。
「それで、ポーズはどうするんだ?」
「それはもちろん」
そんな気持を誤魔化すように竜也は頭を掻きつつ奈々花へと言葉をかける。すると、彼女はいつもの場所、安定の竜也の左腕へと抱きつき、腕を絡めた。
「おいおい、そんな何時も通りでいいのかよ?」
「いいの。だって、ここが一番落ち着くんだもん。それに、私みたいな可愛い子に抱きついてもらえて、タッツーだってまんざらじゃないんでしょ?」
「……想像に任せる」
彼女の言う通り竜也もまんざらではない。まんざらではないのだが、それを素直に嬉しいと言えるほど彼はもう若くないのだ。とは言え、奈々花は彼の言葉を肯定と受け取ったらしく、嬉しそうに笑顔でシール機の画面を見つめ直す。
「それじゃあ撮るよ」
そう言って奈々花がボタンを押すと、機械の音声に従ってシャッター音とフラッシュが炊かれる。その後、別のポーズでもう一枚撮れるという旨を伝えるアナウンスが流れた。
「あ~、これ二枚撮れるタイプだっけ。う~ん、どうしようかな」
「それじゃあ、中腰になれ」
「え? う、うん」
珍しくキツめの命令口調で喋る竜也に奈々花は萎縮するも、黙って言われたとおりの体勢を取る。すると、竜也は突然奈々花の後ろへと回り込み、肩へと両手を軽く乗せた。
竜也自身は真剣に考えるあまりきつい口調になっただけであり、姿勢も高さの調整のためだったのだが。彼女はつい、少し前に仲間から見せてもらったエッチな本の内容を思い出し、いかがわしい行為のために立たれているかのような錯覚を覚え、思わず緊張に息を飲んでしまう。
「た、タッツー。こ、個室だからって、こんなところで始めたりしない、よね?」
「始める……って、アホなこと考えてるんじゃない。こうしないと俺の顔が微妙に入らんだろうが」
奈々花の口から飛び出した意味不明な言葉。少し考えた後竜也は言葉の意図に気がついてしまい、頬を少々赤らめながら彼女の後頭部へと優しくチョップを入れる。
「いつっ、ごめんごめん」
その痛みで緊張が溶けたのか、そんなことあるわけないよねと思いながら奈々花は再び画面を見つめる。
「よかったらボタン押すよ?」
「おう、頼む」
そして、私がそれを求めるのはいけないことだよね。なんて内心で考えながら奈々花は笑顔を作りボタンを押した。
シャッターとフラッシュ、それから数秒待つと写真が生成され、取り出し口へと落ちてくる。それを掴んだ奈々花は、四分割ずつ、計八分割されたシールをじっくりと眺めつつ機械を後にした。
この間、奈々花はレーシングやガンシューティング、リズムゲーム等を手当たり次第楽しんだのだが、竜也はと言うと……娘に付き合うお父さんよろしく、完全に荷物持ちと化していた。
「よっしゃー! パーフェクトォ!」
そして今、奈々花が昔得意だったという懐かしのビデオゲーム、剛拳3のラスボスを彼女がパーフェクトで封殺したところだった。
因みに、この獅堂奈々花という少女、対戦になると性格が変わるらしく放送禁止レベルの暴言を無数に吐きだしながらプレイを続け、竜也をドン引きさせていた。
「どうよタッツー! 言ったとおり上手かったでしょ」
「お、おう。そうだな」
テーブル筐体備え付けの椅子から立ち上がると、奈々花は普段の喋り方に戻り笑顔でピースサインを作りだす。そんな変貌っぷりを見せつけられ、普段おとなしい彼女が何故ワルどもに馴染めていたのか、竜也はわかったような気がした。
「それで、もう三時なんだが。そろそろ買うもん買って戻らないとまずいんじゃないか?」
冬を越え、日の落ちる時間も遅くなり、まだ夕方とも言えない時間に竜也が何故こんな提案をしたのかというと、この後二人には行かなければならない場所があったからだ。実は、そこへの手土産を買いに来たというのが本来の目的であり、今まで奈々花はそれを後回しにし続けていたのである。
「え!? もうそんな時間! 楽しい時間ってほんと早いなぁ。まだタッツーと遊びたいのに」
「たまにでいいなら付き合ってやるから。今日は……」
今日はこれ以上豹変した奈々花を見たくない。とは言いだせない竜也であった。
「本当! 約束、約束だかんね!」
そんな彼の気持ちなど露も知らず、竜也の言葉に瞳を輝かせる奈々花はとことん素直な女の子だった。
「それじゃそれじゃ、最後にプリ撮ろう! プリ!」
「プリって……ずいぶん略すなお前」
また付き合ってやると言われたことがよほど嬉しかったのか、奈々花ははしゃぎながら複数並ぶ箱状の機械へと近づいていく。
プリントシール機。九十年代中期から存在する証明写真のシール版のようなものだ。操作は簡単で、数十種類存在するフレームの中から一つを選択して写真を撮る。これだけで撮ったものが複数のシールとして排出され、それを交換し合うという手軽さから女性を中心に一つのコミュニケーションツールとして画一された。
その後様々な機能が追加され、スタンプや落書きのできる機種、今やネットワークで管理しシールの代わりに直接携帯へデータを送るという安価なものまで存在するなど、長く慕われ続けるゲームセンターの看板タイトルの一つなのだ。
「何々、最近の若いもんは何でもかんでも略しおって。とか、そんなこと思ってるわけ?」
「いや、別にそういうわけじゃないんだが」
竜也の言い方が悪いのか、奈々花には呆れているように聞こえたのだろう。しかし、彼にそんなつもりは毛頭ない。若者の自由な発想に文句をつけるつもりなどさらさら無いのだ。
だが、奈々花の口からプリという言葉が出ると、ラブプリズンの隠語の一つにプリという名称が使われていることを思い出してしまい、その印象が竜也の心をかき乱してしまう。
「っと、時間がないんだろ。せっせと撮っちまおうぜ」
「なんかはぐらかされてる気もするけど。まっいっか」
ごまかされているような竜也の態度に不満を見せる奈々花であったが、二人で写真が撮れる喜びのほうが勝っているらしく、ウキウキ気分で竜也を引っ張りカラフルな箱へと入っていく。
「ほぉ、最近のはフレームを決めるだけじゃないんだな」
待ちきれないという様相の奈々花はすぐ様お金を投入し、細かな設定を決めていく。そんな彼女の手際の良さに竜也は目を見張る。
「最近のって……クレーンゲームの時といいタッツーオヤジ臭い」
「悪かったな。俺はもう十分、いい歳したおっさんだよ」
「もう、そんなに拗ねないでってば」
からかう奈々花に竜也は軽く反応したつもりなのだが、彼女にはそれが不機嫌そうに見えたようで、彼の腕をペチペチと叩きご機嫌を取ろうとする。叩かれている本人は決して怒っていないため、まーたスキンシップか程度にしか思っていないのだが。
「それにしても意外だな~。タッツーが誰かとプリ撮ったことあるなんて」
「ああ、まぁ、昔な」
「タッツーでも、人並みの青春してたんだね~」
「……殴るぞ」
「はい、暴力反対!」
こうして二人がじゃれ合う間も、奈々花はフレームやら何やらを模索し続け頭を捻らせる。
「ま、いろんな設定あるけどさ、やっぱり今日はそのままで撮ろ。思い出写真みたいなもんだしさ」
最終的に奈々花はちょっと可愛らしいフレームを選び、その他の設定をオフにしていった。
「なんだ。思い出なら余計に面白おかしくしたほうがいいんじゃないのか?」
「これは私とタッツーのプリなの。誰かわからないようなサギプリ撮ったってしょうがないじゃん」
画面に表示される説明を読み、様々なデコレーションができることを知った竜也はそう彼女に提案するが、過剰に装飾されたシールがサギプリと呼ばれていることを知り、そんなに変わるものなのかと竜也は内心苦笑いを浮かべる。そして、何気なく女は化粧で化けるという言葉を思い出し複雑な気持ちになった。
「それで、ポーズはどうするんだ?」
「それはもちろん」
そんな気持を誤魔化すように竜也は頭を掻きつつ奈々花へと言葉をかける。すると、彼女はいつもの場所、安定の竜也の左腕へと抱きつき、腕を絡めた。
「おいおい、そんな何時も通りでいいのかよ?」
「いいの。だって、ここが一番落ち着くんだもん。それに、私みたいな可愛い子に抱きついてもらえて、タッツーだってまんざらじゃないんでしょ?」
「……想像に任せる」
彼女の言う通り竜也もまんざらではない。まんざらではないのだが、それを素直に嬉しいと言えるほど彼はもう若くないのだ。とは言え、奈々花は彼の言葉を肯定と受け取ったらしく、嬉しそうに笑顔でシール機の画面を見つめ直す。
「それじゃあ撮るよ」
そう言って奈々花がボタンを押すと、機械の音声に従ってシャッター音とフラッシュが炊かれる。その後、別のポーズでもう一枚撮れるという旨を伝えるアナウンスが流れた。
「あ~、これ二枚撮れるタイプだっけ。う~ん、どうしようかな」
「それじゃあ、中腰になれ」
「え? う、うん」
珍しくキツめの命令口調で喋る竜也に奈々花は萎縮するも、黙って言われたとおりの体勢を取る。すると、竜也は突然奈々花の後ろへと回り込み、肩へと両手を軽く乗せた。
竜也自身は真剣に考えるあまりきつい口調になっただけであり、姿勢も高さの調整のためだったのだが。彼女はつい、少し前に仲間から見せてもらったエッチな本の内容を思い出し、いかがわしい行為のために立たれているかのような錯覚を覚え、思わず緊張に息を飲んでしまう。
「た、タッツー。こ、個室だからって、こんなところで始めたりしない、よね?」
「始める……って、アホなこと考えてるんじゃない。こうしないと俺の顔が微妙に入らんだろうが」
奈々花の口から飛び出した意味不明な言葉。少し考えた後竜也は言葉の意図に気がついてしまい、頬を少々赤らめながら彼女の後頭部へと優しくチョップを入れる。
「いつっ、ごめんごめん」
その痛みで緊張が溶けたのか、そんなことあるわけないよねと思いながら奈々花は再び画面を見つめる。
「よかったらボタン押すよ?」
「おう、頼む」
そして、私がそれを求めるのはいけないことだよね。なんて内心で考えながら奈々花は笑顔を作りボタンを押した。
シャッターとフラッシュ、それから数秒待つと写真が生成され、取り出し口へと落ちてくる。それを掴んだ奈々花は、四分割ずつ、計八分割されたシールをじっくりと眺めつつ機械を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる