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第十一話 墓参り
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イセリアでの買い物を終えた竜也達は電車に揺られて十五分、元来た駅である獅子上を越え松乃駅へとやってきていた。
そこから徒歩で戻ること十分、古ぼけた老舗の花屋で一束の花を購入し、双願寺という名の寺の門をくぐる。神主に挨拶をした二人は獅堂と名の書かれた桶に水を注ぎ、今日本来の目的の場所へと辿り着いた。
「お父さん、奈々花だよ。久しぶりだね……って、一ヶ月ぶりなんだけどさ」
獅堂修吾という名が彫られた墓石の前で軽く手を合わせた奈々花は、花瓶に突き立てられている枯れた花を綺麗なものへと取り替え、竜也にもあまり見せない柔和な笑顔を浮かべつつ隅から隅まで墓石を掃除する。
それが終わると、今度は白い紙袋から四角い箱を取り出し、中身が見えるように墓石の前へと丁寧に置いた。
「これ、お父さんが好きだったパウンドケーキ。ちょっと前にイセリアって所にお店ができてね、今日行ってきたの。出張があるといっつも買って来るぐらい大好きだったもんね。それと……今日はね、紹介したい人がいるの」
そう言いながら振り向いた奈々花に気づいた竜也は、戸惑いながらも墓石の前へと歩いていく。
「俺がここに来るのって、初めてだっけか?」
その問に、奈々花が一つ頷くと、竜也は軽く深呼吸をしてから墓標へ向けて一礼した。
「東雲竜也です。娘さんのお世話させていただいてます」
「タッツー、なんか他人行儀」
大人として当然の対応を取ったつもりの竜也であったが、仰々しい彼の態度に奈々花は何故か不満なようで、見上げる顔をほんの小さく膨らませている。
「なら、どうすりゃいいんだよ?」
「俺の可愛い彼女がいつもお世話になっております。とか」
「……修吾さん、奈々花どつきますけど、いいですよね?」
「ちょ! タッツー! たんま、たんま!」
奈々花いわく、今年度最高峰のボケを竜也は完全にスルーし、右手を高く振り上げた。しかし、彼も本気ではないため彼女へと振り下ろすことはせず、その腕をゆっくりと降ろしていく。そして、墓標の方へと向きながら買い物の理由を奈々花へと問いかけた。
「そういえば、それが今日の買い物の理由か?」
「……うん。このお菓子、お父さんが大好きだったんだ。出張したときはいつも買ってきてさ、私がまたそれなのって怒ると、美味しいだろって。あの時のお父さんほんとうに子供みたいなんだよ。だからさ、一回ぐらいは頑張って買いに行こうって思ってたんだけど、最近イセリアにも店舗ができたって聞いて、それでどうしても行きたかったの。たぶんこれが、最後のお墓参りだから」
竜也への説明を終えた奈々花は瞳を細め、うつむきかげんに下唇を噛みしめる。
「別に来れないってわけじゃないだろ?」
「でも、命日はこれが最後だよ。たぶん、たぶんね」
そんな彼女を心配した竜也のフォローも意味をなさず、奈々花は自嘲気味に笑ってみせる。何故これ程までに彼女が悲しむのか。その秘密は彼女の寿命にあった。
話はニヶ月前に遡る。二月五日、ラブプリズンの使用現場を抑えた竜也達は奈々花と出会い、彼は彼女に手錠をかけた。それから留置所に行くまでの間、彼女は彼の上着から一度も手を放すことはなく、捨てられた子犬のように震え続けた。
留置所に着いてからも彼女が離れる気配はなく、無理やり引き剥がそうとすればその人物へと噛みつき喉を鳴らして吠えると、動物さながらの行動を見せ彼女は竜也を困らせた。本来なら、麻酔を打ち込んで引き離すぐらいのことをするのだが、竜也はそれを拒否し二人で留置所へと入ることを決める。
それから二日間、薬を多量に摂取した影響なのか生まれたばかりの赤ん坊のようになってしまった彼女を、竜也は懐かしむように世話していく。そして、奈々花に身寄りが無いことを知った彼は自分が引き取るべきかと考え始めた。
そんな中訪れた二月八日。彼女が落ち着きを取り戻し、竜也から離れることを承諾したことで身体検査が始まった。その結果医者に宣告された言葉が、彼女はもって半年の命、ということだった。その言葉が、彼が奈々花を引き取る決め手となった。
これが、竜也が奈々花を大切にする理由の一端であり、だからこそ彼女には悲しんで欲しくない。短くも幸せで笑顔に満ちたこれからを送ってほしいと、彼は願う。であるからこそ、竜也はできるだけ真面目に彼女に接しようとするのである。
「月命日なら来月もあるだろ。そん時にまた来りゃいいさ」
「月命日って……タッツーがなんか大人っぽいこと言ってる」
「大人っぽいってお前なぁ。それに、常識の内だろこのぐらい」
そんな彼を小馬鹿にするような奈々花の態度にも、彼は軽く首を振るだけで肯定し彼女の頭を優しく撫でる。慈愛に満ちた竜也の手の平の感触に瞳を細める奈々花であったが、この少女がその程度でおとなしくなるようなことはなく、更に偉そうに言葉を並べていく。
「タッツー。常識常識って、自分の尺度で物事を図っちゃいけないんだよ。だからおじさんは頭が固いとか、老害ガーなんて言われるんだから。その片――」
だが、竜也も竜也でそんな彼女を無条件で受け入れてやれるほど人間ができているわけでなく、撫で回していた右手を軽く握りしめげんこつを作り、今度は怒りと共にそいつを奈々花のてっぺんへと叩き込んだ。
「それなら、屁理屈で物事を正当化しようとするのもやめような」
「痛い! 脳天ぐりぐりはほんと痛いからやめー」
あまりに態度が悪いと飛び出す竜也の必殺技、通称グリグリの刑を受けた奈々花は、つむじにかかる鋭い痛みに耐えきれずさっと身を交わし、涙目で竜也の顔を睨みつける。
「うぅ、たっつーひどい」
「ったく、酷いのはどっちだよ。全く、お前といると疲れるけど、ほんと飽きねぇわな」
奈々花と一緒に居ることを嫌がったり、呆れたり、怒ったり、何度となく異を唱る竜也であったが、これこそが彼の本心だった。
自分を救ってくれたのは竜也だと奈々花は思っているが、竜也もまた子供のような彼女の言動に救われている。形は違えども、竜也もまた奈々花と同じく、深い悲しみを忘れようとしていた人間なのだから。
しかし、素直に礼を述べるなど竜也に出来るわけがなく、こんなひねくれた言葉でさえ奈々花に聞こえないようにと最小限の大きさで呟くのだった。
だが、どれだけ小さかろうと竜也の言葉を聞き逃す奈々花ではない。当然もう一度、今度は大きな声で聞きたいと彼へと食らいついていく。
「ねぇ! 今なんて言ったの!」
「あっ? 別に何も言ってねえよ」
「言った、絶対に言った! 言わないならプリのこと稲美さんに」
自分にとって嬉しい言葉であることが分かっているからか、はぐらかす達也に対して奈々花もやけになってしまう。そして、二人の口論は毎度のごとくエスカレートを始めた。
「ほぅ、まだまだ俺のげんこつを食らい足りないらしいな。こっちはいつまででも構わないんだぞぉ」
「くっ、汚い。これだから大人は汚い!」
「何とでも言え。躾けるのも大人の義務だ」
「そんなこと言って、私のこと好き放題するんでしょ。エロ同人みたいに!」
「す・る・か」
ああ言えばこう言うと言った感じの子供の喧嘩が続く中、不意に奈々花の体に異変が現れた。
「むぅ、あの時みたいにもうちょっと乗ってきてくれてもいいん……は、はれ?」
ゲーセンの時とは打って変わって察しの悪い、いつも通りの彼の態度に不満を持った奈々花は父に同意を求めようと墓標へと振り向いた。その刹那、彼女の視界は激しく揺れ、体からは急速に力が抜け落ちていく。
反射的に踏ん張ろうと試みたものの、止めることはできず、ふらついた拍子に足元にあった大きな石に躓き、完全にバランスを崩した彼女の体は竜也の腕へと吸い込まれるように沈んでいった。
「お、おい? 奈々花!」
「ごめん、タッツー。なんか、ちから、ぬけ……」
「奈々花、しっかりしろ! おい! 奈々花、奈々花!!」
突然倒れ込んだ奈々花を受け止め、彼女の体を揺さぶりながら竜也は心配そうに声をかける。そんな彼の声に耳を傾けながら、彼女の意識は暗い闇へと落ちていった。
そこから徒歩で戻ること十分、古ぼけた老舗の花屋で一束の花を購入し、双願寺という名の寺の門をくぐる。神主に挨拶をした二人は獅堂と名の書かれた桶に水を注ぎ、今日本来の目的の場所へと辿り着いた。
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その問に、奈々花が一つ頷くと、竜也は軽く深呼吸をしてから墓標へ向けて一礼した。
「東雲竜也です。娘さんのお世話させていただいてます」
「タッツー、なんか他人行儀」
大人として当然の対応を取ったつもりの竜也であったが、仰々しい彼の態度に奈々花は何故か不満なようで、見上げる顔をほんの小さく膨らませている。
「なら、どうすりゃいいんだよ?」
「俺の可愛い彼女がいつもお世話になっております。とか」
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「ちょ! タッツー! たんま、たんま!」
奈々花いわく、今年度最高峰のボケを竜也は完全にスルーし、右手を高く振り上げた。しかし、彼も本気ではないため彼女へと振り下ろすことはせず、その腕をゆっくりと降ろしていく。そして、墓標の方へと向きながら買い物の理由を奈々花へと問いかけた。
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「……うん。このお菓子、お父さんが大好きだったんだ。出張したときはいつも買ってきてさ、私がまたそれなのって怒ると、美味しいだろって。あの時のお父さんほんとうに子供みたいなんだよ。だからさ、一回ぐらいは頑張って買いに行こうって思ってたんだけど、最近イセリアにも店舗ができたって聞いて、それでどうしても行きたかったの。たぶんこれが、最後のお墓参りだから」
竜也への説明を終えた奈々花は瞳を細め、うつむきかげんに下唇を噛みしめる。
「別に来れないってわけじゃないだろ?」
「でも、命日はこれが最後だよ。たぶん、たぶんね」
そんな彼女を心配した竜也のフォローも意味をなさず、奈々花は自嘲気味に笑ってみせる。何故これ程までに彼女が悲しむのか。その秘密は彼女の寿命にあった。
話はニヶ月前に遡る。二月五日、ラブプリズンの使用現場を抑えた竜也達は奈々花と出会い、彼は彼女に手錠をかけた。それから留置所に行くまでの間、彼女は彼の上着から一度も手を放すことはなく、捨てられた子犬のように震え続けた。
留置所に着いてからも彼女が離れる気配はなく、無理やり引き剥がそうとすればその人物へと噛みつき喉を鳴らして吠えると、動物さながらの行動を見せ彼女は竜也を困らせた。本来なら、麻酔を打ち込んで引き離すぐらいのことをするのだが、竜也はそれを拒否し二人で留置所へと入ることを決める。
それから二日間、薬を多量に摂取した影響なのか生まれたばかりの赤ん坊のようになってしまった彼女を、竜也は懐かしむように世話していく。そして、奈々花に身寄りが無いことを知った彼は自分が引き取るべきかと考え始めた。
そんな中訪れた二月八日。彼女が落ち着きを取り戻し、竜也から離れることを承諾したことで身体検査が始まった。その結果医者に宣告された言葉が、彼女はもって半年の命、ということだった。その言葉が、彼が奈々花を引き取る決め手となった。
これが、竜也が奈々花を大切にする理由の一端であり、だからこそ彼女には悲しんで欲しくない。短くも幸せで笑顔に満ちたこれからを送ってほしいと、彼は願う。であるからこそ、竜也はできるだけ真面目に彼女に接しようとするのである。
「月命日なら来月もあるだろ。そん時にまた来りゃいいさ」
「月命日って……タッツーがなんか大人っぽいこと言ってる」
「大人っぽいってお前なぁ。それに、常識の内だろこのぐらい」
そんな彼を小馬鹿にするような奈々花の態度にも、彼は軽く首を振るだけで肯定し彼女の頭を優しく撫でる。慈愛に満ちた竜也の手の平の感触に瞳を細める奈々花であったが、この少女がその程度でおとなしくなるようなことはなく、更に偉そうに言葉を並べていく。
「タッツー。常識常識って、自分の尺度で物事を図っちゃいけないんだよ。だからおじさんは頭が固いとか、老害ガーなんて言われるんだから。その片――」
だが、竜也も竜也でそんな彼女を無条件で受け入れてやれるほど人間ができているわけでなく、撫で回していた右手を軽く握りしめげんこつを作り、今度は怒りと共にそいつを奈々花のてっぺんへと叩き込んだ。
「それなら、屁理屈で物事を正当化しようとするのもやめような」
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あまりに態度が悪いと飛び出す竜也の必殺技、通称グリグリの刑を受けた奈々花は、つむじにかかる鋭い痛みに耐えきれずさっと身を交わし、涙目で竜也の顔を睨みつける。
「うぅ、たっつーひどい」
「ったく、酷いのはどっちだよ。全く、お前といると疲れるけど、ほんと飽きねぇわな」
奈々花と一緒に居ることを嫌がったり、呆れたり、怒ったり、何度となく異を唱る竜也であったが、これこそが彼の本心だった。
自分を救ってくれたのは竜也だと奈々花は思っているが、竜也もまた子供のような彼女の言動に救われている。形は違えども、竜也もまた奈々花と同じく、深い悲しみを忘れようとしていた人間なのだから。
しかし、素直に礼を述べるなど竜也に出来るわけがなく、こんなひねくれた言葉でさえ奈々花に聞こえないようにと最小限の大きさで呟くのだった。
だが、どれだけ小さかろうと竜也の言葉を聞き逃す奈々花ではない。当然もう一度、今度は大きな声で聞きたいと彼へと食らいついていく。
「ねぇ! 今なんて言ったの!」
「あっ? 別に何も言ってねえよ」
「言った、絶対に言った! 言わないならプリのこと稲美さんに」
自分にとって嬉しい言葉であることが分かっているからか、はぐらかす達也に対して奈々花もやけになってしまう。そして、二人の口論は毎度のごとくエスカレートを始めた。
「ほぅ、まだまだ俺のげんこつを食らい足りないらしいな。こっちはいつまででも構わないんだぞぉ」
「くっ、汚い。これだから大人は汚い!」
「何とでも言え。躾けるのも大人の義務だ」
「そんなこと言って、私のこと好き放題するんでしょ。エロ同人みたいに!」
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ああ言えばこう言うと言った感じの子供の喧嘩が続く中、不意に奈々花の体に異変が現れた。
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反射的に踏ん張ろうと試みたものの、止めることはできず、ふらついた拍子に足元にあった大きな石に躓き、完全にバランスを崩した彼女の体は竜也の腕へと吸い込まれるように沈んでいった。
「お、おい? 奈々花!」
「ごめん、タッツー。なんか、ちから、ぬけ……」
「奈々花、しっかりしろ! おい! 奈々花、奈々花!!」
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※もちろんフィクションです。
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