“新しい主”が、私を欲しがる夜

nana

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【第32話】 「“誰かに見られてる”と思うだけで、もっと素直になれた」

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「来週、うちの友達が泊まりに来るねん」

夕飯のあと、彼女が突然そう言った。

「ミオもおるって言うてある。
 でも、“どういう関係か”は、まだ言ってない」

私は一瞬、箸を止めた。
でも何も聞き返さなかった。

「ふふ、いい子」
彼女は笑って続けた。

「せやから──来週、“人に見られながら”従ってもらうで?」

その週は、ずっと身体のどこかが緊張していた。
見られる。
命令される。
でも、反論も説明もできない立場。

“誰かに見せられる自分”のために、
私は自分の肌や仕草すら意識して過ごしていた。

当日、やってきたのは彼女の同僚という女性。
サバサバした雰囲気で、ミオの存在にも驚いた様子はなかった。

「へー、この子がミオちゃん?」
「なんか、すごい“空気”あるなあ」

「喋らへんねんな?」
「へぇ……いいね、こういうの」

夜。
3人でお酒を飲んだあと、
彼女が何気ない調子で言った。

「ミオ、ちょっとこっち来て」
「“あの座り方”、できる?」

私はうなずき、言われた通りの姿勢をとった。

膝を折り、背筋を伸ばして、
胸元のボタンをひとつだけ外す。

彼女の同僚は、少しだけ目を見開いた。

「うわ……ほんまに、するんや」
「なんか、綺麗すぎて逆にエロいっていうか……」

彼女は笑って言った。

「そうやろ?
 “命令を命令として受けとる女”って、
 見られるために仕上がっていくねん」

私はその会話を聞きながら、
ただ黙って座っていた。

でも、“見られている”という感覚が、
呼吸よりも確かな実感として身体を満たしていた。

彼女が、ワイングラスを持ったまま囁いた。

「なあ、次──“音”出さずに、脚、ひらいてみて」

私は頷いた。
言葉が要らないことに、もう迷いはなかった。

ゆっくりと、脚を開いていく。
視線を感じながら、でも目は合わせない。
その中途半端な“晒され感”が、
たまらなく、心を潤していく。

「この子、“自分がどう見られてるか”でイくタイプやねん」
「ほんまに、正直な身体してる」

彼女の声に、私はまた脚を揃えながら、
心の奥で震えていた。

人前で命令を受けたこと。
 見られながら従ったこと。
 何より、自分が“それを望んでいた”こと。

それを、見抜かれていた。

その夜、布団の中で彼女が私に言った。

「ミオ、明日からもっと可愛くなるで」
「“人に見られた女”は、
 知らんうちに仕草がエロくなるから」

私は声を出さず、そっと頷いた。

見せられたことが、
私の中の“人間性”をまた一つ脱がせた気がした。

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