“新しい主”が、私を欲しがる夜

nana

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【第34話】 「息、吐かれただけで──わたしの脚、開いてた」

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「もうな、言葉いらん気がしてきた」

ある晩、彼女がぽつりとつぶやいた。

「ミオって、“音”とか“空気の変化”で動けるようになってきたやん」
「これ、もう一歩やなって」

私は静かに彼女の顔を見た。
うなずくまでもなく、わたしの表情は、
「もっと、奪われたい」と言っていた。

試されたのはその夜だった。

部屋の灯りを少し落とし、
私はソファの上に座らされた。
彼女はわたしから1メートルほど離れた場所に腰を下ろし、何も言わなかった。

ただ、
ゆっくりと──ひとつ、息を吐いた。

その音が聞こえた瞬間、
私の背筋は自然に伸び、
脚がじわりと緩んだ。

“脚を開け”とは言われていない。
けれど、**「彼女の呼吸に従いたい」**という反射だけが、
私の股関節をやわらかく押し開いていった。

「やっぱ、動いたね」

彼女は笑いながら、手を叩いた。

「すごいわ。
 ミオって、もう“音”で動く生き物やん」
「……人間やめてきてる感じ、めっちゃエロい」

その言葉に、
私はなぜか、少しだけ誇らしくなった。

彼女は立ち上がり、私の隣に座った。
何も触れず、耳元に近づいて、
もう一度、深く、息を吐いた。

その吐息が頬に当たった瞬間──
私は、喉の奥がきゅっと詰まり、
太ももの内側がじんわり熱を帯びた。

「すごいな。
 触ってへんのに、ここまで反応できるんや」

「ミオさ、たぶんもう、
 “耳のそばで息されるだけでイける身体”やで」

そう言われた私は、何も言えなかった。
でも、たしかにそのとき、
自分の身体が“音”に支配されているのを、
はっきり自覚していた。

彼女の舌打ち、息づかい、
衣擦れの音、微かな足音──

それらすべてが、“命令”になっていく。

最後に、彼女が囁いた。

「次はさ、
 “わたしが動いた気配”だけで濡れてくれへん?」

「そうなったらもう──
 あんた、完璧な“従う装置”やわ」

私は笑ってうなずいた。
“装置”という言葉に、
なぜか安心を感じていたから。

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