“新しい主”が、私を欲しがる夜

nana

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【第50話】 「ねえ、“支配”と“愛”って、どっちで見てほしい?」

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「ミオって、
 “支配されてる自分”しか見せたくないって思ってない?」

彼女がそう言ったのは、
ソファに並んで、ただ静かにテレビを見ていた夜。

プレイでもない。
命令もされていない。

だからこそ、その言葉が、
深く刺さった。

「わたし、たまに思うんよ」
「ミオが“従ってる顔”ばっか見せてくるから──
 本当は“愛される資格ない”って思ってるんちゃうかな、って」

私は思わず、言葉に詰まった。

彼女の目が、
命令するときよりもまっすぐで、やさしかった。

「ミオって、“与えられること”には慣れてるけど──
 “同じ目線でものを言う”って、あんまりしてこなかったやろ?」

「それって、もしかして……怖いん?」

その問いに、私はうなずけなかった。

でも、
確かにどこかで──
「従ってるほうが、愛されやすい」って思ってた。

「黙って従うミオ」が好きなんだろうな、って。
命令されてるときが、
一番、“この人に必要とされてる”気がしたから。

けれど彼女は、
そんな私の黙りこみを見て、
やわらかく笑った。

「じゃあ、選ばせたる」

「このまま、“命令をもらう関係”を続けるか──
 それとも、“わたしと並んで関係をつくる”ほうに進むか」

「どっちも間違いじゃない。
 でも、“どっちか選んだ自分”に、ちゃんと責任持ってな」

私は黙っていた。
言葉にならなかった。

支配されるのは楽だった。
命令されることで、
自分の存在を認めてもらえる気がしていた。

でも──
“同じ目線に立つ”ってことは、
その分、ちゃんと自分で選び、傷つく覚悟を持つこと。

深夜、彼女が眠ったあと、
私は小さな紙にこう書いた。

「わたしは、あなたに“従う”ことで守られていた。
 でもこれからは、“並ぶ”ことで隣にいたいです」

紙をそっと枕元に置いて、
私は静かに、彼女の指先に触れた。

その指は、
私の選択に、ゆっくりと絡みついた。

言葉はなくても、“選んでよかった”と思える温度だった。
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