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本編
風車が回るグルグルと*
しおりを挟むポネル爺さんが噎び泣いている頃、スカイはノエリオの部屋にいた。
ノエリオがここ苔庭のイタチ亭で世話になり始めた時から使わせてもらっている私室だ。
ここには寝に帰ってくる穴倉のようなものだから、小さなチェストと椅子とテーブル、それからベッドしかない。
壁際のハンガー掛けにコートが掛けてあり、その横に小さな風景画を飾っているのが唯一のお洒落だった。
風景画は晴れた空に風車が回る春の光景である。
殺風景な部屋に、ノエリオのいつもの天真爛漫さは窺えない。
あんなに明るく誰にも懐くノエリオは、自分の部屋を飾ることには無頓着らしいのだ。
スカイはノエリオの別面を知れたことに小さな喜びを感じ、これからはこの風景画のような場所へ一緒に出掛けるのもいいかもしれないと思った。
ベッドに寝るノエリオを見やる。
スカイは椅子を引き寄せてベッドサイドで腰かけていた。
魔力の暴走で熱を出して倒れたノエリオの顔は頬に赤みが差し触れても熱いくらいだ。ポネルの言った通り、熱を下げる為に氷枕を首元に、氷嚢を額に乗せていた。
冷やし始めたら乱れていた呼吸が落ち着いて、ノエリオはもぞもぞ動き出し寝返りを打った。このまま寝入るつもりだろうか。スカイはお休みを言おうとノエリオのふにふにほっぺに手を添え、徐々に耳元へ口を近づけていく。
その時だった。ぱちり。ノエリオの瞳が開いた。
ノエリオが最初に感じたのは己の兎耳を優しく撫でる感触だ。この温もりは知っている。いつものスカイの手だ。そう思うと心がホッとした。
「スカイ…」
兎耳の先端は冷たい。けれどスカイの手が撫でてくれる度に冷えていた耳朶に温もりの陽が灯る。
「…スカイ」
何度も名前を呼ぶだけのノエリオに、お休み前の行動を一旦キャンセルし、耳元ではなく口元へと…。
二人はキスをした。
ちゅっ、ちゅと軽いものから始まって、次第に深く吸いつくような口付けに変わっていく。いつもならここでやめるという時点を通り越し、舌先は更に口中を滑る。
「はみゅ…ン、ん」
歯列や舌の根までやわやわと舌先で擦ってくるスカイの舌技を、ノエリオは懸命に受け止めた。とても気持ちがいい。口の中にも性感帯があるのだ。背筋をぞくぞくさせて、ノエリオは腕を上げスカイの首に巻き付けた。放したくない。
尚も、くちゅくちゅ音が漏れるくらいの深いキスが続く。
口の端から涎が垂れてしまっても、少し離れてお互いの瞳がバッチリ合っても、次の瞬間にはまた唇を重ねていた。
(ずっとこうしてたい。気持ち良くて、蕩けそうなんだぞ。スカイ、好き)
そんな思いしか抱かないくらいノエリオは熱に浮かされていた。これは魔力が暴走して発生した熱の影響もあるだろうか。けれど、徐々に腹の底から湧き上がってくるような快感は、明らかに魔力とは違うものだ。
(好き、好き、好き)
という想いに、ノエリオは完全に囚われていた。だからなのか、スカイの肩に回した腕を動かして彼の髪を撫で梳く。頭頂でピンと張った猫耳にも触る。己の兎耳にいつもされるようなことを、スカイの猫耳にも、してやるんだぞーとばかりに指先を動かした。
「……はふ…ん、」
スカイが身を起こして離れることで、キスは終わりを告げる。
逆にノエリオはベッドに寝転んで、物欲しそうな瞳でスカイを見上げていた。
「言っておく。もう自重しねえ」
スカイの猫目がギラついた。そこには欲望の炎が映っている。炎など、この部屋にはないのに。
スカイが見下ろす先には白兎。頬を染め、長いキスを終えて少しだけ息の乱れている熟れて美味しそうな白兎である。
「え。我慢してたのか…?」
「当たり前だ。お前、こういう経験したことないだろ?」
童貞で処女な白兎なはずだと重ねて言う。
「うー…だって、じー様がこういうことは好きなやつとやれって」
更に初めては大事にとっておけとか、聖なる処女とか、処女尊いとかまで吹き込まれていたノエリオ。
ポネルの乙女チック思考回路どうなってんだと思わないでもないが、確かに純真無垢で穢れなき白兎を目の当たりにしているスカイにとっては、じー様よくやったと褒めてやりたい気分だ。
「俺は初心者と子供には優しいやつなんだよ」
妙な主張をしているとスカイ自身で自覚はあったが、訂正もせず目の前の兎の服を脱がすことしか考えなかった。
バリタチ猫なもので。兎を食うことしか考えれないのだ。
一方のノエリオは、こういう雰囲気になったことに初めてながらも動揺はなかった。些細なことにもビクつける白兎メンタルではあるものの、魔力が昂って暴走した所為もあり、全身が高揚して落ち着かない今なら初体験を済ませたい覚悟だ。
何より、目の前のスカイが美味しそうに見えるから…。
じー様の言いつけも守りつつ、好きな人と肌を合わせれるのは幸せだと思う。
真っ裸の、産まれたて白兎の姿にされて、ノエリオは恥ずかしそうにベッドへ寝そべる。
スカイも服を全部脱いでベッドへと乗り上げる。
硬すぎもせず、柔らかすぎもしない丁度良い塩梅のベッドは、妙なスプリングも利いていないので二人分の体重を受け止め適度に沈む。
お互いの肌を擦り合わせた。
時折にちゅ、ちゅ、とバードキスを繰り返し、手を絡め、肌と肌をくっつけお互いのウィークポイントをいじり合う。
獣人である二人は獣耳や尻尾の付根なんかも感じるポイントだ。お互いに弱い箇所は把握していた。これは普段のじゃれ合いから学んだことだ。伊達にホールでくっつく前からいちゃついていないのだ。
こうやって触れ合っていると、昂って、じんじんするのは下半身ばかり。血流が人体の中心点へと集まり、腰が異様に重く熱くなってくる。
「ピノ…ピノ…」
スカイの呼ばう声が一等好きなノエリオは、垂れた兎耳をぴくぴくふるふるさせて「スカイ、好き」と告げた。
一度「好き」と言葉にしたら、胸に秘めていた想いが溢れ出てきたようだ。
胸が切なく焦がれて、「好き、好き」を繰り返す。
スカイも愛の言葉を返してくれた気がするのだが…。
お互い擦って扱き合わせたモノが暴発した時のことだったので、なんだか遠くに聞こえた気がして…。
勿体無い。ちゃんと聞けなかったんだぞ。今度はもっと耳元で囁いて欲しいとスカイへと抱きつくのだけれど、スカイの手はノエリオの股間にあって、そこの急所をまだ掴んでいる。
「はぁん…」
吐き出したばかりのそれは濡れそぼり、随分と色気が増していた。
ノエリオの兎口からも艶めかしい吐息が漏れる。吐息はスカイの猫耳に届いて鼓膜を揺らす。
「ぴゃ…っ、そこは…」
脚の付け根の奥、ノエリオの窄まりにスカイの指が入る。一度出した液体を塗り付け、何度もプッシュして綻ばせた後、指先がそっと侵入を果たしたそこ。
「痛いか?」
第一関節しか埋めてないのに、ノエリオを眉を寄せて苦しそうな顔をする。
「ピリッときたぁ…」
最初の抉じ開けで窄まりの襞がピリピリ痛んだ。スカイの指は、ゆっくりと、だが確実に初めての孔を広げていく。
「ぅー…」
ノエリオは小さく唸ってから、魔法を使った。
たった一本の指でこんなにお尻が痛いなら、スカイのを受け入れるなんて到底無理だ。だから、苦痛を和らげる魔法だ。
「っは、あぅん…」
「急に柔らかくなったな…濡れてるし」
スカイの人差し指が、ズボッと全部入った。急にぬかるんで滑った形だ。そのまま指を回せば、くちゅゅっと淫猥な音が鳴る。
「んああ…」
「濡れまくり…いやらしいピノ」
「やらしく、なんか…ぁ、ン」
いけると判断したスカイは中指も足して二本の指でノエリオのなかを掻き混ぜた。ぐちゅぐちゅ音が大きくなった。
ノエリオは膝立ちでスカイの金髪頭にへばりついている。腰に甘い痺れが走った。雄根を扱くのと違う快感に襲われ戸惑う。拠り処を求めて腕は勝手にスカイの頭を抱き込んで、猫耳をハムハムした。歯を立てないよう、唇の間に挟む。
「はむ…んっ、んあ、ぁー」
せっかく猫耳咥えたのに、スカイがなかの敏感なところをつつくから口を離してしまった。代わりに飛び出たのは意図しない叫びだった。
「あぁぁ…!」一緒に腰も揺れてしまう。
(なにこの感覚…初めてなんだぞ)
スカイの指がそこを突っつく度に強い刺激が生まれる。その刺激はノエリオの兎体中に波紋を広げてゆく。
脳まで達した刺激の波紋。どうやらそれをノエリオは「変、変なきもちんなりゅぅぅ」という言葉に変換したようだ。
「ピノ、変じゃない。気持ちいい、だ。気持ち良くて、ほら、お前の耳も揺れてる」
初めての感覚を奇妙に思い頭を振っていたから、連動して兎耳だって揺れるだろう。
兎耳を捕まえられる。
「ぴあ」
「何だその声。ピノほんと可愛いな」
揺れる兎耳を捕まえたスカイの本能は猫だ。そこに揺れるものがあったから掴んだまでだ。そして面白い鳴き声が聞けた。
この恋人は可愛すぎではないか────。
スカイの男心を無邪気につついてくるノエリオをベッドへと、再び沈める。押し倒して、股を広げさせ、もう一度中の具合を指つっこんで確認してから「俺の入れていいか?」と訊く。
合体前にわざわざ訊ねたのは初めての経験だ。それだけノエリオのことを大切に想い、傷つけたくないのだろう。ノエリオに出会ってからというもの、己の心境は変化しっ放しだ。これまでの価値観を塗り替えられたというべきか…しかしそれが不快ではない。むしろ高揚して自重するのが難しい。
うん、だから、兎食われろ俺に────。
なかなか自分勝手な想いを心中に描きながら、スカイはぬかるんで指先まで心地良い孔を解した。
「ん…顔みせて。スカイの顔みながら、したいんだぞ」
孔を解す間うつ伏せにもして顔を合わせないでいたからか、ノエリオの要求は恋人として嬉しいものだった。真正面から見つめ合ってから、合体する。
「ひゃ───あッ」
這入ってくる衝撃に押されて声が飛び出た。痛くない。むしろするっと、ぬるるっと這い上がってくるスカイの逸物をあっさり飲み込んでしまい、ノエリオは結合部を見やった。
(ふおおお繋がってるんだぞ)
自ら股を開いたそこにスカイは陣取り、さっきの扱き合いでも見た立派な一物さんが己の体に埋まっている。なんだか感動して既に涙が出そうだ。
ちなみにだが猫獣人のアレは棘があるとか、逆さ棘で引っ掛けて中がズタズタになるとか、そんな恐ろしいことは、ない。
「ちょいと置いておこうぜ。なーに、大丈夫だ。萎えねえよ。ピノを食ってれば、いくらでも勃つ」
そう言って黒猫は白兎をぺろぺろしだした。ブツをナカに突っ込んだままの所業である。
額を、米神を、頬を、鼻の頭もぺろぺろ。耳だって首筋だって、項の匂いをクンクンしながらも、スカイはノエリオの至る所を舐め回した。
「──っひ、にゃ、」
胸の突起を摘まんだら聞こえた声。
特にこれまで触っていなかったけれど、赤く熟れた木の実のように尖っていたから、ついそこを摘まんで啄んだ。唇で食んでは舌先でも舐めてあげると、ノエリオは「ぴぃー!」なんて謎の声まで出す。
「ぴーて鳥かよ。感じてるにしたって、おかしな声だなあ…まじでお前、可愛いからさ、もお、感じるままに声出せよ」
スカイ、ノエリオの鳴き声シリーズに御満悦である。喉をグルグル鳴らした。猫だけに。
「ふぎゅ…俺、食われて、る…?」
機嫌の良い喉グルグルだけれど、やってることは乳首をしゃぶって涎でべとべとにする行為である。指で乳首を挟み、キュッキュと摘まむ行為もやめない。
「ひゃん、ふええ…むねんとこばっかぁ」
普段特に触るわけでもなく気にもしてなかった胸の突起物を、スカイは喉を鳴らして弄り遊ぶ。
ノエリオはぴいぴい啼いて善がっていた。
胸の刺激も初めての感覚だった、これも変な気持ちになると言ったら「気持ちいい、だろうが」と、更に乳首をいじめられて「ふやぁぁきもちいひ…っ」体に教え込まれていく。
素直なノエリオの反応に、ますます気を良くするスカイ。グルグル鳴る喉のご機嫌は上昇しっ放しだ。
思わず下半身を前後に動かしてしまう。
「はう、あうぅ」
「たまんねえ、ピノ」
こじ開けられたばかりの隘路に猫の欲望が打ちつけられていく。兎は初めての行為と刺激に体中がビクつくのを止められない。どこにどう、この性感刺激を逃していいか分からず、翻弄されたままだ。
彷徨うノエリオの腕をスカイの手が掴んでベッドに押し付ける。完全に組伏して、腰を振りたくっていた。
「あ、ん、んあっく、んふ…っ」
首を振って腰が動きそうになるところで、スカイが体全体を使って抑え込んでくるから穿たれる衝撃は全部ノエリオの中に響いて、弾けた。
これが獣の本能なのか────。
怖いと思う暇もなく、ノエリオはいいように貪られてる感覚に陶酔していた。
魔力暴走のおかげで浮かれた熱を、更に性欲で埋め直されて、猫の思うままに体を貪られる兎。
ベッドも揺れてシーツの皺がどんどん増えていく。
結合部から魔法で潤した液体が溢れ、股間部をべとべとに汚していく。
ノエリオの性器は初めての刺激に興奮色を隠せなかった。先走りに濡れ、穿たれる衝撃で揺れる様が、右往左往しているみたいだ。
「…はぁ、ピノ、ピノ…っ」
ノエリオの太腿を掴んで持ち上げ、腰を浮かせてまで容赦なく奥を貫こうとするスカイ。
欲望にギラついた猫瞳と目が合って、滴り落ちてくる汗も見つけて、ノエリオは「ふへへ」と笑った。
スカイのことを完全に信用している顔だった。
「スカイ好きぃ」
へろへろ笑って好きとしか告げないノエリオの頬にスカイは口付けを贈る。兎の頬は涙に濡れていた。涙が這った跡を猫舌が辿る。
「ばかピノ。俺の方が、めちゃくちゃ愛してる」
今度こそ聞こえたスカイからの愛の言葉に、ノエリオは感極まった顔で泣いた。
「うえぇぇんん」
「何で泣くんだよ。愛してるって言ってんのに」
泣きまくって垂れてくる鼻水すら拭わず、ノエリオはしばらく泣き通しになる。
やがて、鼻をぐしぐししたと思ったら、瞳を閉じて寝そうになった。
「おい寝るな。入ったままだっつーの」
「ひゃい?!」
腰動かしたら起きて助かった。結合部分からまた液体が伝う。きちんとまだ濡れている。この魔法の持続時間長げーなとはスカイの心の声。
「俺だけ気持ち良くなってもしょうがねえんだよ。お前も、ちゃんとイけ」
「んにゃぁぁちんちん、ちんちんがっ、出ちゃうぅぅ」
男性器を扱かれ射精感が高まったところで孔の中のブツも動き出した。ノエリオは最初の挿入よりも気持ち良く感じて、「ああん、あーーっ」と、スカイに縋りついた。スカイもノエリオの体を抱き込み、激しく腰を振り出す。
「ふあふっ、ん、スカイ、こあい、なんか、くる…!」
「イきそうなら、言え、一緒にイこう」
体の芯から熱かった。熱くて、でろでろに渦巻いている何かを解放したくて、それが二人一緒なら、すごくいいなんてノエリオは頭の片隅で思考し、スカイの背中にギッと爪を立てた。
逃しきれない何かが勝手に爆発して…。
「アーーッ」
兎の悲鳴は短かった。途中で猫が口を口で塞いだから。
口を吸い合いながら二人一緒に登った性の頂から、クルクル回る風車を見た気がした。
ノエリオのものはスカイの腹を直撃し飛沫を蒔き散らかす。重力に負けて落ちたものは白い溜まりをつくった。
スカイは一旦引っこ抜こうとしたが、ノエリオの足が腰に絡んで、これは後からノエリオが発した言葉であるが「だいしゅきホールドだぞ」ってのをしてきた為にノエリオの中で暴発した。
不可抗力だとスカイはこれまた後で主張する。
今は中出しの余韻に浸って、可愛くもあざとい白兎にキスの雨を降らすしかない。
「えへへ」と白兎は嬉しそうに笑っていた。
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