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旦那様とフレデリク様はどの姿勢をとれば乳房以外をあまり触れずにわたくしの乳首を口に含めるか話し合っていられます。立場あるお二人が真剣に母乳を口にする為の相談をするのは見ているだけなら滑稽です。吸われる立場がわたくしでなければ。

そして、お二人の話し合いは無事に終了してしまい、旦那様は乳首を口に含もうとしています。
「兄上、食べ物を口に入れるつもりで。」
どういうアドバイスなのでしょう、フレデリク様は旦那様にお声を掛けました。

「あっんんん、旦那様、噛まないで下さいまし。」
「兄上、乳首は吸うだけです。スティナは赤子でまだ歯なんて生えていないでしょう。」
フレデリク様のアドバイスがいけなかったのです。食べ物なんておっしゃるから、旦那様は歯を使ったのではないでしょうか。

「気が付かなかった。すまない、ラケル。」
旦那様は噛むのを直ぐに止め、謝って下さいました。出来ればお乳を吸うこと自体止めてもらいたいところです。
ですが、わたくしのそんな願いも虚しく、旦那様は再び乳首を口に含みました。今度は歯は立てず、吸い付くだけです。黒い手袋を着けた旦那様の指が乳房に食い込む様が何とも言えません。

フレデリク様が心配されていた過呼吸などの体調の変化は旦那様に起きませんでした。それどころか、旦那様は右も左も満遍なくお乳を吸いました。

「兄上、どうでしたか。」
「不思議な経験だった。」
不思議なのはお二人です。

「兄上は口でならば、ラケル様の素肌に触れることが出来るのかもしれませんね。まあ、まだ乳首や乳輪付近でしょうが。」
フレデリク様はお医者様としての見解を述べました。旦那様も真剣なお顔で頷いていらっしゃいます。

「どうでしょう、これからも続けてみては。」
口調は提案ですが、これはもう決定事項ですね。わたくしは学習済みです。旦那様が吸ってしまったらスティナの分が減ってしまうなどと言って否定しようとすれば、マッサージ以外の特別な方法をフレデリク様に提示されてしまうかもしれません。ここは粛々と受け入れるしかないのです。不本意ですが。

でも、まだ学習不足でした。

「スティナの為に兄上もラケル様のおっぱいをマッサージしてみたらいかがですか。どんどん慣らして、いつか大丈夫と思えたら素手で触れてみて下さい。」
わたしが言おうと言わなかろうと、フレデリク様の脳内ではシナリオが出来上がっていました。

「スティナの分をわたしが新たに促さないとな。フレデリク、急で悪いが教えてくれ。」
潔癖症の旦那様がどうしてそんなにやる気を出しているのでしょうか。そして、なぜ二人はわたしに何も尋ねずことを進めるのか不思議でなりません。
決定事項だからでしょうね…。

「ラケル様、では僕は後ろにまわり兄上に手の動きを見せます。兄上は正面から見ていて下さい。」
今までは、フレデリク様に乳房を端から乳首に向かってマッサージされた時にこんな気持ちになったことはありませんでした。でも、正面からそれを旦那様に凝視されていると何だか変な気分になってしまいます。つい、はしたない声をあげてしまいました。

「どうしたんですか、ラケル様。」
義理の弟は意地悪でした。質問と同時に乳首を軽く押し潰したのです。

「あっ、んん、」
わたくしの声と同時に、お乳がぴゅっと旦那様に向かって飛んでいきました。

「兄上、ラケル様はおっぱいマッサージで快楽を得てしまったようですよ。掛かってしまいましたが、大丈夫ですか。先ほど飲んだものと同じですから、気分が悪くなるようなことはないですよね。」
「ああ…」
「ラケル様、今はまだ我慢して下さいね。もう少ししたら、また兄上のおいしいちんぽをメス穴で咥えられるようになりますから。」
わたくしは自己暗示をかけます。フレデリク様はお医者様。発言はいつから性交を再開していいかのアドバイスだと。

旦那様とスティナが母乳を共有するようになって四ヶ月。実は既に旦那様とは性交を再開させております。しかも、フレデリク様が控えることなく。
けれども、フレデリク様が全くこちらにお越しにならなくなったわけではございません。
そして、今日もお越しになり、今、爆弾発言をなさりました。騎士である恋人と夜逃げをするとかそういう発言ではございません。

「母乳はいつまでも出るわけではありません。」
「そうなのか、」
当然のことを言ったに過ぎないフレデリク様に、悲壮感を漂わせる旦那様。もう、わたくしは何と言ったらいいのやら。いつまでも母乳が出続ける乳房をわたくしが持っていたら、どこかの国に永久乳母として連れ去られてしまうかもしれません。もしくは研究対象として。第一、出産を終えた方々がお胸に自然に出てしまうお乳を吸収させる布を着けて夜会に出席しているところなど見たことはないでしょうに。

「母乳は尽きても、ラケル様の蜜は刺激を与える限り出続けます。兄上、今度からラケル様の蜜を吸うようにしてみてはいかがでしょうか。」
母乳が尽きる、これが旦那様への爆弾発言。わたくしの蜜を吸えばいい、これがわたくしへの爆弾発言でした。

わたくしは卒倒する寸前です。でも、出来ません。気をやっている間にお二人がまたとんでも無いことを決定してしまうかもしれませんから。
厳密に言うと、わたくしに意識があろうとなかろうとお二人で何かは決めてしまうことでしょう。それを事後報告として聞くよりは、オンタイムで覚悟を決めたいのです。

「しかし…」
旦那様の口は重いようです。
「泉の上には茂みがある。」
一瞬旦那様が何を言ったのか理解出来ませんでした。だって、雑な物言いではなく比喩を使っているのですもの。でも、比喩だろうとなんだろうと表しているのはわたくしのあの辺のことですね…。

「では、侍女に剃毛するよう言いましょう。」
「えっ、」
分かっています。もう決定事項です。それでも、驚きの声は出てしまうものなのです。
「剃毛したからといって、必ず口をつけなくてはいけないわけではありません。ただ準備です。兄上がいつその気になってもいいように。」

いつぞやわたくしは侯爵家をこの手に握ったと思いましたが、そんなことはありませんでした。フレデリク様は常に旦那様を中心に物事を考え進めていきます。
いえ、夜になると口や手巾、最近では素手でしっかり包み込んでおりますが。

フレデリク様からの馬鹿な提案から一ヶ月、旦那様がとうとうわたくしの秘部にある突起にお口をつけました。吸うというよりは、舌先で突くように。おっかなびっくりなのでしょう。しかし、その行為はわたくしにえも言われぬ感覚を与えました。

もう一ヶ月、周囲から隠されることもなく晒され続けております。旦那様の綺麗なアイスブルーの瞳に睨みを効かすように見つめられ緊張していたそこは舌先が触れただけで、物凄い処理速度で蜜を滴らせるのとわたくしから喘ぎ声を出させる指令を脳に伝えたのです。

「いいのか?」
「ああっ、旦那様、そんなに息をかけないで。おかしくなりそう。」
「ラケル、なんていやらしい。」

最初は控え目に舌先で突いていた旦那様は、そのうち大胆にも唇で突起を甘噛みし始めました。

「旦那様、もっと、優しく、歯を、ああ、立てて下さいまし。」
「ああ、なんて淫らで美しいんだ、ラケル。」
夜の触れ合いは日を追う毎に濃密になっていきました。
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