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第48話 火消しの紫陽花

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《砂月紫陽花―視点》

 初めて有間さんの家にお泊りする。

 この前ラブホで、下もたくさん触られたから今日はエッチしちゃうかも……。
 ネットで調べてわかったけど、私って普通より濡やすいみたいで、ほんといつも恥ずかしい。
 トイレも我慢できないし、名前も紫陽花《あじさい》でいつも濡れてるイメージだし……はぁー……。
 でも有間さん気にしてない感じだから大丈夫だよね?コイツいつも洪水だなぁとか思ってないよね?

「おじゃましまーす」
「麦茶入れるよ」
「うん」

 部屋に入ってすぐに衣装ケースに入れられた金魚が目にとまった。

「金魚、大きい所に入れたんですね。餌あげたいなぁー」
「だーめ、言ったでしょ」
「可愛いからあげたくなっちゃう……これ服入れるケースですよね?」
「そうそう、洗車用のバケツじゃ小さいから、服出してそれ使ったよ。水面の表面積が広いと酸欠を防げるんだ……。麦茶置いとくね」
「ありがとうございます」

 有間さんは機械だけでなく魚にも詳しくて祭りの時も色々と語っていた。
 そう言えば釣りもやるって言ってたよね。

「大きいケースだからのびのび泳いでますね。名前考えないとなぁ、有間さん、何か良い名前ありますか?」
「赤と白の方は赤の模様が花びらみたいだからハナなんてどうかな?」
「いいですね!ハナちゃんかぁ、可愛い!黒いのは?」
「黒いのは……目玉の親父……」
「え?」
「あ、いや、なんでもない……」

 め、目玉の親父は可哀想だよね。出目金だけど……たぶんまだ子供の出目金だし。

「黒いのは紫陽花が考えてみれば?」
「私ネーミングセンス皆無なんですけど……目玉の……小僧……黒ちゃん」
「ああ、クロでいいんじゃない。普通の出目金より黒色が濃いしね」
「じゃあ、クロちゃんとハナちゃんで決定ですね!ふふふふ。フワフワしてて可愛いー」

「金魚って可愛いよね……あ、もう12時半だし、そろそろ寝る?」
「そうですね……」

 有間さんと付き合ってもうすぐ一ヶ月が経つ。それで彼の行動というか言動に少し違和感を感じるようになった。
 有間さんは私に対してお願いや頼み事をしない。いつも私の意志を聞いてくる。遠慮してるのかな?





 部屋の電気を消して……ベットの中で。

「ちゅっ……んっ、あっ……ちゅっちゅっ、んん……」

 キスをしながら有間さんは私の背中に手を回してブラホックを外した。最近は手慣れてきてホック外し名人だよ。

「Tシャツ、脱いじゃう?」
「……うん」


 気付けばどんどん脱がされて裸にされられていた。有間さんのも凄いことになってる。私に興奮してるんだ……。

「試しに指、入れてみようか?」
「うん……で、でも、こわい」
「やめとく?」
「……やってみる」
「わかった」

「ちゅっ…ちゅっ……い゛ッ!痛い痛いッ!嫌ッ!」
「ご、ごめんっ!大丈夫?」
「ダメ……凄く痛かった……結構入れましたか?」
「人差し指の第一関節までは入ってないから、ほんと指先だけ……」
「ええー?……全然入ってないですね。これ以上入れるのこわいよ……」

 うう、処女膜切れるのがこんなに痛いなんて……。麻莉ちゃんは自分で破ったって自慢してたから余裕だと思ってたけど……個人差があるのかな?

 有間さんが私を抱きしめる。

「今日はもうやめとこうか……」
「松茸凄いことになってますけど、大丈夫なんですか?」
「えっ!いや、恥ずかしいな……俺は大丈夫だよ、全然!紫陽花の体の方が大切だからゆっくりやっていけばいいよ」

 そう言われて私も有間さんに抱き着いた。
 有間さん優しい……。好き、大好き、大好き、有間さん大好き。有間さんと早くエッチしたい。

「私も……濡やすいの恥ずかしいです」
「え?そう?凄く可愛いけど、感じてくれてるって思うし、俺も嬉しくなる」
「まぁ気持ちいいですけど……でもいつも洪水だから……」
「火事の時に役立つかもよ」
「え?」
「二つ名は火消し、火消しの紫陽花」
「バカにしてます?」

 そんなに濡れてないから!やっぱり大嫌い!

 それから私達はたくさんイチャイチャして眠りについた。



《有間愁斗―視点》


 もう8時か……昨夜は寝るの遅くなって結局寝坊してしまった。

 俺は隣で裸で眠る紫陽花を後ろから抱きしめて頭にキスをした。

 指先を少し入れただけであの痛がり様……無理せず慣らしてエッチできるようになるまで2、3ヶ月はかかるかも……。嫌な思いしてトラウマになったら可哀想だし、のんびりやっていこう。

 それまでにアプリの件も解決できると良いのだが……。

「あれ?今何時?」

 紫陽花が目を覚ました。

「8時だよ」
「うそ!時間大丈夫かな?」
「大丈夫大丈夫、今日もよく晴れてて向こうは暑いと思うから、長時間外にいれないし……でもそろそろ準備しようか?」
「そうですね、えへへへへ」

 朝の光の中、シーツを纏って上半身を起こした紫陽花がいつもより愛おしく思えて、俺は彼女に見惚れてしまった。




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