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第一章:冒険者始めました。
第一話:日常の崩壊
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「はぁ······はぁ······」
「もう······どうしてこんなことに······」
鬱蒼と茂る森の中で2人分の荒い息遣いと小さな呟きが闇の中に消えていく。明かりがないこの場所で頼りなのは煌々と輝いている月の光だけ。その月も今は雲に隠れ森は一寸先も見えない闇が広がっていた。
姉の雫は近くの木に背をもたれ、弾む息を整えていた。
妹の珠侑も同様に木に背をもたれてはいたが膝を折り曲げ少し涙ぐんでいた。
無理もない。さっきまでこの2人は複数の魔物に追われていたのだ。体力と精神は少しずつ限界に近づいてきていた。
佐久川姉妹がこんな状況になったのには少し時を遡ること数時間前······
**********
雫side
その日もあたし達はいつものように学校へ行こうとしてドアノブに手をかけた。いつもの穏やかな日常が始まると疑わなかった。
珠侑が靴を履き終え鞄を持ったのを見計らい、ドアを開けた瞬間、あたし達は眩しすぎるほどの光に包まれた。
それは一瞬のことで1秒にも満たなかったと思う。
次に目を開けてあたし達が見たのは真っ白な空間だった。
本当にどこまでいっても白く果てが見えないことに少し恐怖を覚えた。隣にいる珠侑はまだ少し呆けているようで、自分の置かれている状況が飲み込めていないようだった。
あたしも飲み込めてはいないけど、ここで狼狽えてしまうと珠侑に余計な心配をかけそうなので表には出さず心の中だけに留めておいた。
「やぁやぁやぁ、人間諸君。ご機嫌はいかがかな?」
「············」
「············」
「あれ?反応うっすいなー。おーい、聞こえてるー?」
いきなり目の前にチャラそうな天使が現れた。
髪はプラチナブロンドで目は透きとおるような水色で少し童顔な青年。物語に出てくる王子様っぽい見た目。
背中には天使だと思われる白い羽が生えている。だけど何故か6枚もあるんだが······。
これってどういう状況?
「チャラそうなって失礼だなー。僕は天界の長でもあるんだぞ!」
「えっと······」
「あー、いろいろ言いたいことあると思うけど、ぶっちゃけそういう説明とかすっごい面倒なんだよねー。というわけで、お姉さん達を今から異世界に飛ばしちゃいまーす!」
「え······」
「は······」
「はい、いってらっしゃーい!」
「「!?」」
天使が指をパチンと鳴らした瞬間に浮遊感に襲われ2人そろってそのまま落ちていった。
突然のことで受け身もとれず果てない闇へと落ちていく。
意識がなくなる前に見えたのは目が赤くなった天使が不敵に笑う姿だった。
**********
天使side
「これでやっと物語が始まる。せいぜい足掻いてくれよ?****様(笑)」
「もう······どうしてこんなことに······」
鬱蒼と茂る森の中で2人分の荒い息遣いと小さな呟きが闇の中に消えていく。明かりがないこの場所で頼りなのは煌々と輝いている月の光だけ。その月も今は雲に隠れ森は一寸先も見えない闇が広がっていた。
姉の雫は近くの木に背をもたれ、弾む息を整えていた。
妹の珠侑も同様に木に背をもたれてはいたが膝を折り曲げ少し涙ぐんでいた。
無理もない。さっきまでこの2人は複数の魔物に追われていたのだ。体力と精神は少しずつ限界に近づいてきていた。
佐久川姉妹がこんな状況になったのには少し時を遡ること数時間前······
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雫side
その日もあたし達はいつものように学校へ行こうとしてドアノブに手をかけた。いつもの穏やかな日常が始まると疑わなかった。
珠侑が靴を履き終え鞄を持ったのを見計らい、ドアを開けた瞬間、あたし達は眩しすぎるほどの光に包まれた。
それは一瞬のことで1秒にも満たなかったと思う。
次に目を開けてあたし達が見たのは真っ白な空間だった。
本当にどこまでいっても白く果てが見えないことに少し恐怖を覚えた。隣にいる珠侑はまだ少し呆けているようで、自分の置かれている状況が飲み込めていないようだった。
あたしも飲み込めてはいないけど、ここで狼狽えてしまうと珠侑に余計な心配をかけそうなので表には出さず心の中だけに留めておいた。
「やぁやぁやぁ、人間諸君。ご機嫌はいかがかな?」
「············」
「············」
「あれ?反応うっすいなー。おーい、聞こえてるー?」
いきなり目の前にチャラそうな天使が現れた。
髪はプラチナブロンドで目は透きとおるような水色で少し童顔な青年。物語に出てくる王子様っぽい見た目。
背中には天使だと思われる白い羽が生えている。だけど何故か6枚もあるんだが······。
これってどういう状況?
「チャラそうなって失礼だなー。僕は天界の長でもあるんだぞ!」
「えっと······」
「あー、いろいろ言いたいことあると思うけど、ぶっちゃけそういう説明とかすっごい面倒なんだよねー。というわけで、お姉さん達を今から異世界に飛ばしちゃいまーす!」
「え······」
「は······」
「はい、いってらっしゃーい!」
「「!?」」
天使が指をパチンと鳴らした瞬間に浮遊感に襲われ2人そろってそのまま落ちていった。
突然のことで受け身もとれず果てない闇へと落ちていく。
意識がなくなる前に見えたのは目が赤くなった天使が不敵に笑う姿だった。
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天使side
「これでやっと物語が始まる。せいぜい足掻いてくれよ?****様(笑)」
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