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第47話 あの子とこの娘とそして君もなの? ACT 13
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少しひんやりとする空気。
昼間はまだ暑いけど、朝晩は大分涼しく、いや、寒くなってきた。
そんな季節の変わり目、これと言って何かが変わるという訳でもない。
だけど、何かが変わってきている。そんな気持ちになるこの季節。
いつもの時間、そして同じ車両に乗り込むと車内にはいつもの二人の姿がいる。
夏の始めまで、僕は孝義と同じ駅から一緒に電車に乗って学校に登校していた。今は孝義と戸鞠が乗る電車に僕が乗り込む。
このスタイルもなんだかもう定着してきていた。
「よぉ!」
「おはぁ―!」
「ああ、おはよう」
そんないつもの言葉を交わし、僕はいつものようにドア付近のポールに背を載せて、流れる車窓をに目をやる。
何も変わらない風景。いつも見ている風景。
何も変わらない。でも確かになにかが変わり始めている。
変わっていくのは……この僕であるのか。
―――――そうかもしれないな。
「ねぇ、笹崎君席あいているよ、ここに座らない?」
戸鞠の隣があいていた。
「いいよ、このままで」
にっこり笑っていた戸鞠の顔がいきなり仏頂面になる。
「あっそ」と投げやりの言葉が返ってくる。
べつにいいだろ、孝義が隣にいるんだから。
「なんだよ朝から喧嘩すんなよな」そう孝義が鼻をへんと鳴らしながら言う。
「別に喧嘩なんてしてないわよ」なんだ、ちょっとこの二人いつもと雰囲気が違うような気がするんだけど。
ま、多分気のせい何だろう。
それでもなぜか、戸鞠はずっとこっちに視線を投げかけているような気がする。
電車を降り、改札を抜けると、駅の前で杉村が待っていた。
少し前に着いていた。これも最近はいつものことだ。
だが、今日の杉村は妙にいそいそしい。
顔もほんのり赤いような気がする。
昨日の……。
「私笹崎君のことが好きです」
あの言葉が、そして、重なった彼女の唇。
意識するなと言う方が無理だ。
学校までの道のり、孝義と戸鞠。必然的に杉村と肩を並べるペアになる。
お互い出会ってから何も話さない。いやこの場合話せないというのが正解だ。
無性に意識してしまう。朝からこんなに気まずい気持ちになったまま、今日一日どうやって過ごしていったらいいのやら。なんとなく気が重い。
そんな空気の流れを杉村はあえて、変えてきた。
「あ、あのね笹崎君」
「あ、あはい!」
「き、昨日のことなんだけど」
「昨日の……ことですか、……」
「ごめんねいきなりで、困るよねあんなこといきなり言われると」
「ええっと」
「無理なら別にいいんだけど……」
ああ、これって杉村の照れ隠し? それとも意地? どっちにしても求めていることは確かだよな。
「えっとその……」
「んっ? もしかして何か勘違いしていない? 笹崎君」
「勘違いって?」
「勉強の事、教えてくれるって言ってたじゃない」
へっ! そっち。
「そっち。めんどくさいでしょ。教えるのって」
「いや、そ、そんなことないよ。やろうよ勉強。ちゃんと教えるよ」
「本当?」
「ああ、昨日も言ったじゃないか。ちゃんと責任持つって」
「うん、言ったね。責任ちゃんと取ってくれるって」
な、なんか違う意味に取れれる様な発音だよな。でも杉村の表情さっきより明るくなった。
「あれぇ―、ねぇねぇ、どうしたのよ二人ともなんかいつもと雰囲気違うんじゃない?」
戸鞠がくるりときびすを返し、僕らに向かって言う。
「何? いったい責任って?」
おい、此奴聞いてたのか?
「聞こえちゃったんだよねぇ責任がどうだとかって」
「おいおい、もしかして結城、お前杉村を」孝義がその先の言葉を口にする前に、「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ孝義、俺らそんな関係じゃねぇから。勉強だよ勉強!」
「勉強?」
「そう杉村の勉強見てやるって約束したんだ。絶対に成績上げてやるってな」
「へぇ―、そっかぁ―。そう言うことか」と戸鞠はにんまりと笑って言う。
杉村は顔を俯かせ真っ赤にしていた。
「なんで愛華、そんなに顔赤くしてんのよ。勉強教えてもらうのに。そ・れ・と・も。別なお勉強の方かしら? えへへへ」
「もう、真純ちゃん朝からなんてこと言うのよ!!」
あ、杉村が切れた。
そのまま杉村はすたすたと僕らを置いて学校へ向かっていった。
「なんか私変なこと言ったかなぁ――」
僕と孝義は戸鞠に声をそろえて「言ったろ!」と言うが「へっ?」とそれに気が付かない天然さをさらけ出している戸鞠。
たまぁ―に、戸鞠はこういうことで僕らを翻弄する。
杉村怒ちゃったな、どうすんだよ。と、思っていたが、教室に行くとさっき何かあったのかと言う感じで「お願いね」と言ってきた。
ん? 怒ってないの? どっちなんだ? わかんねぇ――。
ホント杉村もよくわかんねぇ――。
昼間はまだ暑いけど、朝晩は大分涼しく、いや、寒くなってきた。
そんな季節の変わり目、これと言って何かが変わるという訳でもない。
だけど、何かが変わってきている。そんな気持ちになるこの季節。
いつもの時間、そして同じ車両に乗り込むと車内にはいつもの二人の姿がいる。
夏の始めまで、僕は孝義と同じ駅から一緒に電車に乗って学校に登校していた。今は孝義と戸鞠が乗る電車に僕が乗り込む。
このスタイルもなんだかもう定着してきていた。
「よぉ!」
「おはぁ―!」
「ああ、おはよう」
そんないつもの言葉を交わし、僕はいつものようにドア付近のポールに背を載せて、流れる車窓をに目をやる。
何も変わらない風景。いつも見ている風景。
何も変わらない。でも確かになにかが変わり始めている。
変わっていくのは……この僕であるのか。
―――――そうかもしれないな。
「ねぇ、笹崎君席あいているよ、ここに座らない?」
戸鞠の隣があいていた。
「いいよ、このままで」
にっこり笑っていた戸鞠の顔がいきなり仏頂面になる。
「あっそ」と投げやりの言葉が返ってくる。
べつにいいだろ、孝義が隣にいるんだから。
「なんだよ朝から喧嘩すんなよな」そう孝義が鼻をへんと鳴らしながら言う。
「別に喧嘩なんてしてないわよ」なんだ、ちょっとこの二人いつもと雰囲気が違うような気がするんだけど。
ま、多分気のせい何だろう。
それでもなぜか、戸鞠はずっとこっちに視線を投げかけているような気がする。
電車を降り、改札を抜けると、駅の前で杉村が待っていた。
少し前に着いていた。これも最近はいつものことだ。
だが、今日の杉村は妙にいそいそしい。
顔もほんのり赤いような気がする。
昨日の……。
「私笹崎君のことが好きです」
あの言葉が、そして、重なった彼女の唇。
意識するなと言う方が無理だ。
学校までの道のり、孝義と戸鞠。必然的に杉村と肩を並べるペアになる。
お互い出会ってから何も話さない。いやこの場合話せないというのが正解だ。
無性に意識してしまう。朝からこんなに気まずい気持ちになったまま、今日一日どうやって過ごしていったらいいのやら。なんとなく気が重い。
そんな空気の流れを杉村はあえて、変えてきた。
「あ、あのね笹崎君」
「あ、あはい!」
「き、昨日のことなんだけど」
「昨日の……ことですか、……」
「ごめんねいきなりで、困るよねあんなこといきなり言われると」
「ええっと」
「無理なら別にいいんだけど……」
ああ、これって杉村の照れ隠し? それとも意地? どっちにしても求めていることは確かだよな。
「えっとその……」
「んっ? もしかして何か勘違いしていない? 笹崎君」
「勘違いって?」
「勉強の事、教えてくれるって言ってたじゃない」
へっ! そっち。
「そっち。めんどくさいでしょ。教えるのって」
「いや、そ、そんなことないよ。やろうよ勉強。ちゃんと教えるよ」
「本当?」
「ああ、昨日も言ったじゃないか。ちゃんと責任持つって」
「うん、言ったね。責任ちゃんと取ってくれるって」
な、なんか違う意味に取れれる様な発音だよな。でも杉村の表情さっきより明るくなった。
「あれぇ―、ねぇねぇ、どうしたのよ二人ともなんかいつもと雰囲気違うんじゃない?」
戸鞠がくるりときびすを返し、僕らに向かって言う。
「何? いったい責任って?」
おい、此奴聞いてたのか?
「聞こえちゃったんだよねぇ責任がどうだとかって」
「おいおい、もしかして結城、お前杉村を」孝義がその先の言葉を口にする前に、「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ孝義、俺らそんな関係じゃねぇから。勉強だよ勉強!」
「勉強?」
「そう杉村の勉強見てやるって約束したんだ。絶対に成績上げてやるってな」
「へぇ―、そっかぁ―。そう言うことか」と戸鞠はにんまりと笑って言う。
杉村は顔を俯かせ真っ赤にしていた。
「なんで愛華、そんなに顔赤くしてんのよ。勉強教えてもらうのに。そ・れ・と・も。別なお勉強の方かしら? えへへへ」
「もう、真純ちゃん朝からなんてこと言うのよ!!」
あ、杉村が切れた。
そのまま杉村はすたすたと僕らを置いて学校へ向かっていった。
「なんか私変なこと言ったかなぁ――」
僕と孝義は戸鞠に声をそろえて「言ったろ!」と言うが「へっ?」とそれに気が付かない天然さをさらけ出している戸鞠。
たまぁ―に、戸鞠はこういうことで僕らを翻弄する。
杉村怒ちゃったな、どうすんだよ。と、思っていたが、教室に行くとさっき何かあったのかと言う感じで「お願いね」と言ってきた。
ん? 怒ってないの? どっちなんだ? わかんねぇ――。
ホント杉村もよくわかんねぇ――。
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