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第4話.second xmas.After
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長い眠りから覚めた。
いくほどの間僕は眠りについていたのだろうか?
10時間? 1か月、1年?
目が覚めた時僕を取り囲むように数人の人の姿をうっすらと目にした。
「ようやくお寝覚めになられましたか。矢代先生」
ここは病院なのか? ベッドの上で俺は静かに目を開けた。
起き上がろうとしたが体がうまく動かない。
「ご無理をなさってはまだいけませんよ。矢代先生」
「矢代先生? 俺はもう医者を辞めたはずなのに」
「ここは?」
「目覚めたようね」
俺の視界に彼女の顔が写し出される。
「君は、俺はどうしたんだ?」
「あなたは時を超えてきたのよ。あなたの愛するまやみさんに出会うために」
時を超えた? そんな夢ごとのようなことをいきなり言われても、理解できるわけがない。
だが、今ここに目にするのは彼女だ、毎年クリスマスの日に出会う妹、まやみによく似た彼女。彼女の言葉は自然と僕は受け入れられるような気がする。
「どうやって俺は時を超えたんだ。そして今は何年なんだ」
「あなたの時代からは正確には、私たちは計測した時を伝えることは出来ない。なぜなら私たちの、そして今あなたがいるこの世界は、あなたの未来でもありそして別な世界でもあるから」
未来でもあり、別な世界でもある。
僕は、俺は。時間を飛び越えたのか?
実際はそうではなかった。
俺は、私は、自分自身の時間を止めたのだ。
その方法は明らかにはされなかったが、実際には自分自身の時間を停止させることにより時が勝手に進んだということである。
彼女は一冊の本を俺に手渡した。
「サンタクロースからの贈り物」
古びたその本のページをめくると、サンタの絵が描かれたページが目に入る。ページをめくるごとに信じがたい事実? なのだろうか。
サンタクロースは架空の人物として言い伝えられていたのだが、その存在は実在していた。
しかし、それは我々が思い言い伝えられていた人物像とはかけ離れていた。
サンタクロースは我々のいる時代の現世より、この世界に選ばれた人を召喚させるためにいた人物の事をさしていた。
選ばれしものに授けられた物が、まやみが大切に持っていた、あの水晶のペンダントだった。
まやみはあのペンダントをサンタクロースから、いや、彼女から受け取っていたのか? いや違うあれは……
あれは、亡きおふくろの形見だった。
代々受け継がれてきたという形見のペンダント。そのペンダントをまやみは受け継いだ。
その本によれば、そのペンダントをサンタクロースから託された人物は、己がこの世界に行くことを望むか、もしくは、自分が託した人に己のすべてをささげこの世を去るかの選択をしなければならない。
それはどんな思いが込められているのかは、そのペンダントを持つ人の想いにより様々だという。
「この本に書かれていることは架空の事なんだろ?」
「そうありたいと思う?」
彼女は表情を変えずに答える。
「事実よ。まやみさんの想いが込められたペンダント。通常はペンダントを使いこの世界に召喚されればペンダントは消滅する。でも、まやみさんの想いがあなたにこのペンダントを残し、そして託された。まやみさんの命はあの世界では、あと数ヶ月しか持たなかったことをあなたは知らなかった。彼女の想い、そしてあなたを悲しませたくないという想いが、まやみさんをこの世界に召喚させた」
召喚? この世界に。
まやみはこの世界で生きているというのか? それにまやみの命があと数ヶ月だったというのは?
何も聞いていなかった。何もそんなそぶりは見られなかった。
医者である俺の前……。俺の前だからか?
混乱する頭の中で、声がする。まやみの声が。
「お兄ちゃん」と叫び俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
「まやみはどこに、今、この世界にまやみはいるんだろ。まやみに合わせてくれ」
「ええ、いるわ。この世界に、そしてあなたの前に。まやみさんはちゃんと生きている」
私の名は メイリア・ディアス。
私は、矢代まやみさんの陰の分身。
いくほどの間僕は眠りについていたのだろうか?
10時間? 1か月、1年?
目が覚めた時僕を取り囲むように数人の人の姿をうっすらと目にした。
「ようやくお寝覚めになられましたか。矢代先生」
ここは病院なのか? ベッドの上で俺は静かに目を開けた。
起き上がろうとしたが体がうまく動かない。
「ご無理をなさってはまだいけませんよ。矢代先生」
「矢代先生? 俺はもう医者を辞めたはずなのに」
「ここは?」
「目覚めたようね」
俺の視界に彼女の顔が写し出される。
「君は、俺はどうしたんだ?」
「あなたは時を超えてきたのよ。あなたの愛するまやみさんに出会うために」
時を超えた? そんな夢ごとのようなことをいきなり言われても、理解できるわけがない。
だが、今ここに目にするのは彼女だ、毎年クリスマスの日に出会う妹、まやみによく似た彼女。彼女の言葉は自然と僕は受け入れられるような気がする。
「どうやって俺は時を超えたんだ。そして今は何年なんだ」
「あなたの時代からは正確には、私たちは計測した時を伝えることは出来ない。なぜなら私たちの、そして今あなたがいるこの世界は、あなたの未来でもありそして別な世界でもあるから」
未来でもあり、別な世界でもある。
僕は、俺は。時間を飛び越えたのか?
実際はそうではなかった。
俺は、私は、自分自身の時間を止めたのだ。
その方法は明らかにはされなかったが、実際には自分自身の時間を停止させることにより時が勝手に進んだということである。
彼女は一冊の本を俺に手渡した。
「サンタクロースからの贈り物」
古びたその本のページをめくると、サンタの絵が描かれたページが目に入る。ページをめくるごとに信じがたい事実? なのだろうか。
サンタクロースは架空の人物として言い伝えられていたのだが、その存在は実在していた。
しかし、それは我々が思い言い伝えられていた人物像とはかけ離れていた。
サンタクロースは我々のいる時代の現世より、この世界に選ばれた人を召喚させるためにいた人物の事をさしていた。
選ばれしものに授けられた物が、まやみが大切に持っていた、あの水晶のペンダントだった。
まやみはあのペンダントをサンタクロースから、いや、彼女から受け取っていたのか? いや違うあれは……
あれは、亡きおふくろの形見だった。
代々受け継がれてきたという形見のペンダント。そのペンダントをまやみは受け継いだ。
その本によれば、そのペンダントをサンタクロースから託された人物は、己がこの世界に行くことを望むか、もしくは、自分が託した人に己のすべてをささげこの世を去るかの選択をしなければならない。
それはどんな思いが込められているのかは、そのペンダントを持つ人の想いにより様々だという。
「この本に書かれていることは架空の事なんだろ?」
「そうありたいと思う?」
彼女は表情を変えずに答える。
「事実よ。まやみさんの想いが込められたペンダント。通常はペンダントを使いこの世界に召喚されればペンダントは消滅する。でも、まやみさんの想いがあなたにこのペンダントを残し、そして託された。まやみさんの命はあの世界では、あと数ヶ月しか持たなかったことをあなたは知らなかった。彼女の想い、そしてあなたを悲しませたくないという想いが、まやみさんをこの世界に召喚させた」
召喚? この世界に。
まやみはこの世界で生きているというのか? それにまやみの命があと数ヶ月だったというのは?
何も聞いていなかった。何もそんなそぶりは見られなかった。
医者である俺の前……。俺の前だからか?
混乱する頭の中で、声がする。まやみの声が。
「お兄ちゃん」と叫び俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
「まやみはどこに、今、この世界にまやみはいるんだろ。まやみに合わせてくれ」
「ええ、いるわ。この世界に、そしてあなたの前に。まやみさんはちゃんと生きている」
私の名は メイリア・ディアス。
私は、矢代まやみさんの陰の分身。
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