【改訂版】この世界に足を踏み入れたら抜け出せないじゃないですか……

さかき原枝都は

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ドール 姉妹の団結

ドール 姉妹の団結 その5 沙良の危機ACT4

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ドール。
彼女たちは着飾る、己の体を身にまとう華麗な衣装を。
己の希する本当の己の姿を求めて……。

ミーちゃんとマーちゃんをドールとして登録させた。
これは一種の宣戦布告。
あのエリック・トマースが、仕掛けた策略を逆手に取る。
二人がドールとして登録されたことにより、その身柄は私達『Experience エクスペリエンス』によって保護される。

エリック・トマースはミーちゃんとマーちゃんをドールとしてネット上で炎上させた。それは私にとって好都合でもあった。

ミーちゃんたちにはちょっと申し訳ないんだけど、二人には最前線の切込み部隊になってもらう。

現在登録されているドールの人員は200名。
この200名の身柄、および彼女たちの将来の夢の懸け橋を途絶えさせるわけにはいかない。
私に課せられた使命。そして私が仕掛けたドールプロジェクト。
付けた火は……いいえ、炎は最後まで後始末をしないといけない。

朝早くミーちゃんに電話をかけた。

ピコピコピコピコ。スマホの着信のコールが鳴る。

「んん……、亜美ぃ―。スマホ鳴ってるよ」
「うんん、だぁれぇ。こんな朝早くからぁ」

「お・は・よ・う・ミーちゃん」
「う―、美代ねぇ……どうしたのこんな早くに」
「ごめんねぇ、まだ寝ていたでしょ。マーちゃんもまだ一緒にベッドの中?」
「うん、そうだよ」
「そっかぁ、ラブラブだね♡」
「何よ、こんなに朝早くから、そんなこと言うために電話してきたの? ……て、言うより美代ねぇ、帰ってこなかったんだ」

「なはは、実はそうなんだ」

「そっちこそ今男の人とベッドの中じゃないじゃないの」
「あらぁ、分かっちゃった。なんてね、私の胸の中で幸せそうな顔して寝ている天使を今抱きしめているわよ」
「むにゃむにゃ……誰とお話しされているんですか、美代おねぇ様」

「ミーちゃんよ」
「亜美ねぇさんですかぁ……、今沙良はとっても幸せです。ではおやすみなさい」

おいおい、沙良ちゃぁぁ―ん! また寝るのかぁ!

「それで、何なのよ。こんな朝早くから?」
「そうね、肝心な要件を伝えないとね。ちょっとね、ミーちゃんたちに協力してもらいたいことがあるの」

「協力? 珍しいね美代ねぇからそんなこと言うの」
「だね……。でも今回はどうしても二人の力が必要なの。だから今は何も言わずこれから言う通りに行動してちょうだい」

「そうなの……私たち二人って、真由美も一緒なの」
「うん、マーちゃんも一緒よ。8時くらいにはそっちに迎えの車着くと思うの。小宮麻美こみやあさみさんて言う物凄い美人さんが迎えに行くから彼女と一緒にその車に乗ってきて」

「そうなの、分かった準備しておくよ」

「ありがとうねミーちゃん。私……本当にミーちゃんの事『愛』しているから……」

通話は切れた。

最後に美代ねぇが言った言葉、何か意味深な感じに聞こえた。
それに昨日の夜に私たちのあのメイド服の姿が、ネット上で突如炎上した事と何か関係がありそうな気がする。

でも、一番違和感を感じたのは、美代ねぇのあの声だ。
今までとは違う声のトーン。
それが醸し出す、もう一人の美代ねぇの姿が浮き出ていた。

「真由美、起きよう」
「どうしたの?」
「なんだか私達、これから出かけないといけないみたい」
「そうなの……」
まだ寝ぼけ眼の真由美に、そっとキスをした。

「美代ねぇが大変らしいの。8時には迎えが来るって言っていたから」
「そっかぁ、美代ねぇさんの為なら起きないとね」
「6時かぁ、シャワー浴びれるね。一緒に入ろう」
「うん、亜美」

8時ちょうどエントランス、インターフォンのチャイムが鳴った。

「私、 Experience社、社長秘書の小宮麻美こみやあさみと申します。美代様のご指示で、亜美様と真由美様のお迎えに上がりました。

インターフォンのディスプレイに映し出されたその女性。美代ねぇが言った通り綺麗な人だ。

「今ロック開けます」
「いいえ、亜美様、私はここまでしかお伺いできません。恐れ入りますが、亜美様たちがこちらまでお出向きください」
なんか物凄い雰囲気のある人だなぁ。

言われるまま、私たちは部屋の戸をロックして、彼女が待つ車の所まで行った。
すごい高級そうな車が止まっている。
「ご足労おかけいたします。ではご乗車ください」
車の後部ドアを開け、私たちを車の中にいざなう。
さながらどこかのお嬢様になったような感じの扱いだ。

「それではまいります。美代様がお二人を首を長くしてお待ちですので」

運転手がエンジンをかけ、車は静かに私たちのあのマンションから遠ざかって行った。

不安がよぎる中、何かが始まりそうなそんな気持ちが私を包み込んでいく。
無意識に隣に座る真由美の手を、固く握っていた私だった。


たった一晩、ミーちゃんたちといなかった時間。
私にはあの1週間よりずっと長く感じた。
私と沙良ちゃんは、彼方のオフィスを出てすでにスタジオ入りしている。

メイク、フィッター、カメラマン。デザイナー、プロダクションリーダー。そして今回、ミーちゃんたちのマネージメントをするマネジャー。
撮影に必要な機材と人材はすでに集結している。
後は沙良ちゃんを含め、私の愛する妹たち二人が到着すれば、ことが進む。

沙良ちゃんはすでにメイクに入っている。
髪をアッシュグレーに染め、あの長い髪を編み込みセットアップされ、長いまつげにダークレッドのカラーコンタクトがすでに、沙良ちゃんを別人に仕立て上げていた。
真紅のリップがプルンとした沙良ちゃんの唇を際立させている。正直ロリエロだ。

「どうですか、美代おねぇ様」
「うん、今回は可愛さよりも、どこか異世界の王女様みたいだよ」
「うふふふ、今回の衣装のコンセプトがまさにそれなんですもの」

さすがだ、何度もあのクラブの舞台を踏んだその威厳の様なオーラが、あの沙良ちゃんから立ち込めている。

ああ、これが仕事でなかったら……私はこの沙良ちゃんの姿を見ながら、官能の自己世界に浸っていられたのに。
しかもだ……、これからミーちゃんとマーちゃんのドールとしての初姿を見られるというのに。

あああああああ、夢にまで見たミーちゃんのコス姿。
あの、「猫耳メイド」姿も可愛いかったなぁ。
今回はどんな衣装を着るんだろう。デザイナーさんにはイメージ写真は見せてあるんだけど、実際に会ってからだって言われちゃった。

ちょっとハンガーにかかっているあのSMポイ衣装。物凄く気になるんですけど!
あんなのミーちゃんが着たの見たら、私そのまま失禁しちゃいそう。
いいなぁ……あの衣装。私も着てみたいなぁ……。

それでね、ミーちゃんたちとムチでパチパチと「ほら私の言う事を聞きなさい!」なんて言われちゃったり。
「ほら美代ねぇ、痛い痛いって言うのも始めだけだったでしょ」
あのネコのミーちゃんが「ドS」になって私を攻めまくるのぉぉ。

「美代、美代、よだれ出てるよ。何変なこと考えてるのよ」
尚子からこつんとされた。

「なはは、分かっちゃった。ごめん尚子」
高校の時からそうだった。いつも尚子は私の傍にいて、私を引っ張ってくれていた。尚子がいなかったら、今の私はなかったも同然だし、あの高校の改革も絶対に出来なかったと思う。

私の大切な彼女。

私にはちょっと厳しんだけど。ま、私がこんなんだから仕方ないかぁ。

「小岩亜美様、神宮前真由美様。ご到着されました!」

ようやく来たか。
さぁ、私の攻撃が今ここから始まるよ。

そして私の一世一代の大花火を、今これから打ち上げようとしている。
今まで隠していた私のもう一つの姿が、ミーちゃんに知られる。
でも、もういい。

本当の私を真正面からその目でちゃんと見て。ミーちゃん。

私はそれでもあなたを愛しています。私の最愛の妹……亜美。
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