【改訂版】この世界に足を踏み入れたら抜け出せないじゃないですか……

さかき原枝都は

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ドール 姉妹の団結

ドール 姉妹の団結 その14 沙良の危機ACT13

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「彼方、私……」
「もう何も言うな。今は相手からの連絡を待つしかない」

「美代様、コーヒーとお茶どちらになさいます?」
麻美ちゃんはそっと私の傍により添い問いかけた。

「麻美ちゃん、お願い麻美ちゃんも力を貸して」

「もちろんでございます。美代様、私は社長秘書です。社長をサポートするのが私の使命ですから」

麻美は冷静に言葉を美代に返す。

その時思った。彼方にはこの人の様に支えてくれる人がこれからは必要なんだと。
私の様に彼方と対等ではいけないんだと。

「麻美ちゃん、コーヒーお願いするわ」
「かしこまりました」

立ち込めるコーヒーの香りに、私の気持ちは少し落ち着きを取り戻しつつあった。しかし……。

「社長、送信者不明のメールが一見受信されております」

「送信者不明?」

彼方は自分のディスクのパソコンでそのメールを開いた。

そこに映し出されている添付画像。
その画像を見た彼方の表情が一変した。

「どうしたの彼方? 何かったの」
「美代……犯人からだ」

画像に映し出されていたのはミーちゃんのあらわな姿だった。
宙づりにされ、裸にされたその姿を私はこの目で見た時。

この体全身からこみあげる怒りが爆発した。

髪が逆立ち、怒りからくる熱さが私の体を包み込んだ。

「な、なんてことをしてくれてんのよ! 私のミーちゃんに。許さない絶対に許さない。この私の命に替えても絶対にミーちゃんを助け出す」

涙なんて出てこない。泣きじゃくることなんて出来なかった。

「警察に通報すれば、命の保証はない」

そんな文面がよけいに私の怒りを仰ぎたてた。
抑えきれないほどの怒りと憎悪が交互に私を襲う。

だが、怒りが増すほど私は意外にも冷静だった。

「彼方、お父様の力を借りてもいい?」

「大丈夫だよ美代、すでに父さんからは全面協力してくれると約束してくれている」

「ありがとう。亜美の足取りを追ってくれる」

「すでに手配済みだ。セキュリティーがすでに君たちのマンション周辺の監視カメラの解析を行っているはずだ」

「分かったわ。犯人からの要求は2千万か。その2千万私の自己資金で用意するわ」

「いいや、その金は僕に用意させてくれ」

「ううん、今はあなたは自分のこの会社を守って。2千万かぁ、ミーちゃんも安く見積もられたわね。2億くらい吹っ掛けてくるかと思っていたのに」

そんな時だ、彼方のスマホが鳴り響いた。
「エリックからだ!」

「やぁ彼方、どうだい調子の方は?」

「なんの用事だ」

「なんだか冷たい言葉だねぇ。この前のドールの初披露見せてもらったよ。素晴らしいじゃないか。

さすがだよ彼方。あんなにもかわいい子たちを自分一人で楽しんでいたなんて、君も隅におけないねぇ」

「そんなことを言うために連絡してきたのか。エリック」

「いいやぁ、違うようぉ……。

君の会社の株いい感じでこちらに流れてきているんだけど、おっとごめんようぉ、うちのグループが君の会社をターゲットにしたようだ。

もうじき君も僕のグループの傘下に入ることになりそうだね。

その時はよろしく頼むよ、僕の部下としてその頭僕に下げてくれよな」

「馬鹿な、そんなことはしたくもない。絶対に会社は俺が守って見せる」
「おお強気だねぇ、でもさぁ―。どんなにあえいでも僕の資金力は君も知っているよね。

無駄なことはしない方が君のためだよ。傷口をただ広げるだけだからね」

ここでエリックの挑発に乗ってはだめだ。
さてどうする?

この後此奴にどうやって切り出し、亜美ちゃんとの事件の関係性を引き出させるかだ。

スマホの音声をスピーカーに変えた。

「ところでだ、エリック一つ聞いていいか?」
「珍しいなぁ、彼方。いいよぉ、なんでも聞いてくれ」

「お前は何故沙良にそんなに執着するんだ」

「おいおい、そんなことか? 当り前じゃないかあの子は特別になんだよ。僕の趣味にぴったりとマッチングしているんだよ。そう僕のコレクションの一つとしてね」

「そんなに沙良がいいのか」

「いいねぇ、君が保有するにはもったいないよ、だから僕が預かろうて言っているんだけどなぁ。

そうそう、この前一緒にいたあの二人の子たちもいいよねぇ。確か片方はあの美代の妹だったんだよね。良く似ているねぇあの美代に」

……かかった。

エリックにはいや、ほとんど外部には亜美ちゃんの素性は公表していない。
例えどこからかその情報が漏れたとしても、今この会話で此奴が亜美ちゃんの事を名指しで行ってくるという事は、此奴が何らかの関与があることはこれで、確定された。

仕掛けるぞ、美代。美代のその目を見つめた。

その糸を感じ取って美代は頷いた。

「実は、こんな時に話すことはいささか気が引けるのだが、今、その子が危険な状態にあるんだ」

「危険な状態って? いきなり民衆にその姿を晒したその反動なのかい」

「かもしれない……。これは俺の失態だ」

「そうだね、少しは考えれば分かることだよ。民衆の恐ろしさをね」

「そうなんだが、犯人からは警察の関与はその子の身に危険が及ぶことを警告してきている。

今のこちらの力では対処の使用がない状態だ。人の命がかかっている。すまんエリックお前の力も貸してもらえないだろうか」

「あははは、なんだよ彼方。今僕と君は敵として戦っている最中だよ。和平交渉でも持ち込んでくれるのかい、その交換条件としてね」

「……前向きにその件については検討したい」

「くっははは、面白いよ。いいねぇ、いいよぉ。僕にとってこんな事件なんかすぐに解決できるよ。

いいだろう、うちの人員を動かしてやるよ。でもこれは取引だ。お互いビジネスの取引として商談しようじゃないか」

「分かった……。命には代えられない」

「いい子だねぇ彼方君は。それじゃ、情報を提供する代わりに、沙良ちゃんを僕のもとに差し出してくれよ。

そして君の会社持ち株の始めは45%だ。今はそこで我慢してあげるよ。その条件でどうだい……彼方」

美代と麻美君に目線を配る。多分父さんから何らかの情報が入ってきているようだ」

「分かったのもう……」

「そうかい分かったよ。好きだようそう言いう素直な彼方。今日は物凄く僕気分がいいよ。

久ぶりだよこんなに楽しい思いをしているのは。それじゃ、後でちゃんと情報は提供してあげるから。そちらもちゃんと約束は守ってくれよな」

「ああ、分かった。よろしく頼む。エリック」

通話は切れた。
がっくりと力が抜けたような感覚に襲われる。

「彼方……ありがとう」

「いいや、礼を言わなければいけないのは僕の方だ、すべてを投げ出せる覚悟というものがこの僕に必要だったんだ、それに気づかせてくれたんだから」

「でも彼方、あなた今のは立派なインサイダーになるわよ」

「そうだな。でも昔言ったじゃないか」

僕は君の為なら、どんなに臭い飯でも食える。

「ンもう、その言葉はもう私に向けて言う言葉じゃないでしょ。ちゃんと言いなさいよ。麻美ちゃんに」

ずっと彼方の姿を見つめ続けている、麻美ちゃんに

「ふぅ麻美君……もしかしたら、僕はすべてを失うかもしれない。そ、それでもこの僕に……」

麻美ちゃんは彼方に抱き着き

「その先は私から言わせてください。例え、あなたが全てを無くしても、一つだけ残すことが出来るものがあります。

それはこの私です。あなたがどんなことになっても私はずっとあなたのものでいます」

「ありがとう麻美」

二人を見ているとなんだかちょっと胸の中が痛く感じてくるのは……でも、もう私は彼方とはあの頃の様に戻ることはない。

いいんだよ……これで。

「あのう社長、抱きしめていただいてくれるのは嬉しんですけど、今はこんなことしている場合じゃないですわよ」

「おっとそうだった。すまん、でもエリックの奴うまくこっちの誘導にしっぽを振りやがった。

これで今回の亜美ちゃんの誘拐とエリックが繋がった」

「うん、それとお父様からこんな情報も入ったわよ彼方」

彼方のお父さんから送られてきたFAXに記載された内容。

それはエリックが今までため込んでいた隠し資産に関する情報だった。
国税局もその資産については内々に調査をしていたようだ。

ここにきて、その裏付けが取れたという内容だった。

そしてエリックの父親であるトマース財団から、エリックが運営する社へのカットオフが宣言された。

事実上、エリックは父親から見放された状態になった。

「形勢逆転だ。一気に行くぞ」

彼方、いい目をしているよ。
私の役目は、もう少しで終わるね。


「おいそいつ、いつまでも宙づりはまずいだろう。そろそろ卸してやるか。だけど、暴れられるのも困るからな、こうしておいてやるか」

拘束帯で手を後ろに組まれ、両足を縛られ、大型のコンテナの車輪にその足は縛られ身動きが取れないようにされた。

それでも宙づりにされているよりは大分楽になった。

「ほら、これで大分楽になっただろ。おい此奴に何か食わせてやれ。餓死されちゃ困るからな」

「でもよう手縛られいるからどうやって食うんだこの子」

「ふっ、お前が口移しでもしてやったらどうだ」
もう一人の男が似やつきながら言う。
「おおお! ナイスアイディア。それじゃ俺の唾液をたっぷりと含ませてと、ほうら口移しだ」

絶対に嫌だ!

死んでもそんなこと……でも、死ぬわけにはいかない。

真由美が私の事を待っている。美代ねぇが私が帰ることを待っている……みんなが私の事を。

私の頭を押さえ、口にそいつの唇が触れようとした時、そいつの唇をかんでやった。

「いててて! 何しやがんだ。此奴俺の唇噛みやがった」

その男の唇からは血が溢れていた。

「まったくよう、いてぇじゃねぇか。こりゃ食事は抜きだな、それとお仕置きもしてやんねぇと俺の気が収まらねぇ。

なぁ、ヤッちゃってもいいか」

「それは駄目だ。クライアントの指示だ金が手に入らなくなるぞ」

「それじゃ、おさわりはいいんだよな」
「ほどほどにな」

「それじゃさっきよりもタップリと、おさわりしてやるぜ! 気絶するまでな」

「やめて……お願い」

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