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第17話 お兄ちゃん。約束やぶちゃった。でもいいよね、これは……。
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「智花さん。あけましておめでとうございます」
「はぁ―ぃ。あけましておめでとう佐奈ちゃん」
そう言いながら智花さんは私を抱きしめた。
ふんわりとママに似た香りがする。でもママとは違う別な甘い香りがする。
やわらかい智花さんの胸の感触が心地いい。
ああ、なぜかものすごく落ちつく。
「来てくれてありがとう」
智花さんは私を抱きしめながらそう言ってくれた。
「うん、だって智花さんとの約束だもん」
智花さんの抱きしめる力が強くなった。
「ありがとう。さぁ、中に入ってゆっくりして」
言われるままに勝手知ったるこの家に入り込んだ?
勝手知ったる? そう私はこの家に何度も来ているのだ。勝手知ったる他人の家……ではない。
ここは俊哉お兄ちゃんの家。
そしてこの人。智花さんはお兄ちゃんのお母さんだ。
私はこの家に来るとものすごく落ち着く。自分の家にいるよりも自分の家のような感覚が強い。
最も来るのはお兄ちゃんがいない時だ。
俊哉お兄ちゃんがいない時を見張らかってと言うよりも、いないのが前提でここにきている。
「ねぇ、佐奈ちゃん。今日はこれからゆっくりできるの?」
「はい、今晩は泊ってくるって言っていますんで」
「そう。なら大丈夫よね」
優しくほほ笑む智花さん。ああ、そのほほ笑む顔を見ると、私はキュンとなってしまう。
キッチンに立つ智花さん。その姿を身ながら、ママのことを思い浮かべる。
姉妹だけあってよく似ている。でも性格は……智花さんの方が私は好きかもしれない。
「おなかすいてない、もうこんな時間だから夕食一緒に食べましょ。そう言っても、おせちだけどね」
「いただきます。今日起きてから、何も食べていないんで」
「あら、そうなの。じゃほかに何か作ろっか」
「いいですよ。おせちで……ところで叔父さんは?」
「ああ、あの人ね。あの人なら年末から一人海外」
「仕事ですか?」
「ん――っ。一応仕事っては聞いているけど、本当はどうだか」
「疑っているんですか?」
「まぁ、なんとも言えないんだけど」
智花さんは、キッチンのテーブルにおせちの箱を置き、お箸とお皿、飲み物を用意した。
「さぁ頂ましょうか」
「まだおせち開けていなかったんですか?」
「うん、佐奈ちゃんが来るの待ってたんだ。俊哉も真梨香のところに行ってるし、私一人だったからね」
「寂しくなかったんですか? 一人で年越しだったなんて」
「何年振りかしら、……ん――もしかしたら初めてかも?」
そう言いながら、テーブルに置いてあるたばこを一本くわえて火を点けた。
「ふぅ―」と軽く白い煙をゆっくりと吐き出した。
たばこを持ち、にっこりとほほ笑むその姿は、私のあこがれの人そのものだ。
「なんか本当に久々にゆっくりできたかなぁ」
「良かったじゃないですか。友香さん忙しすぎるんですよ」
「そぅぉ? まぁ確かに忙しいといえばそうだけどね。あなたを売りに出すのが私の仕事なんだからね」
「私商品ですからね」
「そうそう、うちにとって大事な商品なんだもん。頑張らないと」
「でも私は事務所にとっては不良品じゃないんですか? 性格もよくないし、気まぐれだし、……第一不良だし」
「ま、そこは、佐奈ちゃんが中学生にしては大人だからね。逆に私の方が助けられているみたいなもんだよ」
「大人ですか? この私が?」
「うんうん、やってることは正直好ましくないていうか。この業界じゃ、御法度なんだけど、そこをうまくやりのけて楽しんじゃっているのが佐奈ちゃんでしょ。ほんと上手いていうか、この私でさえ感心しちゃうくらいなんだもん」
「智花さん、もらってもいいですか?」
「好きにしたら、私からは勧められないけどね。立場上」
そう言いながらも、すっと私の前ににたばこを置いた。
「禁煙するって言っていなかたっけ」
「そうでしたか? 忘れました。でも私が吸えるのはここだけで、しかも智花さんと二人っきりの時だけですからね」
「ちゃんとその約束は守っているんだ」
「当然です。一応未成年者の喫煙飲酒は法律で禁止されていますからね。大ぴらに出来ないでしょ」
「でもセックスはそうでもないところが、なんか矛盾だよねぇ。中学生がセックスしてもばれなきゃいいっていう感じで。あ、でもこれも本当はいけないことなんだけどね」
「そうですね。私はほんといけないことばかりやちゃっていますね」
「ほんとだね。でも佐奈ちゃんばかりの事言えないんだけど」
そう言いながら加えたたばこに火を点け、軽く煙を吸い込んだ。甘い香りがする細巻のたばこ。
智花さんの愛用するたばこの香りは、甘い香りがして落ち着く。
「彼氏さんとはうまくいっているんですか?」
「うん、まぁまぁね。でも最近お互い忙しくて、会えない分激しくなちゃって」
「だって彼氏さん若い人なんでしょ」
「うん、二十歳なんだけど。甘えてくるからとっても可愛いんだぁ」
「それ逆じゃないんですか? 智花さんの方が甘えているんじゃないですか?」
「あら、わかっちゃう!!」
「顔、緩みっぱなしですよ。もう、ママみたいに孕まないでくださいよ」
「あはは、そうね。真梨香もあの時はなんか寂しそうだったからね。佐奈ちゃん知っていたんだぁ」
「今日、知ったんです。色々と。でも智花さん孕みたいんでしょ」
「やだぁ――、この年でぇ! 俊哉に弟妹作るのぉ?」
「はぁ―ぃ。あけましておめでとう佐奈ちゃん」
そう言いながら智花さんは私を抱きしめた。
ふんわりとママに似た香りがする。でもママとは違う別な甘い香りがする。
やわらかい智花さんの胸の感触が心地いい。
ああ、なぜかものすごく落ちつく。
「来てくれてありがとう」
智花さんは私を抱きしめながらそう言ってくれた。
「うん、だって智花さんとの約束だもん」
智花さんの抱きしめる力が強くなった。
「ありがとう。さぁ、中に入ってゆっくりして」
言われるままに勝手知ったるこの家に入り込んだ?
勝手知ったる? そう私はこの家に何度も来ているのだ。勝手知ったる他人の家……ではない。
ここは俊哉お兄ちゃんの家。
そしてこの人。智花さんはお兄ちゃんのお母さんだ。
私はこの家に来るとものすごく落ち着く。自分の家にいるよりも自分の家のような感覚が強い。
最も来るのはお兄ちゃんがいない時だ。
俊哉お兄ちゃんがいない時を見張らかってと言うよりも、いないのが前提でここにきている。
「ねぇ、佐奈ちゃん。今日はこれからゆっくりできるの?」
「はい、今晩は泊ってくるって言っていますんで」
「そう。なら大丈夫よね」
優しくほほ笑む智花さん。ああ、そのほほ笑む顔を見ると、私はキュンとなってしまう。
キッチンに立つ智花さん。その姿を身ながら、ママのことを思い浮かべる。
姉妹だけあってよく似ている。でも性格は……智花さんの方が私は好きかもしれない。
「おなかすいてない、もうこんな時間だから夕食一緒に食べましょ。そう言っても、おせちだけどね」
「いただきます。今日起きてから、何も食べていないんで」
「あら、そうなの。じゃほかに何か作ろっか」
「いいですよ。おせちで……ところで叔父さんは?」
「ああ、あの人ね。あの人なら年末から一人海外」
「仕事ですか?」
「ん――っ。一応仕事っては聞いているけど、本当はどうだか」
「疑っているんですか?」
「まぁ、なんとも言えないんだけど」
智花さんは、キッチンのテーブルにおせちの箱を置き、お箸とお皿、飲み物を用意した。
「さぁ頂ましょうか」
「まだおせち開けていなかったんですか?」
「うん、佐奈ちゃんが来るの待ってたんだ。俊哉も真梨香のところに行ってるし、私一人だったからね」
「寂しくなかったんですか? 一人で年越しだったなんて」
「何年振りかしら、……ん――もしかしたら初めてかも?」
そう言いながら、テーブルに置いてあるたばこを一本くわえて火を点けた。
「ふぅ―」と軽く白い煙をゆっくりと吐き出した。
たばこを持ち、にっこりとほほ笑むその姿は、私のあこがれの人そのものだ。
「なんか本当に久々にゆっくりできたかなぁ」
「良かったじゃないですか。友香さん忙しすぎるんですよ」
「そぅぉ? まぁ確かに忙しいといえばそうだけどね。あなたを売りに出すのが私の仕事なんだからね」
「私商品ですからね」
「そうそう、うちにとって大事な商品なんだもん。頑張らないと」
「でも私は事務所にとっては不良品じゃないんですか? 性格もよくないし、気まぐれだし、……第一不良だし」
「ま、そこは、佐奈ちゃんが中学生にしては大人だからね。逆に私の方が助けられているみたいなもんだよ」
「大人ですか? この私が?」
「うんうん、やってることは正直好ましくないていうか。この業界じゃ、御法度なんだけど、そこをうまくやりのけて楽しんじゃっているのが佐奈ちゃんでしょ。ほんと上手いていうか、この私でさえ感心しちゃうくらいなんだもん」
「智花さん、もらってもいいですか?」
「好きにしたら、私からは勧められないけどね。立場上」
そう言いながらも、すっと私の前ににたばこを置いた。
「禁煙するって言っていなかたっけ」
「そうでしたか? 忘れました。でも私が吸えるのはここだけで、しかも智花さんと二人っきりの時だけですからね」
「ちゃんとその約束は守っているんだ」
「当然です。一応未成年者の喫煙飲酒は法律で禁止されていますからね。大ぴらに出来ないでしょ」
「でもセックスはそうでもないところが、なんか矛盾だよねぇ。中学生がセックスしてもばれなきゃいいっていう感じで。あ、でもこれも本当はいけないことなんだけどね」
「そうですね。私はほんといけないことばかりやちゃっていますね」
「ほんとだね。でも佐奈ちゃんばかりの事言えないんだけど」
そう言いながら加えたたばこに火を点け、軽く煙を吸い込んだ。甘い香りがする細巻のたばこ。
智花さんの愛用するたばこの香りは、甘い香りがして落ち着く。
「彼氏さんとはうまくいっているんですか?」
「うん、まぁまぁね。でも最近お互い忙しくて、会えない分激しくなちゃって」
「だって彼氏さん若い人なんでしょ」
「うん、二十歳なんだけど。甘えてくるからとっても可愛いんだぁ」
「それ逆じゃないんですか? 智花さんの方が甘えているんじゃないですか?」
「あら、わかっちゃう!!」
「顔、緩みっぱなしですよ。もう、ママみたいに孕まないでくださいよ」
「あはは、そうね。真梨香もあの時はなんか寂しそうだったからね。佐奈ちゃん知っていたんだぁ」
「今日、知ったんです。色々と。でも智花さん孕みたいんでしょ」
「やだぁ――、この年でぇ! 俊哉に弟妹作るのぉ?」
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