これは従妹が妹になってから始まった。

さかき原枝都は

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第18話 お兄ちゃん。約束やぶちゃった。でもいいよね、これは……。 その2

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「大丈夫ですよ。智花さんならいけますって。だってまだ若いじゃないですか」
「そんなこと言われると本気になっちゃうよ」

その智花さんの声にものすごく胸の奥が熱くなった。智花さんの彼氏、ちらっとしか見たことがない。それも偶然? ああ、あれは待ち合わせていたんだ、しかも事務所のすぐ近くで。

見た目、ものすごく若くて少し驚いたけど、でもなんだかお似合いだった。
後をつけようなんて……なかったといえばそれは嘘だ。でもそれはやめた。
お世話になっている智花さんが、とても楽しそうな顔をしていたからだ。

そのころママにも彼氏がいた。

パパとの仲が悪い。不仲という訳もなかったけど、私の目にはただ、二人が、同じ家に住んでいるだけと言うカタチだけの『もの』としか映らなかった。
お互い仕事をもしていて、忙しいのはよくわかるけど、家族というには正直冷めきっていたのを感じていたのは否めなかった。

それでもママは明るくて、料理も上手。たまに棘をさすときもあるけど、悪い? 母親ではなかった。ま、そこは適当に流していたけど。
しかしだ、さすがにママの雰囲気が変わってきたのを、見過ごすことはできなかった。

あの時感じたのが、母親としての存在ではなく、女としての存在に見えたからだ。
そんなことを言うとまだ小学生だった私のことを、ませすぎている子だと思われるかもしれないけど。すでに、智花さんの事務所で、モデルと言う一食色彩的な仕事をしていた影響もある。私の周りに接する環境がそう思わせたのかもしれないけど。

ただママの変化は、私のことも巻き込んでいた。
昨日、私の初体験が小学校の時のクラスの子だと言ったが、それは嘘だ。

本当は……ママの彼氏だった。

そのことはママには絶対秘密にしておかないといけない。……なぜなら、誘惑したのが私からだったからだ。
ママの秘密を目の当たりに目にして、そのことを知らないフリを演じる。
ママはママで、私に何かを知ってもらいたいという雰囲気を醸し出しながらも、その秘密を隠しつつ彼とわざと出会わせようと徐々に仕組んでいたのは感じていた。

そんなことを感じながらもその日は意外と早くやってきた。
夏休みのある日、仕事も学校も休み。これと言って、外に出て何かをしようとまで思うほどの気力もわかない日だったのを覚えている。

インターフォンが鳴り、画面に映る若い男性の姿を見て、すぐにママの彼氏であることが分かった。
多分、その日私は仕事でいないと思い込んでいたんだろう。この家でママは彼氏と甘々な時間を過ごそうとしていたのだ。しかし、ママの仕事が急に入り、慌てるように出ていったのをドアが閉まる音で気づいていた。本当に急いでいたのかそれとも、彼氏への連絡はしたが当の彼氏がその連絡に気が付かずうちに来てしまったのかは分からないが、とにかく彼はうちのマンションまでやってきた。

彼はうちにはママしかいないという思惑しかなかったから
「真梨香さん。早く開けてくださいよぉ!!」と急かすように話しかけてくる。

そこで私は何も声を出さず、オートロックを解除した。
ドアを開けるなり、お邪魔しますの一言もなく「あれ、真梨香さん出迎えないの?」などと言いながらリビングの方に移動していた。

そこに、私が立っているのを見るなり「えっ!」と小さな驚きの声を漏らし。
「あ、あのうぉ……真梨香さん……えっと。確か娘さんの佐奈さんだったけ」

その声は少し動揺していたようにも聞こえる。それもそうだろう。だってママがいるはずだとばかり思っていたのに実際に居たのはこの私。娘の私だったから、驚くだろう。
「お、お母さんはどうしたの?」
それでも次に出た言葉は、ママの事。私がどうしているかなんて言うのは、いや余りも想定外のことだったから混乱しているのかもしれなかったけど。

「ママならいないよ。多分仕事じゃないのかなぁ。慌てて出ていったから」
「そ、そうなんだ」
ばつが悪そうに彼は、まいったなと言う感じで、私を見ていた。

「ねぇ、お兄さんママとどんな関係なの?」
ストレートすぎる私の問いに、彼は「あ、俺、真梨香さんの仕事関係の……ていうかそう仕事仲間なんだよ」

「ふぅ―んそうなんだ。お仕事関係の人ねぇ」
なんていうは、すでに嘘だということはわかり切っている。だってこの人とママがセックスをしているのこの目で見ていたんだから。

まるで幼女のように私より幼く、彼に甘えるママの姿。悶えよがり、女の快感に酔いしれるその姿を。
そして私はそのママの乱れる姿を目にしながら自分でその欲意をおさめさせていた。

ママが、パパとは違う男の人にすがり甘える姿。仕事の現場で私がいても平然と飛び交う大人の会話。
小学生とは言え、好奇心にちょっとでも火が付けばそれは燃え盛るばかりの火力を持ち備えていた状態。
そんな条件がこの私の意識が彼を目の前にして点火しない訳がない。

その日は本当に暑い日だった。
部屋の中はエアコンがかけられているから暑さはさほど感じないけど、私の体はただ、彼が目の前にいるだけで、まるで、火を点けられたように熱く燃え上がっていた。


誘ったのは……私からだった。
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