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破壊と再生
悠久
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汚染除去一回では効果が見られなかった。
付与力も1になってしまい、何もできない。
放射能をどうにかするには全然足らないのだ。仮に泉を綺麗にしたとしても空と大地は汚染されたままだ。すぐに汚染されてしまうだろう。
暫くはこのまま様子を見ているしか無いか……。
☆★☆★
降り積もる雪は泉の周りを白く塗りつぶし、高い壁となって覆い被さらんとしていた。
「んしょ……んしょ……」
ただ泉を眺めているのも退屈だったので雪かきをしながら遊んでみる。
雪だるまを作ってみたり、かまくらを作ってみたり、ふふ……子供の頃を思い出すわ。
素手で雪に触れていても、若干の冷たさを感じるが霜焼けになる事はなかった。
そういえば気温がかなり低い筈だけど寒さも感じない。
精霊というのは感覚が鈍いのかしらね。
雪はまだまだ降り積もる。
雪が降ったある日、孫達と雪遊びをした事を思い出していた。
雪ウサギを作りながら思い出にふける。
みんな元気にしているかしら。
「あら……南天が無いから目も耳も付けられないわ。」
周りに何かないかと探していたら大きな尖った石を見つけた。
やや透明な赤色で、反りのある縦長の三角形……爪にも見えるけど、猫の爪にしてはかなり大きく掌に乗り切らないくらいだった。
そしてほんのり温かい。
「これ……シグルーンのだわ。」
彼……彼女か分からないけど、親切にしてくれたドラゴンさんの形見だ。大切にしよう。
紐でも通して首にでもかけておけたらいいのだけど、紐も穴を空ける術もない。
無くさない様に大切に持っておこう。
☆★☆★
雪はどんどん強くなって吹雪いてきた。世界を汚れを隠す様に世界全体を白く覆っている。
この吹雪はいつまで続くのだろう?
寒くはないけど1人は寂しい。
シグルーンの言った通り、この世界に生きているのは私だけなのだろう。
どれくらいの時間が経っただろうか……
付与力を確認してみる。
【ハル 泉の精霊 状態:放射能汚染 付与力:25352】
これだけあれば汚染された泉をきれいに戻せるだろうか?
でも周りの放射能もどうにかしないといけない。
できる事を確認してみる。
拡張 [10]
吸収 [10]
汚染除去 [100]
今なら253回汚染除去出来るけど、どうしようか?
そういえば他の2つは試していなかった。10しか使わないし試してみよう。
まずは拡張。
選択したらほんの少し泉が大きくなった。
そのまま泉を大きくする機能のようだ。
次は吸収。
選択しようとしたけど何も起こらない。
どうやって使うのだろうか?
この吸収はどういう意味なのか分からない。泉を私が吸収するのか、何かを泉に吸収させるのか。
泉とはとても呼び難いオイル溜まりに触れてみる。
そのまま吸収を選択しても何も起こらない。
それならと試しにシグルーンの爪?を少しだけ漬けて吸収を選択する。
爪が少し欠けてしまった。
しまった、大切な形見を……。
自分の軽率さを反省しながらも泉の状態を確認する。
【ハルの泉 状態:放射能汚染 突然変異の可能性 付与力:25332】
何か増えている。突然変異の可能性……?
どうしようか、シグルーンの形見を全部吸収させればもっと分かりやすく何か起こるかも知れない。
私は悩んだ。
長い間孤独な時間を過ごしてきたけれど、ずっとこの形見を抱きしめていた。
この温もりが孤独な私を支えてくれていた。今更手放したくはない。
悩んだ結果……
「暫く泉の様子を見てみよう。」
心の支えとなっていたシグルーンの欠片を失いたくなかった。
無くさずにどうにか出来る方法を探す事にする。
☆★☆★
ずっと振り続けていた雪は止んで、雲の切れ間から光が差し込んでくる。
いつぶりのお日様だろうか。目を細めながら空を仰ぐ。
陽光が心地良い。
雪は溶けていき、瓦礫は形を留めている物は殆どなくなっていた。
汚染の状況は改善されていないだろうか?
【ハルの泉の 状態:放射能汚染 突然変異の可能性 付与力:134751】
泉の状態は変わらない。付与力の増加量からかなりの時間が経ったのだと想像できる。
そして出来る選択肢が増えていた。
拡張 [10]
吸収 [10]
汚染除去 [100]
突然変異 [10000]
これは……何が出来るのだろうか?
付与力も1になってしまい、何もできない。
放射能をどうにかするには全然足らないのだ。仮に泉を綺麗にしたとしても空と大地は汚染されたままだ。すぐに汚染されてしまうだろう。
暫くはこのまま様子を見ているしか無いか……。
☆★☆★
降り積もる雪は泉の周りを白く塗りつぶし、高い壁となって覆い被さらんとしていた。
「んしょ……んしょ……」
ただ泉を眺めているのも退屈だったので雪かきをしながら遊んでみる。
雪だるまを作ってみたり、かまくらを作ってみたり、ふふ……子供の頃を思い出すわ。
素手で雪に触れていても、若干の冷たさを感じるが霜焼けになる事はなかった。
そういえば気温がかなり低い筈だけど寒さも感じない。
精霊というのは感覚が鈍いのかしらね。
雪はまだまだ降り積もる。
雪が降ったある日、孫達と雪遊びをした事を思い出していた。
雪ウサギを作りながら思い出にふける。
みんな元気にしているかしら。
「あら……南天が無いから目も耳も付けられないわ。」
周りに何かないかと探していたら大きな尖った石を見つけた。
やや透明な赤色で、反りのある縦長の三角形……爪にも見えるけど、猫の爪にしてはかなり大きく掌に乗り切らないくらいだった。
そしてほんのり温かい。
「これ……シグルーンのだわ。」
彼……彼女か分からないけど、親切にしてくれたドラゴンさんの形見だ。大切にしよう。
紐でも通して首にでもかけておけたらいいのだけど、紐も穴を空ける術もない。
無くさない様に大切に持っておこう。
☆★☆★
雪はどんどん強くなって吹雪いてきた。世界を汚れを隠す様に世界全体を白く覆っている。
この吹雪はいつまで続くのだろう?
寒くはないけど1人は寂しい。
シグルーンの言った通り、この世界に生きているのは私だけなのだろう。
どれくらいの時間が経っただろうか……
付与力を確認してみる。
【ハル 泉の精霊 状態:放射能汚染 付与力:25352】
これだけあれば汚染された泉をきれいに戻せるだろうか?
でも周りの放射能もどうにかしないといけない。
できる事を確認してみる。
拡張 [10]
吸収 [10]
汚染除去 [100]
今なら253回汚染除去出来るけど、どうしようか?
そういえば他の2つは試していなかった。10しか使わないし試してみよう。
まずは拡張。
選択したらほんの少し泉が大きくなった。
そのまま泉を大きくする機能のようだ。
次は吸収。
選択しようとしたけど何も起こらない。
どうやって使うのだろうか?
この吸収はどういう意味なのか分からない。泉を私が吸収するのか、何かを泉に吸収させるのか。
泉とはとても呼び難いオイル溜まりに触れてみる。
そのまま吸収を選択しても何も起こらない。
それならと試しにシグルーンの爪?を少しだけ漬けて吸収を選択する。
爪が少し欠けてしまった。
しまった、大切な形見を……。
自分の軽率さを反省しながらも泉の状態を確認する。
【ハルの泉 状態:放射能汚染 突然変異の可能性 付与力:25332】
何か増えている。突然変異の可能性……?
どうしようか、シグルーンの形見を全部吸収させればもっと分かりやすく何か起こるかも知れない。
私は悩んだ。
長い間孤独な時間を過ごしてきたけれど、ずっとこの形見を抱きしめていた。
この温もりが孤独な私を支えてくれていた。今更手放したくはない。
悩んだ結果……
「暫く泉の様子を見てみよう。」
心の支えとなっていたシグルーンの欠片を失いたくなかった。
無くさずにどうにか出来る方法を探す事にする。
☆★☆★
ずっと振り続けていた雪は止んで、雲の切れ間から光が差し込んでくる。
いつぶりのお日様だろうか。目を細めながら空を仰ぐ。
陽光が心地良い。
雪は溶けていき、瓦礫は形を留めている物は殆どなくなっていた。
汚染の状況は改善されていないだろうか?
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そして出来る選択肢が増えていた。
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汚染除去 [100]
突然変異 [10000]
これは……何が出来るのだろうか?
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