泉の精の物語〜創生のお婆ちゃん〜

足助右禄

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養育

幼児学校

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翌日、朝食をいただいて、着替えを行う。
学校は制服を着ていくのだと言う。
制服は紺色のブレザーにスカート。とても良く似合っている。

そして。

「私も着ないといけないの……?」
「ハル様もご一緒だと伺いましたのでご用意させていただきました」
「そ、そう……」
「おかーさんカワイイ!」

屈託のない笑顔を向けてくる芽依。
保護者として参加するつもりなのだけど、学校に入るのには制服着用が義務のなかしら。

あとは髪をセットするというのでお任せする事に。

家政婦長のメアリーが私の腰まである水色の髪を櫛でといてくれる。

「ハル様……髪のお手入れはどうされているのですか?とてもサラサラで櫛を通す必要もないくらいです」
「ありがとう。特に何もしていないのだけど」

メアリーは恐る恐るといった感じで触っていた。髪は後ろでまとめてくれた。

芽依は侍女のアンナの手によってブロンドの少し長めの髪を左右でまとめて赤いリボンを着けていた。
髪をすくのも初めての芽依はニコニコと楽しそう。

支度が終わって玄関へと向かうとそこには昨日居なかった年配の女性が待っていた。

「初めまして。付き添いをさせていただきます、ジョゼットと申します。宜しくお願い致します」
「ありがとう。宜しくお願いします」

ジョゼットはマナー面の教育も担当してくれるそうで、昨日の夕食の出来事を見て急遽呼ばれたそうだ。

そこまでしてもらって申し訳なく思う。

学園までは歩けば10分程度らしいのだが、基本的には馬車で通うものらしい。

玄関を出るとギョクリュウが馬車を引いて待っていた。

『ハル様、おはようございます』
「おはようギョクリュウ。昨日は良く眠れた?」
『はい。少々狭い所でしたが世話係もおりましたので』

ギョクリュウは元気そうだった。
いつも身近な所にいる彼が離れた建物で暮らしているので不安がらないかと心配していたが問題ない様だ。

「ギョクリュウおはよう!よろしくおねがいします!」

芽依はギョクリュウの目の前まで言ってペコリとお辞儀をしている。

『メイ様おはようございます。お可愛らしいお召し物ですね』
「ありがと!」

ニコリと笑ってこちらに戻ってくる。
御者台には従者が乗っていた。

「おはようございます。私がお二人の送り迎えをさせていただきます。ギョクリュウ様に御者は必要ないとお伺いしておりますが街の事は知らないご様子なので、僭越ながら私が御者台に座りお声掛けをさせていただきます」
「宜しくお願いします」

馬車にはジョゼットも一緒に乗り込む。
これから芽依の傍について、マナーや身嗜みについてしっかりと教育してくれるそうだ。

今日は初日なので颯太も一緒に行く。
明日からは家に居てもらう予定だ。
カナエには常に芽依についていてもらう。彼女なら肩に止まっていても邪魔にはならないし、服の中に隠れる事も出来る。
何かあれば対抗する事も出来るので、一番頼りになる護衛だ。

馬車に乗るとゆっくりと走り出し、学園へと向かう。十分なんてあっという間で、直ぐに大きな建物が見えてきた。

幼児学校と言うので幼稚園の様なものを想像していたが、立派な建物が建ち並ぶ大学の様な造りだった。
校内を歩いている者の年齢は十代半ば位の者が多かった。

どうやら総合的な学校の様だ。

馬車は門を潜り更に奥へと進んで行き、白い壁が美しい屋敷の様な造りの建物の前で止まる。

「到着致しました」

従者が扉を開けていよいよ学び舎へ。

入り口には教師らしい若い女性が待っていた。

「初めまして。ようこそお越し下さいました。私はここで教鞭をとっております、ルシアーナと申します」

長い銀髪を後ろで束ねた優しそうな先生だ。

二人で挨拶をして教室へと向かう。

「教室は一つで、現在二十人の生徒がおります。歳も近い子ばかりなのですぐに馴染めると思います」

説明を受けながら歩いているうちに教室に着いた。

学校なんて久しぶりだわ。
芽依はワクワクとした表情で私の隣にいる。
この子はどこに行っても大丈夫ね。私の方が緊張しているかな。
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