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勇者
尖兵
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泉の水を槍に変えて投げつける。
それを身体の真ん中に受けて悲鳴をあげるモールドーテ。
『やはり貴様があの……泉の精霊か……!』
「私の事を知っていたのね?」
『我々の中で知らぬ者はいない……貴様は我らの天敵……』
苦しそうに語るモールドーテ。体には水の槍で穿たれた穴が空いている。
その穴の奥に見えていたのは白い石が見えていた。
あの石は……!
「あなた、その石はどうしたの?」
『竜の王より授けてもらった』
つまりルドガイアの王、竜の王と呼ばれる者はこの石を扱っているという事だ。
という事は竜の王自身も?
「答えなさい。竜の王にもあなたと同じ石があるの?」
『ククク……どうだろうな』
話す気が無いのか本当に知らないのか、どの道モールドーテからはこれ以上情報を聞き出す事は無理そうだ。
「あなたのその石はこの星にあってはならないものです。今ここで破壊します」
私は《過剰分泌》した泉の水を手に溜めてモールドーテの穴の空いた部分に撃ち込む。
石は粉々に砕け散り不気味な魔物は力無く倒れた。
「死んだの?」
「ええ。身体の中にあった石を破壊したから死んだみたいね」
どうやら体と同化していたので破壊した事によって絶命したのだろう。
「これで一件落着か。恐ろしい敵だったな」
地に伏した不気味な魔物を見下ろしながら剣を納めるセロ。
「セロさんの剣は私の大剣よりも切れ味が良かったですね」
エレは大剣を背負い直しながらセロの剣、ヴォーリヤアステールを見ていた。
『我は邪悪なるものを斬る為の剣であるから、お主の持つ鈍とは違う』
「わっ……喋った!」
『喋る事は知っておるだろう。今更驚くな』
剣はエレを嗜める。
「あなたには特殊な力があるという事ね」
『如何にも』
「一応聖剣ですから」
『一応とは何事か!我は魔を打ち砕く聖剣ヴォーリヤアステールであるぞ』
マイが言った事に過剰に反応するヴォーリヤアステール。彼の言う通りならばあの石を倒す為の力になるかも知れない。
私といる以上セロ達にもあの石と出会う可能性があるのだ。対抗手段があった方がいい。
「どうやら片付いた様だな」
ゆっくりとこちらにやって来たのは偉そうな騎士。
「そういえばあなたの名前は?」
「私は王国第一騎士団『紅蓮』団長のクーゲルだ。泉の精霊ハル殿、ご苦労だった」
「『幻獣使いの魔女』ではなかったのですか?」
「先刻は大変失礼した。この通り、どうか非礼を許して欲しい」
そう言って頭を下げてきた。
「頭を上げてください。私の方こそ先程からの失礼な物言いをお許しください」
礼には礼で返そう。
部下の騎士達も集まって来た。その時、近くに倒れ伏していた狼が動き出す。
「こいつ……!まだ息があるぞ!」
「早く止めを刺せ!」
「待ってください!」
騎士達が剣を抜いて斬り掛かろうとするが、それを止める。
「しかしこの化け物は……」
「モールドーテに寄生されていただけかも知れません。手を下すのは話を聞いてからでも遅くはありません」
「ハル殿の言う通りにせよ」
クーゲルが口添えをしてくれて騎士達は下がってくれた。
「あなた、私の言葉が分かりますね?」
『ぐぅ……俺に取り憑いていた魔物はどうなりましたか……?』
「倒しました。確認します。あなたに私達と争う意志はありますか?」
『ありがとう。あなたは恩人です。争うつもりなどありません。しかし私は人間を多数殺めてしまいました。あなたの手で俺に引導を渡して欲しいのです』
狼は身を起こしたが、私の方を向き地面に伏せた。
確かに魔物討伐にやって来た騎士団を壊滅させたのはこの狼にも一端があると考えざるを得ない。
騎士達にとっては仲間の仇になるわけだ。
「クーゲル様、この狼は魔物に操られていたのですが、殺さなければなりませんか?」
「あの奇妙な魔物に操られていたのならその魔物に咎はあるまい」
そう言ってもらえるならこの狼を保護しようと思う。
それを身体の真ん中に受けて悲鳴をあげるモールドーテ。
『やはり貴様があの……泉の精霊か……!』
「私の事を知っていたのね?」
『我々の中で知らぬ者はいない……貴様は我らの天敵……』
苦しそうに語るモールドーテ。体には水の槍で穿たれた穴が空いている。
その穴の奥に見えていたのは白い石が見えていた。
あの石は……!
「あなた、その石はどうしたの?」
『竜の王より授けてもらった』
つまりルドガイアの王、竜の王と呼ばれる者はこの石を扱っているという事だ。
という事は竜の王自身も?
「答えなさい。竜の王にもあなたと同じ石があるの?」
『ククク……どうだろうな』
話す気が無いのか本当に知らないのか、どの道モールドーテからはこれ以上情報を聞き出す事は無理そうだ。
「あなたのその石はこの星にあってはならないものです。今ここで破壊します」
私は《過剰分泌》した泉の水を手に溜めてモールドーテの穴の空いた部分に撃ち込む。
石は粉々に砕け散り不気味な魔物は力無く倒れた。
「死んだの?」
「ええ。身体の中にあった石を破壊したから死んだみたいね」
どうやら体と同化していたので破壊した事によって絶命したのだろう。
「これで一件落着か。恐ろしい敵だったな」
地に伏した不気味な魔物を見下ろしながら剣を納めるセロ。
「セロさんの剣は私の大剣よりも切れ味が良かったですね」
エレは大剣を背負い直しながらセロの剣、ヴォーリヤアステールを見ていた。
『我は邪悪なるものを斬る為の剣であるから、お主の持つ鈍とは違う』
「わっ……喋った!」
『喋る事は知っておるだろう。今更驚くな』
剣はエレを嗜める。
「あなたには特殊な力があるという事ね」
『如何にも』
「一応聖剣ですから」
『一応とは何事か!我は魔を打ち砕く聖剣ヴォーリヤアステールであるぞ』
マイが言った事に過剰に反応するヴォーリヤアステール。彼の言う通りならばあの石を倒す為の力になるかも知れない。
私といる以上セロ達にもあの石と出会う可能性があるのだ。対抗手段があった方がいい。
「どうやら片付いた様だな」
ゆっくりとこちらにやって来たのは偉そうな騎士。
「そういえばあなたの名前は?」
「私は王国第一騎士団『紅蓮』団長のクーゲルだ。泉の精霊ハル殿、ご苦労だった」
「『幻獣使いの魔女』ではなかったのですか?」
「先刻は大変失礼した。この通り、どうか非礼を許して欲しい」
そう言って頭を下げてきた。
「頭を上げてください。私の方こそ先程からの失礼な物言いをお許しください」
礼には礼で返そう。
部下の騎士達も集まって来た。その時、近くに倒れ伏していた狼が動き出す。
「こいつ……!まだ息があるぞ!」
「早く止めを刺せ!」
「待ってください!」
騎士達が剣を抜いて斬り掛かろうとするが、それを止める。
「しかしこの化け物は……」
「モールドーテに寄生されていただけかも知れません。手を下すのは話を聞いてからでも遅くはありません」
「ハル殿の言う通りにせよ」
クーゲルが口添えをしてくれて騎士達は下がってくれた。
「あなた、私の言葉が分かりますね?」
『ぐぅ……俺に取り憑いていた魔物はどうなりましたか……?』
「倒しました。確認します。あなたに私達と争う意志はありますか?」
『ありがとう。あなたは恩人です。争うつもりなどありません。しかし私は人間を多数殺めてしまいました。あなたの手で俺に引導を渡して欲しいのです』
狼は身を起こしたが、私の方を向き地面に伏せた。
確かに魔物討伐にやって来た騎士団を壊滅させたのはこの狼にも一端があると考えざるを得ない。
騎士達にとっては仲間の仇になるわけだ。
「クーゲル様、この狼は魔物に操られていたのですが、殺さなければなりませんか?」
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