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勇者
精霊
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トウヤからは他にも色々な事を聞く事ができた。
私は魔族の国とライアッド王国の事しか知らないので他の国の情報は貴重だ。
竜が支配する国ルドガイアはかなり北の方にあるらしい。彼らが暮らしていたヘリオスという国もルドガイアが攻めて来るのではないかと噂があったそうだ。
「ルドガイアは各地を占領して回っていますが、占領地の殆どの種族を殺しているそうです」
「支配する事が煩わしいのかしらね。竜こそが最も優れた種族だと思っている様だし」
確かに竜は強い。だが、それだけで最も優れているとは言い難い。生き物にはそれぞれ得手不得手があるのだ。互いに助け合って生きていくのが理想だと私は思っている。
「私からも一つ質問したいのですが」
「何かしら?」
「精霊様は何故転生者を殺害したのですか?」
トウヤは私が彼らを殺した経緯を聞いていない様だ。
私は王都で起こったテロ事件からあった事を全て話した。
「そうだったのですか……それは殺されても当然ですね」
そう言って何かを考えるトウヤ。
「どうしたの?」
「いえ、神は転生者を『滅ぼした』と言ったのですが、『殺害した』と違うのは何故だろうと思いまして」
確かに殺害の方が分かりやすい。何故態々滅ぼすなどと回りくどい言い方をしたのだろうか。
「推測だけど、死ぬと滅ぶは神様にとって意味が違うんだと思うよ」
颯太が説明してくれる。
「それはつまり、滅ぶは死ぬよりも厳しいという意味でしょうか」
「多分そうだと思う」
アルシファーナに聞いてみたいが望んで会えないのがもどかしいわね。
「リタ、お腹いていないかい?食事を用意するよ」
「うん!」
「私も手伝います」
颯太とトウヤは台所に入っていった。
「私達はリタちゃんにこの辺りを案内してくるね」
芽依とマイとエレがリタを連れて森に向かって行った。
私は種族長達に会いに行き、農業の進捗を確認して回った。
ザハーンやディアブレルから苗や種を仕入れて泉の水を使って栽培をした所、生育が凄まじく早くなり、通常半年は掛かる所をもうすぐ収穫が出来るとの事だった。
喜ばしい事だが、作物の質と土壌への影響がどれ程あるかを見てから判断するべきだろう。
リザードマン達の養殖も順調だそうだ。
また勧められたが、流石にカエルは食べる気にはなれないので遠慮しておいた。
火を通せば食べられなくはないのだけど。
泉に戻ると食事も出来上がっていて、皆が私の帰りを待っていてくれた。
「先に食べていてくれてよかったのに」
「折角だからみんなで食べようって話になったんだよ」
そうだったのね。
食事を終えて私は再び見回りへ。今回はギョクリュウに乗り彼と二人で行く事にした。
泉から流れ出た水は川となって下流へ流れているが、他の湧き水と合わさって少しずつ大きな川へとなっていく。
下流には小さな池があり、そこには様々な生物が生息していた。
この池も皆から神聖な場所とされていて、どの種族もここの近くには集落を作る事をしなかった。
そんな事を気にする必要はないのに。
お陰でここには魚も多く住んでいて食料調達が非常に便利だ。
リザードマン達もここにいる魚を養殖してくれればいいのにと身勝手な事を考えながら池の様子を見ていると、中央部に何かが浮いているのが見えた。
水色の小さな光がゆっくりと動いている。魔物にも動物にも見えない何かは同じ所を回っている様に見えた。
そんなに深くないので近くに行ってみる。
『だれ?』
水色の光は私に気付いて話し掛けてきた。男性とも女性とも言えない子供の様な優しい声だ。
「私は泉の精霊ハル。あなたは?」
『水の精霊』
「精霊?」
『なまえはない。つけて?』
光は私の周りをゆっくり飛びながら話しかけてくる。
精霊という事は私と同じ種族なのだろうか?
それから、私が安易に名前を付けても良いのか?
私はそのまま少し考えた。
私は魔族の国とライアッド王国の事しか知らないので他の国の情報は貴重だ。
竜が支配する国ルドガイアはかなり北の方にあるらしい。彼らが暮らしていたヘリオスという国もルドガイアが攻めて来るのではないかと噂があったそうだ。
「ルドガイアは各地を占領して回っていますが、占領地の殆どの種族を殺しているそうです」
「支配する事が煩わしいのかしらね。竜こそが最も優れた種族だと思っている様だし」
確かに竜は強い。だが、それだけで最も優れているとは言い難い。生き物にはそれぞれ得手不得手があるのだ。互いに助け合って生きていくのが理想だと私は思っている。
「私からも一つ質問したいのですが」
「何かしら?」
「精霊様は何故転生者を殺害したのですか?」
トウヤは私が彼らを殺した経緯を聞いていない様だ。
私は王都で起こったテロ事件からあった事を全て話した。
「そうだったのですか……それは殺されても当然ですね」
そう言って何かを考えるトウヤ。
「どうしたの?」
「いえ、神は転生者を『滅ぼした』と言ったのですが、『殺害した』と違うのは何故だろうと思いまして」
確かに殺害の方が分かりやすい。何故態々滅ぼすなどと回りくどい言い方をしたのだろうか。
「推測だけど、死ぬと滅ぶは神様にとって意味が違うんだと思うよ」
颯太が説明してくれる。
「それはつまり、滅ぶは死ぬよりも厳しいという意味でしょうか」
「多分そうだと思う」
アルシファーナに聞いてみたいが望んで会えないのがもどかしいわね。
「リタ、お腹いていないかい?食事を用意するよ」
「うん!」
「私も手伝います」
颯太とトウヤは台所に入っていった。
「私達はリタちゃんにこの辺りを案内してくるね」
芽依とマイとエレがリタを連れて森に向かって行った。
私は種族長達に会いに行き、農業の進捗を確認して回った。
ザハーンやディアブレルから苗や種を仕入れて泉の水を使って栽培をした所、生育が凄まじく早くなり、通常半年は掛かる所をもうすぐ収穫が出来るとの事だった。
喜ばしい事だが、作物の質と土壌への影響がどれ程あるかを見てから判断するべきだろう。
リザードマン達の養殖も順調だそうだ。
また勧められたが、流石にカエルは食べる気にはなれないので遠慮しておいた。
火を通せば食べられなくはないのだけど。
泉に戻ると食事も出来上がっていて、皆が私の帰りを待っていてくれた。
「先に食べていてくれてよかったのに」
「折角だからみんなで食べようって話になったんだよ」
そうだったのね。
食事を終えて私は再び見回りへ。今回はギョクリュウに乗り彼と二人で行く事にした。
泉から流れ出た水は川となって下流へ流れているが、他の湧き水と合わさって少しずつ大きな川へとなっていく。
下流には小さな池があり、そこには様々な生物が生息していた。
この池も皆から神聖な場所とされていて、どの種族もここの近くには集落を作る事をしなかった。
そんな事を気にする必要はないのに。
お陰でここには魚も多く住んでいて食料調達が非常に便利だ。
リザードマン達もここにいる魚を養殖してくれればいいのにと身勝手な事を考えながら池の様子を見ていると、中央部に何かが浮いているのが見えた。
水色の小さな光がゆっくりと動いている。魔物にも動物にも見えない何かは同じ所を回っている様に見えた。
そんなに深くないので近くに行ってみる。
『だれ?』
水色の光は私に気付いて話し掛けてきた。男性とも女性とも言えない子供の様な優しい声だ。
「私は泉の精霊ハル。あなたは?」
『水の精霊』
「精霊?」
『なまえはない。つけて?』
光は私の周りをゆっくり飛びながら話しかけてくる。
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それから、私が安易に名前を付けても良いのか?
私はそのまま少し考えた。
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