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帰国
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次の日、夏樹の運転で病院まで送って貰った。帰りは連絡すれば月見里家の車が迎えにくる。
診療科が異なる為、柚子とは別れて循環器外科の方に進み、受付を済ませる。
すぐに名前が呼ばれて、診察室に入ると懐かしの主治医が座っていた。
「おう、久しぶりだな。背がちと伸びたかぁ?」
ニヤニヤとしながらこちらを見てくるのは、主治医である城(じょう)先生。
現在40歳の心臓領域におけるベテラン外科医でもある。
「久しぶり、城先生。5年も経ってるからね。」
最後に会ったのは、城がアメリカに研修に来た時にあった以来だ。
「そうだな。5年も経つのか。まぁ、つもる話はおいおいにして、診察するぞ。」
問診を受けた後、上の服を脱ぎ聴診器のチェストピースを当てられ肺や胸の音を聴かれる。
「脈が弱いな。音も何度か飛ぶ。日常で苦しさを感じる事は?」
「今は薬でコントロール出来てるよ。向こうで手術も受けたからね。カルテこっちにも共有されてると思うけど、経過はそのまんまだよ。
とりあえず、この5年間は激しい運動とか、長期的に歩くなんて事は一切しなかったから、負荷がかかった時はわかんないなぁ。」
「安静状態だったわけだな。わかった。今から、エコーした後、血液検査、心電図、レントゲンやって、最後に運動負荷心電図をする。丸1日掛かるが大丈夫か?」
「うん。大丈夫。遅くなるとは伝えてるから。」
診察室のベッドに横になり、エコーを受ける。やっぱり動きはまだ悪いようで難しい顔をしながら城先生がブツブツと呟いている。
エコーが終わり、検査着を渡され着替えると早速採血をされる。
そのままベットに横になり心電図の電極が貼られていく。
心電図は15分程度で終わり、その後レントゲンを撮られて休憩した後に運動負荷検査となった。
胸に電極を貼られて、ベルトコンベアの上に乗る。スタッフが止める前に苦しくなったりおかしいと感じたら合図を何らかで出すように伝えられ、マシンが動き出す。
ペースは普通の歩く速度から始まり、少しずつ声をかけられペースが徐々に上がっていく。
開始10分、時雨からすると早歩きと小走りの中間くらいの速度で、心臓がハクッとしたと思うとそこから苦しくなり胸を押さえる。
スタッフもその時点でマシンを止めて時雨に駆け寄る。
止まった瞬間グッタリと体を丸めて苦しさを逃そうと座り込んだ。
「ハッハッハッハッゲホッ」
息がしづらく、モニターからも緊急を示すアラームが鳴り響く。
城が直ぐに飛んできて、薬を打ち15分程すると落ち着いてきた。
ベッドに横になったままグッタリとする時雨の様子を見て、やはりと呟く。
「シグ、向こうでの治療も現状維持的なものだったろう?
お前の今の状態では、高校生活は厳しいと判断する。」
「やだ。もう真っ白な空間でぼぉっと過ごすのは嫌だよ!父さん達も説得したし、高校は絶対に通う!」
「ってもな。シグが行く予定なのは全寮制の由良学園だろう。あっこはここから近いが校舎がバカでかいし、日常生活での負担は大きいだろう。移動教室の時とかどうする。場所が遠かったら走って移動とか友人とだとなるだろう。シグの状態では走ることはドクターストップだ。つか、1日中講義受けれられるとも思えん。」
「そこは、学園長と話をつけて移動はゆっくりでいいって許可を貰ってる。体育もレポートで代用。講義は一日中受けたことが無いからわからないけど、気分が悪くなったら保健室に行くって約束する。」
「でもなぁ。お前、まだまともな発情期はきてないだろう?万が一、学園で初めてなった時、お前の心臓には負担が大きくて心停止になるリスクも高い。俺は出来れば通信とか、せめて通学生の高校がいいと思ってる。
どうしても由良じゃないとだめなのか?」
「うん。だって父さん達も兄さん達も由良学園だったんだよ?僕も同じ所で学んでみたい。今まで入院ばっかりで一度も学校に通ってないんだよ??無理はしないって約束するし、定期検診にもちゃんと来る。お願い。」
「………。はぁ、わかった。学園の保健医とは連絡を取っておく。入学までウチで心臓リハビリを受けにこい。定期検診には2週間に一度くる事。少しでも体調に違和感があったら休む、保健室に行く、俺に連絡する事。守れるか?」
「うん!約束する!行ってもいい??」
「しゃーねぇなぁ。いいぞ。あ、ついでにフェロモン検査と内診もしていけ。」
「ありがと!わかった!」
満面の笑みを浮かべて城に抱きつく。フェロモン検査は唾液採取であるため、検査キットに唾液を出し簡単に終わる。
「はいはい。じゃぁ、内診室行くぞ~。」
科を跨いで状態が落ち着いた頃に移動し、下の衣服を脱ぎ、内診台に上がる。
ゆっくり足が機械により広げられ、ジェルを塗った検査棒が挿入された。
「んっ。」
冷たさに思わず力が入る。
「息吐いて。そう。ゆっくり挿れるから力抜いててな。」
モニターを見ながら、子宮の位置まで棒を挿入していく。
「あった。ここだな。機能は問題無さそうだ。抑制剤は?飲んでるか?」
「うん。1年前くらいから飲み始めてる。一月分はまだ残ってるから、また今度の診察の時に処方して欲しい。」
「わかった。チョーカーはしっかりしとけよ。じゃ、抜くな。」
ゆっくりと検査棒が抜かれてジェルを拭き取られて終了した。
「今日はこれで終わりな。1週間後にまたこい。検査結果伝えるのと、リハビリを始める。発作も起きてるし、今日は湯船に浸からずシャワーだけ。飯も食べれる分だけ。無理しないこと。早く布団に入って休め。お疲れさん。」
「ありがと。また来週ね。」
服に着替えて会計を済ませて読んだ車に乗り込んだ。
静かな車内で疲れが出ていたのか横になるとすぐに眠りに落ちた。
診療科が異なる為、柚子とは別れて循環器外科の方に進み、受付を済ませる。
すぐに名前が呼ばれて、診察室に入ると懐かしの主治医が座っていた。
「おう、久しぶりだな。背がちと伸びたかぁ?」
ニヤニヤとしながらこちらを見てくるのは、主治医である城(じょう)先生。
現在40歳の心臓領域におけるベテラン外科医でもある。
「久しぶり、城先生。5年も経ってるからね。」
最後に会ったのは、城がアメリカに研修に来た時にあった以来だ。
「そうだな。5年も経つのか。まぁ、つもる話はおいおいにして、診察するぞ。」
問診を受けた後、上の服を脱ぎ聴診器のチェストピースを当てられ肺や胸の音を聴かれる。
「脈が弱いな。音も何度か飛ぶ。日常で苦しさを感じる事は?」
「今は薬でコントロール出来てるよ。向こうで手術も受けたからね。カルテこっちにも共有されてると思うけど、経過はそのまんまだよ。
とりあえず、この5年間は激しい運動とか、長期的に歩くなんて事は一切しなかったから、負荷がかかった時はわかんないなぁ。」
「安静状態だったわけだな。わかった。今から、エコーした後、血液検査、心電図、レントゲンやって、最後に運動負荷心電図をする。丸1日掛かるが大丈夫か?」
「うん。大丈夫。遅くなるとは伝えてるから。」
診察室のベッドに横になり、エコーを受ける。やっぱり動きはまだ悪いようで難しい顔をしながら城先生がブツブツと呟いている。
エコーが終わり、検査着を渡され着替えると早速採血をされる。
そのままベットに横になり心電図の電極が貼られていく。
心電図は15分程度で終わり、その後レントゲンを撮られて休憩した後に運動負荷検査となった。
胸に電極を貼られて、ベルトコンベアの上に乗る。スタッフが止める前に苦しくなったりおかしいと感じたら合図を何らかで出すように伝えられ、マシンが動き出す。
ペースは普通の歩く速度から始まり、少しずつ声をかけられペースが徐々に上がっていく。
開始10分、時雨からすると早歩きと小走りの中間くらいの速度で、心臓がハクッとしたと思うとそこから苦しくなり胸を押さえる。
スタッフもその時点でマシンを止めて時雨に駆け寄る。
止まった瞬間グッタリと体を丸めて苦しさを逃そうと座り込んだ。
「ハッハッハッハッゲホッ」
息がしづらく、モニターからも緊急を示すアラームが鳴り響く。
城が直ぐに飛んできて、薬を打ち15分程すると落ち着いてきた。
ベッドに横になったままグッタリとする時雨の様子を見て、やはりと呟く。
「シグ、向こうでの治療も現状維持的なものだったろう?
お前の今の状態では、高校生活は厳しいと判断する。」
「やだ。もう真っ白な空間でぼぉっと過ごすのは嫌だよ!父さん達も説得したし、高校は絶対に通う!」
「ってもな。シグが行く予定なのは全寮制の由良学園だろう。あっこはここから近いが校舎がバカでかいし、日常生活での負担は大きいだろう。移動教室の時とかどうする。場所が遠かったら走って移動とか友人とだとなるだろう。シグの状態では走ることはドクターストップだ。つか、1日中講義受けれられるとも思えん。」
「そこは、学園長と話をつけて移動はゆっくりでいいって許可を貰ってる。体育もレポートで代用。講義は一日中受けたことが無いからわからないけど、気分が悪くなったら保健室に行くって約束する。」
「でもなぁ。お前、まだまともな発情期はきてないだろう?万が一、学園で初めてなった時、お前の心臓には負担が大きくて心停止になるリスクも高い。俺は出来れば通信とか、せめて通学生の高校がいいと思ってる。
どうしても由良じゃないとだめなのか?」
「うん。だって父さん達も兄さん達も由良学園だったんだよ?僕も同じ所で学んでみたい。今まで入院ばっかりで一度も学校に通ってないんだよ??無理はしないって約束するし、定期検診にもちゃんと来る。お願い。」
「………。はぁ、わかった。学園の保健医とは連絡を取っておく。入学までウチで心臓リハビリを受けにこい。定期検診には2週間に一度くる事。少しでも体調に違和感があったら休む、保健室に行く、俺に連絡する事。守れるか?」
「うん!約束する!行ってもいい??」
「しゃーねぇなぁ。いいぞ。あ、ついでにフェロモン検査と内診もしていけ。」
「ありがと!わかった!」
満面の笑みを浮かべて城に抱きつく。フェロモン検査は唾液採取であるため、検査キットに唾液を出し簡単に終わる。
「はいはい。じゃぁ、内診室行くぞ~。」
科を跨いで状態が落ち着いた頃に移動し、下の衣服を脱ぎ、内診台に上がる。
ゆっくり足が機械により広げられ、ジェルを塗った検査棒が挿入された。
「んっ。」
冷たさに思わず力が入る。
「息吐いて。そう。ゆっくり挿れるから力抜いててな。」
モニターを見ながら、子宮の位置まで棒を挿入していく。
「あった。ここだな。機能は問題無さそうだ。抑制剤は?飲んでるか?」
「うん。1年前くらいから飲み始めてる。一月分はまだ残ってるから、また今度の診察の時に処方して欲しい。」
「わかった。チョーカーはしっかりしとけよ。じゃ、抜くな。」
ゆっくりと検査棒が抜かれてジェルを拭き取られて終了した。
「今日はこれで終わりな。1週間後にまたこい。検査結果伝えるのと、リハビリを始める。発作も起きてるし、今日は湯船に浸からずシャワーだけ。飯も食べれる分だけ。無理しないこと。早く布団に入って休め。お疲れさん。」
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