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~第2章~
不憫
しおりを挟む◆◆◆
一般人-明家-自宅(2階)
「まず、お前があっちに行って〈いる〉のか、それともいって〈いた〉のか、どっちだ。」
「今、と言うかは今日の朝までだな。
勇者、魔王、王、ってのもややこしいし国王か、あともう1つが分からなかったが全部回って」
「待て!今何と言った!」
「だから全部回っ」
っと、こんな時のお約束は1つ前の言葉に疑問を抱いているんだよな。
「勇者と魔王と王と」
「もう1つと言ったか?」とジジイは身を乗り出した。
「?あぁ言った…って!この流れ!ジジィは行ってねぇのか!?」
「この話は終わりだ!もう一度そのあと1つの世界に行って来い!」
このジジィ、俺の話を聞く気がないらしい。
「だから!今朝には行けなくなってたんだって!!」
「最後に行ったのはいつだ!!」
いちいち怒鳴るなよ。
「今朝だよ!!」
いちいち怒鳴るなよ…。
「今朝向こうに行って、そのまま4つ回ってもう1回開けたら行けなくなってた。
それに戻ってきても時間は進んでなかったし。」
「時間は進まんに決まっているだろう!それよりももう一度行って来い!」
「どこに?」
「あっちにだ!!」
「だから!」
するとジジイは俺よりも大きな声で俺の言葉を遮った
「お前が勘違いをしているだけで別に行けなくなった訳では無い!4つと言うのは予想外だったが、儂と同じなら全部回った後は1度元の扉に戻る。その後に開けば2週目に入る!」
マジで。
「じゃ、じゃあ俺はもう1回異世界に行けるのか!?」
「そうだ。」
「マジで?よっしゃぁぁぁ!!
異っ世界!異っ世界!」
と、俺は盆踊りを踊りながらジジィの周りを回った。
「早く行って来い!!」
「了解であります!」
ジジィに敬礼をして店を出た俺は、全速力で家に走った。
◆◆◆
一般人-アパート-201
「はぁ!はぁ!はぁ!し、死ぬ!」
で、死にかけていた。
帰る途中、急いでたのは急いでいたが信号は守っていた。
守っていたが!2回、赤信号で待っている俺に向かって車が突っ込み。
さらに何もなかったと青信号で渡れば、信号無視の車に引かれかける。
もちろん様々な〈不憫〉で命の危機に面して来た俺は全てを避けた。
ちなみに言っておくと、ワイヤートラップを脱出出来たのも、〈偶然〉ワイヤートラップに引っかかる事があって覚えた。
ちなみに今死にかけているのは体力的にだ。
「ま、まぁこれで俺のパラダイスに戻れる。」
ゴクリと生唾を飲んで、恐る恐る襖を開くと。
「………。」
1人の少女がいた。
金髪ロングの美人系少女。
背景は神殿。
しかし俺は戻れた事に驚くことも、はしゃぐ事も出来ずに少女を見つめていた。
そして数秒の沈黙をえて、少女は目の色を変え。
「殺す!」
こっわ!
少女は腰につけていたレイピアをさやの付いたまま抜き、俺の脳天を打ち付けた。
「何、今の、はや…さ………。」
そのレイピアの速度はついさっきの車よりも速かった。
「ぁ。」
で、気を失った。
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