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第1章 邂逅
はじめまして、人間さん
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陽射しが高くまぶしくなる頃、久遠と静夜は森の中を散策しながらある場所に向かっていた。
「僕の仕事場と言っていいかな。毎日欠かさず通ってるところだ」
そう言っただけで、あとは着いてから、と久遠は弾むような足取りで静夜を案内していった。
その間も、昨夜と同様、すれ違う原礎たちから二人は不審そうに冷めたまなざしをじろじろと向けられた。原礎たちは、色の濃淡や癖のあるなしはあれど皆揃いも揃って金髪で、肌も一様の白皙だった。ただ瞳の色は属する礎によってさまざまのようだった。
(いくら外の世界では相互扶助関係といっても、この森では人間はよそ者なんだな。久遠にも世話をかけてるし…だが彼はどうしてこんなに親切にしてくれるんだろう)
「さーて、着いたぞ。この先が僕の仕事場。“四つ葉の学び舎”っていう」
久遠が足を止めたのは、木の柵とアーチに蔦がびっしりと絡まった美しい緑の門の前だった。久遠はその内側に静夜を招き入れ、歩きながら説明した。
「原礎は結婚して子供が生まれてもそれまでと変わらず旅に出る。中には子供を連れて家族で行く者もいるけど、道中の安全を考えて友達や施設に子供を預けて行くことも多いんだ」
さらに歩いていると、少し離れた木々の間をぶらついていた数人の少年たちが久遠の姿に気づき、不穏なニヤニヤ笑い混じりの声をぶつけてきた。
「よう、痩せっぽちで役立たずではみ出し者の久遠じゃねーか」
「今日も飯作りと子守りかぁ?」
「顔も女みてーだし、いい嫁さんになれそーだな!」
少年たちは言いたいだけ言い放つと腹を抱えてゲラゲラ笑い出す。静夜は思わず眉をひそめ、同時に久遠の気持ちが心配になったが、彼自身は痛痒も感じていない満面の笑顔でこうやり返した。
「本当か?褒めてもらえて嬉しいなあ。それならおまえ、僕を嫁さんにもらってくれるか?毎日おいしいごはん作ってやるぞ!」
「げっ!だ、誰がおまえなんか嫁さんにもらうかよ!気持ち悪ぃっ」
「バーカ、冗談に決まってるだろ!おまえなんかこっちの方が願い下げだ!ふんっ」
「くぅっ…!おい、行くぞ!」
「ちぇっ…なんであんなのが宇内様や彼方さんに気に入られてんだよ…マジわかんねー」
悔しそうに吐き捨てて立ち去る少年たちの背中に久遠はあっかんべーと舌を出す。静夜はまだ眉を曇らせたまま溜め息をついた。
「…差別的で、無礼極まりない」
「あいつらは悪ガキで有名な奴らなんだ。誰に対してもああいう感じだから気にしないでくれ」
静夜の耳には役立たずのはみ出し者という表現が妙にザラリと不快な感じで残っていた。それが何を意味するかはわからなかったが、久遠が同族の中で蔑まれる立場にいるらしいということは察せられた。『気にしないで』ーーきっとそれは自分が彼に対してかけるべき言葉だろう。それなのに久遠は正々堂々と侮辱に立ち向かい、その上さらに他者の感情を気遣っている。静夜の胸にはこの久遠という不思議な少年に対する関心が、満ちてくる潮のように次第に強く打ち寄せ始めていた。
「ここだよ、静夜。おーいみんな!いい子にしてたか?」
久遠の姿が見えると幼い子供たちが一斉に振り返り、顔を輝かせて飛びついてきた。
「久ぅ兄~!!」
「久ぅ兄だぁー!!」
「朔、周!千里に日月、それに径もいるな。よーしよし」
体当たりされた上もみくちゃにされながら久遠は嬉しそうにひとりずつ全員の小さな頭や背中を撫でてやる。
「久ぅ兄、きょうはどうしておそくなったの?おねぼうさんだったの?」
「あはは、違うよ。ちょっと用事があってね」
そこへ若い女性と少女の二人が出迎えに現れた。
「久遠くん、こんにちは」
「お待ちしてました、久遠様!久遠様が午前中はお休みだって言うとみんな寂しがって…ぐずって大変だったんですよ」
「穴開けちゃって本当ごめん、四季さん、未来ちゃん」
と、子供のひとりが久遠の後ろに突っ立っている静夜に気づいてパッと久遠から離れ、四季と呼ばれた女性にしがみついた。
「そのひと、だあれ…?」
「久遠くん、もしかして、その人が?」
「あ、うん。この人が、例の人間の…静夜だ」
「はじめまして。静夜です」
静夜が礼儀正しく名乗って会釈すると二人とも微笑んだ。
「久遠くんから話は聞いてるわ。私の名前は穂波・フェリアット・四季。ここで子供たちのお世話をしてるの」
「果菜・マリーシュカ・未来と申します。久遠様と一緒に四季様のお手伝いをさせてもらってます。よろしくお願いします」
四季はおっとりとした独特の雰囲気で、一方の未来ははきはきとしているが、初めて対面する人間の男性に対し少し緊張した様子だ。
「静夜、この二人は理解があって心の優しい人たちだから安心してくれ。…みんな、新しいお友達の静夜兄ちゃんだぞ。仲良くしてあげてくれよ」
「…あたらしいおにいちゃんも、いっしょにあそんだりおひるねしたりするの?」
「えっ?」
くりっとした青い瞳に上目遣いにじっと見つめられ、静夜は困惑する。すると代わりに久遠が答えた。
「そうだな…可愛くお願いしたら、してくれるかもな」
茶目っ気たっぷりのその口振りに笑い声が上がり、その場は温かな空気に包まれた。
子供たちに囲まれて遊び場や動物たちの小屋やお散歩道を見て回っていると、あっという間に昼食の時間になった。
「はい、お野菜のスープにサラダ、チーズに林檎を搾ったジュース。今日は私と未来ちゃんで作ったけど、パンは久遠くんが朝焼いてくれたものだからね」
「静夜様も、もちろん一緒ですよ」
「はい」
未来は静夜の器にはだいぶ多めに盛りつけて出した。皆で大きく低い木のテーブルを囲み、いつもより賑やかな食事が始まる。
久遠の両隣に座った周と千里は特にご機嫌だ。しかし周は彩りの綺麗なサラダを前にしてだんだんしょんぼりとしてきた。目ざとく気づいた久遠は周の顔を覗き込んだ。
「どうした、周?」
「…トマト、きらい…」
「なんで?」
「だって…すっぱいし、このぶつぶつってしたのいや…」
「でも、嫌いなものも頑張って食べないと大きくなれないぞ?トマトは身体にとってもいいからな」
すると周は小さな唇を突き出してぼそっと言った。
「…だっこ」
「え?」
「久ぅ兄がだっこしてくれたら、周、トマトたべる…」
「周は本っ当甘えんぼだなぁ」
満更でもない苦笑いを抑えながら久遠は周を膝の上によいしょと抱き上げた。途端に周はにんまりとする。
「抱っこしたぞ。さあ、約束どおりトマト食べるんだ」
「やぁ!久ぅ兄、あーんして」
口を開けて待つ周に、久遠は困り果てて額を押さえた。
「周、おまえは…しょうがないなあ!…ほら、あーん」
「あーん」
久遠に食べさせてもらうと周はけろっとした顔で嫌いなはずのトマトを綺麗に平らげた。その様子を眺めていた四季がくすくすと肩を揺らし、静夜に話しかけた。
「久遠くんは本当に頼りになるの。男手があると何かと助かるし、あやすのも寝かしつけも上手だから、毎日大活躍なのよ」
「そうなんですか」
(…全然役立たずなんかじゃない。久遠はここでちゃんと必要とされてる…なのに、なぜあんな言われ方を…)
静夜は日月と径に挟まれて座っていた。と、日月がチーズの欠片を地面にぽとりと落とした。まだ不器用なのでうまく摑めていなかったのだ。日月がきょとんとしてきょろきょろ見回していると、気づいた静夜が長い腕を伸ばして拾い、代わりに自分の器からそれより少し大きなチーズの欠片を分けてあげた。
「落としたのは食べられないから、俺のをあげる」
「…ありあーと」
お礼を言うと、日月は何を思ったのか、今度は自分のパンをひと切れ静夜の皿にちょこんと乗せた。
「これは?」
「あげう。おとしちゃだめ」
今度は静夜がきょとんとする番だったが、すぐにくすぐったさを堪えきれなくなって微笑んだ。
「ありがとう」
和気藹々とした雰囲気の中、久遠が朔に話しかけた。
「そう言えば、朔、もうすぐ誕生日だよな。いくつになるんだっけ?」
「よんさーい」
謎のひねり方で繰り出された四本指に、たまらず大人たちから笑いが漏れた。
「ねーねー、久ぅ兄はなんさいなの?」
「僕?僕はこないだ四十五歳になった」
「四十五歳!?」
静夜は信じられないという目つきで久遠を凝視する。彼は久遠を十四、五歳くらいと思っていたのだ。それに対し久遠は目をぱちくりさせ、こともなげに答えた。
「あ、説明し忘れてたか。原礎は生まれて十歳くらいまでは人間と同じ速さで成長するけど、そこから先の成長や老化はものすごくゆっくりなんだ。人間としての見た目は実年齢の三分の一くらいで、寿命も人間の三倍以上はある」
「そ…そう…なのか…」
これは原礎についてある意味で静夜が最も驚嘆した点だった。久遠は一見明らかに自分より若いが実際は自分の倍近くーー静夜は自分の年齢はどうやら二十歳と少しくらいだろうと自覚していたーー生きているということだ。どうりで外見が少年の割に話し方が老成していると感じたのだ。
(ということは…)
静夜はどう見ても三十歳そこそこにしか見えない四季にちらと視線を向けた。だが四季の有無を言わせぬ慈愛の微笑みの壁にぶち当たり、無言で引き下がった。
「静夜、ちびっ子たちに気に入られたみたいだな」
気づくと食べ終えて退屈し出した子供たちが静夜に群がってじゃれついていた。少しの間一緒に過ごして慣れてきたのだろう、人間である静夜の黒い髪や無彩色の旅装束に皆興味津々で、あちこち引っ張ったり腿の上にごろんと転がったり、見上げるほど高い肩によじ登ろうとしている子もいる。
「みんな、食後の運動に遊んでもらったらどうかしら?」
「うん、あそぶー」
「よーし、人間遊園地だ。せっかくだから思う存分遊んでもらえ~」
「静兄こっちこっち~!」
「あ…待って…!」
制止も虚しく静夜は連れていかれ、肩車をさせられたり体操器具のように踏みつけられたりする。ここにいる誰よりも背が高くがっしりした体格なので、子供たちは勢いに任せてきゃっきゃと大はしゃぎだ。
「人気を取られちゃったな」
食後の片づけをしていた四季と未来が顔を上げて笑った。
「静夜様は子供に好かれる方なんですね。…記憶を失くされる前は、どんな方だったんでしょう」
「あんなに子供に好かれるんだもの、きっとすごく優しい人よ。でも久遠くん、静夜くんのこと、これからどうするの?」
「とりあえずは僕が面倒見るけど、いつまでもそのままってわけにいかないのはわかってる。心配して待ってる人がいるかもしれないし、静夜自身のためにも早く記憶を取り戻して人間界に帰ってもらいたいけど、どうすれば記憶が戻るのかわからないからな…今はまだ何とも言えない」
久遠は顎に手をやって難しそうに眉を寄せる。
「やはり一日も早く宇内様のもとにお連れして診ていただいた方がよろしいのではありませんか?」
「もちろん、なるべく早く連れていく。あまり長くこの森に人間を留めておくことはできないしな」
そう言うと久遠はふと目許に影を落としてうつむいた。
「ただ…どうして人間の静夜がまやかしの障壁を通過できたのかが気になって…何かあるんじゃないかって、妙な予感がするんだ」
「その件について、宇内様からの伝言を持ってきたよ」
「!」
突然別の男性の声がして、久遠と四季と未来は同時にぱっとそちらを見た。子供たちと遊んでいた静夜も気づいて顔を向けた。
すらりと長身で落ち着いた印象の若い男と筋骨隆々で晴れやかな表情の大男がやってくる。
「彼兄!」
「彼方くん、それに麗さんも」
彼方、麗と呼ばれた二人が近づいてくると静夜も子供たちにまとわりつかれながら久遠の側に戻った。彼方は片脚を少し引きずっている。彼は片眼鏡の奥の知的な黒灰色の瞳で静夜を見つめた。
「やあ、君が静夜くんだね。君のことは久遠から聞いているよ。今回のことではさぞ不安でお困りだろう」
「…はい」
「実は彼兄なんだ。掬星ヶ淵に石を積んでくれたの」
「そう…でしたか」
少し目を見張る静夜に彼方はにこりとした。
「石動の一員だからね。私は石動・エルビレオ・彼方。長老の宇内様にお仕えする者だ。そしてこちらが…」
「あらヤダ…結構イケメンじゃな~い!」
彼方の肩口からいかつい顔がひょこっと飛び出したかと思うと、大きな身体のその人は器用にくるくると踊りながらあらゆる角度から這い回るようにして静夜の全身の品定めを始めた。
「遠目には地味で細身だけど、よく見たらこの辺とかこの辺とか、すごく鍛えられてていい身体してそう!子供に囲まれてるとこも優しそうで素敵だし…土台の素質は十分だから、ちょっとお手入れしておめかししたらきっと垢抜けてもっと男前になるわよ~」
「…」
静夜が面食らって突っ立っていると彼方がこほん、と小さく咳払いをした。
「麗。まずは自己紹介を」
「ん?…やだ、あたしったらイケメン見るとつい…はじめまして、静夜ちゃん。あたしは咲野・リリ・麗。大森林の花守にして養蜂場の番人よ。どうぞよろしくね☆」
「…こちらこそ、よろしくお願いします」
パチンとウインクを投げられ、静夜はまだ少々困惑ぎみにぎこちなく挨拶を返した。と、麗がスススッと久遠ににじり寄って耳打ちした。
「久遠ちゃん、あれ使ったの?」
「うん。本人は気づいてないけど、よく効いたみたい。もらっといて正解だったよ。本当にありがと」
「お役に立ててよかったわ」
麗のうきうきと楽しげな様子に彼方は軽く溜め息をつく。
「…麗、君が私についてきたのは四季さんに届け物をするためでは?遊びに来たわけではないだろう」
麗は、そうそう、と携えてきていたバスケットを差し出した。
「おちびちゃんたちに採れたての蜂蜜を持ってきたの。あと、いつもの軟膏とお腹痛のお薬。はい、どうぞ」
「助かるわ。いつもありがとう、麗さん」
「それで彼兄、宇内様からの伝言って?」
「ああ。静夜くんが目を覚ましたとご報告したところ、大切な話があるので、明日の朝、静夜くんを連れて琥珀の館に来るようにとのことだ」
「そっか。わかった」
長老は静夜の存在を自分と同じくらい、いや、おそらく自分以上に重大視しているらしい。予想以上の反応の速さに久遠は少し表情を引き締めてうなずいた。
「では、私はこれで。明日の朝、琥珀の館で会おう」
「うん。じゃあね」
「…」
去り際、ひと呼吸ほどのわずかな間、彼方は静夜の顔に無言の視線を注いだ。
明確な敵意などではないが、何か奇妙な違和感を覚えて静夜は身体を少し固くした。原礎の瞳にはただでさえ人間とは異質な力と輝きがあるのに、その上、麗とはまた違う形で厳しく品定めをされているような感触だった。
(今の視線は…?)
静夜が理解に苦しんでいると彼方は瞳の力をフッと緩めて微笑み、身体を後ろに引いた。
「麗。戻ろう」
「…あ、もー、待ってよ彼方ちゃん!…久遠ちゃん、静夜ちゃん、また明日ね!」
互いに手を振って別れると静夜は思わず吐息とともに肩の力を抜いた。誰にも気づかれないようそうしたつもりだったが、久遠は見逃さなかった。
「…静夜、少し疲れた?」
「いや…」
「隠さなくていいよ。今日だけでいきなり何人も知らない原礎に会ったんだから、無理もない。でも明日琥珀の館に行ったら、きっともっといろんな原礎に会うことになると思うよ」
「…うん」
「でも心配はいらない。僕がついてるから大丈夫だ」
静夜は低い目線から胸を張って見上げてくる久遠を頼もしく見つめた。長老の宇内とはいかなる御大か、そして明日どんな話がなされるのか。待ちかねるようであり、またいささか不安でもあった。
「僕の仕事場と言っていいかな。毎日欠かさず通ってるところだ」
そう言っただけで、あとは着いてから、と久遠は弾むような足取りで静夜を案内していった。
その間も、昨夜と同様、すれ違う原礎たちから二人は不審そうに冷めたまなざしをじろじろと向けられた。原礎たちは、色の濃淡や癖のあるなしはあれど皆揃いも揃って金髪で、肌も一様の白皙だった。ただ瞳の色は属する礎によってさまざまのようだった。
(いくら外の世界では相互扶助関係といっても、この森では人間はよそ者なんだな。久遠にも世話をかけてるし…だが彼はどうしてこんなに親切にしてくれるんだろう)
「さーて、着いたぞ。この先が僕の仕事場。“四つ葉の学び舎”っていう」
久遠が足を止めたのは、木の柵とアーチに蔦がびっしりと絡まった美しい緑の門の前だった。久遠はその内側に静夜を招き入れ、歩きながら説明した。
「原礎は結婚して子供が生まれてもそれまでと変わらず旅に出る。中には子供を連れて家族で行く者もいるけど、道中の安全を考えて友達や施設に子供を預けて行くことも多いんだ」
さらに歩いていると、少し離れた木々の間をぶらついていた数人の少年たちが久遠の姿に気づき、不穏なニヤニヤ笑い混じりの声をぶつけてきた。
「よう、痩せっぽちで役立たずではみ出し者の久遠じゃねーか」
「今日も飯作りと子守りかぁ?」
「顔も女みてーだし、いい嫁さんになれそーだな!」
少年たちは言いたいだけ言い放つと腹を抱えてゲラゲラ笑い出す。静夜は思わず眉をひそめ、同時に久遠の気持ちが心配になったが、彼自身は痛痒も感じていない満面の笑顔でこうやり返した。
「本当か?褒めてもらえて嬉しいなあ。それならおまえ、僕を嫁さんにもらってくれるか?毎日おいしいごはん作ってやるぞ!」
「げっ!だ、誰がおまえなんか嫁さんにもらうかよ!気持ち悪ぃっ」
「バーカ、冗談に決まってるだろ!おまえなんかこっちの方が願い下げだ!ふんっ」
「くぅっ…!おい、行くぞ!」
「ちぇっ…なんであんなのが宇内様や彼方さんに気に入られてんだよ…マジわかんねー」
悔しそうに吐き捨てて立ち去る少年たちの背中に久遠はあっかんべーと舌を出す。静夜はまだ眉を曇らせたまま溜め息をついた。
「…差別的で、無礼極まりない」
「あいつらは悪ガキで有名な奴らなんだ。誰に対してもああいう感じだから気にしないでくれ」
静夜の耳には役立たずのはみ出し者という表現が妙にザラリと不快な感じで残っていた。それが何を意味するかはわからなかったが、久遠が同族の中で蔑まれる立場にいるらしいということは察せられた。『気にしないで』ーーきっとそれは自分が彼に対してかけるべき言葉だろう。それなのに久遠は正々堂々と侮辱に立ち向かい、その上さらに他者の感情を気遣っている。静夜の胸にはこの久遠という不思議な少年に対する関心が、満ちてくる潮のように次第に強く打ち寄せ始めていた。
「ここだよ、静夜。おーいみんな!いい子にしてたか?」
久遠の姿が見えると幼い子供たちが一斉に振り返り、顔を輝かせて飛びついてきた。
「久ぅ兄~!!」
「久ぅ兄だぁー!!」
「朔、周!千里に日月、それに径もいるな。よーしよし」
体当たりされた上もみくちゃにされながら久遠は嬉しそうにひとりずつ全員の小さな頭や背中を撫でてやる。
「久ぅ兄、きょうはどうしておそくなったの?おねぼうさんだったの?」
「あはは、違うよ。ちょっと用事があってね」
そこへ若い女性と少女の二人が出迎えに現れた。
「久遠くん、こんにちは」
「お待ちしてました、久遠様!久遠様が午前中はお休みだって言うとみんな寂しがって…ぐずって大変だったんですよ」
「穴開けちゃって本当ごめん、四季さん、未来ちゃん」
と、子供のひとりが久遠の後ろに突っ立っている静夜に気づいてパッと久遠から離れ、四季と呼ばれた女性にしがみついた。
「そのひと、だあれ…?」
「久遠くん、もしかして、その人が?」
「あ、うん。この人が、例の人間の…静夜だ」
「はじめまして。静夜です」
静夜が礼儀正しく名乗って会釈すると二人とも微笑んだ。
「久遠くんから話は聞いてるわ。私の名前は穂波・フェリアット・四季。ここで子供たちのお世話をしてるの」
「果菜・マリーシュカ・未来と申します。久遠様と一緒に四季様のお手伝いをさせてもらってます。よろしくお願いします」
四季はおっとりとした独特の雰囲気で、一方の未来ははきはきとしているが、初めて対面する人間の男性に対し少し緊張した様子だ。
「静夜、この二人は理解があって心の優しい人たちだから安心してくれ。…みんな、新しいお友達の静夜兄ちゃんだぞ。仲良くしてあげてくれよ」
「…あたらしいおにいちゃんも、いっしょにあそんだりおひるねしたりするの?」
「えっ?」
くりっとした青い瞳に上目遣いにじっと見つめられ、静夜は困惑する。すると代わりに久遠が答えた。
「そうだな…可愛くお願いしたら、してくれるかもな」
茶目っ気たっぷりのその口振りに笑い声が上がり、その場は温かな空気に包まれた。
子供たちに囲まれて遊び場や動物たちの小屋やお散歩道を見て回っていると、あっという間に昼食の時間になった。
「はい、お野菜のスープにサラダ、チーズに林檎を搾ったジュース。今日は私と未来ちゃんで作ったけど、パンは久遠くんが朝焼いてくれたものだからね」
「静夜様も、もちろん一緒ですよ」
「はい」
未来は静夜の器にはだいぶ多めに盛りつけて出した。皆で大きく低い木のテーブルを囲み、いつもより賑やかな食事が始まる。
久遠の両隣に座った周と千里は特にご機嫌だ。しかし周は彩りの綺麗なサラダを前にしてだんだんしょんぼりとしてきた。目ざとく気づいた久遠は周の顔を覗き込んだ。
「どうした、周?」
「…トマト、きらい…」
「なんで?」
「だって…すっぱいし、このぶつぶつってしたのいや…」
「でも、嫌いなものも頑張って食べないと大きくなれないぞ?トマトは身体にとってもいいからな」
すると周は小さな唇を突き出してぼそっと言った。
「…だっこ」
「え?」
「久ぅ兄がだっこしてくれたら、周、トマトたべる…」
「周は本っ当甘えんぼだなぁ」
満更でもない苦笑いを抑えながら久遠は周を膝の上によいしょと抱き上げた。途端に周はにんまりとする。
「抱っこしたぞ。さあ、約束どおりトマト食べるんだ」
「やぁ!久ぅ兄、あーんして」
口を開けて待つ周に、久遠は困り果てて額を押さえた。
「周、おまえは…しょうがないなあ!…ほら、あーん」
「あーん」
久遠に食べさせてもらうと周はけろっとした顔で嫌いなはずのトマトを綺麗に平らげた。その様子を眺めていた四季がくすくすと肩を揺らし、静夜に話しかけた。
「久遠くんは本当に頼りになるの。男手があると何かと助かるし、あやすのも寝かしつけも上手だから、毎日大活躍なのよ」
「そうなんですか」
(…全然役立たずなんかじゃない。久遠はここでちゃんと必要とされてる…なのに、なぜあんな言われ方を…)
静夜は日月と径に挟まれて座っていた。と、日月がチーズの欠片を地面にぽとりと落とした。まだ不器用なのでうまく摑めていなかったのだ。日月がきょとんとしてきょろきょろ見回していると、気づいた静夜が長い腕を伸ばして拾い、代わりに自分の器からそれより少し大きなチーズの欠片を分けてあげた。
「落としたのは食べられないから、俺のをあげる」
「…ありあーと」
お礼を言うと、日月は何を思ったのか、今度は自分のパンをひと切れ静夜の皿にちょこんと乗せた。
「これは?」
「あげう。おとしちゃだめ」
今度は静夜がきょとんとする番だったが、すぐにくすぐったさを堪えきれなくなって微笑んだ。
「ありがとう」
和気藹々とした雰囲気の中、久遠が朔に話しかけた。
「そう言えば、朔、もうすぐ誕生日だよな。いくつになるんだっけ?」
「よんさーい」
謎のひねり方で繰り出された四本指に、たまらず大人たちから笑いが漏れた。
「ねーねー、久ぅ兄はなんさいなの?」
「僕?僕はこないだ四十五歳になった」
「四十五歳!?」
静夜は信じられないという目つきで久遠を凝視する。彼は久遠を十四、五歳くらいと思っていたのだ。それに対し久遠は目をぱちくりさせ、こともなげに答えた。
「あ、説明し忘れてたか。原礎は生まれて十歳くらいまでは人間と同じ速さで成長するけど、そこから先の成長や老化はものすごくゆっくりなんだ。人間としての見た目は実年齢の三分の一くらいで、寿命も人間の三倍以上はある」
「そ…そう…なのか…」
これは原礎についてある意味で静夜が最も驚嘆した点だった。久遠は一見明らかに自分より若いが実際は自分の倍近くーー静夜は自分の年齢はどうやら二十歳と少しくらいだろうと自覚していたーー生きているということだ。どうりで外見が少年の割に話し方が老成していると感じたのだ。
(ということは…)
静夜はどう見ても三十歳そこそこにしか見えない四季にちらと視線を向けた。だが四季の有無を言わせぬ慈愛の微笑みの壁にぶち当たり、無言で引き下がった。
「静夜、ちびっ子たちに気に入られたみたいだな」
気づくと食べ終えて退屈し出した子供たちが静夜に群がってじゃれついていた。少しの間一緒に過ごして慣れてきたのだろう、人間である静夜の黒い髪や無彩色の旅装束に皆興味津々で、あちこち引っ張ったり腿の上にごろんと転がったり、見上げるほど高い肩によじ登ろうとしている子もいる。
「みんな、食後の運動に遊んでもらったらどうかしら?」
「うん、あそぶー」
「よーし、人間遊園地だ。せっかくだから思う存分遊んでもらえ~」
「静兄こっちこっち~!」
「あ…待って…!」
制止も虚しく静夜は連れていかれ、肩車をさせられたり体操器具のように踏みつけられたりする。ここにいる誰よりも背が高くがっしりした体格なので、子供たちは勢いに任せてきゃっきゃと大はしゃぎだ。
「人気を取られちゃったな」
食後の片づけをしていた四季と未来が顔を上げて笑った。
「静夜様は子供に好かれる方なんですね。…記憶を失くされる前は、どんな方だったんでしょう」
「あんなに子供に好かれるんだもの、きっとすごく優しい人よ。でも久遠くん、静夜くんのこと、これからどうするの?」
「とりあえずは僕が面倒見るけど、いつまでもそのままってわけにいかないのはわかってる。心配して待ってる人がいるかもしれないし、静夜自身のためにも早く記憶を取り戻して人間界に帰ってもらいたいけど、どうすれば記憶が戻るのかわからないからな…今はまだ何とも言えない」
久遠は顎に手をやって難しそうに眉を寄せる。
「やはり一日も早く宇内様のもとにお連れして診ていただいた方がよろしいのではありませんか?」
「もちろん、なるべく早く連れていく。あまり長くこの森に人間を留めておくことはできないしな」
そう言うと久遠はふと目許に影を落としてうつむいた。
「ただ…どうして人間の静夜がまやかしの障壁を通過できたのかが気になって…何かあるんじゃないかって、妙な予感がするんだ」
「その件について、宇内様からの伝言を持ってきたよ」
「!」
突然別の男性の声がして、久遠と四季と未来は同時にぱっとそちらを見た。子供たちと遊んでいた静夜も気づいて顔を向けた。
すらりと長身で落ち着いた印象の若い男と筋骨隆々で晴れやかな表情の大男がやってくる。
「彼兄!」
「彼方くん、それに麗さんも」
彼方、麗と呼ばれた二人が近づいてくると静夜も子供たちにまとわりつかれながら久遠の側に戻った。彼方は片脚を少し引きずっている。彼は片眼鏡の奥の知的な黒灰色の瞳で静夜を見つめた。
「やあ、君が静夜くんだね。君のことは久遠から聞いているよ。今回のことではさぞ不安でお困りだろう」
「…はい」
「実は彼兄なんだ。掬星ヶ淵に石を積んでくれたの」
「そう…でしたか」
少し目を見張る静夜に彼方はにこりとした。
「石動の一員だからね。私は石動・エルビレオ・彼方。長老の宇内様にお仕えする者だ。そしてこちらが…」
「あらヤダ…結構イケメンじゃな~い!」
彼方の肩口からいかつい顔がひょこっと飛び出したかと思うと、大きな身体のその人は器用にくるくると踊りながらあらゆる角度から這い回るようにして静夜の全身の品定めを始めた。
「遠目には地味で細身だけど、よく見たらこの辺とかこの辺とか、すごく鍛えられてていい身体してそう!子供に囲まれてるとこも優しそうで素敵だし…土台の素質は十分だから、ちょっとお手入れしておめかししたらきっと垢抜けてもっと男前になるわよ~」
「…」
静夜が面食らって突っ立っていると彼方がこほん、と小さく咳払いをした。
「麗。まずは自己紹介を」
「ん?…やだ、あたしったらイケメン見るとつい…はじめまして、静夜ちゃん。あたしは咲野・リリ・麗。大森林の花守にして養蜂場の番人よ。どうぞよろしくね☆」
「…こちらこそ、よろしくお願いします」
パチンとウインクを投げられ、静夜はまだ少々困惑ぎみにぎこちなく挨拶を返した。と、麗がスススッと久遠ににじり寄って耳打ちした。
「久遠ちゃん、あれ使ったの?」
「うん。本人は気づいてないけど、よく効いたみたい。もらっといて正解だったよ。本当にありがと」
「お役に立ててよかったわ」
麗のうきうきと楽しげな様子に彼方は軽く溜め息をつく。
「…麗、君が私についてきたのは四季さんに届け物をするためでは?遊びに来たわけではないだろう」
麗は、そうそう、と携えてきていたバスケットを差し出した。
「おちびちゃんたちに採れたての蜂蜜を持ってきたの。あと、いつもの軟膏とお腹痛のお薬。はい、どうぞ」
「助かるわ。いつもありがとう、麗さん」
「それで彼兄、宇内様からの伝言って?」
「ああ。静夜くんが目を覚ましたとご報告したところ、大切な話があるので、明日の朝、静夜くんを連れて琥珀の館に来るようにとのことだ」
「そっか。わかった」
長老は静夜の存在を自分と同じくらい、いや、おそらく自分以上に重大視しているらしい。予想以上の反応の速さに久遠は少し表情を引き締めてうなずいた。
「では、私はこれで。明日の朝、琥珀の館で会おう」
「うん。じゃあね」
「…」
去り際、ひと呼吸ほどのわずかな間、彼方は静夜の顔に無言の視線を注いだ。
明確な敵意などではないが、何か奇妙な違和感を覚えて静夜は身体を少し固くした。原礎の瞳にはただでさえ人間とは異質な力と輝きがあるのに、その上、麗とはまた違う形で厳しく品定めをされているような感触だった。
(今の視線は…?)
静夜が理解に苦しんでいると彼方は瞳の力をフッと緩めて微笑み、身体を後ろに引いた。
「麗。戻ろう」
「…あ、もー、待ってよ彼方ちゃん!…久遠ちゃん、静夜ちゃん、また明日ね!」
互いに手を振って別れると静夜は思わず吐息とともに肩の力を抜いた。誰にも気づかれないようそうしたつもりだったが、久遠は見逃さなかった。
「…静夜、少し疲れた?」
「いや…」
「隠さなくていいよ。今日だけでいきなり何人も知らない原礎に会ったんだから、無理もない。でも明日琥珀の館に行ったら、きっともっといろんな原礎に会うことになると思うよ」
「…うん」
「でも心配はいらない。僕がついてるから大丈夫だ」
静夜は低い目線から胸を張って見上げてくる久遠を頼もしく見つめた。長老の宇内とはいかなる御大か、そして明日どんな話がなされるのか。待ちかねるようであり、またいささか不安でもあった。
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