24 / 32
23 騎士団長の息子に慰められる。
しおりを挟む
「『ゲーム』の『カミル』は、好感度を上げておくと、好意からその相手のどんな命令でも従うようになる仕様なのよ。
殿下が転生者なら、あんたがそうなることを知ってるはずだし、私と婚約破棄した後のあんたの結末も知ってるはずよ。つまり……」
「なるほど!卒業後にカミルを男娼として売りやすくするため、好感度を自分だけ上げておいて、今のうちから調教しておくのか。流石レオ、趣味と実益を兼ねてるし、なかなかやるね。しかし鬼畜。はっ、けど本来俺がそのオイシイ立場になれた筈だったんじゃ…」
フランツが感心したように呟いていると、アリシアが無言でフランツの頭を殴った。
「痛いっ?!暴力反対!!」
「これだからカミル信者って嫌なのよ!!ややこしくしないっ!……で、カミル。本当のところどうなのよ?レオンハルト殿下から何か嫌なこととか、無理矢理変な要求とかされてない?」
アリシアが腕組みをしながら、再度確認してきた。
僕は多分顔面蒼白になっているだろう。気を失いそうになって、よろけた。
「……うん、大丈夫。たまに一緒にお菓子を食べながら、お茶してたけど、最近はその時間も減ってきてたし、な、何もされて、な……い」
僕は肩を落として震えながら答えた。涙が溢れてくる。
王子が僕にしている性的な行為は僕を男娼として売るための布石だった。だから、「卒業までは」なのか。確かに卒業後はたくさん受け入れてもらう必要があると言われた。卒業後は不特定多数の相手をさせられるのだろうか。
身体に痕をつけるなと言われたのは、商品価値が下がるから?震えがとまらない。
「……あの様子じゃ、レオから何かヤラシイ教育されてるの確定じゃね?カミルの無自覚エロ攻撃は、レオの調教の賜物かあ。やっぱ、レオの奴、やり手だなあ」
「あんの腹黒エロクズ王子め!!やっぱりか!?カミルは流され侍だから卒業まで手はだすなって約束させたのにっっ」
フランツとアリシアが小声で何か言い合っていたようだが、ショックを受けてメソメソ項垂れている僕の耳には届かなかった。
「あ~、その、カミル。レオがまだ転生者って決まったわけじゃないし。その、もし男娼にされても俺がすぐに買い取ってやるから。レオから調教された成果も無駄にしないよう……」
フランツが僕に向かって、慰めるように言ってくると、アリシアが彼を再び殴りつけるのが見えた。
「あんたはいい加減黙れ!!」
「姉さんこそ何回殴るの?!ひどすぎる」
フランツが殴られた箇所を押さえ、わざとらしく泣き真似をした。
「カミル、……あくまでも、ゲームの話よ。私は結末をそのまま受け入れるつもりはないわよ。ゲームの強制力なんてクソ喰らえよ。ちゃんと抗うから」
「…アリシアは、強いなあ」
僕は鼻水を啜りながら、思わず呟いていた。先ほどから令嬢らしからぬ酷い言葉使いと行動をさらけ出しているが、堂々としているアリシアの姿勢は素直に羨ましいと感じる。
「あんたも逆らっていいのよ」
アリシアが少し怒ったような口調で言うのを聞いて、僕は驚いて顔を上げた。
「えっ……?」
「ズルズル流されてないで、ちょっとは自分の頭で考えなさいよ。あんたはどうしたいの?私はこの世界ではあんたの家族よ。あんたが逃げたいなら全力で手伝うわよ」
アリシアは真剣な表情だった。僕は戸惑った。アリシアがそんな風に思ってくれているとは知らなかった。アリシアはいつも僕のことを下僕のように扱っていたからだ。
「ありがとう、アリシア。もうちょっと考えてみる」
アリシアの言葉は、素直に嬉しかった。
殿下が転生者なら、あんたがそうなることを知ってるはずだし、私と婚約破棄した後のあんたの結末も知ってるはずよ。つまり……」
「なるほど!卒業後にカミルを男娼として売りやすくするため、好感度を自分だけ上げておいて、今のうちから調教しておくのか。流石レオ、趣味と実益を兼ねてるし、なかなかやるね。しかし鬼畜。はっ、けど本来俺がそのオイシイ立場になれた筈だったんじゃ…」
フランツが感心したように呟いていると、アリシアが無言でフランツの頭を殴った。
「痛いっ?!暴力反対!!」
「これだからカミル信者って嫌なのよ!!ややこしくしないっ!……で、カミル。本当のところどうなのよ?レオンハルト殿下から何か嫌なこととか、無理矢理変な要求とかされてない?」
アリシアが腕組みをしながら、再度確認してきた。
僕は多分顔面蒼白になっているだろう。気を失いそうになって、よろけた。
「……うん、大丈夫。たまに一緒にお菓子を食べながら、お茶してたけど、最近はその時間も減ってきてたし、な、何もされて、な……い」
僕は肩を落として震えながら答えた。涙が溢れてくる。
王子が僕にしている性的な行為は僕を男娼として売るための布石だった。だから、「卒業までは」なのか。確かに卒業後はたくさん受け入れてもらう必要があると言われた。卒業後は不特定多数の相手をさせられるのだろうか。
身体に痕をつけるなと言われたのは、商品価値が下がるから?震えがとまらない。
「……あの様子じゃ、レオから何かヤラシイ教育されてるの確定じゃね?カミルの無自覚エロ攻撃は、レオの調教の賜物かあ。やっぱ、レオの奴、やり手だなあ」
「あんの腹黒エロクズ王子め!!やっぱりか!?カミルは流され侍だから卒業まで手はだすなって約束させたのにっっ」
フランツとアリシアが小声で何か言い合っていたようだが、ショックを受けてメソメソ項垂れている僕の耳には届かなかった。
「あ~、その、カミル。レオがまだ転生者って決まったわけじゃないし。その、もし男娼にされても俺がすぐに買い取ってやるから。レオから調教された成果も無駄にしないよう……」
フランツが僕に向かって、慰めるように言ってくると、アリシアが彼を再び殴りつけるのが見えた。
「あんたはいい加減黙れ!!」
「姉さんこそ何回殴るの?!ひどすぎる」
フランツが殴られた箇所を押さえ、わざとらしく泣き真似をした。
「カミル、……あくまでも、ゲームの話よ。私は結末をそのまま受け入れるつもりはないわよ。ゲームの強制力なんてクソ喰らえよ。ちゃんと抗うから」
「…アリシアは、強いなあ」
僕は鼻水を啜りながら、思わず呟いていた。先ほどから令嬢らしからぬ酷い言葉使いと行動をさらけ出しているが、堂々としているアリシアの姿勢は素直に羨ましいと感じる。
「あんたも逆らっていいのよ」
アリシアが少し怒ったような口調で言うのを聞いて、僕は驚いて顔を上げた。
「えっ……?」
「ズルズル流されてないで、ちょっとは自分の頭で考えなさいよ。あんたはどうしたいの?私はこの世界ではあんたの家族よ。あんたが逃げたいなら全力で手伝うわよ」
アリシアは真剣な表情だった。僕は戸惑った。アリシアがそんな風に思ってくれているとは知らなかった。アリシアはいつも僕のことを下僕のように扱っていたからだ。
「ありがとう、アリシア。もうちょっと考えてみる」
アリシアの言葉は、素直に嬉しかった。
207
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
だから、悪役令息の腰巾着! 忌み嫌われた悪役は不器用に僕を囲い込み溺愛する
モト
BL
2024.12.11~2巻がアンダルシュノベルズ様より書籍化されます。皆様のおかげです。誠にありがとうございます。
番外編などは書籍に含まれませんので是非、楽しんで頂けますと嬉しいです。
他の番外編も少しずつアップしたいと思っております。
◇ストーリー◇
孤高の悪役令息×BL漫画の総受け主人公に転生した美人
姉が書いたBL漫画の総モテ主人公に転生したフランは、総モテフラグを折る為に、悪役令息サモンに取り入ろうとする。しかしサモンは誰にも心を許さない一匹狼。周囲の人から怖がられ悪鬼と呼ばれる存在。
そんなサモンに寄り添い、フランはサモンの悪役フラグも折ろうと決意する──。
互いに信頼関係を築いて、サモンの腰巾着となったフランだが、ある変化が……。どんどんサモンが過保護になって──!?
・書籍化部分では、web未公開その後の番外編*がございます。
総受け設定のキャラだというだけで、総受けではありません。CPは固定。
自分好みに育っちゃった悪役とのラブコメになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる