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「あー、合コンのときは眼鏡はずしていましたから、顔がよく見えてなかっんです。だから似てるかどうかわからなくて。かろうじて、髪型や眼鏡をかけていたかどうかなど、相違点がわかる程度です。えっと、でも、それで、ついじーっと見てしまって、不快な思いをさせてしまったようで……」
だからと言って、ちょっとイケメンの態度もね。あれだったんですけれどね。
「そ、そう。はは……いや、まさか、そんなことに……。これは、うん、結梨絵ちゃんもあいつも……ああ、そうなの……」
「あいつ?」
「ううん、何でもない。えっと、顔は似てないような少しは似てるような……あ、ごめん電車が来るからまたね」
あははと乾いた笑いを漏らして、菜々さんは電話を切った。
えーっと。
何の電話をしたんでしたっけ?
そうそう、学生相談室に寄せられる相談事には偏りがあるとはどういうことでしょう?
大学改善にあまり役立たない?えっと……権限はあるけど、大学改善につながらない?寄せられる相談事がよほど無理なことばかりなのでしょうか。
図書館に漫画を置いてくれのような……?
ご意見
【これが名古屋のモーニング!(画像つき)】
【モーニングのトーストは選べるようにしてほしい!バタートーストかジャムトーストかシナモントーストか小倉トーストか】
【茶わん蒸しが銀杏の話題にすり替わっている……】
【いや、まじ白井さんモーニング知らなさすぎて心配だわ。誰かスタッフにいないの?モーニングに詳しい人】
【赤飯……、甘くして】
【誰に必要とされたいのか……か。この掲示板は必要か?手書きで掲示する意味は?メールでいいのでは?と、思ったことはないか?】
チーフがご意見用紙コピーを挟んだファイルを手にやってきました。
「白井ちゃんは上手に返事かけてるよね。この調子で無理しない程度に頑張ってね。それにしても、最近の学生さんたちは文章が短くてさっぱり分からないものも多いねぇ」
チーフがため息をつきました。
あ、やっぱり、チーフもそう思いましたか。
「ラインとか簡潔な文章でやり取りすることに慣れているからでしょうか?了解という意味は「りょ」で済ますらしいですよ」
チーフがこめかみを指で押えました。
「はー。内輪での会話ならいいんだけどねぇ。伝わらないと意味がないのにねぇ。白井ちゃんはよくこのわけのわからない意見にも返信してると思うよ。このライバル君とか私ならとっくに見なかったことにしてゴミ箱に捨てちゃうけどねぇ」
ああ、その手があったりましたか。
いや、なんかそれすると逆上しそうで怖いです……。
「そうそう、それでこれをパソコンに入力するのに」
う。
チーフが今までのご意見用紙のコピーを挟んだファイルを私に向けます。
「大学への申し送り部分以外は表に出ている情報だからね。学生アルバイトを募集して作業してもらうことになったから」
「本当ですか?」
やった!私がやらなくてもいいんですね!
自慢じゃありませんが、パソコン入力はあまり得意ではありません。できないことはありませんが、得意な人の3倍くらいは時間がかかると思うのです。
「月末に1,2日アルバイトをしてもらうんだけど、その募集をせっかくだから掲示板で行って、応募者は意見箱を通して応募してもらおうかって話なんだけど、白井ちゃんはどう思う?」
「そうですね、応募がなかったらまた別の方法を考えればいいんですよね?とりあえず掲示板で呼びかけるのはいいんと思います。ほかのアルバイトとちがって、履歴書はなくても学年と名前だけで応募できるんですよね?学生証を紹介すればどこのだれか大学側は把握できるんですよね?でしたら個人情報を取り扱わなくてもいいから気が楽です」
「じゃぁ、これが募集要項。白井ちゃんの言葉で書き直して貼っておいてくれる?」
え?
だからと言って、ちょっとイケメンの態度もね。あれだったんですけれどね。
「そ、そう。はは……いや、まさか、そんなことに……。これは、うん、結梨絵ちゃんもあいつも……ああ、そうなの……」
「あいつ?」
「ううん、何でもない。えっと、顔は似てないような少しは似てるような……あ、ごめん電車が来るからまたね」
あははと乾いた笑いを漏らして、菜々さんは電話を切った。
えーっと。
何の電話をしたんでしたっけ?
そうそう、学生相談室に寄せられる相談事には偏りがあるとはどういうことでしょう?
大学改善にあまり役立たない?えっと……権限はあるけど、大学改善につながらない?寄せられる相談事がよほど無理なことばかりなのでしょうか。
図書館に漫画を置いてくれのような……?
ご意見
【これが名古屋のモーニング!(画像つき)】
【モーニングのトーストは選べるようにしてほしい!バタートーストかジャムトーストかシナモントーストか小倉トーストか】
【茶わん蒸しが銀杏の話題にすり替わっている……】
【いや、まじ白井さんモーニング知らなさすぎて心配だわ。誰かスタッフにいないの?モーニングに詳しい人】
【赤飯……、甘くして】
【誰に必要とされたいのか……か。この掲示板は必要か?手書きで掲示する意味は?メールでいいのでは?と、思ったことはないか?】
チーフがご意見用紙コピーを挟んだファイルを手にやってきました。
「白井ちゃんは上手に返事かけてるよね。この調子で無理しない程度に頑張ってね。それにしても、最近の学生さんたちは文章が短くてさっぱり分からないものも多いねぇ」
チーフがため息をつきました。
あ、やっぱり、チーフもそう思いましたか。
「ラインとか簡潔な文章でやり取りすることに慣れているからでしょうか?了解という意味は「りょ」で済ますらしいですよ」
チーフがこめかみを指で押えました。
「はー。内輪での会話ならいいんだけどねぇ。伝わらないと意味がないのにねぇ。白井ちゃんはよくこのわけのわからない意見にも返信してると思うよ。このライバル君とか私ならとっくに見なかったことにしてゴミ箱に捨てちゃうけどねぇ」
ああ、その手があったりましたか。
いや、なんかそれすると逆上しそうで怖いです……。
「そうそう、それでこれをパソコンに入力するのに」
う。
チーフが今までのご意見用紙のコピーを挟んだファイルを私に向けます。
「大学への申し送り部分以外は表に出ている情報だからね。学生アルバイトを募集して作業してもらうことになったから」
「本当ですか?」
やった!私がやらなくてもいいんですね!
自慢じゃありませんが、パソコン入力はあまり得意ではありません。できないことはありませんが、得意な人の3倍くらいは時間がかかると思うのです。
「月末に1,2日アルバイトをしてもらうんだけど、その募集をせっかくだから掲示板で行って、応募者は意見箱を通して応募してもらおうかって話なんだけど、白井ちゃんはどう思う?」
「そうですね、応募がなかったらまた別の方法を考えればいいんですよね?とりあえず掲示板で呼びかけるのはいいんと思います。ほかのアルバイトとちがって、履歴書はなくても学年と名前だけで応募できるんですよね?学生証を紹介すればどこのだれか大学側は把握できるんですよね?でしたら個人情報を取り扱わなくてもいいから気が楽です」
「じゃぁ、これが募集要項。白井ちゃんの言葉で書き直して貼っておいてくれる?」
え?
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