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「うわぁぁーー!」
 びっしょりと汗をかいて目が覚めた。
「あれ?生きてる。死ぬような毒じゃなかったのかな?」
 と、落ち着いて周りを見回すと明らかに牢屋ではない。ふかふかの大きな天蓋付きのベットの上にいた。外からの光が差し込む大きな窓のついた映しい部屋。
 いや、待てよ……。私の部屋じゃん。
「え?あれ?」
 私の部屋には間違いない……公爵令嬢として長年過ごした部屋で間違いないんだけど。姿見に映る私の姿がおかしい。
「子供……?」
 あれ?私、子供に戻っている。時間を逆行したということ?
 いや、長い夢を見ていただけとか?予知夢みたいな?……それとも予知も何も関係ない想像の物語?どこまでが現実でどこからが夢?
「エリータ、陛下から皇太子殿下との婚約の打診が来ているのだが」
 朝食時にお父様から告げられた言葉に脳天を激しく打たれたような気持ちになった。
「お断りしてくださいっ!」
 即答したらお父様が困った顔を見せる。
 夢では私は「それは公爵令嬢である、貴族である私の役割であれば責任を果たしたいと思いますわ」とかなんとか言っていたし、夢を見る前の私ならそう言ったに違いない。
 だけど、あの夢を見た後じゃ……知らんがな。別の人に責任果たしてもらってよ。
 聖女が最後に言ってたよね。私が綺麗で王妃教育も完璧だったからムカついたみたいなこと。
 ってことはだよ?むしろ、ちょっと見目があれで、能力もそこそこな人だったほうが聖女もムカつくことがないんじゃない?
 嫉妬やらなにやらで性格が歪んでああなっちゃったんだとしたら、嫉妬の対象がいなきゃいいんだよね。
 あ、違う。そもそも皇太子に婚約者がいなきゃいいんだ。
「エリータ、その……断ることは出来なくもないが、殿下を是非お前に支えてほしいと、陛下たっての願いでな……」
 あ。ちょっと足りない殿下を支えろと、この段階ですでにお父様は聞いてたのね。
 いくら陛下の願いって言われたたってなぁ。私が15歳、殿下が17歳の時に聖女がやってくるわけでしょ?
 それまで何とか殿下が誰とも婚約しないように引き延ばすことができたらいいんじゃない?婚約破棄される被害者なんていないにこしたことはないもんね。
 さて、どうしたものか……。今は10歳なわけで。あと5年……うーむ。
「分かりました、お父様、検討するということで、お互いに知る時間が必要だとお答えいただけますか?」
 とりあえず先延ばし作戦開始!
 夢では、さくっと婚約して、その後お互いを知るためにと月に何度か顔合わせてたんだよね。
 順番逆にしたらさ、殿下から私と婚約したくないって言ってくれないかなぁ。そうしたら、陛下もお父様も諦めてくれるんじゃない?


=============
元々「聖女に使えたモブループ」→現代知識チートした聖女との記憶があり、異世界転移も異世界転生もしてない主人公が現代知識チート使えたら……なろうのジャンル、異世界転生とか異世界転移とかじゃないまま現代知識チート使えるんだなぁ……とか思ったところから考えた話。
婚約破棄と組み合わせてみました。
はい。まぁ、アルファポリスだとなろうのジャンルとか関係ないんだけどね……えへ
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