男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

富士とまと

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アイデアの上書

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「そうなんですよ!ハサミの代わりという感じではないんです。まさに新しい糸切り用の道具です。針が収納できない糸切り専用のものがあってもいいと思うんです。持ち運ぶようは、この木製の部分に凹みを入れて、そこに糸を巻くのもよろしいかと。出先でボタンが取れた時などにさっと取り出してつけられるくらいの量の糸なら持ち歩けるかと思います」
「あら、それもいいアイデアね」
 と、次々にデザイナーが口にするアイデアに感心して相槌を打つ。流石ね。ブーケ・ド・コサージュも次々に新しいデザインを生み出すだけのことはあるわ。私なんかと発想力が違うもの。
「この試作品はいただいても?」
 私の言葉に、デザイナーが首をかしげる。
「ええ、それはもちろんです。ですが、改良した品をお持ちいたしますよ。木彫りの無粋な見た目ではなく、彩色して磨き上げたものを……」
「ああ、そうなのね。見た目……。これも可愛らしくできるということ……」
「ええ、もちろんでございます。花の絵を施しましょうか。宝石をつけることも……」
 可愛らしくすると逆にエミリー……いや”エミリオ”が持っていると不信がられて取り上げられるかもしれない。
「いえ、これはこのままいただくわ。改良したものは、また後日見せていただければ構わないの。ああそれと、騎士様や兵の方など任務地でボタンなどが取れて困る方もいるでしょう。男性が携帯してもおかしくないデザインも考えていただけると良いと思いますわ。そうですわね、持ち歩いても邪魔にならない……ベルトのバックルに付けられるとか何かアイデアはないかしら」
 エミリーが持っていても大丈夫なもの。
「まぁ、流石ですわ。リリーシェンヌ様は本当に発想力が素晴らしいです。そうですわね、縫物は女性の仕事が基本とはいえ、男性が自身で行う必要がある場面もありますわよね!女性用とともに、男性用もいろいろと考案してみようかと思います」
 デザイナーがワクワクと目を輝かせながら帰っていった。
 手元に残った……名前は何と呼べばいいだろう。携帯用裁縫セット?鋏代わりの糸切り道具と針だけでセットというほどの物ではないけれど。
 木製の小指2本ほどの道具。
 パッと見何か分からない。かわいいわけでもない。そうだ、逆に男らしい感じの見た目にすればいいんじゃない?
 カッコいいものを書いたらどうかしら?


===================

エミリーのためにと思って発言すればするだけ「流石ですわ」と言われるリリーである。
発想の転換って、案外こういうところなのかもね。
女性が使う物→男性も使えるようにみたいな。
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