15 / 26
15
しおりを挟む
「ロアさん、幼馴染の子と騎士ごっこしてたとか……その子とは仲が良かったんですよね?」
ロアさんが泣きながら私の顔を見る。
「ごめんなさい。嘘です。僕に仲がいい子は一人もいません……」
【なんだかかわいそうになってきた】
「一人で、騎士ごっこをしていたのですか?」
想像したら泣きそうになる。
「いえ、あの、短時間、かわるがわるいろいろな先生にエスコートの仕方は教わりました。一人の先生が耐えられる時間は短かったので……」
【だからぁ!個人情報隠す気ないでしょう!先生にエスコートとか習う立場って、限られてるから!しかも、短時間でかわるがわる先生がって、結構お金がないとできないよね!】
「あの、木こりがいろいろな先生に教わったのですか?」
ロアさんがあわてた。
「あ、いえ、あの、き、木こりになる前に、家を……追い出される、前に……えっと……今は、本当に木こりで……。旅をしながら、木こり仕事で日銭を稼いでいます。あと、移動する商隊の護衛をしたり……なるべく人に近づかずにできる仕事を……」
家を追い出される前のことには触れない方がいいんじゃない?
【あ、うん。例え情報駄々洩れでも触れない方がいいかも】
「……えーと、まぁ、それで、話を戻しますね。ロアさん……あの、私……ロアお兄ちゃんと呼ぶことはその……」
ぶわっとまたロアさんの目から涙が。
「ご、ごめんなさい。あ、というか、そもそも僕が近くにいると気持ち悪くないですか?調子に乗りました。ごめんなさい……そもそも近づいて話しかけてごめんなさい」
「大丈夫です、気持ち悪くないですし、親切で話かけてくれたのは知ってますし」
【お兄ちゃんと呼ばせたいところは気持ち悪いけど】
……まぁそれは、えっと……。
「自分から誰かに近づくなんて普段はしていないんです。でも、困っていそうなのをほっとけなくて……。それに、なぜかマリーには吸い寄せられるみたいで……」
【ロアが魔物よけならぬ人間よけなら”私”はロアホイホイか!】
ホイホイ?
【あ、なんでもない】
「困っていることを解決したらすぐに距離を取ろうと思ったんですけど、マリーは一向に平気そうで……。もう少し一緒にいていいかな、もう少し一緒にいたいな、もうずっと一緒にいられたらいいなって」
【きもっ!】
「お兄ちゃんと呼ばれて、このまま兄妹として一緒に旅ができたらどんなに素敵だろうって……。もう、これからは一人じゃないんだって……ああ、もちろん、マリーに無理強いをする気はないんです。マリーが一緒にいてくれると言うのなら、一緒にいてもらいたいと思っているだけで……ごめんなさい。そろそろ近くにいると気分が悪くなってきませんか?というか、だから、ロアお兄ちゃんと呼んでくれないんですよね……」
【そりゃずっと一人で両親にも遠ざけられて友達もいなくて、周りにいる人たちはきっと入れ替わり立ち代わりで……孤独で寂しかったのは分かるけれど……はぁー】
……私も両親から引き離されて、侯爵家に引き取られてからはずっと孤独だった。一人だった。でも、私には前世の”私”がいた。もし、”私”が居なかったら……。
”私”、いてくれてありがとう。
============
なんだか思っていた方向と違ってきてたのでサクッと終わります💛もうしばらくお付き合いください❤
ロアさんが泣きながら私の顔を見る。
「ごめんなさい。嘘です。僕に仲がいい子は一人もいません……」
【なんだかかわいそうになってきた】
「一人で、騎士ごっこをしていたのですか?」
想像したら泣きそうになる。
「いえ、あの、短時間、かわるがわるいろいろな先生にエスコートの仕方は教わりました。一人の先生が耐えられる時間は短かったので……」
【だからぁ!個人情報隠す気ないでしょう!先生にエスコートとか習う立場って、限られてるから!しかも、短時間でかわるがわる先生がって、結構お金がないとできないよね!】
「あの、木こりがいろいろな先生に教わったのですか?」
ロアさんがあわてた。
「あ、いえ、あの、き、木こりになる前に、家を……追い出される、前に……えっと……今は、本当に木こりで……。旅をしながら、木こり仕事で日銭を稼いでいます。あと、移動する商隊の護衛をしたり……なるべく人に近づかずにできる仕事を……」
家を追い出される前のことには触れない方がいいんじゃない?
【あ、うん。例え情報駄々洩れでも触れない方がいいかも】
「……えーと、まぁ、それで、話を戻しますね。ロアさん……あの、私……ロアお兄ちゃんと呼ぶことはその……」
ぶわっとまたロアさんの目から涙が。
「ご、ごめんなさい。あ、というか、そもそも僕が近くにいると気持ち悪くないですか?調子に乗りました。ごめんなさい……そもそも近づいて話しかけてごめんなさい」
「大丈夫です、気持ち悪くないですし、親切で話かけてくれたのは知ってますし」
【お兄ちゃんと呼ばせたいところは気持ち悪いけど】
……まぁそれは、えっと……。
「自分から誰かに近づくなんて普段はしていないんです。でも、困っていそうなのをほっとけなくて……。それに、なぜかマリーには吸い寄せられるみたいで……」
【ロアが魔物よけならぬ人間よけなら”私”はロアホイホイか!】
ホイホイ?
【あ、なんでもない】
「困っていることを解決したらすぐに距離を取ろうと思ったんですけど、マリーは一向に平気そうで……。もう少し一緒にいていいかな、もう少し一緒にいたいな、もうずっと一緒にいられたらいいなって」
【きもっ!】
「お兄ちゃんと呼ばれて、このまま兄妹として一緒に旅ができたらどんなに素敵だろうって……。もう、これからは一人じゃないんだって……ああ、もちろん、マリーに無理強いをする気はないんです。マリーが一緒にいてくれると言うのなら、一緒にいてもらいたいと思っているだけで……ごめんなさい。そろそろ近くにいると気分が悪くなってきませんか?というか、だから、ロアお兄ちゃんと呼んでくれないんですよね……」
【そりゃずっと一人で両親にも遠ざけられて友達もいなくて、周りにいる人たちはきっと入れ替わり立ち代わりで……孤独で寂しかったのは分かるけれど……はぁー】
……私も両親から引き離されて、侯爵家に引き取られてからはずっと孤独だった。一人だった。でも、私には前世の”私”がいた。もし、”私”が居なかったら……。
”私”、いてくれてありがとう。
============
なんだか思っていた方向と違ってきてたのでサクッと終わります💛もうしばらくお付き合いください❤
787
あなたにおすすめの小説
お前を愛することはないと言われたので、姑をハニトラに引っ掛けて婚家を内側から崩壊させます
碧井 汐桜香
ファンタジー
「お前を愛することはない」
そんな夫と
「そうよ! あなたなんか息子にふさわしくない!」
そんな義母のいる伯爵家に嫁いだケリナ。
嫁を大切にしない?ならば、内部から崩壊させて見せましょう
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。
五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」
婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。
愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー?
それって最高じゃないですか。
ずっとそう思っていた私が、王子様に溺愛されるまでの物語。
この作品は
「婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。」のスピンオフ作品となっています。
どちらの作品から読んでも楽しめるようになっています。気になる方は是非上記の作品も手にとってみてください。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる