【完結】幽閉の王を救えっ、でも周りにモブの仕立て屋しかいないんですけどぉ?

北川晶

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63 我の愛しい死神

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     ◆我の愛しい死神

 幸せな日々から、一転、奈落の底へ突き落された。

 王城に戻ったぼくと陛下は、ホールで、アイリスの腕を掴むバミネを見た。
 人を見て、こんなふうに思っちゃいけないのかもしれないが。とにかく不快感が、波のように次々と押し寄せてくるな。
 悪役令息の本領発揮とばかりに、バミネは下品で、嫌な言葉しか吐かなかった。
 ま、股を開くとか。性悪とか。鳥ガラとか…。

 と、鳥ガラに鳥ガラって言ったら、ぐっさり胸に突き刺さって、傷つくんだからなぁ?

 図星はあかんよ、図星は。
 さらに、アイリスを貴族のジジイに売る発言は。
 究極の悪口雑言あっこうぞうごんかと思ったが。さらに上があるとはね。
「…あんたの死に装束を作っている者と、情交を楽しむ厚顔さがあるのだ。後先考えず、俺に歯向かう脳筋の王めっ」
 は?
 黙れ、帰れ、と口にする陛下に、バミネはそう言うのだが。

 は? としか思えなかった。いったい、なんの話?

「死に装束? 僕は、婚礼衣装を…」
 その、口にするのもおぞましい、痛烈な言葉に。頭が真っ白になって。
 なにも考えられなくなった。

 なにも、考えたくない。

「おや、陛下はおっしゃらなかったのか? 死に装束を作る無礼者は、即刻この城を去れ、と」
 鬼の首を取ったかのように、バミネはすっごく楽しそうに、誇らしげに、ぼくに言ってくる。
 ハッと息をのんだあと。ぼくは、呼吸がうまくできなくなった。

 指ひとつ動かせなくなるほどに、血液が凍ってしまったみたいに、脳みそが壊死したかのように。立ったままの死体になった。

 だが、にぶく回る頭の隅に、心当たりがあって。
 城へ来た当初、陛下に剣を突きつけられた。
 あれは冗談だって、あとから言ってくれたけれど。
 もしかして、本気だった?
 死に装束を作る無礼者を、成敗しようとしていたのか?

 ぼくを死神と称したのも。
 その衣装で、我を墓場へ案内する、と言ったのも。

 ぼくが、忠誠を誓った日。
 おまえは我の死神だから。我が死ぬとき、我のそばにいるのはおまえでなければならない。と言ったのも…。

 もしも、そうだったなら。
 ぼくはあの日、陛下がどれだけ悲壮な想いで、その言葉を告げたのか、わかっていなかった。
 ただ、死ぬまで。陛下が年老いて、寿命を迎えるその日まで、そばにいてもいいという許しを得たのだと。そう思って。
 嬉しく、思って…。

 でも、バミネが。ぼくは婚礼衣装だと思っていたが。バミネが、死に装束を仕立てているつもりだったのなら。
 バミネはすでに、本気で陛下を殺す算段をしている?
 その日を視野に入れている?

 陛下の、御命は…。ぼくの仕立てが終わるとき、まで? 陛下もそれを、予感している?

 そばにいることを受け入れてもらった、ぼくは。浮き立つ気持ちのままに、陛下にお礼を言ったが。
 そのときの陛下の顔は、どこかせつなげだった。
 そう、確かに思ったのに。
 そのときは、その意味がわからなくて。無邪気に喜んで。

 ぼくは、なんて。馬鹿で。能天気だったのだろうっ。

 その後も、バミネと陛下が、なにやら言い合っていたけれど。
 ぼくは、そのことが全然頭に入ってこなくて。
 いつのまにか、チョンも足元にいたけれど。なにを言っているのか、わからなくて。

 死に装束という言葉が。あまりにも鋭利で。あまりにも過重で。ぼくの心を切り刻んで踏み潰して粉砕する。
 時間も場所も音も、なにもかもがぐんにゃりと歪んでしまうほどに。
 自分を保てなくなるほどに。

 衝撃的な言葉だ。

 その言葉だけで、死んでしまえたら。そんなふうに思って。
 いっそ、その言葉の刃で、ぼくの心臓を突き刺して、止めて。そんなふうに思って。
 目の前が、真っ暗になる。

 すぐにも、その場に崩れ落ちてしまいたかった。
 けれど…その前にやることがある。
 自分の体なのに、なんだか重いな。
 そう思いながら。ぼくは無理矢理足を動かして。階段に足をかけた。

「兄上っ、大丈夫ですか? 顔色が悪いです。バミネの言うことなんか、無視すればいいのです。兄上は、なにも悪くないのですよ?」
 チョンが、一生懸命慰めてくれるが。
 言葉に傷ついたとか、そういう表面的なことではないのだ。

 ただ。なにも知らなかったぼくを、ぼくが恥じているだけ。
 無知ほど、害悪なものはない。

 ぼくの存在が、そこにあるだけで、どれほど陛下を傷つけたと思う?
 恐れさせたと思う?
 嫌悪だったと思う?

「クロウ?」
 陛下に声をかけられた。顔を見なくても、心配そうな声で。本当に、お優しい方だ。
 でも、ぼくは貴方の顔が見れません。

 涙が込み上げるけど、グッとこらえて。ぼくは小走りに階段を駆け上がった。
 ぼくは、衣装作りに誠心誠意取り組んでいたのだ。なのに、心の支柱が、粉々に砕かれてしまった。
 階段を登りきり、右に曲がって、真っ直ぐサロンに入っていく。
 そして用具箱から裁ちハサミを取り出すと、トルソーにかかっていた作りかけの衣装に向かって、ハサミを振り上げる。

 こんなもの、あってはならないっ。

 自分が作り出したものに、これほどの嫌悪を持ったことなど。今まで一度もない。
 でも。とにかく。
 一刻も早く。
 この服を、この世から消し去ってしまいたかった。

「セドリック、止めろっ」
 しかし。陛下の言で、ぼくはセドリックに制圧され。床に押さえこまれた。
 ハサミは衣装に届かず、切ることは叶わなかったし。
 思い切り床に叩きつけられてしまって。ぼくは一瞬、気が遠くなった。

「あぁぁ、兄上が死んでしまうぅ。この、クソ馬鹿力、なんてことすんだ、早くどけ、このゴリラっ」
 ぶっちゃけ、気を失ってしまいたかったが。

 人間って、そんなに簡単に、気を失わないものだよね?

 それに、チョンが断末魔みたいな声、つぅか、怪獣みたいな、今まで聞いたことないような声で鳴くから。
 変なこと言って、笑かそうとするから。もう。

 兄としても、ケジメ的な意味でも、気を失っていられないな、というか…。
「燃やしてください」
 陛下とセドリックが言い合っている中。声を出したのだが。
 あんまりにも掠れた声だったから、聞き取ってもらえなかったみたいで。ぼくは、叫んだ。

「セドリック様っ、服を、燃やしてくださいっ」

 なんか、すっごく体力消耗する。
 悲しいと。心が痛いと。体まで動かなくなるものなんだな。
 もう、指一本、動かないよ。
 頭を起こすのも、つらいよ。

 そして、ガクリとぼくは頭を下げる。
 そうしたら、重力を感じたみたいに、大粒の涙が目からボトボトッと落ちた。
 最初、これがなにか、わからなかった。
 それぐらい。久しぶりに泣いたような気がするなぁ。

 なんか、心と体が乖離かいりしているような感覚だった。
 今、思考しているのは九郎で。泣いているのはクロウ、みたいな。

 あぁ、やっぱり。クロウは陛下のことが大好きだよね?
 だから、申し訳なくて、顔を上げられないし。死に装束を作っていた自分を許せないし。

 とにかく、悲しいんだ。

「ならぬ」
 だから、陛下に。
 思いがけないことを言われて。
 ぼくは目を丸くした。

 だって、陛下にとっても。こんな、死に装束なんて、ない方がいいに決まっている。
 ぼくが衣装を作り上げなければ、陛下だって、殺されることはなくなるかも。
 こんなもの。こんなもの…。

 あまりにも申し訳なくて。陛下の顔を見られないと思っていたが。
 床に倒れたぼくを、優しく抱き起こしてくれた陛下が。腕の中で、ぼくを柔らかく包んでくれたから。
 ぼくは思い切って顔を上げ、陛下に戸惑いの目を向けた。

 ぼくが死神だと自覚して、初めて陛下の顔を見る。

 怖い顔をしているかも。
 ずっと、嫌悪の目で見られていたのかも。
 そう思うと。陛下が今まで自分に、どんな顔を向けていたのか、そんなこともわからなくなった。

 だから、陛下の顔を見るのが怖かったけど。
 そばで、ぼくをみつめる陛下は。いつもどおりの柔らかな眼差しで。

 そうだ、陛下はいつも。ぼくを、厳しく美麗な眼差しながらも、その瞳の奥に優しい光をたたえて、みつめてくれていたと。そう、思い出した。
 怖い顔や嫌悪の目など、この頃はしていなかったっけ。

 今は、少し心配そうに、ぼくを見てくれている。
 ホッとした。今、冷たい目で見られたら。視線で、余裕で死ねるもんな。
「…でも」
「我のものを傷つけるのは、許さぬ」
 衣装を燃やしてと言った、ぼくへの答えだ。
 確かに、陛下のものを、勝手にどうにもできませんが。
 でも、これは。こんなものはっ。

「僕はっ、死に装束を作るために、ここへ来たのではありません」
 言葉をつむぐたび、涙が、とめどなくあふれる。
 知らなかったとはいえ、なんてものを作り出してしまったのかっ。

 息が苦しくて、たまらない。
 口の中に、苦い物があふれている。
 そんなふうに慟哭するぼくの涙を、陛下は親指で拭ってくれた。

 ぼくは、嗚咽をのみこんで、必死に陛下に訴える。
「こ、婚礼衣装だと、思っていたのです。陛下が、幸せになるように、と。一針、一針、心を込め…な、なのに…」
「わかっている」
 恋に気づいてから、陛下が結婚することに、もやもやしていたことはあったけど。
 城に入る前から、手掛けてきた前身ごろの刺繍などは、本当に、そういう気持ちで縫っていた。
 晴れの日に、陛下が一番輝いて見えるように。

「ご結婚の話は、あったのですよね? し、死に装束なんて、ぼくの聞き間違いですよね? それか、バミネの嫌がらせですよ、ね?」
 期待を込めて聞いてみる。
 死神認定も、アイキンのゲーム誘導で。
 死に装束を作るからという理由ではない。偶然なのですよね?

「結婚話は、最初からなかったのだ」
 だが、陛下は肯定してはくださらなかった。
 やっぱり、死に装束を作りに来た仕立て屋だから。ぼくは、死神だったのだっ。
 黒くてガリガリだったからじゃ、なかったんだっ。

「…そんな…」
 ぼくは、この上もなく絶望し。マジで、失神しそうになった。
 でも、人間は簡単に、失神しないものです。

 つか、バミネの考えること、エグくね?
 死に装束とか、普通考えつかないよ。

 あぁ、もう。あいつ、マジ、嫌い。

 あいつのこと、最初から嫌いだったけど。
 ひとりの人間に対して、ここまでの憎しみを感じたのは、前世も含めて初めてだよ。
 キューッ、きらいぃぃ。

 恐れ多いと感じながらも、ぼくは陛下を身近に感じたくて。すがるように、ギュッと彼の上着を握り込んだ。
 すると陛下は、ぼくの背中に手を回し、テンテンしてくれる。おお優しいぃぃ。

「どうして、早く言ってくださらなかったのですか? し、死に装束だと、わかっていたら。こんな依頼は受けなかったのに」
「そうしたら、我とクロウが出会えなかったではないか? 我は、おまえと出会えて、嬉しかったし。おまえの笑顔を曇らせたくなかったから。そのことは黙っていた。みんなにも、口止めしていた」

 周囲に目をやると、騎士様たちも、ラヴェルも、アイリスもアルフレドも、みんないて。みんなうなずいていた。
「僕は、陛下にとって、死神なのでしょう? なのに。どうして僕を…僕なんかを…」
 無意識であっても、目の前で自分の死に装束を作るような者など。普通なら、視界にも入れたくないだろう。

 なのに、陛下はぼくを好きだと言ってくれた。

 真に、死神だったというのに。
 そばにいさせてとお願いした、浅はかなぼくを許し。
 そばにいてほしいと願ってもくれた。どうして?

 問うように、陛下をみつめると。
 ぼくを気遣う、穏やかな目の色で。
 懐古を呼ぶ、海色のキラキラした瞳に、ぼくの顔を映して。そっと囁いた。

「おまえは、我の愛しい死神だからだ」

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