127 / 176
2-6 秒でやめた ①(イアンside)
しおりを挟む
◆秒でやめた(イアンside)
我は、妹のシャーロットをうらやましいと思っていた。
ラヴェルから、勉学や帝王学や政治学など、国を運営するための学問は習い。王城にある書物は、あらかた読み終え。独学で、森の植物や気象や天文学などを研究し。学ぶべきものは、吸収し尽くしたとは思う。
だが、ただひとつ。
セドリックとシヴァーディの仲の良さは、学園の先輩後輩だからだ、と聞いたとき。胸の奥がモゾリとした。
王城で働く者たちは、いわゆる家臣であり。親身に我の世話をしてくれるが。
セドリックやシヴァーディや、ラヴェルや、アルフレドは。心の距離も近い、のだが。
友達、というものではない。
友達、と言ってもいいのかもしれないが。
やはり家臣、もしくは家族、なのだろう。
そう、我はただひとつ。友達というものを持ったことがないのだ。
クロウは…伴侶なので。
友達のようでもあるが、根本で、ちょっと違うし。
クロウには、彼以外からもたらされることのない、唯一無二の恋人体験をさせてもらっているので。それは最重要な位置にあり。特別である。
今、友達に一番近い位置にいるのは。シオンだと思っているが。
彼は、兄を奪った我を敵視しているので。友達よりは、ライバル寄りだな?
友達を作るのに、一番簡単なのは。やはり、学校生活だろう。
学校に通えていたとしても、すでに八歳の頃に国王という立場だった、我には。友達を作るのは、難しかっただろうとは思うが。
それ以前に。我はバミネによって、学園に通う時間は奪われてしまった。
友達を得る機会は、もう我にはないのだろう。
しかしシャーロットは、ギリギリ一年次の入学に間に合った。
実にうらやましい。
学園で、いっぱい友達を作って。いっぱい会話して、いっぱい学んで。楽しい学園生活にしてほしい。と、兄目線では思うが。
政務で、自分より年嵩な者に囲まれて、書類を読み込み。それに返事を出すという、単調な作業を繰り返していると。
学校には、いろいろな、心躍る、あれやこれやがあるのだろうなぁ、なんて。想像して。うらやましさに拍車がかかるのだった。
せめて、クロウと一緒に政務ができるようになったら。この単純作業や、年嵩な者たちに囲まれる、息詰まる感覚というものが、薄まるだろうなぁ。と、考えてしまう。
あぁ、早く、クロウと一緒に仕事ができるよう、取り計らおう。
しかし、それには。クロウが王宮を闊歩できる地位。王妃という肩書が必要で。
だからこそ、結婚式を早く挙げたいと急いているのだった。
我とクロウは、身も心もつながったパートナーだ。
そう、夜会の夜に。我とクロウは、い、い、いたした、わけなのだが。
ゆえに、周りがどう言おうと、クロウはすでに、我の伴侶なのである。
だから、王妃だと言い貫いて、仕事をともにしてもいいのだっ。
とは、思うが。
クロウは清純で繊細な人なのに。王宮にいるジジイに、万が一にも心無い言葉で傷つけられたりしたら…。
うーん、嫌だ、駄目だ。
クロウには、予備知識を入れておきたいところだ。
下劣なことを言われても気にするな、聞かなくていい、気色悪かったら我に訴えろ。的な。三大『き』の対処法を。
対処法を伝授するまでは、シャーロットの礼儀作法の指南をしてもらおうと思い。クロウに頼んでいた。
こちらも、ちょっと急務だったしな。
シャーロットと、その従者になるアイリスの刺繍の腕前が。ちょっと。壊滅的に…いや、個性的すぎて、笑えない域だったから。
すると、思いがけなく。我が学園で学ぶ機会を、バジリスク公爵に提示された。
しかも、クロウと一緒、だとぉ?
なにそれ。やるやる、やるに決まっている。はい、はい、学園に行きまーす。
心の中では、テンションの上がった我が、挙手しつつ、お祭り騒ぎをしているが。
いかにも楽しそうにしたら、王として威厳がないから。
表面的には、冷静に。重々しく了承のうなずきを返した。むぅ、王様、つらい。
クロウには、バレてしまったかもしれないな? 楽しんじゃいましょうか? と言われたので。
うん。バレているな。クロウに、隠し事はできないのだ。
我が、学校生活に憧れているところまでお見通しだとは。クロウ、恐るべし。さすが我の妃である。
だが、そうして我の気持ちを察して、ともに楽しもうとしてくれるところが。クロウの優しく、鷹揚な、懐深いところ、なのだろうな?
クロウは。ラヴェルの話によると、とても聡明で、齢十歳で、学園で習うべき教育過程を達成してしまったという神童だったらしい。
だとするなら、クロウが学園で学ぶことはなく。たぶん、退屈な時間になってしまうのだろう。
でもきっと、クロウは我に付き合うつもりで、了承してくれたのだ。
我が、学校生活を楽しみにしていると思って。
優しいやつだ。
優しく、我を一番に想ってくれる彼に。またまた惚れ直してしまう。
どれだけ、我を魅了するつもりなのだっ、クロウ。
しかしながら、学園に入学するにあたって、クロウが実家に戻ってしまうというのが。悲しい。
クロウを王宮から学園に通わせるよう、ごねてみたが。
父としての時間をください、と公爵に懇願されてしまうと、無下には出来なくて。
公爵には、こころよく、クロウを王家に嫁がせてもらいたのだ。
バジリスク家は、カザレニア国の中で、最も有力な貴族である。
アナベラが、我を孤島に閉じ込めるにあたって、一番に目をつけたのが、バジリスク家であり。
ある意味、そこをおさえられれば国を牛耳れる、くらいの。財力も、権力も、魔力も。他家より、一歩抜きん出た優秀な家柄である。
アナベラとバミネに、十年間財力を吸われたにもかかわらず。倒れなかった。それだけの潤沢な資金があったということ、でもある。
我が動けなかった原因のひとつに、国を洪水に沈める、というバミネの虚言があったが。
我の火炎魔法を鎮火させることは元より、洪水で沈めることも容易くできる、それほどの魔力量が、バジリスク家の者にはあるから。脅しの効力は充分だったのだ。
魔力の戻ったクロウが、簡単に王幾道を開いたのを見て。
改めて、バジリスク家の魔力の高さに、我は人知れず震撼した。
クロウが敵でなくて、良かった。本当に。
まぁ、つまり。バジリスク家というのは。王家の者ですら、大きな顔で命令などできない、発言権の強い大家であるということだ。
バジリスク家の中でも、クロウは王家への忠誠があり余っていて、常にテンション高く好意を示してくれるし。
当主も、王家に信服し、王家を支えることこそが誉れ、という高潔な心持ちで付き従ってくれているので。
今現在は、王家と円満な仲である。
しかし、クロウを(嫁として)我に奪われたシオンや、当主が、王家に牙をむいたら。
冗談ではなく、国が二分するかもしれない。
厄介極まりない。機嫌を損ねたくない、家ナンバーワンなのである。
宰相のウィレムにも、くれぐれも言動には注意をするように、と釘を刺されているくらいだ。
そんな、バジリスク家。当主のクロード。クロウの父は。どうやら完全に、息子ラブなようだ。
目覚めた瞬間、クロウにチュウしようとしたくらいだからな。
当時は、寝惚けていただけかもしれないが。
もちろん、チュウは許さなかったがっ。
まぁ、クロウは普通に、息をしているだけで、愛らしいからな。
頭脳の優秀さや、魔力量の多さを抜きにしても。愛でたい対象だろう。
我が親でも、そうなる。確実だ。
学園に通う間は、クロウを実家に、とお願いされ。
我は、すっごく、すっごく、断腸の思いで。それを了承したのだ。
すべては、つつがなく、夏にクロウと結婚式を挙げるため。
それに、学園生活のおまけがついてくるのなら。まぁ、良いではないか?
我は、妹のシャーロットをうらやましいと思っていた。
ラヴェルから、勉学や帝王学や政治学など、国を運営するための学問は習い。王城にある書物は、あらかた読み終え。独学で、森の植物や気象や天文学などを研究し。学ぶべきものは、吸収し尽くしたとは思う。
だが、ただひとつ。
セドリックとシヴァーディの仲の良さは、学園の先輩後輩だからだ、と聞いたとき。胸の奥がモゾリとした。
王城で働く者たちは、いわゆる家臣であり。親身に我の世話をしてくれるが。
セドリックやシヴァーディや、ラヴェルや、アルフレドは。心の距離も近い、のだが。
友達、というものではない。
友達、と言ってもいいのかもしれないが。
やはり家臣、もしくは家族、なのだろう。
そう、我はただひとつ。友達というものを持ったことがないのだ。
クロウは…伴侶なので。
友達のようでもあるが、根本で、ちょっと違うし。
クロウには、彼以外からもたらされることのない、唯一無二の恋人体験をさせてもらっているので。それは最重要な位置にあり。特別である。
今、友達に一番近い位置にいるのは。シオンだと思っているが。
彼は、兄を奪った我を敵視しているので。友達よりは、ライバル寄りだな?
友達を作るのに、一番簡単なのは。やはり、学校生活だろう。
学校に通えていたとしても、すでに八歳の頃に国王という立場だった、我には。友達を作るのは、難しかっただろうとは思うが。
それ以前に。我はバミネによって、学園に通う時間は奪われてしまった。
友達を得る機会は、もう我にはないのだろう。
しかしシャーロットは、ギリギリ一年次の入学に間に合った。
実にうらやましい。
学園で、いっぱい友達を作って。いっぱい会話して、いっぱい学んで。楽しい学園生活にしてほしい。と、兄目線では思うが。
政務で、自分より年嵩な者に囲まれて、書類を読み込み。それに返事を出すという、単調な作業を繰り返していると。
学校には、いろいろな、心躍る、あれやこれやがあるのだろうなぁ、なんて。想像して。うらやましさに拍車がかかるのだった。
せめて、クロウと一緒に政務ができるようになったら。この単純作業や、年嵩な者たちに囲まれる、息詰まる感覚というものが、薄まるだろうなぁ。と、考えてしまう。
あぁ、早く、クロウと一緒に仕事ができるよう、取り計らおう。
しかし、それには。クロウが王宮を闊歩できる地位。王妃という肩書が必要で。
だからこそ、結婚式を早く挙げたいと急いているのだった。
我とクロウは、身も心もつながったパートナーだ。
そう、夜会の夜に。我とクロウは、い、い、いたした、わけなのだが。
ゆえに、周りがどう言おうと、クロウはすでに、我の伴侶なのである。
だから、王妃だと言い貫いて、仕事をともにしてもいいのだっ。
とは、思うが。
クロウは清純で繊細な人なのに。王宮にいるジジイに、万が一にも心無い言葉で傷つけられたりしたら…。
うーん、嫌だ、駄目だ。
クロウには、予備知識を入れておきたいところだ。
下劣なことを言われても気にするな、聞かなくていい、気色悪かったら我に訴えろ。的な。三大『き』の対処法を。
対処法を伝授するまでは、シャーロットの礼儀作法の指南をしてもらおうと思い。クロウに頼んでいた。
こちらも、ちょっと急務だったしな。
シャーロットと、その従者になるアイリスの刺繍の腕前が。ちょっと。壊滅的に…いや、個性的すぎて、笑えない域だったから。
すると、思いがけなく。我が学園で学ぶ機会を、バジリスク公爵に提示された。
しかも、クロウと一緒、だとぉ?
なにそれ。やるやる、やるに決まっている。はい、はい、学園に行きまーす。
心の中では、テンションの上がった我が、挙手しつつ、お祭り騒ぎをしているが。
いかにも楽しそうにしたら、王として威厳がないから。
表面的には、冷静に。重々しく了承のうなずきを返した。むぅ、王様、つらい。
クロウには、バレてしまったかもしれないな? 楽しんじゃいましょうか? と言われたので。
うん。バレているな。クロウに、隠し事はできないのだ。
我が、学校生活に憧れているところまでお見通しだとは。クロウ、恐るべし。さすが我の妃である。
だが、そうして我の気持ちを察して、ともに楽しもうとしてくれるところが。クロウの優しく、鷹揚な、懐深いところ、なのだろうな?
クロウは。ラヴェルの話によると、とても聡明で、齢十歳で、学園で習うべき教育過程を達成してしまったという神童だったらしい。
だとするなら、クロウが学園で学ぶことはなく。たぶん、退屈な時間になってしまうのだろう。
でもきっと、クロウは我に付き合うつもりで、了承してくれたのだ。
我が、学校生活を楽しみにしていると思って。
優しいやつだ。
優しく、我を一番に想ってくれる彼に。またまた惚れ直してしまう。
どれだけ、我を魅了するつもりなのだっ、クロウ。
しかしながら、学園に入学するにあたって、クロウが実家に戻ってしまうというのが。悲しい。
クロウを王宮から学園に通わせるよう、ごねてみたが。
父としての時間をください、と公爵に懇願されてしまうと、無下には出来なくて。
公爵には、こころよく、クロウを王家に嫁がせてもらいたのだ。
バジリスク家は、カザレニア国の中で、最も有力な貴族である。
アナベラが、我を孤島に閉じ込めるにあたって、一番に目をつけたのが、バジリスク家であり。
ある意味、そこをおさえられれば国を牛耳れる、くらいの。財力も、権力も、魔力も。他家より、一歩抜きん出た優秀な家柄である。
アナベラとバミネに、十年間財力を吸われたにもかかわらず。倒れなかった。それだけの潤沢な資金があったということ、でもある。
我が動けなかった原因のひとつに、国を洪水に沈める、というバミネの虚言があったが。
我の火炎魔法を鎮火させることは元より、洪水で沈めることも容易くできる、それほどの魔力量が、バジリスク家の者にはあるから。脅しの効力は充分だったのだ。
魔力の戻ったクロウが、簡単に王幾道を開いたのを見て。
改めて、バジリスク家の魔力の高さに、我は人知れず震撼した。
クロウが敵でなくて、良かった。本当に。
まぁ、つまり。バジリスク家というのは。王家の者ですら、大きな顔で命令などできない、発言権の強い大家であるということだ。
バジリスク家の中でも、クロウは王家への忠誠があり余っていて、常にテンション高く好意を示してくれるし。
当主も、王家に信服し、王家を支えることこそが誉れ、という高潔な心持ちで付き従ってくれているので。
今現在は、王家と円満な仲である。
しかし、クロウを(嫁として)我に奪われたシオンや、当主が、王家に牙をむいたら。
冗談ではなく、国が二分するかもしれない。
厄介極まりない。機嫌を損ねたくない、家ナンバーワンなのである。
宰相のウィレムにも、くれぐれも言動には注意をするように、と釘を刺されているくらいだ。
そんな、バジリスク家。当主のクロード。クロウの父は。どうやら完全に、息子ラブなようだ。
目覚めた瞬間、クロウにチュウしようとしたくらいだからな。
当時は、寝惚けていただけかもしれないが。
もちろん、チュウは許さなかったがっ。
まぁ、クロウは普通に、息をしているだけで、愛らしいからな。
頭脳の優秀さや、魔力量の多さを抜きにしても。愛でたい対象だろう。
我が親でも、そうなる。確実だ。
学園に通う間は、クロウを実家に、とお願いされ。
我は、すっごく、すっごく、断腸の思いで。それを了承したのだ。
すべては、つつがなく、夏にクロウと結婚式を挙げるため。
それに、学園生活のおまけがついてくるのなら。まぁ、良いではないか?
110
あなたにおすすめの小説
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
ちっちゃな婚約者に婚約破棄されたので気が触れた振りをして近衛騎士に告白してみた
風
BL
第3王子の俺(5歳)を振ったのは同じく5歳の隣国のお姫様。
「だって、お義兄様の方がずっと素敵なんですもの!」
俺は彼女を応援しつつ、ここぞとばかりに片思いの相手、近衛騎士のナハトに告白するのだった……。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。
みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。
愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。
「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。
あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。
最後のエンドロールまで見た後に
「裏乙女ゲームを開始しますか?」
という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。
あ。俺3日寝てなかったんだ…
そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。
次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。
「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」
何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。
え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね?
これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。
流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる