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第3話 市場の獣人たちと不可解な力
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「……あの、大丈夫……ですか?」
怯えた声で、隣の檻の少女が再び口を開いた。兎獣人の少女。長い耳をぴたりと垂らし、震える手で檻の隅を握りしめながら、恐る恐るこちらを見ている。
「ま、なんとか生きてるよ」
悠斗は苦笑を返しながら、背中を壁にもたれかけた。
昨夜から状況はほとんど変わらない。いや、状況が悪いまま固定されたと言ったほうが正しい。だが、少女が話しかけてくれたことで、ほんの少しだけ「人との接点」が戻ってきた気がしていた。
「……あなた、本当に人間、ですか?」
少女の問いに、悠斗は軽く肩をすくめて答える。
「そう思ってるけど、ここじゃ獣人扱いらしいな……」
その瞬間、空気が微かに動いた。
視線を感じた。
嫌でも気づく。明らかに、周囲の気配が変わった。檻の並ぶ通路の奥、無言でこちらを見つめる影がある。檻の中に収められた獣人たち——。
その中には、片腕を失った大柄な虎獣人の男。
まだ幼さの残る狐獣人の少女が、檻の角でじっと様子をうかがっている。
白髪混じりの毛並みを持つ老獣人は、静かに目を閉じながら耳だけはこちらへ向けていた。
そして、もう一つ先の檻では、狼獣人が牙を見せながら、露骨に敵意をむき出しにしている。
(……なんだ?)
悠斗はごくりと喉を鳴らした。彼らの目は、ただの興味ではなかった。値踏みするような、あるいは——警戒するような。
「……お前、何者だ?」
沈黙を破ったのは虎獣人の男だった。その声は低く、獣の唸りのように重い。
悠斗は数秒間その視線を受け止めたあと、力なく笑った。
「いや、それ俺が聞きたいんだけど?」
虎獣人は眉をひそめ、狐獣人の少女が「ふふ」と小さく笑う。彼らの目が、少しだけ変わる。警戒の中に、ほんの僅かな興味。
(俺が本当に獣人扱いされてるなら、ここにいる彼らと同じ立場ってことになる……)
まるで自分の中の何かが、獣人たちの「本能」に訴えかけているかのようだった。
理由は分からない。だが確かに、悠斗は「人間」でありながら、人間として見られていない。その不思議な感覚が、獣人たちの檻の中で、静かに広がっていく。
「こいつは、何者なんだ?」
そう問いかけるような、無数の視線の中に——。
檻の隣に座る兎獣人の少女は、まだ小さく震えていた。両腕で膝を抱え、頭を伏せたまま、揺れる耳が不安を物語っている。
(……怖いんだよな、そりゃそうだ)
悠斗は、自分でも気づかないうちに手を伸ばしかけ、そして引っ込めた。代わりに、言葉を選ぶようにして、そっと声をかける。
「大丈夫だ。怖がらなくていい」
——その瞬間だった。少女の長い耳が、ピクリと反応する。
わずかに顔を上げた彼女の瞳から、怯えの色がすっと消えていく。不思議そうに、けれどほんの少しだけ安心したように、彼女は悠斗を見つめていた。
(……あれ?)
思わず口を閉じた悠斗の耳に、周囲の気配が変わるのを感じた。
檻の奥。
虎獣人の男が、こちらをじっと見つめていた。
狐獣人の少女は、さっきまでこわばっていた肩の力を抜き、目をぱちぱちと瞬かせる。
狼獣人さえも、むき出しだった牙を少し引っ込め、わずかに眉をひそめるような表情を見せた。
全員が、こちらを見ている。
それもただの興味ではない。まるで、群れの中で「何か」が変わった瞬間を本能で察したような、そんな空気。
「あなた、ほんとに人間なの……? なんでこんなに、ほっとするの……?」
狐獣人の少女が、小さな声でぽつりと呟いた。
「妙だな……どうして、こんなに落ち着く……?」
虎獣人の男が腕を組みながら低く唸るように言った。
悠斗は混乱していた。
(え? なんか、俺の声にめっちゃ反応してないか……? いやいや、まさか……そんなバカな……)
けれど——確かにあの瞬間、彼の言葉は、獣人たちの本能に届いていた。誰もが反射的に「従う」空気を纏い、悠斗に意識を向けている。
自覚のないまま、彼の中に眠る「何か」が、檻の中に小さな波紋を生んでいた。
その波紋は、やがて渦を巻き始める。彼がまだ知らぬ、自分の「力」として——。
しばらくすると、またも狼獣人の男が檻の鉄格子を揺らし始めた。
ガンッ!
「……もうやめろ。怒っても、何も変わらない」
悠斗の一声でピタリと動きを止める。その声は、大声でも怒鳴りでもない。ただ静かで、落ち着いた口調だった。
狼獣人は悠斗を睨みつけたまま、呼吸を乱しながらも……やがて、呻くように鼻を鳴らし、腰を下ろす。
静けさが檻の一角を包んでいた。
——先ほどまで暴れていた狼獣人の男は、今はまるで別人のように黙り込み、じっと檻の中に座っている。
まるで何かに従うように、あるいは、何かに導かれるように。
その変化を見逃すほど、奴隷商人たちは鈍くなかった。一人が小さく口笛を吹く。
「……おい、さっきの見たか?」
別の男が腕を組んだまま、視線を悠斗の方に向けながら頷いた。
「ああ。あの狼獣人……一言で黙ったな。まるで、しつけられた犬みてぇだ」
もう一人が鼻で笑う。
「いや、それ以上だろ。あの目……完全に従ってた。あれは、群れの上位に従う時の目だ」
「ってことはだ……」
最初の男が、低く声を落とす。
「……あの人間もどき、獣人どもを自在に制御できるってことじゃねぇのか?」
一瞬の沈黙のあと、全員の顔に、同じ種類の笑みが浮かんだ。それは、欲望のにじんだ、不気味な笑み。
「しつけがいらないってだけじゃねぇ……これは『飼い主』になれる奴隷だ。そんなもん、貴族どもが放っておくわけがねぇ」
「遊びに、支配に、実験に……どんな使い道でも笑って飛びつくぞ」
「こいつ、化け物じみてる。値段は、桁が違うぜ……」
檻の中。
その言葉のすべてを聞いていたわけではないが、悠斗には彼らの視線が肌を刺すように感じられた。
どこかが冷えていく。背筋をなぞるように、得体の知れない不安が忍び寄ってくる。
「……嫌な予感しかしねぇ」
無意識に、鉄格子を握りしめた指に力がこもる。
値段が跳ね上がり、貴族の標的になってしまう……!
怯えた声で、隣の檻の少女が再び口を開いた。兎獣人の少女。長い耳をぴたりと垂らし、震える手で檻の隅を握りしめながら、恐る恐るこちらを見ている。
「ま、なんとか生きてるよ」
悠斗は苦笑を返しながら、背中を壁にもたれかけた。
昨夜から状況はほとんど変わらない。いや、状況が悪いまま固定されたと言ったほうが正しい。だが、少女が話しかけてくれたことで、ほんの少しだけ「人との接点」が戻ってきた気がしていた。
「……あなた、本当に人間、ですか?」
少女の問いに、悠斗は軽く肩をすくめて答える。
「そう思ってるけど、ここじゃ獣人扱いらしいな……」
その瞬間、空気が微かに動いた。
視線を感じた。
嫌でも気づく。明らかに、周囲の気配が変わった。檻の並ぶ通路の奥、無言でこちらを見つめる影がある。檻の中に収められた獣人たち——。
その中には、片腕を失った大柄な虎獣人の男。
まだ幼さの残る狐獣人の少女が、檻の角でじっと様子をうかがっている。
白髪混じりの毛並みを持つ老獣人は、静かに目を閉じながら耳だけはこちらへ向けていた。
そして、もう一つ先の檻では、狼獣人が牙を見せながら、露骨に敵意をむき出しにしている。
(……なんだ?)
悠斗はごくりと喉を鳴らした。彼らの目は、ただの興味ではなかった。値踏みするような、あるいは——警戒するような。
「……お前、何者だ?」
沈黙を破ったのは虎獣人の男だった。その声は低く、獣の唸りのように重い。
悠斗は数秒間その視線を受け止めたあと、力なく笑った。
「いや、それ俺が聞きたいんだけど?」
虎獣人は眉をひそめ、狐獣人の少女が「ふふ」と小さく笑う。彼らの目が、少しだけ変わる。警戒の中に、ほんの僅かな興味。
(俺が本当に獣人扱いされてるなら、ここにいる彼らと同じ立場ってことになる……)
まるで自分の中の何かが、獣人たちの「本能」に訴えかけているかのようだった。
理由は分からない。だが確かに、悠斗は「人間」でありながら、人間として見られていない。その不思議な感覚が、獣人たちの檻の中で、静かに広がっていく。
「こいつは、何者なんだ?」
そう問いかけるような、無数の視線の中に——。
檻の隣に座る兎獣人の少女は、まだ小さく震えていた。両腕で膝を抱え、頭を伏せたまま、揺れる耳が不安を物語っている。
(……怖いんだよな、そりゃそうだ)
悠斗は、自分でも気づかないうちに手を伸ばしかけ、そして引っ込めた。代わりに、言葉を選ぶようにして、そっと声をかける。
「大丈夫だ。怖がらなくていい」
——その瞬間だった。少女の長い耳が、ピクリと反応する。
わずかに顔を上げた彼女の瞳から、怯えの色がすっと消えていく。不思議そうに、けれどほんの少しだけ安心したように、彼女は悠斗を見つめていた。
(……あれ?)
思わず口を閉じた悠斗の耳に、周囲の気配が変わるのを感じた。
檻の奥。
虎獣人の男が、こちらをじっと見つめていた。
狐獣人の少女は、さっきまでこわばっていた肩の力を抜き、目をぱちぱちと瞬かせる。
狼獣人さえも、むき出しだった牙を少し引っ込め、わずかに眉をひそめるような表情を見せた。
全員が、こちらを見ている。
それもただの興味ではない。まるで、群れの中で「何か」が変わった瞬間を本能で察したような、そんな空気。
「あなた、ほんとに人間なの……? なんでこんなに、ほっとするの……?」
狐獣人の少女が、小さな声でぽつりと呟いた。
「妙だな……どうして、こんなに落ち着く……?」
虎獣人の男が腕を組みながら低く唸るように言った。
悠斗は混乱していた。
(え? なんか、俺の声にめっちゃ反応してないか……? いやいや、まさか……そんなバカな……)
けれど——確かにあの瞬間、彼の言葉は、獣人たちの本能に届いていた。誰もが反射的に「従う」空気を纏い、悠斗に意識を向けている。
自覚のないまま、彼の中に眠る「何か」が、檻の中に小さな波紋を生んでいた。
その波紋は、やがて渦を巻き始める。彼がまだ知らぬ、自分の「力」として——。
しばらくすると、またも狼獣人の男が檻の鉄格子を揺らし始めた。
ガンッ!
「……もうやめろ。怒っても、何も変わらない」
悠斗の一声でピタリと動きを止める。その声は、大声でも怒鳴りでもない。ただ静かで、落ち着いた口調だった。
狼獣人は悠斗を睨みつけたまま、呼吸を乱しながらも……やがて、呻くように鼻を鳴らし、腰を下ろす。
静けさが檻の一角を包んでいた。
——先ほどまで暴れていた狼獣人の男は、今はまるで別人のように黙り込み、じっと檻の中に座っている。
まるで何かに従うように、あるいは、何かに導かれるように。
その変化を見逃すほど、奴隷商人たちは鈍くなかった。一人が小さく口笛を吹く。
「……おい、さっきの見たか?」
別の男が腕を組んだまま、視線を悠斗の方に向けながら頷いた。
「ああ。あの狼獣人……一言で黙ったな。まるで、しつけられた犬みてぇだ」
もう一人が鼻で笑う。
「いや、それ以上だろ。あの目……完全に従ってた。あれは、群れの上位に従う時の目だ」
「ってことはだ……」
最初の男が、低く声を落とす。
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檻の中。
その言葉のすべてを聞いていたわけではないが、悠斗には彼らの視線が肌を刺すように感じられた。
どこかが冷えていく。背筋をなぞるように、得体の知れない不安が忍び寄ってくる。
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値段が跳ね上がり、貴族の標的になってしまう……!
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