『TRAVERUMINA』~名も無き世界に光あれ~

ネコミケ

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第一章 一新紀元

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窓から陽の光が差し込み、小鳥のさえずりが聞こえてくる。


朝が来た。今日は、午後から授業をしに行く予定だ。


いつも通り、朝ご飯を作りに台所へ向かう。水魔法で野菜を洗い、魔法で火をつけて、料理を始める。


「おはよー」


猫さんが起きてきた。


この街に来たばかりの頃は、大変な旅の反動で怠惰の限りを尽くした生活をしているのだろうと思っていたのだが、意外と毎日ほぼ同じ時間に起きてくる。


顔を洗って、近くの椅子に座って朝ご飯を食べ始める。


「おいしー」


前にこの街にいた間は、朝ご飯なんて食べていなかったらしい。


だが、私が今までの習慣で食べていると、いつからか猫さんも一緒に食べるようになっていた。





食事が終わったら洗い物だ。


氷魔法で作り出した箱の中で、洗剤を混ぜた水を魔法で循環させて洗い物をする。


そして、よごれた水と氷魔法の残滓の水は下水に流す。これが最も効率がいい。





洗い物をしていると、猫さんの歯磨きの音が聞こえてくる。


猫さんと入れ替わりで歯を磨いたら、次は掃除だ。風魔法と水魔法を駆使して、部屋の隅々まできれいにする。


…この時、猫さんの抜け毛が気になる。


猫要素は耳としっぽだけだが、人間サイズなだけあって、家の中だと結構な量の毛をまき散らしている。


実は、掃除のときと、たまに夜に要求してくるブラッシングの際、ひそかに猫さんの抜け毛を集めている。


大きな毛玉ができたら、ぬいぐるみでも作ろうかと画策しているのだ。


集まった猫の毛を水魔法でさっと洗って、風魔法で乾かし、小さな箱の中で保管する。





最後は洗濯だ。


とはいっても、浄化魔法の魔方陣を描いた絨毯の上に洗濯物を重ねてから、魔力を込めるだけだ。


すると、洗濯物の少し上の空中に、球状にまとまったごみが出る。魔力さえあれば誰でも魔法が使える魔方陣は、とても便利である。


…余談だが、魔方陣には、二つの欠点がある。


材料や作れる人材には限りがあるため希少で高価という点と、魔方陣で大事なのは特殊な材料と手順で作られたインクであるためか、描かれた紋章は大体かっこよくないという点の二つだ。


今使っているものに至っては、ただの二重マルである。


…まあ、効果に変わりはないし、自分の魔法で何とかするより遥かに楽なので、気にしたら負けである。





その後、浄化魔法で出たごみと掃除のごみを風魔法でまとめて外に出し、炎魔法でなかったことにする。


ここまでが、毎日の朝のルーティンだ。


…が、そうしようとして魔力を集めるイメージをするも、手ごたえがない。


……おかしい。


神聖魔法の制限があったころから、家事に授業にと魔法を使っていても、回復が追いつかず、魔力不足になることはなかった。


その制限が外れた今、まさか魔力が切れるなんて…。
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