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山奈みちかは風になる

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今日も今日とて良い天気。

「かすみ、今日はどこ行く?」

今日も今日とて推しは尊い。
当たり前の質問のように放課後の約束を取り付ける、和泉さんは女神か。
かすみちゃんが天使ならあなたは女神か。可愛いな。
振り向きたい衝動をおさえつつ、耳を二人の声しか入らないように集中する。

「ゴンノスケが可愛くてさ」

ゴンノスケはいいから。いやたしかにゴンノスケも可愛い。柴犬は癒やし。でも待って今はそこじゃない。

「んー、雑貨屋さんとかは?見たいペンがあったんだぁ」

雑貨屋"さん"可愛い。さん付けるの可愛い。
そして「へ?どこか行く約束したっけ?」みたいなこと言わないの可愛い。
当たり前のように出かけることになってるのほんとにありがとうございます。

「そういえばゴンノスケの散歩コースがさぁ」
「そういえば近くに大きい公園がある雑貨屋さんがあったよね」

「なんか大きい公園あるじゃん?そこに行きたがるから最近コース変えたんだよね」
「……近くに雑貨屋ある?」

「へ?あったんじゃないかなぁ」

よし行こう。今すぐ行こうホトトギス。
公園で遊びつつ推しカプがイチャイチャしながらお店へ向かうところなんて……おいしい。

ついでにゴンノスケをモフモフしたい。

「大きな公園かぁ。かすみ、そこもちょっと寄ってみようよ」
「うんっ。へへ、なんか楽しみ」

今日は全力で空気になって二人の邪魔をしないようにしなければ。あと声のトーン的にめちゃくちゃ幸せオーラが伝わってくるんですがご祝儀渡してもいいですか?

「よし、行こうゴンちゃん」
「いや私ゴンって名前じゃないから」

「早くゴンノスケを迎えに行こうゴンちゃん」
「落ち着いていま昼休みだから」

落ち着いて要られるものですか。
今じゃ私の呼吸全てが足に注がれ誰よりも早く走れる気がする。50m走10秒台のこの私が!

「なんだかりあちゃんと買い物なんて夢みたいだね」
「そ、そうかな……」
「ちょっと前までなら考えられなかったよー」

夢みたい。あぁ、夢みたいだね。私もちょっと前までこんな気持ちが芽生えるなんて考えられなかったよ。
可愛い。ほんとかすみちゃんの無邪気さと和泉さんの素直になりきれてない感萌える。
ほんと好きだ……。

「ゴンちゃん」
「ゴンちゃん言うな。……なに」

「私、モブでよかった」
「…………………はぁ?」

今日もごちそうさまでした。そしてありがとうございます。私 山奈みちか、風になれそうです。
どこかにいるのであろうかす×りあの神様に私は天へ向かって一礼しつつ呟いた。



「モブ……最高」

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