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それぞれの世界
1話ー3[虹色の世界]
しおりを挟む今日も素敵な天気だと、思い切り空気を吸い込んだ。秋のはじめ、少し冷えた空と空気。おまけに強い風はわたしの肺へと勢いよく入ってくる。
「ゴッホ!ごほごほ…!んんっ、ん!__今日もいい日になりそうだ!」
雨谷(あまがや)ゆうみ は空へ向かって一礼する。彼女にとってはもしこの場所が無人島であってもいい日になると叫ぶに違いない。彼女を知らない者は街中になかなかいない。彼女の通う学園では、おそらく知らない人はいないだろう。
“ポジティブの天才”と呼ばれる彼女は晴れに感謝し、雨にも感謝する。
「今日を素敵な日にするために晴れてくれたんだね!お日さまありがとう!」
「お姉ちゃん、今日も元気だね」
1つ下の妹はゆうみを見ながらため息をついた。朝昼晩と元気な姉に比べて妹は少し朝に弱い。それでも、ギリギリまで寝ることはせずに自分を追いかけてくれるのだから可愛いと、ゆうみはまだ眠そうに目をこする妹の頭を撫でた。
「なっ…!子ども扱いしないで!」
「妹扱いだよ~、可愛いなぁもう」
「うわぁぁ?!抱きつかないで!」
なんて朝から騒いでいるうちに、眠たかった目も覚めてしまったようだ。心もシャッキリとしてとても心地がいい。
「今日も素敵な日になりそうな気がするなぁ♪」
「いつもそれ言ってるよね」
「だって幸せなんだもん」
妹は静かに目をそらす。あまりに綺麗な瞳でそんなことを言われても、何も返せる気がしない。大好きで憧れでもある姉の言葉だけど、ろくな返事もできないままに今日も過ぎていく。
「お日さまさん、ありがとう!この晴れマークのもとで、今日も優しく見守っていてください。じゃ、行ってきます!」
満面の笑みでそんなことを叫びながら家を駆けて飛び出した。天気予報の確認もせず、朝一番に晴れていたらその日はずっと晴れだと信じて疑わない。そういう女の子だった。
「なんかちょっと肩が濡れている気もするけど!制服の予備、準備しててよかったー」
「いやお姉ちゃん今日の午後から思い切り傘マークだよ?!ねぇ、ちょっと!」
さっきまで平和に話していたのに、姉のスタートダッシュは急すぎる。家から飛び出したゆうみを、妹が追いかけるが止まらない。突然変異のように前向きになりすぎた姉の後ろ姿を静かに見つめ、ため息をついた。
「明日は風邪、決定だね」
念のためにと自分の制服の予備と姉のジャージをカバンに詰め、ゆっくりと家を出る。走り出して止まらない姉を静かに追いかけた。
「今日は素敵な出会いがある気がする!」
素敵かは分からないがその予想はしっかりと、的中していることをゆうみはまだ知らずにいた。
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